フリーアドレスとは|メリット・デメリットとオフィス事例

published公開日:2024.02.01
目次
オフィスにおけるフリーアドレスとは、固定席を設けずに、社員が日々自分で席を選ぶスタイルです。オフィススペースにかかるコスト削減、社員間のコミュニケーション促進などの観点から注目されています。

本コラムでは、フリーアドレスの定義やメリット・デメリット、向いている企業の特徴や成功事例と、失敗しないフリーアドレス化に向けた注意点などを解説します。

フリーアドレスとは

近年のDX推進やテレワークの普及により、「フリーアドレス」というオフィススタイルの導入を検討する企業が増えています。まずは、フリーアドレスの定義や概要、なぜ注目されているのかについて簡単にご紹介します。

フリーアドレスとは“座席を固定しない”オフィススタイル

フリーアドレスとは、オフィス内に個人専用デスクを置かず、デスクや椅子を共有しながら働くスタイルのことです。「フリーアドレス(Free Address)」という言葉自体は和製英語であり、英語圏では「desk sharing」「hot-desking」などと表現されます。

フリーアドレス制のオフィスには、共用デスクやWeb会議ブース、会議用スペースなどが設けられています。社員がその日の気分や業務内容に応じて、自分の仕事場所を選ぶという仕組みです。

原則として座席が決まっていないため、「静かに仕事をしたい」「カフェ風の少し雑音がある環境で仕事をしたい」など、個人の希望に合った働き方ができるとともに、出社していない社員のスペースを常に確保しておく必要がないなどの特徴があります。

意外にも、フリーアドレスが誕生したのは日本です。1987年、清水建設技術研究所が提唱したオフィススペースの削減を目的とする世界初の施策として登場したのが「フリーアドレス」です。その後、1990~2000年代にかけて徐々にメリットが認知され、企業での導入が進んできました。

なぜフリーアドレスが注目されているのか?

もともと清水建設技術研究所がフリーアドレス制を導入した目的は、狭いオフィスの中で、その場にいない社員の席をオフィス内にいる社員が使えるようにすることだったようです。

しかし、2020年からの世界的な感染症の流行をきっかけにテレワークが拡大すると、場所の狭さの問題よりも、オフィス内のデッドスペースが問題となってきました。出社しない社員に割り当てられたデスクが、オフィスの広い部分を占めるようになったからです。

感染症流行の影響で売上が大幅に落ちた企業もあり、そうした企業ではコストカットが急務になりました。その施策のひとつがオフィス面積の縮小です。フリーアドレス制導入によって、出社が予定されている人数分だけスペースを用意し柔軟に使ってもらおうという考え方です。

コミュニケーションの促進という点でもフリーアドレス制は注目されています。チームや部署の壁を超えて同じスペースで業務ができるようになり、社内でのナレッジの共有、何気ない会話からのアイデアの創出などが期待されています。

ICT活用によるDX推進とともに、柔軟な働き方に資するオフィススタイルとして、フリーアドレス制は重要な選択肢のひとつとなりました。

フリーアドレス化に向いている企業の特徴

フリーアドレス制は全ての企業に向いているわけではありません。業務内容や企業風土に合わなければ、フリーアドレスがもたらすメリットを十分に生かすことは難しいでしょう。

以下に、フリーアドレス制と相性の良い企業風土や導入目的を4つピックアップしました。自社に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

ABWに向けた取り組みをしている

特徴の1つめは、ABWを推進している企業です。ABWとは「Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の略称で、社員が自分にとって仕事をしやすい環境を選び、働けるスタイルを意味します。

フリーアドレス制はオフィス内で自由に場所を選ぶ働き方ですが、ABWでは在宅勤務やコワーキングスペース、サテライトオフィスなどでのリモートワーク、ワーケーションなども働き方の選択肢に入ります。

ABWのような場所を選ばない働き方に肯定的な企業であれば、オフィス内でのフリーアドレス化にも抵抗が少ないでしょう。自由に席を選べる仕組みだけでなく、より豊かな選択肢として個人ブースやカフェスペースなども設けると社員に喜ばれやすくなります。一度に完全なABWへの移行をするのではなく段階的にABWの実現につなげていくのもよいでしょう。

