リーダーシップの育成方法 - 最大の成果を発揮するスキルの身に付け方

published公開日:2017.05.22
リーダーシップを発揮し、成果を上げられる強い組織をつくる。リーダーシップ開発は、人材育成を進める上で重要なテーマであり大きな課題でもあります。今回は、リーダーが備えるべきリーダーシップとは何か、そしてリーダーシップを発揮するために欠かせないスキルや知識をご紹介します。

リーダーシップはリーダーだけのもの??

メンバーが方向性を理解しないまま業務に当たっている。それぞれが違う方向を向いている。これではちょっとしたことでゆがみが生じ、いつ組織が崩壊してもおかしくありません。メンバー全員が方向性を共有し、一つにまとまった組織こそが成果を上げられる強い組織。この強い組織づくりに欠かせないのが「リーダーシップ」です。

最大の成果を出せる“リーダーシップ”の身に付け方 リーダーシップはリーダーだけのもの??|人材育成コラム_4

「リーダーシップ」と聞くと、組織の長、すなわち管理職やリーダーに必要なスキルと考えがちですが、実は管理職、リーダーだけに必要なものではありません。社員一人ひとりがそれぞれの立場でどれだけ統率力や判断力を発揮できるかという視点からも、リーダーシップは若手や中堅社員にも求められるスキルなのです。

では、それぞれの階層に求められるリーダーシップとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。「方向性を示す」「組織をまとめる」「人を動かす」といったいわゆる「リーダーシップ」があれば、若手や中堅が主体性や自律性を発揮する「セルフリーダーシップ」、部下が自主的な判断や行動で上司を支え、組織における成果の最大化を図る「フォロワーシップ」などがあります。

組織づくりには当然どれも欠かせない要素ですが、今回のコラムでは、管理職やリーダーを対象とした最も一般的な「リーダーシップ」に焦点を当て、「どうすればリーダーシップを身に付けることができるのか」を考えていきたいと思います。

リーダーシップを発揮するための4つのスキル

リーダーシップに関する研究は、古くから「優れたリーダーには共通する特性(生まれ持った資質)がある」という観点で行われてきました。しかし、リーダーに求められるものは時代や会社が置かれた環境によって大きく異なるため、一義的に定義できるものではありません。そこで近年は、「どうすれば優れたリーダーになれるか」という見方で議論されることが増えてきました。言い換えれば、生まれながらにリーダーの資質を備えている人を探す時代から、「企業内でいかにリーダーを育てるか」という時代に変わったということです。次世代リーダー育成の第一人者であるモーガン・マッコールによれば、「急速に変化する世界では、リーダーシップを測る基準は状況の変化に応じて必要とされる新しいスキルを得る能力である」とも言われています。

それでは、リーダーシップ能力はどのようにして身に付けるのか。当社では、ビジョニング、コミュニケーション、チームビルディング、意思決定の4つのスキルを意識し、高めていくことがリーダーシップ能力の向上につながると考えています。

ビジョニングとは、自部門のビジョンや目標を明確に掲げ、組織として進むべき方向性を定めること。リーダーには、会社のビジョンや戦略を理解することはもちろん、自分自身とメンバー一人ひとりに期待されていることをクリアにし、方向性を決定する力が求められます。しかし、せっかくビジョンを設定しても、メンバーに伝わらなければそのビジョンは浸透しません。以前のコラムで、「伝える」ではなく「伝わる」ことがビジネスにおけるコミュニケーションの基本と書いたように、リーダーには、相手の視点で物事を考え、適切な表現で伝達するコミュニケーション能力が欠かせません。

また、メンバー一人ひとりの仕事が最大限に機能する組織をつくり、組織としての成果を上げることもリーダーに与えられたミッションの一つ。ビジョンの明示やメンバーの役割の明確化、コミュニケーションの促進などを通じて強固な組織をつくり上げる力、すなわちチームビルディングの技術もリーダーシップを発揮するためのスキルと言えます。

そして最後が意思決定。リーダーにはメンバーの育成や評価、部門間での調整など様々な判断が求められます。リーダーの判断が組織としての活動やメンバーの行動に影響を与えるため、高い情報収集力と全体最適の視点を備え、常に最適な意思決定を行っていく必要があります。

マインドの変化からの習慣化でスキルアップ

先述のとおり、リーダーに求められるものは時代や環境によって大きく変化します。加えて、業態やトレンドによっても変わるため、リーダーシップ開発を進めるに当たっては、まずは自社の風土に合ったリーダー像を設定することを忘れてはいけません。現在の自社にふさわしいリーダーシップとは何か、どのようなリーダーシップを求めるのかをしっかりと把握し、育成方法や研修内容を検討する必要があります。

先ほど挙げた4つのスキルを高めるには、知識ではなく行動を習慣化しなければならないことは言うまでもありませんが、知識をインプットできる「リーダーシップ研修」を活用することで、まずはマインドの変化を促していくのもリーダーシップ能力を磨く一つの手段と言えるでしょう。例えば当社のリーダーシップ研修では、組織を導くためのビジョン設定とその浸透、チームビルディングやPDCAサイクルの回し方の他、自分自身をどうマネジメントするかといったセルフマネジメント術などを学んでいただくことができます。また、自己のリーダーシップの振り返りを行い、強みや弱みを客観的に認識させる、つまり自己認識を形成させるといったプログラムも行っています。皆さまの方針や計画に沿った研修で、リーダーシップ開発の加速につなげていただければ幸いです。