OKRとは?意味やKPI管理との違い、導入・管理の進め方
更新日:2026.05.28
公開日:2023.06.06

OKRとは、会社のトップから現場のチーム・個人まで、同じ重要課題に一丸となって取り組むための目標管理手法です。Intelのアンディ・グローブ氏が考案し、ジョン・ドーア氏によってGoogleをはじめとする世界的な大企業に導入されてきました。
本コラムではOKRの要素と意味、導入・管理方法を具体例とともにわかりやすく解説します。
OKRとは?意味と歴史
まずは、OKRとは何かを見ていきましょう。OKRを構成する2つの要素と意味、OKRの歴史をご紹介します。
ビジネスで用いられるOKRの意味と要素
OKRとは、英語の「Objectives and Key Results」の略。日本語で「達成すべき目標と、目標達成のための主要な成果」という意味です。Intelで生まれた手法であり、簡単にいえば、会社全体の目標を個人目標に落とし込み、一貫性をもって業務を遂行するための仕組みとなっています。
OKRを構成する2つの要素のうち、「達成すべき目標(Objectives)」とは、自社にとって重要な課題を表現した定性的目標です。例えば、会社や組織レベルなら「お客さまに幸せを届ける」「常に未来へ向かって進む」、個人レベルなら「自律的に仕事をやり遂げる」「業務に必要なITスキルを高める」などが考えられます。
他方、「目標達成のための主要な成果(Key Results)」は、誰が見ても達成/未達成を明確に評価できるような定量的目標です。数値で目標を設定することで、達成度の評価基準を明示し、“やったつもり”を防ぐ仕組みとなっています。売上高や契約の新規獲得数、リピート率などが典型的な指標です。
OKRでは、主要な成果を100%達成する必要はありません。むしろ、簡単には達成できないチャレンジングな目標(ストレッチゴール)を設定することを重視します。あえて難しい目標とすることで、一人ひとりのモチベーションを維持しやすくなるからです。そのため、主要な成果の達成度は6〜7割が目安とされています。
加えて、「会社全体のOKRをもとに下位組織・個人のOKRを設定し、一定期間経過後に評価を行って次のOKRを設定する」というサイクルを回すやり方にも特徴があります。
OKRの歴史
OKRは、半導体素子メーカーIntelの元会長兼CEOであるアンディ・グローブ氏が考案した手法です。メモリーメーカーからマイクロプロセッサメーカーへの転換を図っていた時期にOKRを導入し、改革を成功させました。
Intelで働いていたジョン・ドーア氏は、この手法に感銘を受け、Googleなど様々な企業に紹介。他社の経営陣にもOKRの有効性を評価され、世界中で活用されるフレームワークとなりました。
ドーア氏の著書『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』(邦訳2018年、日本経済新聞出版社)には、Googleのほかにゲイツ財団、Intuit、Adobeといった企業の事例があります。
導入の目的として特に注目されているのは、会社全体とメンバー一人ひとりの目標を有機的に連動させることによる一丸となった取り組み体制の実現、および生産性やワーク・エンゲージメントの向上です。
OKRとKPI、MBOとの違い
OKRは、目標管理制度の1つともいえます。では、同様に目標を立てて業務遂行を管理するKPIやMBOとはどのような違いがあるのでしょうか。大きな違いは、目指す達成度や全社的な連動の有無です。
OKRとKPIの違い
KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」です。最終目標であるKGIの達成に必要な中間指標であり、プロセスの序盤からKGIに向かって、段階的に設定されます。
KPIとOKRの共通点は、定量的な指標を用いること。OKRのうち達成すべき目標(Objectives)は定性的目標ですが、主要な成果(Key Results)は定量的目標となるため、一見するとKPIと同じように感じられるでしょう。
KPIとOKRの1つ目の違いは、目指すべき達成度です。OKRの主要な成果の達成度の目安は、6〜7割。しかし、KPIでは100%達成でなければ「達成できていない」「遅れている」と評価されます。
2つ目の違いは、設定された目標が対象とする範囲です。OKRでは、会社全体の目標が下位組織や個人の目標と結びついており、個人の目標が達成されれば組織目標が達成され、組織目標が達成されれば会社全体の目標が達成されるという仕組みになっています。
一方で、KPIは部門やプロジェクトごとに独立して目標を設定します。全社レベルの戦略に用いられることもありますが、各部門・チームの目標との連動が常に前提されているわけではありません。
