ジョハリの窓とは?4つの窓の例と研修・グループワークでの実践方法

update更新日:2025.06.06 published公開日:2024.03.28
ジョハリの窓とは?4つの窓の例と研修・グループワークでの実践方法
目次

ジョハリの窓とは、自己分析と他者評価を組み合わせて「開放・秘密・盲点・未知の窓」という4つの窓で自己理解を深める心理学モデルです。ビジネスシーンでは、チームの相互理解や組織力向上を目的とした研修やグループワークで広く活用されています。

本コラムでは、ジョハリの窓の基本概念や各窓の具体例、診断方法、実践のやり方、そしてビジネスにおける具体的な応用例について詳しく解説します。

ジョハリの窓とは?目的と基本概念

ジョハリの窓は、1955年にアメリカの心理学者ジョセフ・ルフト(Joseph Luft)とハリー・インガム(Harry Ingham)によって考案された心理学モデルです。人間関係における円滑なコミュニケーションを促進するために開発されました。

この心理学モデルでは「4つの窓」と呼ばれるフレームワークを使い、自己認識と他者からの評価の相違を理解しやすくする点に大きな特徴があります。例えば、自分では「論理的に話せる」と思っていても周囲からは気づかれていない場合や、逆に自分では意識していなくても「聞き上手である」と周囲から評価されているといった認識のズレを可視化できるのです。

ジョハリの窓を実践することで効果的なコミュニケーションを実現できれば、組織やチームの結束力強化や、顧客との関係改善につながります。そのため、リーダーシップ開発やコーチング、チームビルディングなどの分野で幅広く活用されています。

ジョハリの窓における「4つの窓」の特徴と具体例

ジョハリの窓は、「自分が知っているか否か」と「他者が知っているか否か」という2つの軸から、自己の特性を「開放の窓」「秘密の窓」「盲点の窓」「未知の窓」という4つの領域に分類します。この4つの窓への振り分けを通して、自分の認識と他者からの評価のズレを明らかにしていきます。

【ジョハリの窓における「4つの窓」】

自分が知っている 自分は知らない
相手が知っている 開放の窓
(open self)
盲点の窓
(blind self)
相手が知らない 秘密の窓
(hidden self)
未知の窓
(unknown self)

それでは、それぞれの特徴と具体例を確認していきましょう。

開放の窓(open self)

開放の窓(open self)は、自分も他者も知っている特性です。言い換えれば、自己認識と他者の認識が一致している領域です。

例えば、自分が明るく社交的だと自覚しており、周囲の人々からも「あなたは明るい性格で社交的だ」と評価されている場合、これは開放の窓に入る特性だといえます。

開放の窓は、自己開示している部分であるため、ポジティブな特性がこの窓に多く含まれるほど、他者との信頼関係を築きやすくなります。

【「開放の窓」の特徴と具体例】

特徴 具体例
開放の窓 自己開示の領域
自分と他者の両方が知っている情報や特性
名前、外見、職業、趣味、スキル、経験など

秘密の窓(hidden self)

秘密の窓 (hidden self)は、自分は知っているものの、他者には知られていない特性です。ポジティブな面だけでなく、コンプレックスやトラウマなども含まれます。

秘密の窓が大きいということは、自分に関する多くの情報を隠している状態です。そのため、コミュニケーションに制約が生じることもあります。コミュニケーションを円滑にするには、秘密の窓を小さくして、開放の窓を広げる必要があります。

【「秘密の窓」の特徴と具体例】

特徴 具体例
秘密の窓 本人のみが知っている情報や特性
秘密、プライバシーに関連する情報
個人的な感情、過去のトラウマ、個人的な目標、内的な信念、秘密の恐れ、不安など

盲点の窓(blind self)

盲点の窓 (blind self)は、自分は気づいていないが他者は知っている特性です。他者から「あなたは○○な性格ですね」と言われて驚いた経験があれば、それが盲点の窓に該当します。ここから、思いがけない長所や短所が見つかることもあります。

