諭旨解雇とは?懲戒解雇との違いや退職金・転職への影響、必要な要件を解説
更新日:2026.03.25
公開日:2024.02.19

諭旨解雇(ゆしかいこ)とは、会社が従業員に退職を促し、退職届を受理したうえで解雇する懲戒処分のことです。懲戒解雇とは異なり、あくまでも自発的な退職です。
本コラムでは、諭旨解雇の意味、懲戒解雇との違い、退職金・失業保険・転職への影響などについてわかりやすく解説します。
諭旨解雇とは
諭旨解雇とは、企業が従業員に対して行う懲戒処分の1つで、解雇に相当する重大な問題があった場合に用いられる措置です。
ただし、企業が一方的に解雇を言い渡すのではなく、理由を丁寧に説明したうえで退職を勧め、本人が同意して退職する点に特徴があります。
懲戒解雇よりも処分が軽いとされる一方、一般的な自己都合退職とは異なる性質を持っています。
諭旨解雇は法律で細かく定義されている制度ではなく、就業規則に基づく運用であるため、定義や実務上の取り扱いを正しく理解しておくことが重要です。
諭旨解雇の読み方と意味
諭旨解雇は「ゆしかいこ」と読みます。「諭旨」とは、理由や趣旨を説明して相手に理解を促すことを意味する言葉です。
つまり諭旨解雇とは、企業が従業員に対し、なぜ解雇に相当するのかを説明し、その内容を理解したうえで退職を求める処分を指します。
一方的な解雇通知ではなく、本人との話し合いを前提とする点が大きな特徴です。形式上は従業員が退職届を提出する形を取りますが、実質的には懲戒処分の一種と考えられています。「諭旨」という語感から穏やかな処分と誤解されがちですが、実際には懲戒処分の中でも重い部類に位置付けられます。
また、似た言葉に「諭旨免職(ゆしめんしょく)」があります。諭旨免職は主に公務員に用いられる用語で、意味や処分の重さは諭旨解雇とほぼ同じです。
諭旨解雇処分とは
諭旨解雇処分とは、解雇に相当する非違行為があったものの、企業が一定の配慮を示し、従業員に自主的な退職の機会を与える処分です。
諭旨解雇は懲戒処分の一種であり、懲戒解雇に次いで重い処分とされます。
懲戒処分の種類や内容は企業によって異なりますが、以下の処分が就業規則で定められていることが一般的です。
| 懲戒処分 | 制裁 |
|---|---|
|
戒告(かいこく) けん責(譴責、けんせき) 訓告(くんこく) |
口頭・文書などで厳重注意、または始末書の提出を求める *最も軽い処分 |
| 減給 | 給与を減額する |
| 出勤停止 | 一定期間、出勤を禁じる(その期間は無給) |
| 降格 | 役職や職位を引き下げる |
|
諭旨解雇(ゆしかいこ) 諭旨退職(ゆしたいしょく) |
退職の勧告後、退職届を受理し雇用契約を解除(応じない場合は解雇) |
| 懲戒解雇(ちょうかいかいこ) |
即時解雇 *最も重い処分 |
懲戒解雇と比べると、退職金が全額または一部支給される可能性がある点で違いがあります。
その一方で、処分を有効とするには、就業規則に基づいた明確な規定や、本人への弁明の機会の付与など、厳格な手続きが必要です。これらの手続きを欠くと、諭旨解雇であっても「解雇権の濫用」と見なされ、無効となる可能性があります。
諭旨解雇を拒否した場合
諭旨解雇は、あくまで従業員の同意を前提とした処分であるため、本人が拒否することも可能です。
拒否した場合、企業は直ちに諭旨解雇を成立させることはできず、改めて懲戒解雇や普通解雇を検討する必要があります。
ただし、その場合でも、解雇理由が客観的に合理的であり、社会通念上相当と認められなければ、解雇は無効となります。
懲戒解雇は即時解雇となる最も重い懲戒処分であり、適用には慎重な判断と法的根拠が必要です。
諭旨解雇と他の解雇・退職との違い