ペーパーレス化に抵抗がない

フリーアドレスのオフィスは固定席のオフィスと異なり、個人の私物を一定の場所に置いておくことができません。本来はデスクの引き出しに収納されているような紙の書類も、常に手元に置いておくことが難しくなります。いちいち紙の資料を持ち出すために移動する必要がある場合、なかなか業務効率は上がらないでしょう。

そのため、フリーアドレス制ではペーパーレス化を進めることがポイントになります。書類のデータ化、情報管理システムの利用などで紙書類を減らし、オフィス内のどこからでも必要なデータにアクセスできる環境であるほど、フリーアドレスのメリットを享受しやすいでしょう。

出社する社員が多くない

フリーアドレス制は、もともと不在の社員に割り当てられたデスクスペースを、その時オフィスにいる社員が有効活用できるようにした仕組みです。コロナ禍でテレワークを導入する企業が増加した際にオフィススペースを縮小し、代わりにフリーアドレス制を導入した企業も、小さくなったスペースを有効活用することがひとつの目的でした。

そのため、例えばテレワーク率が50%の会社など、常に全社員が出社するわけではないオフィスのほうが、フリーアドレスは有効に機能しやすくなります。

もちろん、全社員が出社できるくらいのスペースを確保しているのであれば、出社率が高くてもフリーアドレス制は機能するでしょう。その場合は、次の項目でご紹介するコミュニケーション強化などの要素が、より大きくなります。

部署を超えたコミュニケーションを促進したい

フリーアドレス制は、自分で席を選べるため部署やチームを超えたコミュニケーションの機会が増えます。固定席の頃は顔を合わせることすらなかった他部署、他チームの人と隣同士で仕事をしたり、研修でしか会えなかった同期と情報交換したりできるなど、思わぬコミュニケーションが生まれるでしょう。

同じ会社の社員同士ですので、課題の共有、ナレッジの共有もしやすくなります。現在抱えている事案の課題の発見・分析、解決に向けたアイデア、新たなビジネスのヒントがその会話に眠っているかもしれません。

新規事業の発案や既存商品・サービスの付加価値向上、社内の情報共有を促進したい企業にとって、フリーアドレス化は魅力的な施策です。

フリーアドレスの3つのメリット

フリーアドレス化に向いている企業の特徴からもわかるように、フリーアドレス制を導入するとオフィススペースにかかるコスト削減やコミュニケーションの活性化といったメリットが生まれます。

ここで、改めてフリーアドレス制の代表的な3つのメリットを見ていきましょう。

オフィススペースの効率化とコスト削減

フリーアドレス制の1つめのメリットは、「社員1人につき1台のデスクを用意する」という前提がなくなることです。確保すべきスペースは日頃の出社率をもとにしたデスクスペースが基本。そのため、全社員のデスクを常に確保しておくスタイルよりも必要なオフィス面積が小さくなります。これは、そのままオフィス賃料や什器のリース代の削減につながるでしょう。

なお、想定より出社率が高い日でも、フリーアドレス制なら「大きなテーブルに椅子を追加する」などで対応できます。

急な異動、組織変更、新しい部署の創設などについても、デスク等のレイアウトを大きく変更する必要がありませんので、柔軟に対応できるでしょう。

社員同士のコミュニケーション向上

2つめのメリットは、これまで業務であまり関わってこなかった社員と話す機会が増えることです。先述したように、部署やチームを超えたコミュニケーションが促進され、意見交換の活性化や思わぬアイデアの創出を期待できるでしょう。

また、そのような垣根を越えたコミュニケーションは、社内全体の仕事の流れを知ることにもつながります。自分の業務が事業のどの部分に貢献しているのか、他部署の業務とどのように連携すると効率が良いのかなど、いつもと異なる視点で仕事を捉え直すきっかけになります。

