コンピテンシー評価とは?項目・具体例と評価シートの書き方、導入の注意点

update更新日:2026.03.17 published公開日:2023.03.27
コンピテンシー評価とは?項目・具体例と評価シートの書き方、導入の注意点
目次

コンピテンシー評価とは、ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性をもとに、人事評価を行う手法です。評価基準を具体的に設定することで評価の公平性が高まり、社員の納得感も得やすいのが特徴です。

本コラムでは、評価項目、評価シートの書き方・記入例、導入手順と運用の注意点を解説します。

コンピテンシー評価とは

コンピテンシー評価とは、社内のハイパフォーマーに共通する行動特性(コンピテンシー)を基準に人事評価を行う手法です。結果だけでなく、成果を生み出すプロセスや具体的な行動を評価できるのが特徴です。

そもそもコンピテンシーとは、高い業績をあげる人に共通する行動パターンや考え方を指します。例えば「顧客の課題を深く理解しようとする」「困難に直面しても粘り強く取り組む」といった行動特性を、評価基準として明文化したものです。

営業職の場合、「売上目標の達成」という結果に加え、「顧客の課題を深く理解するための質問ができているか」「提案後のフォローを計画的に実施しているか」などの行動も評価対象になります。評価基準は「責任感がある」のような抽象表現ではなく、「納期を守るために3日前に進捗を確認している」といった観察可能な行動レベルで設定されます。

一般的な人事評価制度では、能力や知識など抽象的な基準を評価基準とすることから、評価者の主観に左右されやすいという課題がありました。その点、コンピテンシー評価は具体的な行動レベルで明確な基準を設定しプロセスを評価するため、社員の納得感が高まり、人材育成にも活用しやすいというメリットがあります。

コンピテンシーの基本概念や活用シーン、メリット・デメリットについては、以下のコラムで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

コラム「コンピテンシーとは?意味と評価・面接に使える項目一覧」はこちら

コンピテンシー評価と能力評価の違い

コンピテンシー評価と職能資格制度(能力評価)は混同されがちですが、評価の視点が大きく異なります。ここでは、両者の評価アプローチの違いと、従来の職能資格制度が現場で抱える構造的な課題について解説します。

両者の評価アプローチの違い

能力評価は「能力を保有しているか」に注目する制度です。一方、コンピテンシー評価は「能力を発揮しているか」という実際の行動に注目します。

両者の主な違いは以下の通りです。

【コンピテンシー評価と能力評価の比較】

項目 コンピテンシー評価 能力評価
評価対象 行動特性 保有する知識・スキル・資格
評価基準の例 「週次で顧客に進捗報告をしている」
「チーム内で情報共有の仕組みを提案した」
「コミュニケーション能力がある」
「提案力がある」
評価項目の特徴 行動レベルで具体的 抽象的になりがち

両者の違いを具体例で比較してみましょう。能力評価では「コミュニケーション能力がある」といった抽象的な表現となりますが、コンピテンシー評価では「週次で顧客に進捗報告をしている」というように、具体的な行動に設定されます。また「問題解決力」なら「課題が発生した際、関係者と協力して原因を特定し、改善策を立案・実行している」という基準になります。

このように具体的な行動基準を設定することで、評価者による主観のばらつきが減り、公平で客観的な評価が可能になるのです。

職能資格制度が現場で抱える問題

職能資格制度は高度経済成長期の日本企業を支えてきた制度ですが、現在では構造的な課題が指摘されています。

特に大きな課題として、人件費の上昇が避けられない点が挙げられます。一度認定された等級は、基本的に下がることがありません。能力は蓄積されるという前提のため、勤続年数が長い社員ほど高い等級に位置します。社員が退職しない限り企業全体の人件費は増え続け、高齢化が進む企業ほど経営の重荷になってしまうのです。

同時に、勤続年数が評価の重要な要素を占めるため年功序列が強まり、優秀な若手のモチベーション低下を招きます。20代で大きな成果を出しても昇給が抑制される一方、ベテラン社員の給与は維持されるため、能力と処遇のズレが生じやすくなります。

さらに、「職務遂行能力がある」という評価基準は抽象的で、評価者の主観に左右されやすいのが問題です。保有する専門知識と実務が一致しないこともあり、組織内に不公平感が蓄積します。