諭旨解雇は、解雇に近い処分でありながら、他の処分と混同されやすい特徴があります。
特に「懲戒解雇」「諭旨退職」「退職勧奨」「自己都合退職」との違いを正しく理解しておかないと、退職金や失業保険、転職への影響を誤って判断してしまうおそれがあります。
ここでは、諭旨解雇を軸に、他の処分との違いを整理して解説します。
諭旨解雇と「懲戒解雇」の違い
懲戒解雇は、従業員が重大な違反を犯した場合に適用される最も重い処分です。従業員の意思にかかわらず会社側が決定し、即時解雇の処分となります。
一方、諭旨解雇は、解雇相当の行為が認められる場合でも、本人に反省の機会を与えたうえで、退職という選択肢を提示する処分です。
諭旨解雇では退職金が全額または一部支給される可能性がありますが、懲戒解雇では原則として退職金が不支給または大幅減額となります。
諭旨解雇と「諭旨退職」の違い
諭旨解雇と諭旨退職は名前が似ているため混同されがちですが、手続きと法的な性質が異なります。
諭旨解雇は、従業員に退職届を提出させたうえで「解雇」として扱う処分です。このため、解雇予告期間が30日に満たない場合には、解雇予告手当の支払い対象となります。
一方、諭旨退職は、企業が退職を勧めるものの、あくまで従業員の自主的な退職として「退職手続き」を行います。
参考:「社会保険労務士法人 大野事務所」|諭旨退職か諭旨解雇か
諭旨解雇と「退職勧奨」の違い
諭旨解雇が懲戒処分に該当するのに対し、退職勧奨(たいしょくかんしょう)は人員整理や業績悪化、企業再編(合併・買収など)を背景に、従業員に対して自主退職を促す措置です。
諭旨解雇は懲戒処分の一種であり、解雇相当の理由が前提となります。退職勧奨は人員整理や適性の問題など、幅広い理由で行われますが、強要すると違法となるおそれがあります。
諭旨解雇は就業規則に基づく厳格な手続きが必要であり、両者は法的な位置付けが大きく異なります。
参考:NIKORO / 新潟雇用労働相談センター|退職勧奨と諭旨解雇の違いは何でしょうか?
諭旨解雇と「自己都合退職」の違い
諭旨解雇は、自己都合退職や普通解雇とも明確に区別されます。自己都合退職は、従業員が自らの意思で退職するもので、懲戒性はありません。普通解雇は、能力不足や業務不適格などを理由に、企業が一方的に行う解雇です。
これに対し、諭旨解雇は懲戒処分としての性質を持ちつつ、従業員の同意を前提とする点が特徴です。そのため、退職金や失業保険の扱い、転職時の説明内容にも違いが生じます。
諭旨解雇を実施するために必要な3つの要件
諭旨解雇は、企業が従業員に対して科す懲戒処分の中でも、重い処分に位置付けられます。
法的に有効な処分とするためには、次の3つの要件を満たすことが求められます。
- (1)就業規則に定めがあること
- (2)就業規則が従業員に周知されていること
- (3)懲戒権および解雇権の濫用に該当しないこと
1つずつ見ていきましょう。
(1)就業規則に定めがあること
1つ目は、就業規則に懲戒処分の種別とその事由の規定があることです。就業規則に諭旨解雇の規定がない場合、当該処分を行うことはできません。
懲戒処分などの制裁については、種別とその事由を就業規則に明示する必要があります(労働基準法第89条)。懲戒事由は、従業員が理解できるよう、具体的かつ明確に記載することが重要です。
出典:労働基準法(第89条 第9章 就業規則「作成及び届出の義務」)
(2)就業規則が従業員に周知されていること
2つ目は、諭旨解雇に関する内容を含めた就業規則が、従業員に周知されていることです。
労働基準法第106条において、就業規則の周知義務が定められています。就業規則に規定があっても、それが従業員に適切に周知されていない場合、諭旨解雇は無効と判断される可能性があるため、注意が必要です。
