アサインとは?言葉の意味や使用する際の注意点を紹介

published公開日:2023.12.06
目次
ビジネスシーンで頻繁に耳にする“アサイン”は、「任命する」「割り当てる」などの意味を持ちます。ですが、業界やシーンによって使い方が異なる言葉です。使うタイミングや使いどころを押さえていないと、相手に正しく伝わらないかもしれません。

本コラムでは、アサインの意味やビジネスシーンごとの使い方について解説しています。アサインする際の注意点にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

アサインとは

アサインは「任命する」「割り当てる」などの意味を持つ言葉です。一般的には上司や経営者など、目上の立場の人が部下に対して使います。人事では人を対象としており、人を別の場所に配属する際に「アサイン」を使用しています。

ビジネスシーンで使用する際の主な意味は以下の通りです。

  • ● 業務を割り当てる
  • ● 別の部署に配属する
  • ● 部長や課長などの役職に任命する

「新規プロジェクトにアサインする」「来月から課長にアサインされることになった」などが使用例です。また、部屋や席を割り当てる、空間や者を提供する場合にも使われます。

このように、文脈によってアサインが何を対象としているかが変わってくるため、使いどころに注意が必要なのです。

アサインメントやジョインとの違い

アサインと似た言葉に、アサインメントやジョインがあります。それぞれの意味を正しく理解して、シーンに合った使い分けを意識しましょう。

アサインメントとの違い

アサインとアサインメントの違いは品詞です。アサインメントは名詞、アサインは動詞という違いがあります。アサインメントが「割り当て」ならアサインは「割り当てる」となります。そのため、「アサインする」というよりは「アサインメントする」のほうが適切な表現ですが、アサインのほうが短いこともあり、アサインメントとほぼ同義で使われています。

ジョインとの違い

ジョインは「参加する」のように、能動的な意味を持つ言葉です。対して、アサインは上司から部下に任命する受動的な意味で使われます。

例えば、新しいプロジェクトを立ち上げ、管理職がメンバーを決めて招集する場合は「アサイン」が使われます。そうではなく、希望者を募って参加してもらう場合は「ジョイン」となります。

アサインの類義語・対義語

アサインはビジネスで使われる言葉ですが、シーンによって意味やニュアンスが異なります。そのため、場合によってはアサインという言葉を使わず、日本語に置き換えたほうが伝わりやすいでしょう。

アサインの類義語と対義語を知って、明確な意味を伝えることが大切です。

アサインの類義語

アサインの類義語として、以下のような言葉が使われています。

  • ● 割り当てる
  • ● 任命する
  • ● 指定する
  • ● 課する

アサインを「1つの仕事を複数人で分担して行う」といった意味で使うなら、「割り当てる」と言い換えるといいでしょう。役職を任せるときは「任命する」が適切です。

IT業界ではアサインを「指定する」という意味で使う場合があります。また、「課する」は一方的に負わせるニュアンスがあり、義務感や強制感を強く表している言葉です。

アサインの対義語

アサインの対義語には以下のような言葉があります。

  • ● アンアサイン
  • ● リリース
  • ● 取り下げる
  • ● 外す
  • ● 異動する
  • ● 解雇する・解任する

「割り当てから外す」という意味でアンアサインという言葉がありますが、あまり使われていません。日本語で言うなら、「外す」「解雇する・解任する」のほうが一般的です。

リリースには「開放する」という意味があり、業務の途中だけでなく役割を果たしたタイミングでも使われます。また、取り下げるは「業務を白紙に戻す」、「異動する」は人事におけるアサインの対義語です。

ビジネスシーンで使うアサインのいろいろ

ビジネスシーンにおけるアサインは、一般的に上司から部下に対して使う言葉です。基本的に、上司がアサインする側であり、部下がされる側であると覚えておきましょう。

ここでは、ビジネスシーンで使うさまざまなアサインについて紹介します。

ジョブアサインメント

ジョブアサインメントは、言葉の通り「仕事を割り当てる」という意味です。組織の目標達成を目的に、仕事を割り振る際に使われます。ジョブアサインメントは、上司が部下に行う、マネジメントの一環です。

組織の目標達成のためには、部下の育成も必要になります。ジョブアサインメントは、単に仕事を割り振るだけでなく、部下の能力開発も視野に入れているのが特徴です。

仕事を割り振る際の注意点は、上司が口を出しすぎないことです。初めから答えを渡すのではなく、部下が試行錯誤して力を付けていくのを見守るようにしましょう。

ストレッチアサインメント

ストレッチアサインメントは、現在の実力では達成が難しいと思われるポジションに、あえて任命することで人材の成長を促すメソッドです。別名「タフアサインメント」とも呼ばれています。現状では困難な業務に対応させて、部下に成長してもらうことが実施の目的です。

ただし、部下に対してむやみに難題を押し付けてはいけません。逆境に対する姿勢や耐性は人それぞれのため、課題を与える時期や課題の難易度が適切であるかを見極めることが重要です。見誤ってしまうと、心身に大きなストレスを与えかねず、業務自体も滞る可能性があるので注意しましょう。