こうした課題への解決策として、明確な行動基準に基づくコンピテンシー評価が注目されています。

コンピテンシー評価の項目と具体例

コンピテンシー評価を導入する際、どのような項目を評価基準に設定するかは企業ごとに異なります。自社のミッション・ビジョンを踏まえながら、実際に高い業績をあげている社員の行動を分析することが重要です。

【コンピテンシー評価で使われる主要10項目】*

項目 概要
リーダーシップ 主体的に物事や課題に取り組むことができる
コミュニケーション 同僚や顧客と良好な関係を築くことができる
専門性 プロとしての専門性を顧客に提供できる
人材育成 後進育成に取り組むことができる
チームワーク チームに積極的に貢献できる
創造性 固定概念にとらわれず理想とする状態を描き、その実現に取り組むことができる
影響力 他者に良質な影響を与える言動ができる
決断力 適切なタイミングで物事を正しく判断できる
誠実 利害関係のみを優先させるのではなく、自律的で誠実な行動をとることができる
顧客志向 常に顧客視点で考えることができる

ただし、実際の運用では業界や職種に応じた調整が欠かせません。製造業では「リーダーシップ」「専門性」「創造性」が、IT業では「コミュニケーション」「チームワーク」が、卸売・小売業では「顧客志向」「誠実さ」が特に重視される傾向にあります。各業界の特性や自社の経営戦略に合わせて、評価項目を選別することが成功のカギとなります。

*出典:『人材育成ハンドブック 新版』(ラーニングエージェンシー編著、ダイヤモンド社、2019年)

コンピテンシー評価の5段階レベル

コンピテンシー評価では、各項目を5段階のレベルに分けて評価するのが一般的です。レベルが上がるほど、主体的で創造的な行動ができる人材として評価されます。

以下の表は、5つのレベルを営業職の具体例とともに示しています。

【コンピテンシーの5段階レベル】

レベル 名称 評価基準 営業職での行動例
レベル1 受動行動 指示されたことを理解し実行できる 上司の指示通りに顧客訪問のアポイントを取る
レベル2 通常行動 標準的な業務を一人で遂行できる マニュアルに沿って提案資料を作成し、商談を進める
レベル3 能動行動 課題を発見し、自ら解決策を提案・実行できる 顧客の潜在ニーズを発見し、独自の提案をする
レベル4 創造行動 新しいアイデアを生み出し、周囲を巻き込んで実行できる 新規開拓の手法を考案し、チームに展開する
レベル5 パラダイム転換行動 既存の枠組みを超えた革新的なアイデアで組織全体に影響を与える 業界に新しい営業モデルを導入し、事業構造を変革する

各レベルの特徴を説明すると、レベル1は上司からの指示があってはじめて行動する「指示待ち」の状態です。新入社員や業務が変わったばかりの社員に多く見られます。レベル2では決められた業務を確実に実行できますが、自発的な改善提案は少ないのが特徴です。

レベル3では自ら課題を発見し解決できる能動性が評価基準となり、レベル4では現状を打破する創造性が、レベル5では組織全体を変革する革新性が求められます。

一般的には、新人・若手はレベル1~2(標準業務の遂行)、中堅層はレベル3(課題発見・解決)、管理職層はレベル4~5(組織的変革)を目指します。ただし業界や企業規模、事業フェーズによって求められるレベルは異なるため、自社の実態に合わせた設定が必要です。

コンピテンシーモデルの3つの種類と使い分け

実際に、これらのレベルを評価基準として機能させるには、どのようにコンピテンシーモデルを構築するかが重要になります。コンピテンシーモデルには主に3つの種類があり、それぞれアプローチが異なります。

ここでは、各モデルの特徴と選択基準について見ていきましょう。

実在型モデル

実在型モデルは、現在活躍している社員の行動特性をもとに評価基準を設定する方法です。このモデルのメリットは、実在する人物をお手本とするため、他の社員が「自分にもできそう」と感じやすい点です。

ただし注意点もあります。モデルとした社員の成功は現在の市場環境に基づくもので、新規事業や市場変化への対応に活用しにくい場合があります。また、その社員の個性や才能に依存する部分は、他の社員には再現できないため評価基準に含めることはできません。