盲点の窓は、他者からのフィードバックやアドバイスを通じてその内容を知ることで、自己認識を向上させ、成長の機会につなげられます。自分では気づいていなかった長所や短所を発見する機会となり、今後の成長ポイントの分析にも役立つでしょう。

【「盲点の窓」の定義と具体例】

特徴 具体例
盲点の窓 他者が知っているが、自分が気づいていない情報や特性 他者からの評価、フィードバック、自己が認識できていない特性など

未知の窓(unknown self)

未知の窓 (unknown self)は、自分も他者も知らない特性のことです。未知の才能や潜在的な能力などがここに含まれます。

未知の窓を縮小するには、新たなことに積極的に挑戦していく必要があります。新しい経験や人との交流の中で、「もしかして自分はこういう才能があるかもしれない」という気づきが生まれたとき、それまで未知の窓にあった特性が秘密の窓(自分だけが知っている特性)や盲点の窓(他者だけが気づいている特性)に移行します。

【「未知の窓」の特徴と具体例】

特徴 具体例
未知の窓 自分も他者も知らない情報や特性
潜在的な可能性や未知の領域
未知の才能、潜在能力、将来獲得するスキルや能力、新しい興味や経験など

ジョハリの窓をビジネスに活用する目的とメリット

ジョハリの窓は自己理解と他者理解を深める心理学モデルですが、ビジネスシーンでも大きな効果を発揮します。日々の業務において様々なメリットをもたらすこの手法について、以下の5つの側面から解説します。

自己開示につながる

4つの窓のうち、開放の窓の特性を増やすことは、自己開示の促進につながります。自己開示は、信頼構築の基盤となるものです。特にリーダーシップにおいては、率直で適切な自己開示が他のメンバーとの関係性を強化したり、コミュニケーションにおける文脈を把握したりするうえで重要です。

メンバー同士の自己開示は「悪意があって言っているわけではない」「○○という事情があるから、今は対応できない」といった背景事情の共有にも役立ち、不要な摩擦を軽減できます。また、チームの意思決定の場では、お互いが率直な意見やアイデアを出し合うことで、より効果的な分析や円滑な合意形成が可能になります。

フィードバックと成長の機会になる

「盲点の窓」や「未知の窓」のように、自分では気づいていない特性を知ることで、成長につなげられます。上司やリーダーの立場にある人は、これらの情報をもとにフィードバックを行うことで、メンバーの改善点を具体的に分析・指導できるでしょう。

成長を促すには、目標と現状をしっかり把握したうえで、今後どのような取り組みをしていくべきか明確にしなければいけません。ジョハリの窓は現状把握のツールとして活用できるとともに、今後解決すべき課題のヒントも提供してくれます。個人のスキル向上やパフォーマンス改善ができれば、組織全体の競争力向上にも寄与するでしょう。

コミュニケーションの改善につながる

秘密主義のメンバーが多い職場では、コミュニケーションがスムーズにいかないことがよくあります。秘密主義でなくても、「自分が理解していれば十分」という姿勢では、報告・連絡・相談が効果的に機能せず、業務に支障をきたす恐れがあります。

ジョハリの窓は、個人の特性や状況について自分と他者の両方が共有する情報の拡大を目指します。これは、自己開示を進めるということです。

仕事に必要な自身の情報(スキル・経験など)やアイデアなどを共有すれば、お互いの発言の意図をくみ取りやすくなります。コミュニケーションにおける誤解や対立が減少し、より建設的な対話を進めることができるでしょう。

また、ジョハリの窓をもとに個別面談でフィードバックを行えば、どのような点が課題となっているかを、根拠を持って伝えられます。フィードバックを受ける側も指摘を受け入れやすくなり、対処能力の向上につながります。

他者から評価される機会になる

ジョハリの窓を用いた分析では、特定の目的や範囲に限定することで、ポジティブなフィードバックを中心に受けたり、これまでの取り組みを評価する機会を作り出したりできます。

