リフレクションとは?|振り返りによって新しい行動を起こすためのフレームワーク

published公開日:2023.05.09
目次

人材育成の分野においてリフレクションが注目されています。リフレクションとは自分の仕事を振り返り、次のアクションや対応を考えることです。

本コラムでは、リフレクションが業務にもたらす効果や取り入れ方について解説しています。社内の人材育成でリフレクションの導入を検討している方は、ぜひお役立てください。

リフレクションとは

社内の人材育成にリフレクションを取り入れるには、リフレクションの概念について把握しておかなければなりません。
ここではリフレクションの意味や、フィードバック・反省との違いについて解説していきます。

リフレクションの意味

英和辞典を用いてリフレクションの意味を調べると、物理的な反射や内省などと記されています。

人材教育におけるリフレクションは日々の仕事を振り返り、自分の仕事のあり方や目的を見つめ直すことです。
つまりビジネスでのリフレクションには、内省が当てはまります。

リフレクションでは失敗・成功を問わず、すべての物事を客観視しなければなりません。仕事の見つめ直しを行った結果、
今後の行動や思考をどうすべきかを考えることがリフレクションであると定義されています。

振り返りやフィードバック、反省との違い

リフレクションと似た行動にフィードバックや反省がありますが、厳密にはフィードバック、反省のどちらとも定義が異なります。リフレクションでは自分の行動に対して、自分自身が評価を行います。しかし、フィードバックで評価を行うのは、上司や管理職などの第三者です。

また、反省はミスの理由や原因究明に焦点を当てています。一方でリフレクションは原因究明を行ったうえで、今後の行動をどう改善するかまで考えているのが特徴です。

リフレクションが必要とされる背景

今の時代に組織が成長するためには、リフレクションによる個人の成長が欠かせません。リフレクションが必要とされる背景には、以下のような理由があります。

  • ●自分の経験から学び、今後の行動に活かすため
  • ●調和性:他者への共感や思いやり、協調性
  • ●個人が自らの意志で行動する意識を鍛えるため
  • ●個人の強みを活かして、組織全体の強化を行うため

従来は足並みを揃えて1つの目標に取り組むことが重要視されていました。しかし、現代では多様性が認められており、個人の強みを活かして組織全体を成長させる考え方が主流です。従来のやり方で人材教育を行い続けても、時代の流れに取り残されてしまうでしょう。

部下や社員にリフレクションを行わせることでリーダーシップを養えば、業績向上にもつながります。組織全体が成長して業績や生産性の向上を目指すには、リフレクションの導入が必須です。

リフレクションの歴史

リフレクションのルーツは、アメリカの教育学者であるデューイの実践的認識論にあると言われています。
実践的認識論では、経験から得られる学びを2つに分類しています。

  • ●トライアル&エラーにより得られる試行錯誤的な学び
  • ●自分の行動と結果の因果関係から得られるリフレクティブな学び

現代のビジネスにおいて注目されているリフレクションは、後者の学びを元としています。デューイは、周りの状況を観察し、過去の似たような事象と結びつける。さらに自己の知識と観察結果を関連づけて、今後の行動を導き出すことがリフレクション・シンキングであると定義しています。デューイが定義するリフレクション・シンキングを行えば、現状から判断して計画を策定することが可能です。

リフレクションの取り入れ方

社内にリフレクションを取り入れるには、実践するステップの把握が必要です。また、適切にリフレクションを実践するために、間違ったリフレクションについても確認しておきましょう。

リフレクションを実践する3ステップ

1.出来事をピックアップする

リフレクションを行うには、自分の仕事に対する行動を振り返りましょう。実際に起こった事実を脚色することなく思い返します。例えば「取引先の担当者へ自社の新商品を提案した」と言ったように、出来事をシンプルにピックアップします。
出来事をピックアップする際には、内容の良し悪しを判断する必要はありません。

そして、ピックアップした出来事を細かいステップに分けてください。細かいステップに分けるのは、振り返りを行う際に、より深く分析するためです。今回の例であれば、自社の商品を提案するまでの行動を細かく書き出してみましょう。

2.ピックアップした出来事を客観的に振り返る

ピックアップした出来事をいくつかのステップに分けて書き出したら、客観的な振り返りを行ってください。

経験した出来事の結果とそこに至るまでの行動には、必ず因果関係があります。出来事が起きた際の状況や周囲の環境、関わった人物の感情がどのように変化していたのかなどを、細かく振り返りましょう。

このステップでは、出来事に対しての良かった点・悪かった点についても判断します。「何ができていて、何ができていなかったか」「他に何かできることはあったのか」など、理由や原因についてしっかり深掘りして振り返りましょう。

