中小企業のDX推進に必要なITリテラシーとは?

published公開日:2022.10.28
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IT技術の革新、迫りくる少子高齢化に伴う労働人口減少への対策として、官民を問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。今や大企業だけではなく、すべての企業が競争力の維持や強化のためにDXをスピーディーに進めていくことが求められています。一方で、何から手を付けていいかわからず取り組めない、そもそも社員にITリテラシーがない、という課題も挙がってきています。本コラムでは、中小企業がDXを推進するために、なぜITリテラシーを高めることが必要なのか、またその高め方について解説いたします。

ITリテラシーとは

そもそもITリテラシーとはどのようなスキルを指すのでしょうか?リテラシーとはもともと「読み書きができる能力」という意味です。ITリテラシーとは、ITツールやサービス、情報を使いこなし、業務を的確に且つスピーディーに処理する能力のことを指します。単なるPCの操作方法などではなく、ITをビジネスの問題解決に役立てたり、事業や業務を効果的に遂行したりすることができるかどうかがポイントとなります。

一般的に、ITリテラシーは「情報基礎リテラシー」「コンピューターリテラシー」「インターネットリテラシー」の3つのカテゴリーに分かれています。それぞれみていきましょう。

情報基礎リテラシー

情報を探し出したり精査したりと、正しく情報を見抜き活用する能力のことです。インターネットの普及により、だれでも簡単に大量の情報を収集することができる現代では、非常に重要なスキルといえます。

コンピューターリテラシー

PCやスマートフォンなどのデバイスを操作する能力のことです。業務により最低限の必要な能力は変わりますが、Word・Excel・PowerPointといったOfficeツールを設定する企業が多いです。日々の業務を円滑に進めるためには、全ての社員に身につけてもらいたいスキルです。

インターネットリテラシー

インターネットを活用する際に必要な、ネットワークやセキュリティに関する技術的な知識を理解する能力のことです。顧客情報等、膨大な機密情報を漏洩することのないように、従業員一人ひとりがしっかりと理解して、情報を取り扱う必要があります。

このように、ITリテラシーは3つのカテゴリーに分類することができます。ITリテラシーのスキルを持っていれば、業務が効率化できたり、情報化社会の現代で適切な判断をすることができます。

ITリテラシーが低いとどうなるか

ITリテラシーは、どれほど中小企業にとって必要な能力なのでしょうか。ITリテラシーが低い社員が多い企業がどのような弊害に直面するか見ていきましょう。

コミュニケーションが円滑に進まない

近年、リモートワークやWeb会議が急速に促進し、ITツールを活用したコミュニケーションが必要不可欠となってきました。もしITリテラシーが低い社員がいた場合、メール、チャット、会議など、様々な場面でコミュニケーションミスが発生し、業務の手戻りが発生する可能性が高くなるでしょう。

生産性が低下する

PCやスマートフォンなどを適切に使えないと、生産性の低下につながります。従来の紙や掲示板などのアナログ文化と比較すると、PCやスマートフォンを使用する現在は、圧倒的に業務スピードが速くなっており、生産性を大きく向上させるツールであることは明らかでしょう。ITリテラシーの低い社員に合わせると、組織全体の生産性が低下していきます。

セキュリティインシデントが発生する

情報の重要性の認識と取り扱い方について、正しい知識を持っていないと、セキュリティインシデントを発生する可能性が高まります。例えば、スパムメールを見抜けず、添付ファイルやURLをクリックし、重要な情報漏洩につながってしまう。USBメモリーなどの記憶媒体の紛失やメールの誤送信、フィッシングなどによるネットワークセキュリティの隙を突かれた企業ネットワークへの侵入による情報詐取等。これらは、ITリテラシーの欠如が招く大きなインシデントの事例です。一人の軽率な行動によりセキュリティインシデントを発生させてしまうと、企業の築いてきたブランドに大きなマイナスのイメージを与えるだけでなく、そのイメージを払拭するにはかなりの労力と時間が必要となるでしょう。

市場動向に沿った適切な戦略が立てられない

昨今、インターネットは、市場動向や競合他社の動きなどを知るために最も重要な手段の1つとなっています。市場動向を正しく把握し戦略を立てなければならない企業では、従業員のITリテラシーが低いことは致命的ともいえます。一方、インターネットは情報に溢れているため、デマや偽の情報に惑わされず、適切に情報を取捨選択していく力も必要となります。

以上のように、ITリテラシーが低い社員が多い企業は、様々な弊害が発生します。経営層だけでなく、社員一人ひとりが正しい知識を取得し、ITリテラシーを高めていくことが企業の成長に必要といえるでしょう。

ITリテラシーを高めるには

これらのITリテラシーはどのように高めることができるでしょうか。いくつかご紹介したいと思います。

環境の整備

まずは、会社としてPC、モバイル、クラウドなどデジタルデバイスや技術にアクセスしやすい設備・環境を整えることが必要です。最も重要なことは、社員がITツールや情報に接する機会を増やすことなので、これらのビジネス環境の整備は、必要不可欠な投資といえるでしょう。

社外研修の提供

社外研修では、自社内の常識にとらわれることなく、世間一般で必要とされているITリテラシーを身につけることができます。社内に育成できる指導者がいないという企業は活用するとよいでしょう。

資格取得の支援

資格取得をすることで、ITリテラシーの知識を習得できるだけでなく、ITリテラシーの高いことを証明することもできます。企業側が、資格取得時の受験費用や報奨金を支給する制度を設ける企業も多くあります。例えばITパスポート、基本情報技術者試験、MOSなどの資格があります。

さいごに

本コラムでは、ITリテラシーが必要な理由や高める方法についてご紹介しました。多くの中小企業では、DXを推進したくてもなかなか進められず、社員のITリテラシーの低さが経営課題の1つとなっている企業も多いことと思います。しかし、新たにITツールを導入することは、短期的にコストがかかることかもしれませんが、中長期目線では必要な投資ともいえます。まずは社員にITリテラシーの重要性を理解してもらい、ITリテラシー向上に向けて、一歩進めてみてはいかがでしょうか。
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