ここで重要なのは、開放の窓で「自分の努力が評価されている」ことを確認するだけでなく、盲点の窓で「自分は気づいていなかったが、他者から評価されている」項目にも目を向けることです。自分が気づいていなかった長所や行動を認識することで、「こうあるべき」「自分はこういう人間だ」という思い込み、固定観念を変えられるかもしれません。

さらに、定期的にジョハリの窓を実践することで、他者からの評価を受け止め、自己分析する習慣が身につきます。部署やチーム全体にこのような姿勢が広がれば、互いに建設的な評価を行う風土が育まれるでしょう。

人材育成や社内研修にも活用できる

ジョハリの窓の活用メリットは、人材育成や特定分野の社内研修にも大きく貢献します。

例えば、スキルアップ研修でのスキルの棚卸しをする際は、自分一人で考えるよりも同じ組織にいる人からの評価と併せて考えた方が、より内実のある棚卸しが可能になります。「自己評価の高いスキル」と「他者評価の高いスキル」を比較しながら、組織活動に適した形で分析できるからです。

管理職のマネジメント研修においても、

  • コミュニケーションの取り方
  • 業務指示の出し方
  • フィードバックのやり方
  • フィードバックの内容

などについて、部下へのヒアリングや研修内ロールプレイを行い、その後、ジョハリの窓を使った分析につなげられます。

受講者個人の特性や強み、課題を他者目線での評価を含めて分析することで、今後のスキルアップや改善に向けて、モチベーションを高めていくことができます。

ジョハリの窓を用いたグループワーク研修のやり方

では、ジョハリの窓のやり方を実際の工程に合わせて見ていきましょう。今回は、社内研修でジョハリの窓を実践する手順を中心にご紹介します。

大まかな流れは以下の通りです。

  1. (1)メンバーを集める
  2. (2)各窓について記入する用紙を用意する
  3. (3)特性の用紙に記入してもらう
  4. (4)4つの窓に特性をまとめる
  5. (5)分析とフィードバックを行う

(1)メンバーを集める

まず、ジョハリの窓を実践するメンバーを決めましょう。研修の目的や評価する分野に合わせて参加者を選定します。

例えば新人研修でビジネスコミュニケーションを学ぶ場合は、ロールプレイやグループワークを行った後に、ジョハリの窓で長所と課題を把握するという流れが効果的です。この際、新人だけでなく、ある程度のスキルを持つ中堅社員も各グループに1人加えると、より多角的な視点が得られます。

中堅メンバー向けの研修であれば、リーダーシップやマネジメントスキルの評価と課題抽出を目的に実施してもよいでしょう。「営業職のマネージャー」など分野ごとに集める方法もありますし、会社全体の方向性の確認や現状課題の分析という大きな視点で、部署横断的にマネージャーを集める方法もあります。

参加人数は、5〜10人程度が理想的です。それ以上になる場合は、1グループ5人程度に分けて実施しましょう。

なお、ジョハリの窓は自己分析を伴うため、精神的な負担が生じる可能性があります。メンタルヘルスに課題がある人や、他者の前での自己開示に抵抗がある人には配慮が必要です。無理に参加させるのではなく、手挙げ制でメンバーを集めたり、信頼関係をしっかり構築できているメンバーを集めたりするなど、参加者への配慮も忘れないようにしてください。

(2)各窓について記入する用紙を用意する

参加メンバーが決まったら、次は必要資料を準備します。

準備する用紙は2種類あります。ひとつは特性を記入する用紙で、人数分の枚数が必要です。例えば1グループが5人なら、合計25枚用意し、各自に5枚ずつ配ります。この用紙には、あらかじめ20〜30個の特性を選択肢として記載しておくと便利です。チェック形式にすることで記入の手間を省き、相手を傷つけてしまうような不適切な表現を避けることができます。

特性の選択肢は、リーダーシップやコミュニケーション能力など、研修目的に合わせて作成しましょう。ポイントは、ネガティブな表現をなるべく避け、「説明が具体的」「手順を丁寧に説明している」「声が明るい」「話すスピードがわかりやすい」など、ポジティブな特性を中心に記載することが重要です。

