協調性を高め、組織力を強化する3つのポイントとは

published公開日:2023.04.26
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企業が組織として成果を上げるには、社員一人ひとりの協調性が欠かせません。組織において、1人だけで完結する仕事はほとんどなく、ほかの社員と連携して業務をこなす必要があるためです。社員同士、ひいては部署間の連携をスムーズにするためにも、社員の協調性を高めましょう。

本コラムでは、ビジネスシーンでなぜ協調性が求められているのか、どうすれば協調性を高められるのかを解説します。

協調性とは

協調性とは、立場や意見が異なる人々と協力して、同じゴールに向かって取り組む「能力」のことです。利害や立場を加味しながら、周りと連携して仕事を進めるために必要なスキルといえます。

一般的な特徴として、協調性がある人は、他者の意見を尊重しながら話し合いを進め、お互いが納得できる妥協点を探ることができます。不要な軋轢を生むことなく、スムーズに物事を運んでいることでしょう。

一方、企業が求める「協調性がある人」とは、上司や同僚と良好な関係を築き、課題の改善に取り組める人のことを指します。

なぜビジネスで協調性が大事なのか

協調性は業界や職種にかかわらず、あらゆるビジネスシーンで重視されています。なぜ仕事における協調性が必要とされるのでしょうか。協調性が重視される理由は、大きく分けて3つあります。

1人で行う仕事は実はとても少ないため

仕事をこなすには周りとの協力が不可欠です。上司や同僚だけでなく、取引先や顧客なども関わっており、1人で仕事を完結することはできません。

例えば、営業担当者の仕事について考えてみてください。資料作成はアシスタントが行い、営業方法は上司がロールプレイングでアドバイスを与え、契約後は別部署に引き継いでいるのではないでしょうか。1つの仕事のように思えても、実際には何人もの社員が関わっています。

複数の人が関わる以上、円滑な業務遂行には良好なコミュニケーションが必須。そのため、企業は社員に協調性を求めているのです。

組織の連携がスムーズになるため

仕事を円滑に進めるには、社外との連携も欠かせません。ビジネスの場では、利益とコストという考えのもと、Win-Winとなる関係の構築が理想です。

協調性の高い人は、相手の意見を尊重しつつ自分からも積極的に発言することができます。活発な議論を通してお互いの理解が深めていくことで、良好な関係づくりと連携をよりスムーズに進められるでしょう。ひいては、社員が能力を発揮しやすく、企業全体としても成果を上げやすい環境づくりにもつながります。

評価されやすいポイントであるため

協調性は多くの企業で人事評価の対象項目となっています。評価にあたっては、他のメンバーと連携して仕事に取り組んでいるかが見られます。

協調性の理解にはビックファイブ理論の活用を

組織としてメンバーに協調性を求める場合、ビッグファイブ理論を活用しながら「どのような要素が重要か」を検討すると 良いでしょう。

ビッグファイブ理論とは、1990年代に心理学者のルイス・R・ゴールドバーグ氏が提唱した性格分析の理論で、心理学の研究や適性検査に広く活用されている理論です。人の性格を独立した5つの因子 に分け、各因子に点数を付けることで、その人の性格を分析する点に特徴があります。

  • ●外向性:社会性や活発さ、外界への興味関心
  • ●調和性:他者への共感や思いやり、協調性
  • ●誠実性:考えや言動をコントロールする力、良心、責任感の強さ
  • ●神経症的傾向:ネガティブな刺激に対する耐性、感情や情緒面での不安定な傾向
  • ●経験への開放性:知的、美的、文化的に新しい経験への開放性

今回のように協調性について検討する際は、「調和性」に着目し、その点数をもとに分析するとよいでしょう。

協調性がある人の特徴

協調性がある人は職場の雰囲気を良くすると言われていますが、具体的にはどのような特徴を持っているのでしょうか。ここでは、主な特徴として3つをご紹介します。

明るく社交的である

協調性がある人の1つめの特徴は、明るく社交的であることです。物事をポジティブに考えているため、臆することなく他者と交流できます。さまざまな人と関わることで、広い視野を持つ人も珍しくありません。状況を適切に判断して問題解決のために自主的に行動したり、自分で目標を設定して取り組んだりする力を備えています。

変化の激しい現代社会において、ビジネスでは自主性・主体性が重要です。協調性とあわせて主体性も向上させていけば、大きな相乗効果を得られるでしょう。主体性については、以下の記事で詳しく解説しています。

「主体性とは?自主性との違いや発揮するための3つの要素とは」

規則やルールをしっかりと守る

2つめの特徴は、規則やルールを適切に守ることです。規則やルールは、メンバーをまとめ組織全体で活動を行うために不可欠なものです。会社でいえば、社内規定や就業規則、ビジネスマナーやモラルなどがこれにあたります。

協調性がある人は、他者と良好な協力関係を築くために、規則やルールを尊重する傾向にあります。一方で、一人ひとりの考え方や意見に耳を傾けているため、ルールに縛られすぎることもありません。ルールばかり重視して少しのミスも許さないといった考えには至らず、適度なバランス感覚を持っています。

負の感情をあまり表に出さない

3つめの特徴は、連携やコミュニケーションにおいてネガティブな感情をあまり表に出さないこと。言い方を変えれば、いわゆる「感情的」になってしまわないように気遣えるということです。