ただ、こうした違いはあるものの、KPIで用いられる指標はOKRでも利用可能です。KPIの指標に関しては以下のコラムで詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
コラム「KPIとは?簡単にわかるビジネスでのKPIマネジメントとKPI設定のコツ」はこちら
OKRとMBOの違い
MBOとは「Management By Objectives(目標による管理)」と呼ばれる手法で、ピーター・ドラッガー氏が1954年に提唱しました。各年度の業績(目標達成度)をもとに社員を評価する仕組みであり、個人やチームで具体的な目標を設定します。
OKRはMBOを土台として発案されたフレームワークであるため、「事前に目標を立て、その達成に向けて取り組む」という発想自体は共通しています。
しかし、1サイクルの対象期間については一般的にMBOのほうが長く、MBOでは1年単位、OKRは1カ月〜3カ月程度の期間。目指すべき目標達成度についても、MBOでは100%達成を目指す必要があるのに対して、OKRでは6〜7割が目安です。
さらに、人事評価との関係でも両者には違いがあります。多くの企業において、MBOは人事評価制度と連動し、目標達成度昇給・昇格の判断材料となってきました。これに対し、OKRは原則として人事評価制度と結びつけることは推奨していません。OKRでは、そもそも達成困難な目標を立てて取り組むことが重視されているからです。人事評価制度と結びつけてしまえば、各メンバーの目標レベルが下がり、達成意欲も低下する恐れがあります。これでは、全社一丸となった課題解決も鈍化してしまうでしょう。
こうしたことから、OKRは、MBOよりもプロセス重視の手法であると理解できます。
MBOを含む代表的な人事評価の手法については、以下の関連コラムで解説しています。
OKRの特徴・3つのメリット
OKRの最大のメリットは、従来の手法と比べて高い頻度で目標を設定して実行することにより、スピーディーな課題解決・目標達成を図れることです。より具体的には、以下の3つのメリットがあります。
【OKRの3つのメリット】
- (1)会社の課題を明確化し、迅速な解決を図れる
- (2)一貫性のある目標設定で、タスクの優先度がわかりやすい
- (3)組織内のコミュニケーションが円滑になり、やる気が高まる
1つずつ解説します。
(1)会社の課題を明確化し、迅速な解決を図れる
1つ目のメリットは、会社が抱える課題の明確化とその迅速な解決を図れることです。
OKRは、目標と主要な成果を分けて考える点が特徴。定性的な目標と定量的な目標を意識することで、目指す地点と達成に必要な指標を明確にできます。しかも、目標は“本当に重要な目標”に絞り込んでいくため、問題へのフォーカスとコミットメントを高められます。
さらに、1つの目標に割り当てられる期間は1カ月〜3カ月と短い期間です。1つのサイクルが短期間で終わるため、運用しやすく、市場の変化への対応やトラブル解決などに集中的に取り組めます。
(2)一貫性のある目標設定で、タスクの優先度がわかりやすい
OKRは、必ず全社レベルのOKR・組織別OKR・個人OKRを連動させて運用します。上位目標を前提に下位目標を決める仕組みですので、個人のOKRで設定した目標を達成していくことが、上位目標の達成につながるのです。
そのため、各メンバーは自身が抱えるタスクの中で「どのタスクの優先度が高いか」を容易に判定できます。上位の目標・成果の達成に寄与しないタスクについて優先度を下げる際も、上司や経営層の理解を得やすいでしょう。
その結果、一人ひとりが「今やるべきこと」にフォーカスし、組織全体の生産性向上に貢献しやすくなります。
(3)組織内のコミュニケーションが円滑になり、やる気が高まる
OKRを導入すると、経営トップから現場のメンバーまで、各人の目標と進捗が可視化されます。具体的な方向性と指標、現時点での達成度に関して、透明性が高まるということです。
全社レベルのOKRは、社員全員がもつ共通言語となります。前提となる方向性をお互いに了解しているため、タスクの優先度決定や指示の伝達、目指すべき地点の話し合いが円滑になるでしょう。組織の一体感も醸成できます。
また、全社レベルのOKRと個人のOKRの連動は、会社の事業と自身の業務を直接つなげることでもあります。「自分の仕事が会社の役に立っている」と実感しやすく、ワーク・エンゲージメントが向上するでしょう。
そして、OKRで求められるチャレンジングな目標設定は、達成度が100%に至らなくても、その取り組みを評価されます。これには、上司からポジティブフィードバックを与えやすいというメリットがあります。目安である6〜7割の達成後も目指すべき目標もありますので、やる気をさらに高められるでしょう。
OKRの導入事例
実際にOKRを導入してきた企業では、どのように運用しているのでしょうか。運用の好事例をもつのが、Google、Adobe、メルカリです。3社の取り組みを簡単にご紹介します。