ビジネスシーンで活用できる特性の選択肢として、以下のような例が考えられます。

【ビジネスにおける特性の選択肢の具体例】

カテゴリー 特性
コミュニケーション関連
  • 聞き上手である
  • 簡潔に説明できる
  • 相手の立場に立って話せる
  • 論理的に話せる
  • 適切なタイミングで質問できる
リーダーシップ関連
  • 目標を明確に示せる
  • メンバーの強みを活かせる
  • 公平に評価できる
  • 率先して行動できる
問題解決能力関連
  • 本質的な課題を見抜ける
  • 多角的に物事を考えられる
  • 創造的な解決策を提案できる
  • 決断力がある
  • 冷静に状況を分析できる
チームワーク関連
  • 協力的である
  • 信頼感がある
  • 約束を守る
  • 感謝の気持ちを表現できる
  • 建設的なフィードバックができる
仕事の進め方関連
  • 計画的に行動できる
  • 時間管理が上手い
  • 細部まで気を配れる
  • 柔軟に対応できる
  • 優先順位をつけられる

また、性格特性に関する項目も加えると、より多角的な分析が可能になります。例えば「明るい」「真面目」「粘り強い」「思いやりがある」「誠実である」などの性格特性も、コミュニケーションやチームワークに大きく影響します。

もう一方の用紙は、「開放の窓」「秘密の窓」「盲点の窓」「未知の窓」の4つの窓のフレームが印刷された用紙で、各メンバーが自身の特性を分類するために使います。1人1枚必要です。

(3)特性の用紙に記入してもらう

グループワークを始める際は、各メンバーに特性を選ぶ用紙5枚と4つの窓が印刷された用紙1枚の計6枚を配ります。

そして、進行役が次の流れに沿ってルールを説明します。

  • ジョハリの窓の概要と意義
  • 今回の分析の目的
  • 特性評価の際の注意点(ポジティブな表現を心がけるなど)
  • 用紙の使い方
  • やり方や特性の選択肢に関する質問への回答

記入は、特性の用紙から始めます。用紙上部に評価対象者の名前を記入し、その人に当てはまると思う特性にチェックを入れていきます。全員分の記入が終わったら、自分自身の特性を書いた用紙以外を回収し、評価対象者ごとに仕分けして本人に渡しましょう。

(4)4つの窓に特性をまとめる

各メンバーの手元に自分が評価された用紙が渡ったら、4つの窓への振り分け作業に移ります。自分が選んだ特性と他のメンバーが選んだ特性を比較し、以下のように分類していきます。

  • 開放の窓:自分も他者も選んだ特性
  • 秘密の窓:自分は選んだが、他者は選ばなかった特性
  • 盲点の窓:自分は選んでいないが、他者が選んだ特性
  • 未知の窓:自分も他者も選ばなかった特性

振り分け作業は、以下のような流れで進めていくとよいでしょう。

  1. ①自分が選んだ項目のうち、他者も選んだ項目に青のマーカーでしるしをつけ、開放の窓に記入する
  2. ②自分も他者も選んでいない項目に赤マーカーで印をつけ、未知の窓に記入する
  3. ③自分は選んでいないが他者が選んだ項目に緑マーカーで印をつけ、それを盲点の窓に記入する
  4. ④残りの項目(自分だけが選んだもの)を秘密の窓に記入する

もちろん、この順番でなくても、各自が進めやすい方法で構いません。

(5)分析とフィードバックを行う

4つの窓への振り分けが完了したら、分析とフィードバックの段階に入ります。特に重要なのは盲点の窓と秘密の窓です。

盲点の窓については、自身で気づいていなかった特性について、なぜ他のメンバーがそう評価したのか互いに伝え合いましょう。できるだけ具体的なエピソードも合わせて話すと、理解が深まります。すぐには納得できない評価でも、「周囲からはそう見えている」という事実を知ることで、新たな気づきが生まれることもあるでしょう。

秘密の窓については、全てを共有することに抵抗がある人がいるかもしれません。そのため、まずは本人が「どの項目なら共有できるか」「どう表現すれば共有しやすいか」といったことを考えられる時間を設けましょう。結果として、秘密の窓から1つでも周囲に共有でき、開放の窓に移すことができれば、本人の自己開示が進み、チームの信頼関係構築にもつながります。