協調性のある人は、改善した方が良いことについては、きちんと意見を出します。時には、部下を厳しく指導することもあるでしょう。しかし、その姿勢はあくまで「対話」であり、一方的な押し付けや感情任せの叱責ではありません。

負の感情を見せない人の中には「自己主張がない」「目立たない」という日和見的な人もいますが、協調性がある人は「言うべきことは言う」「対話の姿勢をもっている」という点で大きく異なります。

協調性がない人の特徴

これに対して、協調性がない人は「自己中心的」「周りの雰囲気を壊しても気にしていない」といった印象を与えるケースが多いでしょう。

自分の意見を通そうとする

協調性がない人の場合、自分の意見を通そうとするため、「自己中心的な人」と思われるケースが多く見られます。相手の立場で物事を考えるのが苦手で、対話ではなく押し付けになってしまうのです。

ただ、周りの顔色や雰囲気を気にせずに意見できる姿勢は、時に大きな強みにもなります。自分のやり方を極めていくことが好きな傾向も見られますので、適材適所で働ければ成果がすぐに出ない仕事にも主体的に取り組んでくれるでしょう。

ルールや規則を守らない

2つめの特徴は、ルールや規則をあまり守らず、自分一人で物事を判断する点です。自分が正しいと感じている場合には、ルール違反も気にしません。

押しの強さは周囲と異なったアイデアにつながるプラスの側面もあります。しかし、ルールや規則に違反することには注意しなければなりません。たとえば、指定された場所以外で喫煙している程度のルール違反でも、そこの社員だと分かれば組織のイメージ低下につながります。ルールを破って資料の持ち出しを行えば、情報漏えいの恐れもあるでしょう。

ルール違反が見られる場合、知らなくて守れないのか、そもそも守る気がないのかを見極めましょう。前者なら社内教育で改善されますが、後者の場合はコストをかけて教育するべきかを考えなければなりません。

ネガティブな感情が表に出やすい

3つめの特徴は、感情を表に出しやすいことです。例えば、自分の意見が通らないと感情のコントロールがうまくできず不機嫌になったり、ピリピリした雰囲気を作ったりしてしまいます。ネガティブな感情を頻繁に表に出している場合、チーム全体のモチベーションが下がってしまうかもしれません。

ただ、ネガティブな感情を出している場合でも、急に人が変わったように感じられる場合は、心身面の不調が原因かもしれません。そのような場合は、相談の時間を設けるなどして話を聞いてみましょう。

社員の協調性を高める3つの方法

協調性がある・ないは、もともとの性格という面もありますが、スキルとして獲得し、高めることもできます。社員の協調性を高める方法をご紹介します。

方法1:組織体制を見直す

まずは、協調性が育つ環境や協調性が評価される体制になっているかを見直しましょう。目標や評価軸の周知不足によって、協調性の大切さが認識されにくい環境になっているかもしれません。

例えば、目標達成を個人の仕事でのみ設定している場合、他者との協力よりも競争意識が刺激され、「相手を蹴落としてでも自身を良く見せよう」など、協調性を発揮しにくい進め方になってしまいます。「発言する=自分の意見を押し通す」のように勘違いしている社員もいるかもしれません。

協調性が発揮されない原因を組織体制から洗い出してみることで、解決の糸口が見つかる可能性があります。横だけでなく縦のコミュニケーションも密に取り、目標設定や経営陣と社員の意見交換を行いましょう。

方法2:コミュニケーションの機会を増やす

部下の協調性を高めたい場合には、上司が協調性を発揮することが大切です。あわせて、社員同士のコミュニケーションの頻度をチェックしてください。いわゆる「報連相」です。進捗やミスの報告がきちんとされているか、仕事での困りごとを上司に気軽に相談できるかといった点で、社内コミュニケーションの質と量を測ります。

協調性を高めるには、上司が部下に関心を持ち、積極的にコミュニケーションを取りましょう。部下とのミーティングでは上司が一方的にフィードバックするのではなく、お互いに意見や改善点を出し合って対話し、理解を深めることが大切です。部下が自分から発言しやすい環境を整えてあげえて、コミュニケーションの機会を増やすことで、協調性を高めていきましょう。

方法3:チームビルディング研修を実施する

3つめの方法は、チームビルディングの施策を行うことです。チームビルディングとは、メンバーのスキルや能力を最大限に発揮させ、目標を達成できるチームを作りあげること。チーム全体とメンバー個人のことを考えて行動しますので、おのずと相手のことを考える機会が増え、協調性が磨かれます。

リーダーやリーダー候補の社員にチームビルディング研修を実施すれば、効率よく協調性やコミュニケーション能力、主体性を向上させられます。 リーダーの協調性によって組織内の関係性が強化され、メンバー全員の協調性を高められるからです。

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社員教育は早いほうが良い

協調性は円滑なコミュニケーションや組織のスムーズな連携に欠かせません。変化し続ける社会の中で企業が生き残るには、全社一丸となってゴールに向かうための社員一人ひとりの協調性が重要なのです。

協調性を高めるには、協調性の発揮を妨げている要因がないか、組織体制やコミュニケーション機会を見直してみましょう。加えて、チームビルディングなどで仕事に取り組む姿勢を改善することで、より協調性が高まる関係づくりが可能になります。

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