KPIとは?簡単にわかるビジネスでのKPIマネジメントとKPI設定のコツ

update更新日:2026.04.02 published公開日:2023.06.26
KPIとは?簡単にわかるビジネスでのKPIマネジメントとKPI設定のコツ
目次

KPIとは、「重要業績評価指標(Key Performance Indicator)」を指すビジネス用語です。

KPIは、企業の最終目標を達成するための中間指標であり、これを軸とした管理手法を「KPIマネジメント」と呼びます。

本コラムでは、KPIとは何か、KGIやKFSとの違い、KPIマネジメントのポイントや数値化できない目標の扱い方などをわかりやすく解説します。

KPIとは?意味とビジネス上の役割

企業の成長や目標達成のためには、進捗を「見える化」し、正しく評価・改善する仕組みが欠かせません。その中心的な役割を担うのが、「KPI(重要業績評価指標)」です。

KPIは、最終的な成果(売上や利益など)に到達するまでの過程を数値で管理するための指標であり、企業が今どの地点にいるのかを客観的に把握する羅針盤のような役割を果たします。

最初に、KPIとは何か、基本的な意味やビジネス上の役割、注目されている背景について解説します。

KPI(重要業績評価指標)とは何か

KPIとは、「Key Performance Indicator」の略語です。日本語では「重要業績評価指標」と呼びます。

例えば「売上を前年比120%にする」という最終目標(KGI)に対して、「商談数」や「成約率」などのKPIを設定することで、達成までのプロセスを段階的に管理できます。

KPIの設定と管理により、日々の業務が目標にどの程度貢献しているかを定量的に確認でき、組織全体の方向性を統一できます。

ビジネスにおいては、属人的な判断ではなく、データに基づいた意思決定とマネジメントを行うための基本的な仕組みとして活用されています。

KPIが注目される理由とビジネスでの役割

KPIが注目される最大の理由は、「成果に直結する行動を見える化できる」点にあります。

企業が大きな目標(KGI)だけを掲げても、現場でどのように行動すべきかが不明確では成果につながりません。KPIを管理すれば、日々の活動を定量的に評価し、どの取り組みが結果に貢献しているかを明確にできます。

また、KPIは上司・部下・チーム間の共通言語として機能し、目標の進捗を客観的に共有する手段にもなります。定期的にKPIを振り返ることで、早い段階で課題を発見し、戦略を軌道修正することが可能です。

このように、KPIは「データに基づく改善サイクル」を実現する枠組みとして、現代のビジネスマネジメントに不可欠な仕組みとなっています。

KPIとKGIなど関連指標・用語の違いをわかりやすく解説

KPIは単体で用いるものではなく、最終成果を示すKGI(重要目標達成指標)、成功要因を示すKFS、近年注目されるOKR(目標管理手法)などと密接に連携しています。

指標・用語 正式名称 概要
KPI Key Performance Indicator
(重要業績評価指標)
業績を評価するための重要指標
KGI Key Goal Indicator
(重要目標達成指標)
企業や組織の最終的な目標達成を測るための指標
KFS Key Factor for Success
(重要成功要因)
目標達成につながる成功要因を測る指標
OKR Objectives and Key Results
(目標達成のための主要な成果)
組織やチームが同じ課題に取り組むための目標管理手法

以下では、KPIと関連指標との違いを簡潔に整理し、それぞれの特徴を解説します。

KGI(重要目標達成指標)とは?KPIとKGIの違い

KGIとは「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」の略で、企業や組織が最終的に到達すべき「ゴール」を定量的に示す指標です。

KGIはKPIとの関係で捉えると理解がスムーズになります。例えば、KGIが「売上10億円」の場合、KPIとしては「新規商談数」「平均単価」「成約率」などが該当します。つまり、KGIが“結果”を示すのに対して、KPIは“行動と進捗”を測る指標なのです。

両者を組み合わせて設定することで、戦略と実行を一体化し、効果的なマネジメントが可能になります。

KPIとKFSの違い

KFSとは、「Key Factor for Success」の略で、「重要成功要因」という意味です。目標達成につながる重要な要因であり、より効率的・効果的な施策のために使われます。

KFSを特定するには、例えば次のような分析を行います。

  • 業界で高いシェアを持つ企業の強みと施策の分析
  • 業界でシェアは高くないが、リピート顧客が多い企業の強みと施策の分析
  • 顧客アンケートの結果から、商品・サービスに満足している点と不満な点の分析

KFSとKPIの違いは、KFSがKPI設定のもとになるデータやKPI達成に必要な手段である点です。複数のKFSの中から優先すべき要因を選定し、それに基づいて具体的な数値目標を設定したものがKPIです。