理想型モデル

理想型モデルは、経営ビジョンや企業理念から「こんな人材になってほしい」という理想像を描き、それを評価基準にする方法です。このモデルのメリットは、社内にお手本となる社員がいなくても評価基準を構築できる点です。

しかし、デメリットとして理想を高く設定しすぎると現実離れした基準になり、誰も達成できず社員のやる気を損なってしまうリスクがあります。

ハイブリッド型モデル

ハイブリッド型モデルは、実在する優秀な社員の行動特性をベースに、企業が求める理想の要素を組み合わせて完成させる方法です。

このモデルの強みは、現実的な基準と将来への期待を両立できる点です。実在するハイパフォーマーの行動をベースとするため、社員は「達成可能な目標」として受け入れやすくなります。

例えば営業職の場合、現在の優秀な営業担当の行動(顧客ニーズの深掘り、提案資料の丁寧さなど)をベースにしつつ、将来必要な「デジタルツール活用による効率化」を追加するといった設計です。こうすると、全てのレベルの社員に対して、納得感のある成長目標を示すことができます。

一方、デメリットとしては、理想と現実のバランス調整に多くの手間と時間がかかる点が挙げられます。また、盛り込む要素が増えすぎると、評価項目が複雑化し、運用の負担が大きくなるリスクがあります。

コンピテンシーモデルの使い分け

どのモデルを選ぶかは、企業の成長段階や状況によって大きく異なります。以下の表は、3つのモデルと、それぞれに適した企業・状況をまとめたものです。

【コンピテンシーモデルの選択基準】

モデルタイプ 適した企業・状況
実在型 社内にハイパフォーマーが複数存在し、その行動特性を組織全体に横展開したい企業
理想型 スタートアップや新規事業立ち上げなど、モデルとなる社員がまだいない状況
ハイブリッド型 安定した既存事業を維持しながら新規領域にも挑戦する、成長段階にある企業

実在型は現場重視、理想型は未来志向といえます。近年は、納得感と将来性の両方を考慮したハイブリッド型を導入する企業が増えています。

コンピテンシー評価の導入手順

選択したコンピテンシーモデルを実際の評価制度として機能させるには、自社の実態に合わせた評価基準の設計が不可欠です。ここでは、導入の具体的な手順を3つのステップに分けて解説します。

(1)ハイパフォーマーを選定する

導入の第一歩は、分析対象となるハイパフォーマーの選定です。ここでの選定の質が、評価基準の質を左右するため、慎重に進める必要があります。

選定時は、部署・職位・職種ごとに分けることが重要です。営業部門と技術部門では求められる行動特性が異なり、同じ部門内でも新人と管理職ではレベルが異なるためです。

選定基準は、人事考課の結果を参考にするとよいでしょう。そのほか、現場の上司や実際に一緒に働く同僚から推薦してもらう方法も有効です。「誰と一緒に仕事をしたいか」「誰の働き方を参考にしているか」といった観点で意見を集めると、定量的な成績に表れにくい貢献度も把握できます。

(2)コンピテンシーを抽出する

次に、選定したハイパフォーマーから、実際の行動や思考プロセスがどのように成果につながっているかをヒアリングで抽出します。対象者の数や必要な情報の詳細度に応じて、以下の方法から選択しましょう。

まず、対象者が少ない場合は、アンケート形式が適しています。自社のミッション・ビジョンを踏まえた設問を用意し、選択肢に加えて自由記入欄を設けることで、より実態に合った回答が得られます。

詳細な情報が必要な場合は、インタビュー形式が有効です。人事担当者や管理職が個別に面談を行い、「職務における高業績とは何か」「それを達成するために心がけている行動は何か」といった具体的な質問を重ねることが大切です。

対象者が多く、かつ詳細な情報が必要な場合は、ハイブリッド形式(事前アンケート→面談対象者選定→インタビュー実施)がおすすめです。定量調査と定性調査の両面から、正確で深い分析が可能になります。

