【連載】今、企業に求められる「自立自走人材」 第2回:自走の土台となる「5つの行動習慣」を身につけるには?

published公開日:2022.10.31
目次
組織をけん引する「自立自走人材」の育て方を、2回にわたってご紹介する本コラム。前回は、指示待ち人材から自立自走人材へとステップアップするために必要な“自走の基礎力”である「7つの思考習慣」「5つの行動習慣」についてお伝えしました。今回は、自立自走に欠かせない5つの行動習慣の具体的な方法を見ていきます。

前回の復習~自走の基礎力となる「思考習慣」と「行動習慣」

本コラムで指す自立自走人材とは、企業の成長に向け組織をけん引すべく、

これらを踏まえ本コラムでは、会社のビジョンや方針のもと、

  • (1)チャレンジな目標を自ら設定する
  • (2)目標達成に向け、自ら考え実行する
  • (3)自らを内省し、継続的にレベルアップする

ことができる人材のこと。前回のコラムでは、その土台とも言える "自走の基礎力"である「7つの思考習慣」と「5つの行動習慣」をご紹介しました。

  • 7つの思考習慣
  •  
  • 1:すべては目的からスタート
  • 2:素直
  • 3:プラス思考
  • 4:学び好き
  • 5:原因自分主義
  • 6:変化対応
  • 7:知行合一
  • 5つの行動習慣
  • 1:仕事をすべて書き出し見える化する
  • 2:重要な仕事は分解し、最初の一歩を具体化する
  • 3:仕事の優先順位づけと定期的な見直しを行う
  • 4:納期といつやるかを決め、実行する
  • 5:学びと改善を得るための振り返りを行う

また、思考の習慣というのはなかなか変えられるものではなく、周囲が言い続けることが大切だとお伝えしました。
今回のコラムでは、もう1つの要素である「行動習慣」について、5つの行動を実践し、習慣化につなげるポイントを詳しく見ていきます。

「5つの行動習慣」は日々の業務の中で活かすことが肝心

思考習慣とは異なり、行動習慣は日々の業務の中で実践しやすいため、5つの行動習慣を意識的に日常業務に取り入れ実践を繰り返す、また新人・若手社員であればその実践をサポートしてあげることで、習慣化が促されます

(1)仕事をすべて書き出し見える化する


前回のコラムで解説したとおり、「自走の土台=目標を達成する癖をつけること」です。
目標を達成するには、まずはゴールまでの道のりの中でどのようなタスクが発生するか、抜け漏れなく洗い出せるかどうかが重要です。
そのためには、仕事を見える化することが必須。その実践と習慣化を促すには、タスクを書き出すルールを決めておくことが効果的です。例えば、部門としてのタスク、プロジェクト、重点課題といったテーマごとに仕事を分類する。また、書き出すタイミングやツールを決めておくとよいでしょう。

(2)重要な仕事は分解し、最初の一歩を具体化する

仕事を見える化しても、具体的に何をしたらよいのかわからなければ、目標は達成できません。例えば今月の目標として「20時間の残業削減」を掲げたのなら、その目標を達成するためにやるべきことを、自分が実行できるレベルにまで細分化する必要があります。「時間を意識する」「早く帰る日を決める」といった単なる目標の分解ではなく、「過去1カ月分の作業実績と所要時間を一覧化する」「今月の予定を、自分1人で行う作業も含めスケジュール帳に記入する」など、具体的な行動に落とし込むことがポイントです。

(3)仕事の優先順位づけと定期的な見直しを行う

目標の達成に向け、仕事の優先順位をつけることも大切なポイントです。優先順位は、緊急度と重要度の2軸で考えていくことが効果的。期限間近の仕事や今月の目標達成のためのタスクといった「緊急かつ重要な仕事」の優先順位が高いことは明らかですが、目標達成の観点から時間を確保したいのが、3カ月後の目標達成のためのタスクといった「重要だけど緊急ではない仕事」です。重要度が低い仕事を効率化しながら「重要だけど緊急ではない仕事」に取り組み、3カ月が2カ月、1カ月となるごとに見直していくとよいでしょう。
なお、重要・緊急マトリクスについては、掲載中のコラム『タイムマネジメントとは?時間管理を効果的に行い生産性を向上する方法とコツ』で詳しく解説していますので、そちらもご確認ください。

(4)納期といつやるかを決め、実行する

仕事の完遂という目標を達成するには、納期といつやるのかを決める必要もあります。(1)の「仕事の見える化」と重複する部分もありますが、他者と関わる仕事だけでなく、自分1人で行う仕事も含め、タスク管理表などに記入することをおすすめします。内省の時間や思考の時間といった細かい部分まで記入することも大切なポイントです。

(5)学びと改善を得るための振り返りを行う

実行後の振り返りを通じて、自分なりの成功法則・失敗法則を構築し、改善につなげることも、目標を達成するための重要な取り組みです。ここでは、効果的な振り返りを行う3つの切り口をご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

仕事の整理整頓
(1)~(4)と重なる部分もありますが、スケジュールの確認やタスクの細分化のほか、状況に応じて期限を縮める/延ばすなど、仕事の整理整頓という観点で振り返りを行います。それにより、生産性の向上といった効果も見込めます。

目標達成への進捗確認と対策
目標達成に向けやるべきことはやれたのか、その効果はあったのか、量と質の面から振り返る、そして目標に向けて次にやるべきことを決めるというように、PDCAサイクルを意識した振り返りを行うことをおすすめします。

成長への学び・気づき
振り返りで学び・気づきを得て、成長とその先にある目標達成につなげるには、「内省」が重要な役割を果たします。この1週間・1カ月で行ったこと、自分自身で変えたことを具体的に振り返るようにしましょう。

このほかにもさまざまな切り口がありますが、どの切り口で振り返りを行うにしても、Good(うまくいったこと)・Bad(うまくいかなかったこと)・Next(次はどうするのか)の視点を忘れずに実践していくことが重要です。

ここでご紹介した「5つの行動習慣」を身につけることで、自走の土台は出来上がっていきます。どれも意識的に取り組むことで、自然と行動できるようになるものばかり。自身の行動、部下・後輩の行動を点検し、習慣化につなげていきましょう。

まとめ

2回のコラムを通じて、自立自走人材はどうしたら育つのか、求められる要素やその実践法を見てきました。
これから何に取り組んだらよいのか、また会社・人事としてどんなサポートをしていけばよいのか、ポイントはつかんでいただけましたでしょうか。

読者の皆さんも既にお気づきかと思いますが、第2回で詳しくご紹介した5つの行動習慣は、自走の基礎力をつけるためだけでなく、ビジネスパーソンなら身につけておきたいスキル・知識と大きく関係しています。
そのため、新人・若手社員であれば、タスク分解やタイムマネジメントなど、1つ1つそのポイントを教える、研修を受けさせるといった取り組みも有効でしょう。まずはできることから、現場の指導に活かしてみてください。

当社では、各種研修の提供はもちろんのこと、自立自走人材の育成を"仕組み化"するお手伝いも行っています。
本コラムの内容を実践していくうえでお困り事が出てきたら、お気軽にご相談ください。