従業員がいつでも参照できるよう、以下のいずれかの方法により、従業員が常時確認できる状態で周知することが求められます(労基法施行規則第52条の2)。
- 事業所内の見やすい場所への掲示または備え付け
- 書面の交付
- 電子媒体での保存および常時閲覧可能な状態の確保
出典:労働基準法(第106条 第12章 雑則「法令等の周知義務」)
(3)懲戒権および解雇権の濫用に該当しないこと
3つ目は、懲戒処分の内容が「懲戒権の濫用」や「解雇権の濫用」に該当していないことです。
諭旨解雇の理由が、客観的な妥当性や合理性を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、懲戒権または解雇権の濫用と判断され、当該処分は無効となります(労働契約法第15条・第16条)。
諭旨解雇は極めて重い処分のため、適切に行われなかった場合、従業員が不当解雇として訴訟を起こす可能性があります。処分の実施に当たっては、過去の裁判例や社内の類似事例も踏まえ、慎重に判断することが求められます。
諭旨解雇の対象となる事例
では、諭旨解雇の対象となり得る具体的な事例には、どのようなものがあるのでしょうか。
諭旨解雇の適用が認められる要件とともに、代表的な対象行為を以下に整理して解説します。
- ハラスメント行為
- 正当な理由のない遅刻や欠勤
- 業務上の不正行為
- 違法行為
それぞれ詳しく解説します。
ハラスメント行為
パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)などのハラスメント行為により、諭旨解雇となることがあります。
パワーハラスメントとは、職場での地位や優位性を利用し、業務指導の範囲を超えた言動により、他人の人格を否定したり尊厳を傷つけたりする行為です。特に、上司が部下に対して行うケースが多いですが、同僚間や部下から上司への行為も該当します。
セクシャルハラスメントとは、性的言動やそれに基づく不適切な評価などにより、相手に不快感や精神的苦痛を与える行為を指します。
ハラスメント行為は、従業員のメンタルヘルスに深刻な悪影響を及ぼすのみならず、職場環境の悪化や生産性の低下を招くため、諭旨解雇の対象とされることがあります。
正当な理由のない遅刻や欠勤
就業規則や雇用契約書では、従業員の就業時間や所定労働日が定められています。そのため、正当な理由のない遅刻や欠勤が繰り返される場合、労働契約の不履行と見なされ、懲戒処分になることがあります。
一般的に初回は戒告などの比較的軽い処分にとどまりますが、継続的に改善が見られない場合には、諭旨解雇を含む重い処分が検討される可能性があります。
業務上の不正行為
業務上の不正行為は、企業の信用失墜や経済的損失につながるおそれがあるため、諭旨解雇の対象となる場合があります。具体的には、不正会計や不正請求、取引先からの不正なリベートの受領、会社の備品転売などが該当します。
また、金銭に関する不正行為以外にも、情報のねつ造・改ざん・盗用、機密情報の持ち出し、秘密保持契約違反なども不正行為として処分の対象となります。
違法行為
就業規則に明記されていない場合でも、法令違反があれば懲戒処分の対象となることは免れません。
無免許運転、酒気帯び運転、違法薬物の使用、窃盗、放火、傷害などの重大な法令違反は、諭旨解雇にとどまらず、懲戒解雇が適用される可能性があります。
諭旨解雇による退職金・有給休暇・失業保険の扱い
諭旨解雇が適用された場合、従業員の退職に伴う各種権利はどのように取り扱われるのでしょうか。
ここでは以下のポイントについて解説します。
- 退職金の支給
- 有給休暇の取得
- 失業保険の給付
それぞれ詳しく見ていきましょう。
諭旨解雇の場合の退職金はどうなる?