フィードバックを行う際は、改めて伝え方に工夫が必要であることを伝えてください。ネガティブな表現は、自己開示を遠ざけてしまいます。司会者はなるべくポジティブな表現に言い換えるよう促し、他のメンバーも必要に応じてリフレーズを助けてあげましょう。

繰り返しになりますが、自己開示をしたくないメンバーを無理に参加させないよう、事前の配慮も必要です。

ジョハリの窓のビジネスへの応用例

ジョハリの窓は、様々なビジネスシーンで実践的に活用されているフレームワークです。リーダーシップの強化からチームビルディング、顧客満足度の向上まで、その応用範囲は幅広く、組織の成長に大きく貢献します。

以下に、ジョハリの窓の主な活用例を3つご紹介します。

より効果的なリーダーシップを発揮するために

ジョハリの窓は、より効果的なリーダーシップを発揮するために活用できます。

例えば、チームメンバーとの信頼関係の強化。ジョハリの窓で共通認識や他メンバーによる評価を知るとともに、必要に応じてさらなる自己開示を行うことで、より円滑なコミュニケーションと良好な人間関係構築につながります。

メンバーが安心して仕事ができるよう、リーダーが積極的に自己開示すれば、指示やコーチングもしやすくなります。リーダーとして自身が求められていること、各メンバーが求められていることを知るヒントにもなりますし、各自の得意分野に合った業務の振り分けにも役立つでしょう。

チームビルディングに

チームメンバーは、盲点の窓の活用で他者評価を適切な自己認識につなげるとともに、秘密の窓や未知の窓の分析・共有で新たな特性がオープンになります。

誰がどのような特性を持ち、それがチーム全体としてどのように寄与するのか、ジョハリの窓を通して考えてみましょう。強化すべき長所や改善点の可視化から、今後チーム全体あるいは各メンバーで取り組むべき課題を明確にできます。

お互いのことがわかる環境は、業務における協力や連携を促進します。誰がどのような点で困りやすいかを事前に把握しておけば、より積極的な助け合いにもつながるでしょう。安心してサポートを頼める環境づくりも可能になります。

こうした安心感、信頼感により、より強固なチームをつくれるでしょう。

社員のホスピタリティ強化に

ジョハリの窓は、顧客との良好な関係づくりにも活用できます。ジョハリの窓のフレームワークによって、自社商品・サービスの認知度や評価を整理し、社員のホスピタリティ強化に活用するのです。

顧客満足度を高めるホスピタリティは、顧客の維持につながるだけでなく、新規顧客の獲得にも良い影響を与えます。特に顧客との接点が多い営業担当者やカスタマーサービスにとっても、顧客満足度を向上させられれば、仕事上の大きなモチベーションとなるでしょう。

ホスピタリティ強化でジョハリの窓を活用する場合、まずは秘密の窓と盲点の窓に注目します。

社員にとっての秘密の窓は、その営業担当者やカスタマーサービス担当者が良いと思っている価値が十分に顧客に伝わっていない可能性を示しています。逆に、顧客側の秘密の窓は「顧客の真意」「実は改善してほしい点」に当たるでしょう。顧客の秘密の窓を見つけて積極的にアプローチすることが、顧客価値の創造や向上、ホスピタリティ強化につながります。

他方、盲点の窓は「顧客は感じているが、担当者が認識していない」という要注意の領域です。これを放置すれば顧客価値が下がり、クレームを招く恐れさえあります。盲点の窓の項目に対しては、早期の対策を講じなければなりません。

なお、未知の窓については、担当者と顧客との信頼関係がポイントになります。良好な関係性を前提として率直な意見交換をできれば、お互いが気づいていない価値や可能性をともに発見し、新商品・サービスの開発につなげられるからです。

現場における顧客とのコミュニケーション、顧客アンケートなどを分析する際に、ジョハリの窓のフレームワークを使って検討してみてください。