自律的・主体的な働き方を促進

フリーアドレス制の3つめのメリットは、社員一人ひとりの自律性、主体性向上につながることです。日々自分の業務内容とそれに適した場所を選択し、自分に合ったワークスタイルを見つけることにつながるからです。

例えば、

  • ・集中したい時は個別ブース
  • ・他の社員と意見交換したい時はオープンスペース
  • ・ブレインストーミングなどで刺激が欲しい場合はカフェスペースや賑やかなスペース

といったように、仕事の内容や目的に応じて最適な場所を自分で選べます。

「より快適に、より効率よく」という視点が生まれやすく、それを実現できれば生産性向上にもつながるでしょう。席の移動がともなうため、必要なものをコンパクトに持ち歩く習慣も身につきやすくなります。

フリーアドレスのデメリットと対策

このように、適切に導入できればメリットが大きいフリーアドレス制ですが、導入時の準備不足や業務との相性などによって、デメリットがメリットを上回ってしまう場合もあります。フリーアドレス制で「うまくいかない」と感じる企業で見られるデメリットを4つご紹介します。

導入コストがかかる

フリーアドレス制では、社員が社内のどこにいても業務を進められるよう持ち運びできるパソコンや各種デバイスなどの備品を支給し、かつアクセスしやすいシステムに業務関連のファイルを保存できるようにしなければなりません。

例えば、クラウドを利用したシステム構築、アクセスできる領域の設定、各種ツールの導入などが必要になります。これには、後述するセキュリティ対策、仕事をしやすい環境の整備、必要なときに必要なコミュニケーションがとれるようなツールの普及・活用促進も含まれます。

オフィス面積の縮小によるコスト削減と、フリーアドレス制によるシステムやツール等の導入費・維持費などを天秤にかけつつ、自社に適した範囲を探っていく必要があります。

セキュリティ上のリスクがある

フリーアドレスのオフィスでは、社内のどこからでも業務に必要な情報にアクセスできなければなりません。そのため、機密情報も含めて多くの情報がネットワーク上にアップロードされ、活用されます。

また、他の部門には見せられない情報を扱う業務を行う場合、ビジュアルハッキング(画面ののぞき見)にも気をつけなければなりません。特に、個人情報を多く扱う管理部門は要注意です。

これらの対策としては、アクセスできる領域にパスワードなどで制限をかけ、「全社員が全データにアクセスできる」ということがないようにしましょう。個人情報等の機密情報を扱う部門のフリーアドレス制については、フリーアドレス化せず固定席のままにするか、他の部門と完全にエリアを分けて実施する等の方法が考えられます。

仕事に集中できない・ストレスがかかる

フリーアドレスで生まれるデメリットで社員個人が抱えやすい困りごとでは、「仕事に集中できない」「毎日座席が変わることがストレスになる」というものがあります。これは、周囲の社員の声や音、デスク等の配置に敏感な社員が抱えやすいデメリットかもしれません。

考えられる対策としては、

  • ・座席が変わるとストレスになる社員がいる場合、実質的な固定席を用意する(専用席など)
  • ・周囲の声や音に敏感な社員がいる場合、防音性の高いブースやエリアを用意する

などがあります。

フリーアドレス制がもたらす社員にとっての大きな利点は、「オフィス内の自分の好きな場所で仕事ができる」こと。社内のニーズを定期的に把握しつつ、必要なエリアや設備を整えていきましょう。

社員の居場所把握や進捗の管理が難しい

フリーアドレス制でもう一つ問題になりやすいのが、「どこにいるかわからない」ことです。管理職やチームリーダーの方が部下に直接指示を出したり報告を受けたりしたいとき、フリーアドレス制では、その部下の居場所を特定することから始めなければなりません。

固定席なら、デスクまで行って少し話しかければ簡単に進捗確認や意見交換ができました。フリーアドレス制ではこれらに今までよりも多くの時間がかかる可能性があります。

こうした弊害を軽減する施策には、座席管理システムの導入や、社内のどこからでもアクセスできるメールやビジネスチャットのルールに基づく活用があげられます。特に座席管理システムは出勤状況の確認、エリアの空席率などの把握にも役立つでしょう。