GoogleのYouTubeログイン機能改善
Intelで働いていたドーア氏がGoogleにOKRを持ち込んだのは、2000年代初頭のことです。Googleは様々なプロジェクトでOKRを運用しました。
その中でも、ドーア氏の著書で詳しく紹介されている事例がYouTubeにおける課題改善です。サイトにログインすることで使用できる動画保存やチャンネル登録といった重要機能が利用されず、YouTubeにとって価値の高いデータ収集にも支障が出ているという課題でした。
解決に向けて取り組んだのは、YouTubeのログイン機能改善です。OKRの軸には、Googleの理念である「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」を据えました。*
具体的な目標は、サイトのログイン機能を改善すること。経営層は、これを3カ月で成し遂げることを求め、全社一丸となった取り組みがスタートしました。YouTubeを担当するチームが責任部署となり、その業務が全社レベルで最優先されたのです。もちろん、ほかの部署もこれに協力しました。
OKRによるフォーカスと強力なコミットメントにより、リリースが予定から1週間遅れたものの、無事に目標を達成。現在は当たり前となっているチャンネル登録機能の頻繁な活用は、こうした集中的改善によって実現されました。
Adobeの「チェックイン」導入
Adobeは、2012年に従来の年次勤務評定を廃し、新たな評価システム「チェックイン」を導入しました。チェックインの一部には、OKRの手法が組み込まれています。
チェックインの特徴は、最低限のルールで運用し、トラッキングや書類作成は行わず、報酬決定は年1回の「報酬決定チェックイン」によりマネージャーが行うという点です。報酬決定までに3カ月ごとの「目標と期待事項」の決定、定期的フィードバック、キャリア開発と成長に向けた支援などを行いますが、それらが報酬に直結するわけではありません。
OKRに該当するのは、「目標と期待事項」の決定や定期的フィードバックです。会社の目標と各メンバーの業務を結びつけて個人目標を立て、優先項目をマネージャーとの定期的な話し合いにより決定します。その後、取り組みの状況や課題について週1回〜6週間に1回の頻度でフィードバックを実施。しかし、その内容を書面として残すことはしません。
報酬決定チェックインで考慮されるのは、従業員のパフォーマンスと事業への貢献度、技能の相対的な希少性、市場環境など。メンバーの順位付けは行わず、一人ひとりについてマネージャーが評価を行います。
こうしたOKRを含む目標設定とフィードバックを中心とする評価システムは、“継続的オアフォーマンス管理プロセス”とも呼ばれます。定期的なチェックインにおいて課題や目標の進捗を常に共有できることで、メンバーは「自分の意見を聞いてもらえる」という実感を高められるからです。マネージャーも、直属部下についての責任が委ねられた結果、意欲が高まったとのこと。事業全体の活性化にもつながりました。
参考:ジョン・ドーア(土方奈美訳)『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』2018年、日本経済新聞出版社、第16章
メルカリの社員数増加による連携不足の改善
日本企業で有名な導入事例は、メルカリです。社員数が増えるにつれて会社全体の目標と現場の社員の個人目標が連動しなくなってしまうという課題に直面し、2015年にOKR導入へと踏み切りました。
メルカリでは、個人のストレッチゴールを3つほどに絞り込んで設定します。達成できないようなゴールも「ムーンショット」と呼び、「果敢な挑戦」として推奨してきました。1サイクルの期間は3カ月です。
加えて、コミュニケーションを重視し、定期面談でOKRを設定しながら一人ひとりのモチベーション向上を支援しています。
一般に、OKRは人事評価には組み込まないほうがよいとされています。しかし、メルカリではOKRと連動させた評価制度を活用。評価基準は、「アウトプットのインパクトの総量」です。
偏った評価にならないよう、上司による面談以外に、同僚からのピアレビューも実施。2つの視点による評価は、評価される社員の納得感も高めているようです。
OKRの導入・管理方法
OKRを上手に運用するには、適切な手順で上位OKRを定め、個人OKRへと落とし込む必要があります。さらに、目標を“設定しただけ”で終わらないよう、定期的な進捗確認とフィードバックも欠かせません。これには、目標と進捗の可視化も重要です。
会社全体のOKR設定から1サイクルの終了まで、導入・管理方法を順に解説します。
(1)会社全体のOKRを決める
まずは、組織・個人のOKRの前提となる会社全体のOKRを決めましょう。