KPIとOKRの違い

OKRとは、「Objectives and Key Results」の略です。最終的に達成したい目標と、その目標達成に必要な成果を具体的に設定して、繰り返し改善しながら進める手法です。

例えば、OKRを用いて「○○の資格を取る」という目標を設定するとしましょう。次に決めるのは、「主な成果」です。具体的には、「テキスト学習を3周する」「3年分の過去問題の正答率を9割に上げる」などが考えられます。

KPIを用いる手法との主な違いは、目標設定の難易度やレビュー頻度にあります。

OKRで設定する目標は、必ずしも100%達成する必要はありません。そのため、7割程度の達成率でも構わないとされています。これに対し、KPIでは100%の達成が求められます。また、見直しについては、KPIよりもOKRのほうが頻繁に行われるのが特徴です。

OKRの詳細については、以下の関連コラムでも解説しています。

コラム「OKRとは?企業に導入するメリットや適切に運用するコツを解説」はこちら

KPI指標の具体例|部門別にわかりやすく紹介

KPIは、部署や職種の目標に応じて個別に設定されます。経営戦略の方向性は同じでも、現場で達成すべき具体的な数値はそれぞれの部門で異なるためです。

ここでは、営業・マーケティング・人事など、代表的な部門ごとにKPIの具体例を紹介します。どの指標を選ぶかは、最終目標(KGI)や成功要因(KFS)との整合性を意識することが重要です。

営業部門のKPI例(商談率・成約率など)

営業部門では、企業の売上や利益に直結する活動を数値化するKPIが中心となります。

KPIの例 概要
商談数 新規・継続の商談件数
アポイント取得率 架電やDMからのアポイント獲得率
新規顧客獲得数 新規顧客の獲得件数
リピート率 既存顧客の再購入率
平均顧客単価 顧客1人当たり平均売上額

営業部門でKPIを設定する際には、売上や受注数などの結果指標だけでなく、商談数・成約率・リピート率などのプロセス指標を組み合わせることが大切です。

KPIはチーム全員が理解しやすく、現実的かつ挑戦的な数値で設定するようにしましょう。

マーケティング部門のKPI例(CPA・流入数など)

マーケティング部門でよく用いられるKPIには、次のような指標があります。

KPIの例 概要
顧客獲得単価(CPA) 1人の顧客を獲得するための費用
顧客満足度 商品やサービスへの顧客評価度合い
Webサイト訪問数 サイトに訪れたユーザー数
クリック率(CTR) 表示に対するクリックの割合
SNSエンゲージメント率 投稿に対する反応や関心の度合い

マーケティング部門でKPIを設定する際は、「施策の目的」と「成果につながるプロセス」を明確にして、数値化できるKPIを設定します。部門によっては、単に数値目標を掲げるだけでなく、ブランド認知や顧客獲得などの目的に直結した指標を選ぶ必要があります。さらに、クリック率のような短期指標と、顧客満足度のような中長期指標をバランス良く組み合わせることも重要です。

人事・採用部門のKPI例(離職率・採用コスト・エンゲージメント率など)

人事・採用部門で代表的なKPIには、以下のようなものがあります。

KPIの例 概要
採用コスト 1人を採用するための総費用
離職率 一定期間内に退職した割合
定着率 採用後に在籍し続ける割合
従業員エンゲージメントスコア 仕事や組織への意欲・愛着度
有給取得率 取得された有給休暇の割合

人事・採用部門でKPIを設定する際は、「人材の確保」と「定着・活躍」の両面を意識することが重要です。採用コストや離職率など短期的な効率指標だけでなく、従業員エンゲージメントや定着率といった長期的な組織力の指標も併せて設定します。また、数値そのものの大小にとらわれず、職種・企業規模・業界特性に応じてKPIの基準を柔軟に設定しましょう。

カスタマーサポート部門のKPI例(応答率・解決率・顧客満足度など)

カスタマーサポート部門では、顧客満足を維持・向上させることが主要な目的です。その目標達成を支えるKPIとしては、以下の指標が代表的です。

KPIの例 概要
応答率 問い合わせに対応できた割合
一次応答までの平均時間 初回対応までにかかった平均時間
解決率 問題を最終的に解決できた割合
平均処理時間(AHT) 1件対応に要した平均時間
顧客満足度スコア(CSAT) 対応に対する顧客の満足度指標

カスタマーサポート部門でKPIを設定する際は、「顧客満足度」と「対応効率」の両立を意識することが重要です。応答率や平均処理時間(AHT)などの業務効率指標だけでなく、解決率や顧客満足度スコア(CSAT)といった品質面の指標も組み合わせることで、サービス全体の改善につながります。KPIは、顧客体験を改善するための施策として位置付けることが望まれます。

KPI管理とKPIツリー

KPIは設定するだけでなく、継続的に「管理(マネジメント)」することではじめて成果につながります。

また、KPI同士の関係を整理し、全体の目標と各施策の関連性を明確にする「KPIツリー」を作成することで、組織全体が同じ方向を向いて行動できるようになります。

ここでは、KPI管理の基本と、KPIツリーの目的・作成方法をわかりやすく解説します。

KPI管理(KPIマネジメント)とは?

