Z世代とは?特徴や価値観、育成のポイントを解説



Z世代は幼少期からインターネットやスマートフォンが身近にあり、SNSを活用しながら成長してきました。これまでの世代とは価値観が異なる部分もあり、企業においても育成やマネジメントの見直しが求められています。
本コラムでは、Z世代の価値観や特徴の理解を深め、育成するうえで重要なポイントについて解説します。
Z世代とは?
「Z世代」とは、一般的に1990年代の半ばから2010年代に生まれた世代を指します。具体的に1996~2012年生まれを指すこともあり、その場合、2025年現在では、1996年生まれが29歳、2012年生まれが13歳となるため、Z世代は10代半ばから20代後半の若い世代に当たります。
Z世代の定義と背景
Z世代は、アメリカの世代分類である「ジェネレーションZ(Generation Z)」に由来する言葉です。日本では、Z世代の多くは、バブル世代や団塊ジュニア世代の子どもに当たります。
Z世代の社会進出は2010年代後半から本格化し、現在はビジネスの中心層として活躍し始めています。
Z世代と似た呼び名
Z世代と同じ年代を表す言葉には以下のようなものがあります。
- デジタルネイティブ
- スマホ世代(iジェネレーション、iGen)
- ポストミレニアル世代
- 脱ゆとり世代
中でも「デジタルネイティブ」という言葉は、Z世代の最大の特徴を端的に表しているため、よく使用されます。Z世代は生まれたときからインターネットやスマートフォンに親しんできました。子どもの頃からデジタルツールを活用しており、YouTuberやインフルエンサーが多いのも特徴です。
Z世代とミレニアル世代の違い
Z世代より上の世代に、「ミレニアル世代(Y世代)」があります。ミレニアル世代とは、1980年代から1990年代半ばに生まれた世代のことで、新千年紀(ミレニアム)を迎えた2000年以降に社会進出することに由来した名称です。
ミレニアル世代はインターネットが世界中に普及する前に生まれ、幼少期から青年期にかけてIT革命をリアルタイムで経験してきました。
生まれたときからインターネットが身近にあったZ世代が「真のデジタルネイティブ」とされるのに対して、ミレニアル世代は「デジタルネイティブの先駆け」といえます。一方で、デジタルデバイスを使いこなしながら多様な価値観を受け入れる点などは、Z世代とミレニアル世代の共通点です。
Z世代と脱ゆとり世代の違い
「ゆとり世代」は一般的に1987年4月2日から2004年4月1日生まれを指します。その中でも、1996~2004年生まれは、小中学校時代に「脱ゆとり教育」を経験したため、「脱ゆとり世代」と呼ばれます。
Z世代の一部は脱ゆとり世代であり、デジタルネイティブとしての特性や、多様性を尊重する価値観が共通しています。
Z世代の価値観
Z世代は、独自の価値観を持ち、消費行動や働き方に影響を与えています。ここでは、Z世代の主な価値観について解説します。
コスパ・タイパを重視する
Z世代は、コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する傾向があります。コストパフォーマンスとは、価格の安さではなく、支払った金額に対して得られる価値の大きさを示します。
タイムパフォーマンスは効率的な時間の使い方を意味します。最近では、タイムパフォーマンスを重視し、大学の授業や映画など、動画を倍速で見る人が増え、話題になりました。
しかし、Z世代は単にコストや時間を節約したいだけではありません。Z世代は、情報量の多いデジタル社会において、自分にとって価値のある情報やコンテンツを取捨選択し、効率よく活用しているのです。
このような価値観は、消費行動だけでなく働き方にも影響を与えています。企業側としては、Z世代の特性を活かし、効率的な業務フローやタスク管理の仕組みを整えることが求められます。
自分の価値観を優先する
個性を重視し、自分の価値観に合った行動をするのもZ世代の特徴です。幼少期から個性を尊重する教育を受けてきたため、自分の好きなことや興味あることを大切にします。特に仕事においては、やりがいや充実感を求め、自身のスキル向上に意欲的です。そのため、1つのスキルを磨いてスペシャリストを目指す傾向が強いようです。
しかし、やりがいを感じられない仕事に対して、モチベーションを維持しにくい側面もあります。
Z世代の採用や育成においては、こうした価値観を理解したうえで施策を実行する必要があります。企業側はZ世代の強みや特性を活かし、スキルを発揮しやすい環境を整えることで、より高い成果を引き出せるでしょう。
Z世代の働き方の特徴
Z世代は2010年代後半から社会に進出しており、大きな存在感を示しています。これからの社会を担うZ世代の特徴を理解することは、円滑なコミュニケーションやより良い関係構築につながります。ここでは、Z世代の働き方の特徴を解説します。
デジタルネイティブでもPCスキルは低め
Z世代は、幼少期から日常的にインターネットやSNSを活用しています。そのため、インターネットを利用し、必要な情報に効率良くアクセスする能力に長けています。
具体的には、以下のような特徴があります。
- 非ネイティブ世代と比べて情報リテラシーが高い
- 情報の信憑性を慎重に判断する
- 検索する内容によって検索エンジンだけでなくSNSも活用する
一方で、Z世代はスマートフォンやタブレットには慣れているものの、パソコンの使用経験は多くありません。
業務で求められるパソコンスキルには個人差があるため、入社後の研修が必要になるケースもあります。PCスキル向上が必要な業務では、実践的な研修の導入も有効です。Z世代の強みであるデジタル適応力を活かしながら、スキルの習得を目指しましょう。
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社会問題や環境問題に関心がある
Z世代は社会問題や環境問題への関心が高い世代です。日本労働組合総連合会の調査では、Z世代の約9割が何らかの社会課題に関心があることが明らかになりました。特に関心があるテーマとしては、「経済・社会」「教育」「人権」「ジェンダー平等」「労働」などが挙げられています。*1