達成目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)を設定する際は、以下のポイントを意識してください。
【会社全体のOKRのポイント】
| 要素 | ポイント |
|---|---|
| 目標 (Objectives) |
|
| 主要な成果 (Key Results) |
|
会社全体のOKRは経営層を中心に決定します。ただ、ストレッチゴールにするとはいっても、あまりに現実離れした目標を立てると、現場を混乱させ、目標達成から遠ざかってしまうでしょう。事前にヒアリングを行うなど、現場の声を聞きながら検討することが大切です。
会社全体のOKRが決定したら、経営層自らが社内に周知してください。ドーア氏が伝えているケーススタディでも、経営陣が従業員に対して何度もOKRの内容と取り組みの重要性を発信していました。また、OKRに限らず、経営トップからのメッセージ発信は「会社として本気で取り組む」ことを示すために不可欠です。
運用開始後は、経営層のメンバー自身のOKRと進捗も常に見られるようにしておきましょう。
(2)社内の組織別OKRを調整・決定する
上位OKRである会社全体のOKRが決まったら、次は組織別のOKRを決定します。部門・課・チームといった形で、上から下にむけて順番に決めていきましょう。
「会社全体のOKRを達成するために、各部門では何をするべきか」
「部門のOKRを達成するために、各課・チームでは何をするべきか」
といった観点で考えます。部門同士やチーム同士など、横の連携も忘れてはいけません。
もし、会社全体のOKRが非現実的であったり、本質的な問題解決につながらないものであったりすることが明白なら、現場の意見を経営層に伝えてOKRの調整を行わなければなりません。
組織別OKRの検討においては、次のポイントを意識するとよいでしょう。
【組織別OKRのポイント】
| 要素 | ポイント |
|---|---|
| 目標 (Objectives) |
|
| 主要な成果 (Key Results) |
|
各組織のOKRが出たら改めて全体を俯瞰(ふかん)し、会社全体のOKR達成につながるかどうかをチェックしてください。問題なければ、各OKRを社内に周知しましょう。
会社全体のOKRと同様、組織別OKRも常に現場のメンバーが見られる形で公開してください。
(3)個人OKRを決める
いよいよ現場のメンバーのOKRです。会社全体のOKRと組織別OKRをもとに、個人目標としてのOKRを決めましょう。
個人OKRのポイントは、下表の通りです。
【個人OKRのポイント】
| 要素 | ポイント |
|---|---|
| 目標 (Objectives) |
|
| 主要な成果 (Key Results) |
|
現場のメンバーが上位OKRを勝手に解釈して目標を決めてしまうと、組織が期待する役割を軽視したり、組織別OKRの達成に寄与するとは言い難い目標になってしまったりすることがあります。各メンバーが主体的に自身のOKRを決めるという姿勢は重要ですが、管理職がその微調整を行うことも忘れないようにしてください。
もし、簡単に達成できる目標になっている場合は、よりチャレンジングな目標となるよう、主要な成果の数値や指標の種類を調整するとよいでしょう。
(4)目標達成に向けて取り組む
会社全体のOKRから個人OKRまでを決めたら、目標達成に向けた具体的な取り組みを進めます。その前提として、各目標と進捗が見える化されていることを再度確認してください。OKRをしっかり機能させるには、透明性の確保が欠かせないからです。
企業によっては、「現場メンバーの個人OKRは他部署には公開しない」とする場合もあるでしょう。それでも、一人ひとりの業務が上位OKRの進捗に貢献していることを実感し、その成功をわかち合い、課題に迅速に対処するには、少なくとも会社全体のOKRおよび組織別OKRとその進捗を常に確認できるようにしなければなりません。
(5)定期的に進捗確認・フィードバックする
Adobeのチェックインやメルカリの取り組みにも見られるように、成功するOKRには各メンバーと上司による定期的な進捗確認とフィードバックが不可欠です。具体的には、上司と部下による定期面談や、組織別の進捗会議などを実施します。頻度は、週1回〜月1回が目安です。
定期的な振り返りがなければ、「目標を立てただけ」になってしまう恐れがあります。抱えている問題を放置したり、誤ったやり方のまま進めてしまったりするかもしれません。そうした問題を早期に発見し、軌道修正を行うことで、OKRを成功させることができるのです。
さらに、フィードバックでは問題を指摘するだけで終わらせず、うまくいっていることを評価する「ポジティブ・フィードバック」も心がけましょう。悪いことばかりを言われるのでは、進捗確認が怖くなり、虚偽の報告を招いてしまう可能性があるからです。
現場の意欲を高め、チャレンジングな目標に取り組み続けられるよう、日頃からサポートしましょう。