KPI管理(KPIマネジメント)とは、設定したKPIを継続的にモニタリングし、改善サイクルを回すことで目標達成に導く仕組みです。

例えば、営業部門で「商談数」をKPIとして設定した場合、定期的にデータを確認し、増減の要因を分析することが重要です。結果が良ければ成功要因を共有し、悪ければ改善策を検討します。

このように、KPIは設定後の「運用」と「見直し」を通じて価値を発揮します。さらに、KPIを管理する過程ではPDCA(Plan→Do→Check→Act)のサイクルを活用し、実績をもとに柔軟に指標を調整していきます。

KPIツリーの目的と作成方法

KPIマネジメントでは、適切なKPIを設定する手段として「KPIツリー」を活用します。

KPIツリーとは、最終目標(KGI)から逆算して、必要な要素やプロセスを階層的に分解した図のことです。KPIツリーを作成する目的は、「どの行動が成果につながるのか」を明確にし、全員が同じ目標に向かって動けるようにすることです。

例えば、KGIを「年間売上10億円の達成」とした場合、その下に「新規顧客獲得数」「リピート率」「顧客単価」などのKPIを設定し、さらに「商談数」「成約率」「フォロー回数」などの具体的な行動指標へと分解していきます。

作成のポイントは、「上位目標に対して何がボトルネックになっているか」を考えながら、論理的に因果関係を整理することです。KPIツリーを使えば、各部門・個人の業務がどのように最終目標へ貢献しているかを可視化でき、組織全体で一貫性のある戦略を実行できます。

KPIツリーは、以下の手順でロジックツリーとして構築します。

【KPIツリーの作成手順】

  1. ①1番左(または1番上)にKGIを書く
  2. ②KGIの右(または下)に、KGIを達成するための要素を複数書く
  3. ③その右(または下)に、上の要素を構成する要素を書く
  4. ④以下、最小単位の要素・タスクにまで細分化していく

営業部門を例に、具体的に考察してみます。

KGIは売上です。売上には、成約数と1件当たりの売上額が関係しています。さらに、成約数には新規成約数とリピートによる成約数があり、新規成約数には商談数と成約率が、リピートによる成約数には既存顧客数とリピート率が関わっています。他方、1件当たりの売上額については、商品・サービスの基本価格とオプション価格の合計になります。

KPIツリーの図

こうしてKGI達成に必要な要素を細分化して出てきた各要素を数値化したものがKPIです。担当チームや担当者の個人目標に落とし込むと、KPIマネジメントの土台ができあがります。

KPI設定にはフレームワーク「SMARTの法則」を活用

KPIを効果的に設定・運用するうえで、特に重要とされるフレームワークが「SMARTの法則」です。

【SMARTの法則】

  • S:Specific(明確性)
  • M:Measurable(測定可能)
  • A:Achievable(達成可能)
  • R:Related(関連性)
  • T:Time-bounded(適時性)

具体的なポイントを1つずつ見ていきましょう。

S:Specific(明確性)とは

SMARTの法則の「S」は、「Specific(明確性)」です。これは、明確なKPIを設定することを意味します。誰が見ても同じ解釈ができるよう、具体的な数値をKPIに設定するということです。

メンバー全員が理解し、認識のズレをなくすために欠かせない観点です。

M:Measurable(測定可能)とは

「M」は「Measurable(測定可能)」であり、KPIが数値で把握できる必要があることを意味します。

目標を設定しても、それを達成できたかどうかを測定できなければ意味がありません。進捗管理においても、どの程度の達成率なのかを定量的に測定・監視できなければ、改善すべき点があるのか否かも把握困難です。

こうした事態を避けるため、KPIには測定可能な数値目標を設定しなければなりません。

A:Achievable(達成可能)とは

「A」は、「Achievable(達成可能)」です。KPIやKGIは、OKRとは異なり、100%の達成が求められます。よって、KPIには現実的に達成可能な項目と数値を設定する必要があります。

達成が難しすぎるKPIを設定すると、依存関係にある次のKPIの達成率が上がらず、計画自体が頓挫してしまうかもしれません。また、誰が見ても達成できないような高すぎる目標も、メンバーのモチベーションを下げるリスクがあります。