ダブルアサインメント

ダブルアサインメントは、1つの業務に対して2人の担当者を配置することです。仕事の属人化を防ぐ目的で取り入れられています。仕事の属人化とは、1人の担当者しか仕事の全容を把握しておらず、担当者が不在の状況になると業務を続行できなくなることを言います。

ダブルアサインメントでは担当者がペアで行動することにより、信頼関係を築きやすいというメリットもあります。ベテラン社員と新人を組み合わせれば、新人の成長も促せるでしょう。

業界により異なるアサインの意味

アサインの使われ方は業界によっても異なります。IT業界・ホテル業界・法律業界・転職業界に分けて使用例を確認してみましょう。

IT業界 「数値や値を指定する」という意味。キーアサインが語源とされている
ホテル業界 部屋や座席の割り当てという意味
法律業界 アサインバックという用語があり、「商標権の割り当てを戻す」という意味
転職業界 「採用」「選出」として使われる

アサインをするポイントと言葉を使うときの注意点

部下に仕事を任せるジョブアサインメントやストレッチアサインメントを行う際には、押さえておきたいポイントがあります。また、アサインを部下に伝える際の注意点についてもまとめました。

部下をアサインするときのポイント

部下をアサインする際には、目的を明確にして業務と育成のバランスを考えることが重要です。

現場の課題や改善点を洗い出す

アサインを実施するには、目的が必要です。組織が抱える課題や改善点を洗い出して、なぜアサインの必要性があるのかを明確にしましょう。

課題や改善点が曖昧なままでアサインしてしまうと、部下も何が求められているかがわからず、アサインの効果が得られません。仕事の目的や背景を部下に説明したうえで、課題や改善点を事前に共有し、どんな活躍を期待しているか伝えるようにしましょう。

成果と育成のバランスを考えたアサインをする

アサインでは、成果と育成のバランスも必要です。例えば、成果が重要視されている場合は、役割に対して得意な人材を割り当てるのが良いでしょう。成果が求められる場面で人材の育成を優先すると、目標を達成できない可能性があるためです。

しかし、すでにスキルがある人材ばかりをアサインしていては、人材の育成が進まず、組織の能力を底上げできません。今は目標を達成できていても、どこかで頭打ちになってしまいます。

成果を上げることも大切ですが、人材育成とのバランスも考えてアサインしましょう。

モチベーション管理の観点を持つ

アサインするときは、能力や適性だけでなく部下のモチベーションにも注目しましょう。部下のモチベーションに対して配慮を怠ると、業務を通した成長を実感できなくなるリスクがあります。モチベーションの低下度合いによっては、離職につながるかもしれません。

例えば、モチベーションが低い部下がいるのであれば、成功体験を積める業務にアサインすることで、パフォーマンスの向上が期待できます。部下にアサインする際は、本人のモチベーションも考慮して、業務におけるパフォーマンスの向上を狙いましょう。

アサインの目標は数値で考える

アサインする目的が明確になったら、目標を設定します。その際には、具体的な数値に落とし込むことが重要です。上層部から求められる目標とすり合わせて、実現可能な範囲で目的や目標を設定してください。数値にすることで、アサインされた部下も何を指標にすればよいかが分かりやすくなります。

アサインという言葉を使う際の注意点

アサインにはさまざまな意味があるため、意味を定義せずに使うと相手に伝わらない可能性があります。アサインという言葉を使う際の注意点を押さえて、できるだけ相手に理解してもらいましょう。

アサインという言葉に含まれる意図まで伝える

「アサイン」を使う際には、言葉に含まれる意図まで相手に伝えましょう。

例えば、単に「アサインする」と言われても、ジョブアサインメントなのかストレッチアサインメントなのか判断できません。ストレッチアサインメントのつもりが、相手にジョブアサインメントとして伝われば、業務に取り組む姿勢が変わってしまいます。

ただアサインと伝えるのではなく、仕事を任せる理由や目的、目標まで明確に伝えることで、部下との間に齟齬が生まれにくくなります。

相手に合わせて日本語に置き換えることも考える

ビジネス用語にはカタカナが多く、アサインも意味が伝わりにくい言葉のひとつです。多用しすぎず、時には日本語に置き換えて使いましょう。特に、社会人経験の浅い新卒や自社の風土に慣れていない新人には、日本語に置き換えるほうが無難です。また、アサインは業界によって使われる意図が異なるため、他業界の人と仕事をする際には、類義語となる日本語を使用するのが良いでしょう。

アサインを使うときは「正しく伝わるか」を大切に

アサインは「割り当てる」「任命する」など、さまざまな意味合いを持つ言葉です。ビジネスシーンでよく使われますが、多用には注意しないと認識に齟齬が出る可能性があります。とはいえ、適切にアサインできれば、目標達成や人材育成などで効果を発揮するでしょう。

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