なお、進捗に応じて取るべき対応には、次のものがあります。
【進捗別の手段(例)】
| 進捗・状況 | 対応例 |
|---|---|
| 順調・計画通りである |
|
| 進んでいるが、計画から遅れている |
|
| OKR達成に向けた取り組みが何らかのリスク増大につながる |
|
会社の状況や外部環境の変化も含めて、総合的な視点で評価・分析を行いましょう。
参考:ジョン・ドーア(土方奈美訳)『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』2018年、日本経済新聞出版社、第16章
(6)期間終了後に全体の評価・分析を行う
OKRの1サイクルの期間が終わったら、最終的な達成度を0.0〜1.0で評価します。具体的には、
- 主要な成果に設定した各指標(Key Results)の達成度を採点する
- 各指標の点数を平均し、目標全体(Objectives)の点数とする
という手順で進めます。以下の採点例もご確認ください。
【主要な成果の採点例】
| 指標の例 | 採点例 |
|---|---|
| ブランド公式サイトのデザインを確定する |
|
| ブランド公式SNSアカウントの 月間インプレッション数9,000を達成する |
|
ここで思い出さなければならないのは、「6〜7割の達成度が目安」ということです。つまり、点数が「0.6」や「0.7」であれば、それは決して悪い結果ではありません。「なぜ0.7しか達成できていないのか」と部下を問い詰めないよう、気をつけましょう。
ドーア氏は、点数と評価の目安として、3つの色とともに次のように説明しています。
【点数と評価】
| 点数 | 色 | 評価 |
|---|---|---|
| 0.7〜1.0 | 青 | 目標を達成し、完了した |
| 0.4〜0.6 | 黄 | 取り組みは進んだが、完了できなかった |
| 0.0〜0.3 | 赤 | 実のある進捗はなかった |
達成度が低い場合は、その原因を分析し、次のサイクルに向けた対策を講じましょう。達成度が高い場合も、成果を喜んで終わりにするのではなく、成功要因を分析することが大切です。
なお、Intelでは、最終評価が1.0に近い部門については「目標が低すぎた」と評価し、取締役会から厳重注意が行われたとのこと。1.0などの非常に高い点数が出た場合は、次回からさらに高いストレッチゴールを設定するよう、フィードバックするとよいでしょう。
参考:ジョン・ドーア(土方奈美訳)『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』2018年、日本経済新聞出版社、第16章
(7)プロセスを改善し、OKRを更新する
最終評価が0.6〜0.7であれば、取り組みは比較的順調です。引き続き同じ目標を掲げて主要な成果の数値を引き上げたり、目標自体をより高いものに設定したりすることで、会社全体の成長を加速させられます。
反対に、0.6未満の場合は、全体を振り返ったうえで、OKRを設定し直す必要があるかもしれません。必ず現場の意見を聞き、次のOKRに反映させましょう。OKRの共有と進捗の可視化という透明性についても、しっかり確保されていたかどうかをチェックしてください。
OKRを更新したら、次のサイクルへ入りましょう。
OKR設定の具体例と目標の書き方
最後に、OKRのイメージをより具体的につかむため、営業・マーケティング部門と製造部門のOKR例をご紹介します。
【営業・マーケティング部門のOKRの例】
| 種類 | OKR | OKR設定例 |
|---|---|---|
| 組織別OKR | 目標 |
|
| 主要な成果 |
|
|
| 個人OKR | 目標 |
|
| 主要な成果 |
|
【製造部門のOKRの例】
| 種類 | OKR | OKR設定例 |
|---|---|---|
| 組織別OKR | 目標 |
|
| 主要な成果 |
|
|
| 個人OKR | 目標 |
|
| 主要な成果 |
|
上位OKRの達成に当たって「何が不足しているのか」「何が障害となっているのか」を分析することで、より効果的なOKRを設定できるでしょう。
OKR成功のポイントは適切な目標設定にあり
全社一丸となった目標達成を実現するOKR。OKRの導入は、会社と組織、個人の目標が連動し、メンバー一人ひとりのモチベーションアップにもつながります。ただし、適切な運用には適切な目標設定が欠かせません。目標を設定すること自体が目的化してしまえば、乱立する目標に現場が振り回され、重要な課題にフォーカスできず疲弊してしまいます。
多くの企業で人材の成長や意欲向上をサポートしてきたALL DIFFERENTでは、OKRの運用に役立つ目標設定を実践的に学べる研修を多数ご用意しています。組織の活性化と課題解決に、ぜひお役立てください。

