【連載】今、企業に求められる「自立自走人材」 第1回:自立自走するために必要な2種類の「習慣」とは?

published公開日:2022.10.24
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ビジネス環境が猛スピードで変化する今の時代。企業・組織が変化に対応し、成長を続けるためにも、「自立自走人材」の必要性が高まっています。自立自走人材とは具体的にどんな人材で、どうしたら育つのか。今回から2回にわたって、その疑問にお答えしていきます。第1回は、自立自走を実現するカギとなる2つの「習慣」について解説します。

自立自走人材の定義

「自立自走人材」とはどんな人材を指すのか、まずはその定義から確認していきましょう。例えば新入社員であれば、「自ら学び成長できる人材」を自立自走人材と位置づけ、その育成に注力されている企業が多いのではないでしょうか。また、成長するにつれ「自ら考え行動し、成果を出し続けることができる人材」などと定義することが一般的かと思います。

これらを踏まえ本コラムでは、会社のビジョンや方針のもと、

  • ①チャレンジな目標を自ら設定する
  • ②目標達成に向け、自ら考え実行する
  • ③自らを内省し、継続的にレベルアップする

ことができる人材のことを、"組織をけん引する"自立自走人材と定義。どうしたらそんな人材が育つのか、求められる要素や会社としてできることなどをご紹介します。

自立自走人材へのステップ

自立自走人材を育てるには、自社の"自走状況"を知ることが不可欠です。一般的に企業・組織には4段階の人材がいると言われ、次のように分類することができます。

  • 「人在・人罪」:ただいるだけの人材/組織の足を引っ張る人材
  • 「指示待ち人材」:言われたことをただこなしている人材/言われたことはやるが、言われなければ動かない人材
  • 「実行人材」:やるべきことに対して目的意識を持って、段取りや工夫、改善を試みながらやり遂げる人材
  • 「自走人材」:会社や部門の方針・目標を踏まえ、自らの役割を見つけ、貢献意識を持って挑戦し続ける人材

人在・人罪が組織にいることはまれですが、指示待ち人材の多さに悩んでいる管理職・人事担当者も多いのではないでしょうか。実際、指示待ち人材からの脱却を図るべく、当社にご相談に来られる企業も大勢いらっしゃいます。

とはいえ、指示待ち人材がいきなり自立自走できる人材へと進化するのは困難。まずは"自走の基礎力"をつけ、実行人材、自走人材へとステップアップしていくことで、真の自立自走を実現できるのです。

"自走の基礎力"とは

自立自走を実現するには、当然、高度な知識・スキルを身につけることも大切ですが、時代やトレンドによって変化せず、また業界・業種を問わず必要となるものが、"自走の基礎力"です。では、自走の基礎力とは一体どのようなものなのでしょうか。

それは難しいものではなく、設定した目標に向かって自走する「習慣」があるかどうかです。
「習慣」には、「思考習慣」「行動習慣」の2つが存在し、思考・行動の両面で習慣を変えることで、自走の基礎力は高められるのです。

それぞれの習慣について、ここから詳しく解説していきます。

自走している人が実践している7つの思考習慣

まずは、「思考習慣」から確認していきます。当社では、自立自走人材についての研究を長年にわたって行っており、自立自走している人が共通して実践している思考の習慣を発見しました。それが次の7つです。

  • 1:すべては目的からスタート
  • 2:素直
  • 3:プラス思考
  • 4:学び好き
  • 5:原因自分主義
  • 6:変化対応
  • 7:知行合一

周囲の自走している人を見て、「確かに!」と思った方も多いのではないでしょうか。例えば1の「すべては目的からスタート」。これは、仕事の依頼を受けた時に、その目的を確認し、目的から逆算して何をどう進めるべきかを考えるということです。

また、5の「原因自分主義」の習慣がある人は、たとえ自身に起因する問題でなかったとしても、しっかり内省をして次につなげています。「上司が...」などと他責をしていると、正しい内省ができず、自走の基礎力どころか業務スキルも伸びません。このことからも、原因自分主義の重要性がわかると思います。

とはいえ、思考の"癖"を変えるのはそう簡単なことではありません。まずはこれら7つの思考習慣を日々の業務や日常生活の中で意識することが大切です。会社・人事としては、7つの思考習慣の重要性を伝える、それも一度ではなく上司・先輩など身近な人が言い続けることで、社員一人ひとりの意識変革につなげるとよいでしょう。

目標達成に必要な5つの行動習慣

次に、行動習慣について見ていきます。「自立自走人材の定義」や「自立自走人材へのステップ」でお伝えした内容からもわかるように、自立自走の起点となるのは「組織への貢献を考え、自ら目標を具体的に決める」こと。そして、設定した目標を達成する"癖"をつけることで、自立自走へとステップアップしていきます。

目標を達成するための行動習慣が次の5つです。

  • 1:仕事をすべて書き出し見える化する
  • 2:重要な仕事は分解し、最初の一歩を具体化する
  • 3:仕事の優先順位づけと定期的な見直しを行う
  • 4:納期といつやるかを決め、実行する
  • 5:学びと改善を得るための振り返りを行う

自社の状況を振り返って、5つの行動習慣を実践できている社員はどのくらいいるでしょうか。また、自走している社員をよくよく観察してみると、この5つの行動を自然と実践していることに気づくと思います。

先ほど、思考の癖を変えるには周囲が"言い続ける"ことが大切だとお伝えしましたが、行動習慣というのは日々の業務に活かし、繰り返し実践することで習慣化することができます。次回のコラムでその具体的な方法をご紹介しますので、ぜひ目を通してみてください。