(3)評価項目を設定する

最後に、ヒアリング結果をもとに評価基準を定め、運用に備えます。評価項目の設定は、以下のプロセスで進めていきます。

【コンピテンシー評価項目の設定プロセス】

ステップ 具体的な内容
①ヒアリング結果の集計・分析 部署・職位・職種ごとに行動特性を確認し、複数回出現する特性を抽出する
②評価項目の抽出と絞り込み 抽出したコンピテンシーをもとに評価項目を作成し、既存制度との整合性を確認。運用負荷を考慮しながら重要度の高いものに絞り込む
③職位別レベルの設定 各項目について職位ごとのレベルを定義する。新人から管理職まで、段階的な達成基準を設定することが重要
④検証と調整 設定した基準を実際の社員に当てはめて検証し、不具合があれば調整する。検証を複数回繰り返し、制度を高めていく

職位別レベルの設定では、段階的な達成基準を具体的に定義することが重要です。例えば「課題解決力」であれば、新人は「周囲のサポートを受けながら課題を解決できる」、中堅層は「自身の判断で課題を発見し解決策を実行できる」、管理職は「組織横断的な課題設定と事業成果への貢献」といったレベル設定になります。

評価基準の設定後は、必ず検証を行います。設定した基準を実際の社員に当てはめ、ハイパフォーマーが適切に高評価となり、そうでない社員との差が明確に表れるかを確認しましょう。この検証プロセスを丁寧に行うことで、実効性の高い評価制度になります。

コンピテンシー評価シートの書き方

導入手順で設定した評価基準を、実際の運用で使える評価シートに落とし込みます。評価シートは、評価者と被評価者の認識を統一し、公平な評価を実現するための重要なツールです。

ここでは、効果的な評価シートの構成と作成方法を解説します。

コンピテンシー評価シートの基本構成

コンピテンシー評価シートとは、自社の評価項目や基準、レベルなどを一覧化したものです。評価者と被評価者の双方が評価内容を記入し、結果を可視化する仕組みになっています。

評価シートには、主に次の3つの要素を盛り込みます。

1つ目は、評価項目の分類です。「業務遂行力」「コミュニケーション力」「リーダーシップ」といった大きなカテゴリを5〜6個程度設定します。項目が多すぎると評価が煩雑になるため、自社の重要な評価軸に絞り込むことが大切です。

2つ目は、各項目の具体的な評価軸です。どのような行動を評価するのかを明確に示すことで、評価者と被評価者の認識のズレを防ぎます。

コミュニケーション力であれば、「相手の立場や理解度などに合わせて適切に対応している」「プレゼンテーションに十分な準備や工夫をしている」といった具体的な行動レベルで評価軸を定義します。

3つ目は、各項目の数値です。5段階評価を用いるのが一般的です。各段階の基準を明確にすることで、評価の公平性と納得感が高まります。

コンピテンシー評価シートのサンプルと記入例

実際の評価シートは、次のような形式になります。

【コンピテンシー評価シートのサンプル】

評価項目の分類 評価項目 レベル
業務遂行力・改善力 納期やスケジュールを守っている 5 4 3 2 1
業務効率化の工夫をしている 5 4 3 2 1
業務改善の提案を積極的に行っている 5 4 3 2 1
コミュニケーション力 相手の立場や理解度などに合わせて適切に対応している 5 4 3 2 1
プレゼンテーションに十分な準備や工夫をしている 5 4 3 2 1
顧客やステークホルダーとの信頼関係を築けている 5 4 3 2 1
指導力・リーダーシップ 会社の経営方針や部署全体の事業戦略などを理解している 5 4 3 2 1
部下に適切なサポートやフィードバックを行っている 5 4 3 2 1
感情をコントロールし客観的な判断ができる 5 4 3 2 1

評価項目の分類ごとに具体的な評価項目を設定し、5段階のレベルで評価します。評価レベルの判定基準は、別シートに詳細を記載するとわかりやすくなります。

例えば「業務改善の提案を積極的に行っている」なら、レベル5は「年間10件以上の改善提案を行い5件以上が実行された」、レベル3は「年間3〜5件の改善提案を行った」といった具体的な基準を設定します。