諭旨解雇における退職金の支給に関しては、法令による統一的な規定はなく、各企業の就業規則や退職金規程に基づいて判断されます。就業規則に定められている場合は、その内容に従います。
実際には、諭旨解雇であっても退職金が全額または一部支給されるケースは比較的多く見られます。諭旨解雇は懲戒解雇よりも処分が軽いため、退職金規程に基づき、全額または一部が支払われることが一般的です。
処分理由が重大な場合には、一定の減額が行われることもあるため、退職金規程を必ず確認することが重要です。
有給休暇の取得
諭旨解雇により退職が決まった場合でも、従業員が有給休暇を取得する権利は消滅しません。そのため、退職日までに有給休暇の申請があった場合、企業はこれを原則として認めなければなりません。
諭旨解雇と失業保険・離職票の取り扱い
諭旨解雇となった場合でも、失業保険の受給対象にはなります。
ただし、多くの場合、離職理由は自己都合退職として扱われます。この場合、雇用保険法に基づき、給付制限期間が設けられます。
通常の自己都合退職では、失業給付の給付制限期間は原則2カ月ですが、諭旨解雇が「自己の責めに帰すべき重大な理由による退職」と判断された場合、給付制限が3カ月に延長されることがあります。
離職票に記載される離職理由は、失業保険の扱いに直結するため、内容を必ず確認しましょう。
解雇予告手当と諭旨解雇
諭旨解雇は「解雇」として扱われるため、解雇予告手当が問題となる場合があります。
労働基準法では、解雇を行う場合、原則として30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。
諭旨解雇であっても、解雇予告期間が不足している場合には、この手当の支払い対象となります。
一方で、当該退職が実質的に「自己都合退職」と評価される場合には、解雇予告手当の支払い義務が発生しないと判断されることもあります。個別の事情に応じて慎重な確認が求められます。
諭旨解雇が転職活動に与える影響
諭旨解雇となった従業員は、転職が難しくなる可能性があります。企業は、諭旨解雇が従業員のキャリアに重大な影響を及ぼすことを認識しておく必要があります。ここでは、退職理由の告知義務と諭旨解雇が転職先に知られる可能性について解説します。
諭旨解雇を履歴書に記載する義務はある?
諭旨解雇が自主的な退職の形をとっている背景には、転職時の不利益を避ける意図も含まれています。
転職活動においては、履歴書に「一身上の都合により退職」と記載することが可能であり、法的に退職理由を明記する義務はありません。
ただし、面接などで離職理由を問われた際に事実と異なる説明を行い、その後に真実が判明した場合には、内定取消や雇用契約の解除といったリスクが生じる可能性があります。
転職先に諭旨解雇が知られる可能性
先述の通り、離職票に記載される退職理由は「自己都合退職」とされるケースが一般的です。離職票は失業保険の手続きに使用される書類であり、通常は転職先に提出する必要はありません。
転職者が退職理由を告知する義務はないものの、転職先に諭旨解雇で退職したことが「ばれる」可能性はゼロではありません。
例えば、転職先の企業が前職の会社に退職証明書を求めたり、直接問い合わせたりするケースが挙げられます。この退職証明書には、実際の退職理由として「諭旨解雇」と明記される場合があり、これにより転職先に情報が伝わる可能性があります。
諭旨解雇の手続き方法と注意点
諭旨解雇を適切に実施するためには、次のような手順を踏み、慎重に進める必要があります。
- (1)諭旨解雇に相当する事由か確認する
- (2)本人に弁明の機会を与える
- (3)処分を決定する
- (4)懲戒処分通知書を交付する
- (5)従業員からの退職届を受理する
以下に、具体的な手続きと留意すべきポイントを順を追って解説します。
(1)諭旨解雇に相当する事由か確認する
はじめに、該当者の問題行動について、事実関係を確認し、就業規則に定められているどの事由に該当するかを判断します。
論理的な整合性と客観的な合理性が求められるため、調査は慎重かつ適正に実施する必要があります。
本人への聴取に加え、関係者への確認や客観的証拠の収集を行い、十分な事実確認を行うことが求められます。
(2)本人に弁明の機会を与える
次に、本人に対して弁明の機会を設け、問題行動に至った背景や現在の認識などを丁寧に聴取します。本人の弁明により追加調査が必要な場合は行い、情状酌量の余地についても検討します。
弁明の機会は、処分の妥当性を裏付ける重要なプロセスであり、調査資料や面談記録を適切に保管することが重要です。
(3)処分を決定する
最終決定に当たっては、諭旨解雇処分が妥当であるか、今一度精査します。
調査結果や本人による弁明を考慮し、事実誤認がないことを確認したうえで処分を決定しましょう。一部の管理職のみの判断とならないよう、担当者間で事実の共有を行うことも重要です。
(4)懲戒処分通知書を交付する