フリーアドレス制の成功事例

実際にフリーアドレス制で成功した企業の事例を2つご紹介します。1社目は株式会社内田洋行、2社目はピー・シー・エー株式会社です。

事例1 株式会社内田洋行

教育分野でのICTシステム構築・機器販売や空間デザイン、オフィス構築などを手がける専門商社、株式会社内田洋行は、荒川第2オフィスへの移転をきっかけとしてフリーアドレス制を導入しました。目的は、「営業セクションの時間生産性の向上とコミュニケーションの活性化」です。

内田洋行が導入にあたって重視したことは、フリーアドレス制の目的を明確化することと、投資対効果をデータに基づいて検討することです。

まず、目的の明確化では自社の営業セクションに関するデータがポイントになりました。例えば、営業担当者が顧客と面談している時間の1日の労働時間に占める割合が25.5%、1回の会議時間が1時間35分かかっていることなどです。また、縦割りの社風の中で、正確でスピーディな情報共有、セクション内でのコミュニケーション強化も課題となっていました。

内田洋行が採り入れたのは、営業企画部のグループアドレス制です。想像力が特に求められる部門のフリーアドレス化に注力するとともに、効率的な働き方ができるようペーパーレス化、座席管理やスケジュール管理機能を備えたシステムの導入などを行いました。ペーパーレス化では全文検索システムを導入し、欲しい書類をすぐに見つけられるよう工夫しています。

フリーアドレス定着のプロセスにおいては、社員との合意形成や導入後のPDCAも重視。その効果として、営業の顧客面談時間比率とミーティングスペースを2倍に増やすことに成功するとともに、書類の保管量や保管スペースを7割以上削減、1回当たりの会議時間も約半分の51分にまで減らしました。課題となっていたコミュニケーションについても、8割以上の社員が「増えた」と回答しています。

内田洋行の荒川第2オフィスは、目的達成の手段としてフリーアドレス制が非常に効果的に機能した好事例となっています。

※参考:内田洋行|フリーアドレス2.0 の実際

事例2 ピー・シー・エー株式会社

基幹業務系ソフトウェアなどの開発・販売を手掛けるピー・シー・エー株式会社では、2021年に本社ビルを全面リニューアル。フロアごとにコンセプトを設けたフロア横断型の完全フリーアドレス制を導入しました。

キーワードは、「必要な働き方を求めて、フロアを旅するオフィス」。長時間座っていても疲れないオフィスチェアの席、ゆったり座れるソファ席、遮音性に優れた個別ブースやミーティングスペース、そして多用途に使えるカフェテラススペースなど、多彩な座席が用意されています。

導入のきっかけは、コロナ禍において約8割の社員が在宅勤務となりオフィス内の空席が目立つようになったことでした。現在も在宅勤務率は約65%の状態を維持しており、社員が業務に応じて出社かテレワークかを選べるハイブリッド勤務となっています。

ABWを土台とするフリーアドレス制は、社員の自律的な働き方や出社時の部署間の交流促進などにつながっています。

※参考:PCA|会社概要

フリーアドレス化で失敗しないためのポイント

成功事例に見られる通り、フリーアドレス制をうまく機能させるには、データを元にした検討や目的の明確化がポイントです。自社のオフィスがフリーアドレスに向いているかどうか、以下の項目をヒントにチェックしてみてください。

(1)フリーアドレス化がうまくいかない職場の特徴をチェック

フリーアドレス化に向いている職場の特徴は先述した通りですが、改めて逆の視点からフリーアドレス化で課題を抱えやすい職場の特徴を確認しましょう。

①オフィス出社率・在席率が高すぎないか?

フリーアドレス制を全社員が出社する前提で実施すると大きなオフィス面積が必要になります。その場合、導入コストが大きくなるとともに、いざ出社しても「好きな席を見つけられない」という問題が発生しやすくなるでしょう。

そのため、オフィスへの出社率が非常に高い企業では、フリーアドレス化の効果をあまり感じることができないかもしれません。

テレワークとのハイブリッド勤務にしたり、特定の部門だけフリーアドレス制にしたりするなどの施策でバランスをとりつつ、社内の座席管理システムをテレワーク中の社員からも見えるようにすると課題の軽減につなげられます。

②機密情報を多く取り扱う企業ではないか?