評価基準を明確にするコツ

評価シートを作成する際、言葉が抽象的にならないよう注意しましょう。社員が理解しづらくなります。以下のポイントをおさえましょう。

  • 「責任感がある」ではなく「納期の3日前に進捗状況を上司に報告している」など、実際に観察できる行動で表現する
  • 評価のばらつきを抑えるため、頻度や件数、達成率などを数値で基準を示す
  • はじめて使う社員でも取り組みやすいよう、各項目に記入例を添える

評価シートの作成に迷った場合は、厚生労働省の「職業能力評価基準」を参考にしてみてください。業種別・職種別の能力評価シートが無料で公開されており、導入マニュアルも用意されています。自社の事業特性や評価の目的に合わせてカスタマイズして活用するとよいでしょう。

参考:「職業能力評価シートについて」(厚生労働省)

コンピテンシー評価導入・運用における注意点

最後に、コンピテンシー評価制度をより高めるための、評価導入・運用における主な注意点をお伝えします。

導入時の準備と社内への周知を徹底する

はじめて自社にコンピテンシー評価を導入する場合、全社員を対象とした研修を実施することをおすすめします。経営層がコンピテンシーの運用に対する理解を深めてから管理職研修を行い、その次に一般社員対象の研修を実施するとよいでしょう。段階的に進めていくことで、認識の統一が図りやすくなり、現場の戸惑いも軽減できます。

研修内容の例として、次のようなものが挙げられます。

【コンピテンシー研修の内容例】

  • コンピテンシーとは何か
  • なぜコンピテンシーが重要なのか
  • 自社・自組織におけるコンピテンシーの具体例
  • 自社・自組織におけるコンピテンシーモデル活用の目的・メリット
  • 各コンピテンシーが目標達成につながる理由の考察(ディスカッション・ワークショップなど)
  • コンピテンシー強化に活用できる自社のリソース(研修・eラーニング教材など)
  • 社員それぞれのコンピテンシー強化に向けた行動計画・目標の作成

評価する側も評価される側も、それぞれが利点と活用方法を理解し、実践イメージを具体的に持てる研修にすることが大切です。また、評価基準を明確にし、組織の現状に即した実用的な項目に絞り込むことで、評価者による基準のばらつきを防げます。社員のモチベーション低下や不信感も回避できるでしょう。

完璧を求めすぎず現実的な基準を設定する

コンピテンシー評価の運用では、完璧を求めすぎないことが重要です。理想型モデルで発生しやすい課題ですが、実在型モデルにおいても好ましい行動特性を詰め込みすぎると、「全部達成するのは無理だ」と社員が感じてしまいます。高すぎる理想は具体的な行動イメージを難しくし、現場の評価を困難にするため注意しましょう。

同時に、社員それぞれの生まれつきの特性を考慮することも忘れてはいけません。コンピテンシーには、先天的な要因や疾患など、実践が難しい行動特性が含まれるケースがあります。例えば、コミュニケーションについて「テキストでの理解が得意でも会話が難しい」という人もいれば、その逆の人もいます。

本人の特性や価値観に合わないコンピテンシーは、強化しようとしても伸び悩む可能性があります。他の部署や職種でのコンピテンシーとの相性を探り、各人に合った強化方法を探ることが大切です。

また、評価項目が多すぎると行動が画一化し、創造性が損なわれてしまいます。組織の現状に合わせて項目を絞り込みましょう。

評価項目やモデルの定期的な見直しが必要

コンピテンシーリストは「作りっぱなし」でなく、定期的な更新が必要です。ビジネスの外部環境は常に変化しており、特にVUCAの時代といわれる近年では、経営戦略の大幅な変更を余儀なくされることもあります。経営戦略が変われば、社員に求めるコンピテンシーも必然的に変化するため、自社の目標に合っているかを常に点検し、必要に応じて修正・更新しましょう。

日々の業務では、管理職や育成担当者が業務の指示や助言をする際に、自身の知識・経験に基づく内容だけでなく、必ずコンピテンシー強化につながる内容を伝えることが大切です。

評価面談では、コンピテンシーリストを確認しながら、部下の現在の到達レベルと目指すべきレベルを共有してください。そのうえで、求められるレベルに達するための具体的な取り組みを話し合い、リソースの活用も含めた行動計画を策定すると効果的です。