近年は「サスティナブル」という概念が社会的に注目され、2015年9月の国連サミットでは「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されました。これを受け、学校教育や企業活動など、様々な場面で社会的責任に対する意識が高まっています。
こうした意識の高さは、学校教育の影響も大きいと考えられます。2020年に環境省が実施した調査によると、「環境や社会の問題を意識した行動をとるようになった理由」を「学校で習ったり環境教育を受けたりしたから」と回答した割合は、29歳以下が約15%と最も高い結果となりました。*2
Z世代は10代の多感な時期に、経済の長期低迷や東日本大震災を経験し、社会の変化を身近に感じてきました。また、SNSを通じて国内外の社会課題に触れる機会も多く、こうした問題を自分ごととして捉える傾向があります。
*1 参照:日本労働組合総連合会「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」
*2 参照:環境省「令和2年度環境教育等促進法基本方針の実施状況調査(アンケート調査)」
多様性を尊重する
Z世代は、幼少期からSNSやインターネットを通じて様々な文化や価値観に触れてきた世代です。そのため、人種・国籍・性別をはじめとした多様性の受け入れに抵抗がなく、ダイバーシティに対する意識が高い傾向があります。
日本労働組合総連合会の調査によると、Z世代の関心が高い社会課題の1つに「ジェンダー平等」が挙げられています。特に、学生のZ世代は22.7%が「ジェンダーにもとづく差別」を選択し、最も関心の高いテーマであることがわかりました。*
Z世代は、性別やバックグラウンドに関係なく、誰もが公平に活躍できる環境を求めています。こうした価値観は、企業選びや職場環境にも影響を与えるでしょう。
企業は単に多様性を受け入れるだけでなく、一人ひとりが公平に活躍できる環境を整える必要があります。
*参照:日本労働組合総連合会「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」
柔軟な働き方を求める
Z世代は、勤務地や勤務時間、業務の進め方などにおいて、柔軟な働き方を重視する傾向があります。日本労働組合総連合会の調査でも、社会人Z世代が最も関心を持つ社会課題の1位は「長時間労働(ワーク・ライフ・バランス)」でした。*
Z世代は長時間労働に否定的な考えを持つことが多く、オンラインツールを活用しながら柔軟に業務を進めることを好みます。また、仕事とプライベートのバランスを取りながら、効率的に成果を出すことを重視します。
こうしたZ世代の特徴を踏まえ、企業は長時間労働の是正や、リモートワークやフレックスタイム制度の導入など、柔軟な働き方を選択できる環境を整えることが求められます。
Z世代を育成するうえで重要な4つのポイント
Z世代の育成には、従来の育成方針をアップデートし、新しい価値観や働き方に適したアプローチが求められます。Z世代の特性を理解し、適切なサポートを行うことで、能力を最大限に引き出せるでしょう。
ここでは、Z世代を育成するうえで重要な4つのポイントを紹介します。
(1)個性や人格を認めた対応をする
Z世代は、自分らしく働くことを重視する傾向があります。属性や所属、世代などで一括りにされることに抵抗を感じやすく、一人ひとりの個性を活かして働きたいと考えているのです。
そのため、育成する際は個人の強みや関心を考慮し、一人ひとりに合ったカリキュラムで指導することが大切です。社会人としての経験が浅いZ世代は、挫折した経験も多くありません。上司や育成担当者が適切なフィードバックとフォローを行い、自己成長を促す必要があります。
(2)デジタルネイティブならではの考え方を活かす
Z世代は、生まれたときからデジタル環境が整っている「デジタルネイティブ」です。業務の進め方やフィードバックの方法においても、アナログな手法にこだわらず、デジタルツールの活用が効果的です。
また、Z世代はコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視し、効率性を求める傾向があります。世代によっては「楽をしているのでは?」と感じるかもしれません。しかし、生産性の向上は企業にとっても大きな課題です。デジタルツールを積極的に導入することは、組織全体における無駄の削減や生産性の向上につながるでしょう。
(3)目的や意義は最初に伝える
Z世代は、目的や意義が明確でないとモチベーションを維持しにくい傾向があります。仕事を任せる前に、目的や意義を伝えることで納得感を持って業務を進められます。同様に、研修や練習においても、事前に何を学び、業務にどのように活かすかを理解できると、学習意欲が高まります。
この考えは、Z世代に限らず、他の世代にとっても効果的です。組織全体で目的や意義を最初に伝えることで、スムーズな業務遂行につながるでしょう。
(4)心理的安全性を高めるコミュニケーションを意識する
Z世代は、自由に意見を言える環境を求める傾向があるため、対話を通じて意見を交換することが大切です。
この背景には、心理的安全性の重要性があります。心理的安全性とは、簡単に言えば「異なる意見や新しいアイデアを発信しやすい関係性」です。心理的安全性が確保されると、メンバーが積極的に発言しやすくなるでしょう。
心理的安全性を高めるためには、日常的な雑談やカジュアルなコミュニケーションが大切です。仕事の合間やランチなどで短い会話を重ねることで、信頼関係を深めやすくなります。
ただし、一方的な決めつけや否定的な態度は、相手を萎縮させてしまう可能性があるため注意が必要です。Z世代を育成するうえでは、安心して質問できる環境を整え、一人ひとりの意見を尊重することが重要です。
Z世代と一括りにせず個を大切にしよう
Z世代の特徴や価値観について紹介しました。こうした特徴はあくまでも「そういった傾向がある」というものであり、Z世代全員に当てはまるわけではありません。大切なのは、「Z世代だからこうだ」と一括りに考えるのではなく、一人ひとりの個性に合ったアプローチをすることです。
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