金融機関など、機密情報を多く取り扱う企業では、業務に必要な情報へのアクセスが特定の端末に限られているケースが多く、「社内のどこからでもアクセスできる」というフリーアドレスとはあまり相性が良くないかもしれません。個人情報が記載された書類の持ち歩きなども紛失や情報漏洩のリスクを増大させますので、導入には慎重な検討が必要です。

これは、企業単位だけではなく部門単位で問題になることもあります。本コラムの前半でお伝えしたように、社員の個人情報を多く扱う管理部門が代表例です。

こうした企業や部門でのフリーアドレス化では、情報が外部に漏れない範囲のグループ単位、エリア単位など、狭い範囲で展開する方法を検討してみてください。

③業務に付随する備品が多い企業ではないか?

フリーアドレス制では、社員が自分のパソコンと備品を持ち歩くことが前提となります。そのため、持ち運びにくいデバイスを使う業務や、多くの備品が必要な業務では、フリーアドレス化のメリットをあまり享受できないでしょう。

具体的な職種として考えられるのは、大きなモニターを何台も使って仕事をする職種や、ハイスペックな機器を使わなければならないクリエイター、工場のように「どこで何をするか」が明確な職種です。固定電話で応対するコールセンターも、自分の席が毎日変わると自分が使ってきたマニュアルやメモを持ち運ばなければならず、業務が煩雑になる恐れがあります。

こうした職種が多い企業は、固定席を残すか否か、ハイスペックなパソコンや高解像度のモニターなどを据え置きにした上での共有が可能かどうか、そしてその使用上のルールなどを、社員の実際の働き方や業務効率をもとに検討するとよいでしょう。

(2)フリーアドレス導入時の注意点をチェック

いよいよ導入が決まったら、導入の目的をより明確化し、社内での理解を得ることが重要です。フリーアドレス制はあくまで手段であり、フリーアドレス化そのものが目的ではないことに注意しましょう。

フリーアドレス化の目的は明確か?

内田洋行の事例で見た通り、効果的なフリーアドレス化には明確な目的が必要です。

自社の現在の課題は何か、その課題についてどのような解決策が考えられるか、解決策を進めるにあたってフリーアドレスがどのように寄与するかなど、現場の社員も交えて議論を進めましょう。

フリーアドレス化について社員の理解を得ているか?

目的と課題解決に向けたフリーアドレス制の役割が明確になったら、対象となる全ての社員にそれらを説明する必要があります。フリーアドレス導入の目的を周知し、どのような効果を期待しているかを理解してもらわなければ、本来目指す方向とは異なる使われ方をされるかもしれないからです。

例えば、「座席を固定しないことで、他部署の社員とのコミュニケーションを促す」ことを目的としてフリーアドレスにしても、対象社員のほぼ全てが実質的に「固定席」として座席を使うようになってしまえば意味がありません。

整備した環境を十分に活用し、導入後の混乱を招かないためにも、導入前のしっかりとした説明を行い、社員からの質問に答え、取り組みたい課題を理解してもらうことが重要です。

目的に合った空間づくりができそうか?

そして、フリーアドレス制を最大限に活用するには、導入目的の達成が可能となる空間づくりも不可欠です。

自由な発想を促したいのであれば、オフィスらしくない空間デザインや、風景や観葉植物を楽しめる窓際席の設置が効果的でしょう。定型業務の効率化を図る場合は、個人が集中しやすいブースと休憩に使えるスペースなどが喜ばれます。

異なる部署や分野の意見交換を促すのであれば、大人数でのコミュニケーションが可能な場所、リラックスしながらブレインストーミングなどができるスペースなども良いかもしれません。

社員がどのような空間を求めているのか、他社はどのような空間をつくっているのかなど、いろいろ比較検討してみましょう。オフィスづくりのプロの手を借りることも有効です。