OKRとは?企業に導入するメリットや適切に運用するコツを解説

published公開日:2023.06.06
目次

組織やチーム、個人が同じ重要課題に取り組むための目標管理手法である「OKR」。
IntelやGoogle、Meta(旧Facebook)など世界的な大企業が導入していることで注目が集まっています。
本コラムではOKRがどのようなフレームワークなのか、導入方法や運用する際の注意点などについて解説しています。
自社の目標管理に悩む担当者の方は、ぜひOKRを活用してみてください。

OKRとは

OKRとはObjectives and Key Results(オブジェクティブズ・アンド・キーリザルツ)の略で、日本語では「達成すべき目標と、目標達成のための主要な成果」とされます。世界的な大企業であるIntelやGoogle、Meta(旧Facebook)、日本ではメルカリなどがOKRを導入したことで大きな話題となりました。

OKRが注目されるのは「従来の計画方法と比べて高い頻度で設定、追跡、再評価する」のが理由です。
また、企業の目標とリンクさせてチームや個人のOKRを設定する点で、従来の目標管理と異なっています。
会社としての目標とチームとしての目標、また、個人の目標に統一性を持たせることで、組織全体としてスピーディーな目標達成を目指せるのが特徴です。

目標設定、追跡、再評価までの流れを高頻度で行うことで生産性を上げられると、日本でも多くの企業が導入し始めています。

OKRの歴史

OKRは半導体素子メーカーのIntelで導入されたことにより、その効果が広く認められるようになりました。
OKRがIntelで導入されたのは、メモリメーカーからマイクロプロセッサメーカーへの転換を図っていた頃のことです。
OKRを導入し、従業員に優先度の高い仕事に集中してもらったことで、マイクロプロセッサメーカーへの転換に成功しています。

当時Intelで働いていたジョン・ドーア氏が2000年代初頭のGoogleにOKRを導入すると、経営陣にOKRの有効性が認められ、現在では世界中で導入されるフレームワークとなりました。

OKRの仕組み

OKRを理解するには「オブジェクト(O)」と「キーリザルト(KR)」の2つに分けることが大切です。
自社にOKRのフレームワークを導入する前に、OKRの仕組みについてしっかり理解しておきましょう。

オブジェクト(O)

OKRのOは「達成すべき目標(Objectives)」を表しています。
企業の目標を管理するためのフレームワークなので、「O」の設定が重要です。

特徴は、定性的な目標であること。「お客様に幸せを届ける」「未来へ常に進む」のような会社の理念、「先輩社員の力を借りずに仕事をやり遂げる」「○○の資格をとる」などもOにあたります。ポイントは、やる気が出るような目標であることです。

数字は入れなくてもOKですが、企業の目標が大目標、個人の目標が小目標のように地続きになるように設定してください。また、小目標は数ヶ月ほどの短い期間で達成できるものにしましょう。

キーリザルト(KR)

OKRのKRは「目標達成のための主要な成果(Key Results)」という意味を持っています。キーリザルトには、誰が見ても明らかな数値の設定が必須。いわゆる、定量的な目標設定です。適切なキーリザルトの設定ができていれば、客観的に判断しやすくなるため、目標に対しての評価が容易になります。

目標を立てる際には簡単過ぎず、ギリギリ到達できるかどうかという難易度のものを設定しましょう。高すぎても低すぎても、モチベーションが維持しにくいためです。具体的な数値としては60~70%の達成率を目安とするのが良いでしょう。

また、1つの目標(O)に対して成果目標(KR)は3~5個程度にしましょう。多すぎると矛盾が生じたり、追いかける目標が増えてチーム内のコミュニケーションが阻害されたりする可能性があります。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリットは目標達成だけではありません。従業員一人ひとりのモチベーションアップに役立つため、結果的に企業の業績向上にも期待できます。OKR導入のメリットを活かして、組織全体を成功へと導きましょう。

臨機応変に目標を調整できる

OKRは目標のサイクルが1ヶ月~四半期と短く、臨機応変に目標を調整できるのが特徴です。組織の方向性や外的要因が変化しても、OとKRを調整することですぐに対応できます。

短期的なサイクルで目標の見直しを行うことにより、分析の頻度を上げて業務を効率化できるのもOKRの魅力です。

社内のコミュニケーションの活発化

組織・チームが設定したOKRは社内全体に漏れなく共有されます。そのため、すべての従業員が足並みをそろえて、目標達成へと取り組めるのが特徴です。

各従業員は個人やチームの目標を達成するために、仲間とのコミュニケーションが密になります。目標達成にはチームの垣根を超えたコミュニケーションも必須であり、社内全体のコミュニケーション活性化に期待できるでしょう。