諭旨解雇が決定したら、解雇の30日前までに懲戒処分通知書を本人に交付します。これは、労働基準法第20条の解雇予告義務に基づく法的な手続きです。解雇の予告を行わない場合には、30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支給する必要があります。
諭旨解雇は退職届を受けて、雇用契約を解除するため、懲戒処分通知書には退職届の提出期限や、退職届を提出しない場合は懲戒解雇になる旨を記載しましょう。
(5)従業員からの退職届を受理する
従業員から退職届が提出された場合はこれを正式に受理し、定められた退職日をもって雇用契約を終了とします。もし、期日までに退職届の提出がなく、諭旨解雇の処分を拒否する場合には、懲戒解雇へ移行します。
このように、諭旨解雇には慎重な対応が求められます。諭旨解雇に伴うトラブルを未然に防ぐためにも、平常時からコンプライアンス意識を高め、適切な労務管理体制を構築しておくことが不可欠です。
諭旨解雇が違法・無効となる可能性があるケース
諭旨解雇は懲戒処分の一種であり、企業に一定の裁量が認められていますが、必ずしも全てのケースで有効と認められるわけではありません。
処分理由の妥当性や手続きの適正さを欠いた場合、裁判で違法・無効と判断されるリスクがあります。実際に、諭旨解雇や諭旨退職を巡って訴訟に発展し、会社側が多額の支払いを命じられた事例も少なくありません。
ここでは、諭旨解雇が無効と判断されやすい典型的なケースと、無効となった場合に従業員が請求できる権利について解説します。
解雇権濫用と判断される場合
諭旨解雇であっても、解雇権の濫用に該当する場合は無効とされます。
労働契約法では、解雇は「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」と認められなければならないと定められています。違反行為の内容に比べて処分が著しく重い場合や、十分な調査や弁明の機会を与えずに処分を決定した場合には、解雇権濫用と判断される可能性があります。
実際の裁判例でも、行為の悪質性や会社への影響の程度を考慮し、諭旨解雇が重すぎるとして無効とされたケースが存在します。
【判例(骨髄移植推進財団事件・東京地裁H21.6.12)】
<概要>
総務部長であった原告が、常務理事兼事務局長のパワハラなどの不適切行為を指摘する報告書を提出したところ、降格配転のうえ諭旨解雇された。
<判例>
東京地裁は、被告は報告内容を真摯に調査し適切に対処すべきだったにもかかわらず、これを怠り解雇に至ったとして、諭旨解雇は無効であり、被告には不法行為上の過失責任があると判断した。
出典:厚生労働省「解雇と不法行為に基づく損害賠償請求に係る裁判例」
無効となった場合に請求できる権利
諭旨解雇が無効と判断された場合、従業員は複数の法的権利を行使することが可能となります。
代表的なものは、解雇後も労働契約が継続していることを前提とした「地位確認」と、解雇期間中に支払われなかった賃金の請求です。
また、雇用契約の継続が認められた場合には、原職または相当の職務への復帰が命じられることもあります。
諭旨解雇を巡るトラブルは、企業・従業員双方に大きな影響を及ぼすため、慎重な判断と対応が不可欠です。
諭旨解雇をする従業員への対応
諭旨解雇の対象となる従業員に対して、会社はどのように対応したらよいのでしょうか。将来的なトラブルの発生を防ぐために、人事担当者が把握しておくべき重要なポイントを解説します。
処分決定の前に十分な改善指導を行う
諭旨解雇の妥当性は、処分決定以前の段階で対象者に改善の機会を与えたかどうかが影響します。上司や人事担当者が十分な改善指導を行ったにもかかわらず、改善が見られなかった場合は、その経緯を記録しておきましょう。
懲戒処分を段階的に行う
問題のある従業員に対し、懲戒相当の事由が認められる場合、戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇と段階的に措置を講じます。
段階的な対応を経ずに重い懲戒処分を実施すると、「改善の機会を十分に与えていない」と見なされる可能性があり、最終的な諭旨解雇処分の合理性が否定されるリスクがあります。
対話を通じたコミュニケーションを心がける
諭旨解雇を巡っては、従業員側が処分を不服として、紛争・係争に発展する例が多くあります。このような事態を避けるために、会社側は処分の妥当性や合理性を確保するとともに、従業員との対話を通じたコミュニケーションを心がけましょう。
処分の趣旨を丁寧に説明し、従業員が納得したうえで受け入れられるよう働きかけることも、上司や人事担当者の重要な役割です。
諭旨解雇は適切に運用しよう
諭旨解雇は、従業員の重大な違反行為に対して適用される懲戒処分の一種です。企業は就業規則を整備し、従業員への周知を徹底したうえで、慎重に対応する必要があります。
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