3.振り返った内容をもとに再構築する

振り返りにより「できていたこと」「できたはずだったこと」を分析したら、それをもとに仕事の流れを再構築していきます。ここで言う再構築とは、同様の出来事が起こったらどうするかを考えること。自分の行動や思考を客観的に振り返ったことで、次に同じような状況に直面したら、どのような行動を取るべきかの答えが出ているはずです。

リフレクションの目的は、次回の行動をより良い結果につなげることにあります。失敗した原因から改善点を探して、「もう1回同じことをするなら」という視点で考えることが大切です。また、出来事を振り返った際の思考は、今後に活かせるようにまとめておきましょう。抽象化すると、応用が利きやすいのでおすすめです。

間違ったリフレクションとは

失敗の原因を他者や外部のせいにする

失敗の原因を他者や外部のせいにすると、リフレクションの効果を得られないので注意しましょう。起こってしまったことの責任の所在を他者に追求しても、学びを得て今後の行動や思考に活かせないからです。リフレクションにおいて、責任の追求は必要ではありません。

リフレクションでは失敗の責任よりも、その時に取るべきだった行動が重要視されます。また、責任の追求は、人間関係の悪化や自己否定にもつながりかねません。「誰に責任があるのか」という自己弁護の視点で考えず、「どのような改善策があるか」という視点で思考を進めましょう。

原因ばかりを追究しようとする

「なぜこのような失敗が起きたのか」を追求することは、ミスの再発防止につながります。しかし、失敗の原因にこだわりすぎると、狭い視野で振り返りを行い、リフレクション本来の目的を忘れてしまうでしょう。

リフレクションは過去の出来事や経験から、次に取るべき行動や思考を模索するためのフレームワークです。失敗の原因だけにスポットを当ててしまうと、対策を考える思考を成長させられません。失敗の原因追求だけでなく、「どのような行動を取れば上手くいっていたか」を重視してリフレクションを進めてください。

再構築せず学習しない

リフレクションの目的は、失敗から学びを得て行動や思考を改善することにあります。しかし、過去の出来事を振り返って整理するだけで、満足してしまうケースが多々あります。リフレクションの効果を得て個人や組織を成長させるには、具体的な改善策まで考えることが重要です。。

振り返りは行っても再構築ができないと、そこから学びも得られません。過去の出来事をもとに「どのような思考・行動を取れば求める結果が得られるのか」まで落とし込んで、リフレクションの効果を最大限に引き出しましょう。

リフレクションが業務にもたらす3つの効果

社内の人材教育にリフレクションを導入すると、個人だけでなく組織全体にもメリットが期待できます。
リフレクションが業務にもたらす効果は以下の3つです。

  • ●改善策が出てきやすくなる
  • ●リーダーシップのある人材が育成できる
  • ●チームメンバーが成長することで生産性が向上する

改善策が出てきやすくなる

リフレクションは過去の出来事を客観的に振り返り、「できていなかったこと」や「できたかもしれない」ことを考えるためのフレームワークです。リフレクションの実践を続けることで、社員の主体性向上につながります。

主体性が向上すると、指示を受けなくても社員が自発的に考えるため、普段の業務や課題に対しても振り返りが行われ、改善策が出てきやすくなります。

業務や課題において改善策をスムーズに出すには、一人ひとりの社員が自分の頭を使って思考することが重要です。個人の思考力が高くなると、組織全体で目標を達成する力も強まります。

リーダーシップのある人材が育成できる

リフレクションの実践が習慣になれば、客観的に状況を判断する能力が身に付きます。すると、自身のことだけでなく、組織の課題に対しても当事者意識が醸成され、リーダーシップを発揮する人材が出てきます。

物事を冷静に俯瞰する力は、チームをけん引するリーダーや管理職に必要不可欠です。また、自身がリフレクションによって成長できたと実感していれば、それを周りへ波及してくれるようになります。個人のリフレクションからチームや組織と、振り返りの視野が広がることも利点です。

チームメンバーが成長することで生産性が向上する

リフレクションの導入は、社員一人ひとりの業務改善につながります。自分が過去に行った仕事に対して客観的に振り返るため、同じミスが起こりにくくなる、より良い作業方法が見つかるといった利点があります。さらに、チームメンバーの一人ひとりが成長することで、結果として組織全体の生産性が向上します。企業の生産性を向上させる方法を検討している場合は、リフレクションを取り入れてみてください。

リフレクションを人材育成に取り入れよう

リフレクションは、過去の出来事を客観的に振り返ることで個人の成長を促すフレームワークです。個人個人の能力が成長すれば、組織が活性化するため、企業全体の成長にもつながります。しかし、社内でリフレクションを実践する際には、適切な方法で行わなければ最大の効果を発揮できません。リフレクションに取り組む社員も、目的を理解していることが重要です。

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