企業へのエンゲージメントの向上

OKRの導入は従業員の企業に対するエンゲージメント向上にも一役買ってくれます。従来の目標管理とは異なり、OKRでは企業の目標を一人ひとりの従業員に割り振るのが特徴です。

自分の目標が企業の目標の一部に属していると認識しやすく、従業員に組織の一員であるという意識を芽生えさせられます。

目標がシンプルなので達成させやすい

OKRは1つの目標達成を目指して取り組むフレームワークです。目標は誰が見ても分かるシンプルなもののため、難しいことを考えずに集中して取り組めます。

1つの目標に対して3~5つの成果目標を設定するので、1つ1つクリアしていけば、目標もおのずと達成できる仕組みです。

チャレンジングな目標設定が可能

OKRは目標管理のためのフレームワークであり、報酬に関わる評価とは切り離されています。
そのため、失敗を恐れないチャレンジングな目標設定も可能です。

OKRでは達成できるかどうかギリギリの60~70%の達成率を目安に、目標の設定を行います。組織にとって少し高い目標を目指すことで、従業員のパフォーマンス向上にも期待できるでしょう。

OKRの導入方法

OKRの導入方法には大きく分けて以下4つのステップがあります。

  • ・OKRを設定する
  • ・部署間で調整する
  • ・個人OKRを設定する
  • ・一定期間ごとに振り返りOKRを調整して達成を目指す

OKRを設定する

まずは1~3ヶ月の期間を想定して、企業OKRを決定してください。
最初に企業OKRを表明しておくことで、チームOKRや個人OKRを設定しやすくなります。

企業OKRを決める際には経営陣の独断で決めてしまうのではなく、各部門や従業員からアイデアをヒアリングしましょう。

部署間で調整する

次に組織を部署やチームに分けて、部署・チームごとのOKRを設定します。部署・チームのOKRを決める際には、最低1つは企業OKRと関連する目標を設定してください。

部署・チームのOKRが企業OKRに直結していなければ、業績アップや顧客獲得などの目標を達成できません。
企業全体で統一感を持ったOKRを設定するように意識しましょう。

個人OKRを設定する

個人OKRを設定する際にも、部門・チームのOKRと関連性を持たせることが大切です。
状況に応じて、上司や同僚と相談しながら個人OKRを決定していきましょう。

また、個人OKRの決定後は、部署・チーム内で従業員ごとに個人OKRの確認が必要です。
個人OKRに関しても整合性が取れていないようであれば、調整や修正を行ってください。

一定期間ごとに振り返りOKRを調整して達成を目指す

設定したOKRの達成を目指して業務を進めたら、一定期間ごとにOKRの振り返りが必要です。
まずは週に一度、部署・チーム内での進捗確認をおすすめします。

また、最初に設定した期間が終了してから評価を行うのではなく、中間地点でも評価を行うことで進捗の確認やOKRの調整を行ってください。柔軟に調整できる強みを活かしましょう。

OKRをうまく運用するために気をつけること

OKRを活用した目標の達成を通して、生産性の向上や社内のコミュニケーション活性化に期待できます。一方で、適切な運用ができなければ、社内に混乱が生じて業務を妨げるので注意が必要です。OKRの導入や運用で気をつけるべきことを把握して、有効に活用しましょう。

社員が目標を理解している必要がある

OKRを導入する際には、組織全体で認識を統一することが大切です。全社員が目標を理解できるように、導入する目的も含めて企業OKRを表明しておきましょう。その際には以下の要点を全社員に理解してもらってください。

  • ・OKRがどのようなもので、何のために導入するのか
  • ・OKRで設定した目標は、どのような基準で判定されるのか
  • ・目標達成のために、OやKRの目標を従業員同士で共有しておく

全社で共通認識を持つことがOKR導入成功の鍵となるので、認識の統一を徹底しましょう。

目標の達成に対して適切な評価を行う

OKRの評価は0.0~1.0の範囲で数値化し、目標を完全に達成した場合には1.0の評価をつけます。OKRの達成率は60~70%を目安とするのが一般的です。つまり、OKRの平均点は0.6~0.7に収まれば、良い結果であると言えるでしょう。

また、OKRは部署や従業員を評価するためのツールではありません。目標管理により、企業の業績や生産性を向上させるためのフレームワークです。企業全体としてチャレンジングな目標に取り組めるように、OKRを適切に運用しましょう。

OKRを導入するなら正しい目標設定を

OKRの導入により組織と個人の目標を紐づけることで、生産性が高まるだけでなく従業員のモチベーションアップにも期待できます。企業の規模が大きくなるほど全社で足並みをそろえるのが難しくなるため、目標に統一性を持たせるにはOKRが有効です。

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