現実的に達成可能な水準で数値目標を設定することが不可欠です。

R:Related(関連性)とは

「R」は、「Related(関連性)」です。これは、KGIからKPIへの逆算でも見た通り、経営戦略における目標とKPIとの間に関連性を持たせるということです。

KPI設定においては、会社全体の目標から各部門・部署へのKGIの落とし込み、KGI達成に必要なKFSの選定と数値目標の設定が欠かせません。KGIやKFSの内容と一貫性があることが重要です。

「達成しやすいから」などの理由でKGIと無関係なKPIを設定しても、会社全体の目標達成には貢献できません。リソースの浪費を防ぎ、確実な目標達成につなげるためにも、関連性の有無を必ずチェックしましょう。

T:Time-bounded(適時性)

最後の「T」は、「Time-bounded(適時性)」です。KPIの達成期限を設定するという意味です。

業務を与えると、人はその遂行に与えられた時間をいっぱいに使って業務を遂行する場合があります。たとえ5日程度で完成させられるタスクでも、締め切りが1カ月後であれば、実際には数日で完了できるタスクでも1カ月かけて取り組んでしまうということです。

すると、締め切りを設定しない場合、タスクは無限に膨張し、いつまでたっても完了しない恐れがあります。これでは、KPIの達成は非常に困難です。

KPIが計画におけるただの飾りにならないよう、「いつまでに達成するのか」を必ず決めましょう。適切な締め切り設定には、タスクにかかる時間の計測・記録も大切です。

数値化が難しい項目をKPIとして設定する方法

KPIの設定において、数値化が難しい項目への対応に悩む企業は少なくありません。

数値化できない項目の例と代わりになる指標の例を見ていきましょう。

数値化できない項目の例

「数値化できず、KPIとして設定できない」と悩む声も多く聞かれます。

数値化できない項目の具体例は、

  • ブランドイメージの向上
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 顧客満足度の向上

などです。

しかし、「どのように感じるか」などに注目する定性的な項目は、達成状況の確認が非常に難しく、人によって解釈の違いも生まれます。定性的な項目をKPIに設定する場合は、可能な限り定量的な指標へと変換する工夫が必要です。

数値化できない項目の代わりになる指標

数値化が難しい項目は、その「プロセス」や「結果」に注目することで、定量的な指標に置き換えられます。

ブランドイメージの向上や顧客満足度であれば、アンケートによる点数化が有効な方法の1つです。

典型的な例として、Webアンケートや購入者アンケートの活用があります。Webアンケートでは、認知度の低い層にもアプローチできるため、「知っている/聞いたことがある/知らない」などの認知度を点数化できます。購入者アンケートでは、商品・サービスのイメージや不満点、リピート購入の意向などの点数化に役立つでしょう。

従業員エンゲージメントの場合は、プロセスや結果に注目することで数値化しやすくなります。従業員エンゲージメントの考え方や測定方法については、以下の関連コラムで詳しく解説しています。

コラム「エンゲージメントとは?意味・サーベイ・高める方法を解説」はこちら

KPIの設定方法と営業部門における具体例

目標を確実に達成するためには、適切なKPIの設定が不可欠です。KPIの設定手順のポイントは、KGIから逆算していくことです。

手順の概要と具体的なKPIの例を見ていきましょう。

KPIの設定手順

KPI設定は、次の4ステップで進めます。

【KPIの設定手順】

  1. ①KGI(ゴール)を決める
  2. ②KFS(要因・手段)を洗い出す
  3. ③ゴール達成までのプロセスを細分化する
  4. ④KPIを設定する

順番に解説します。

①KGI(ゴール)を決める

まず、KPIを設定するには、必ずKGIの設定から始めなければなりません。KGIを無視してKPIを設定しても、最終的な目標達成につながらない業務が増え、リソースを無駄遣いしてしまうからです。

KGIは、会社全体の目標をもとに、各部署・部門で設定しましょう。目標は必ず数値化を行い、定量的な表現で設定することが大切です。それにより、KPIの数値設定もしやすくなり、進捗管理に便利です。

②KFS(要因・手段)を洗い出す

KFSの洗い出しと設定では、目標達成につながる要因や取るべき手段を分析します。

例えば、市場のシェア率アップを目指すのであれば、商品・サービスをより広く知ってもらう必要がありますし、既存顧客によるポジティブな評価をアピールする施策も重要でしょう。先ほどのKPIツリー作成において、売上を成約数と単価に分けることも、KFSの分析に当たります。

ここで注意すべきポイントがあります。KFSを見つけても、それをすぐにプロジェクトに採用するのではなく、実際にKGI達成につながるかどうかを検討しなければならないということです。ベテランの場合、過去の成功体験で得た知見をKFSに選ぶかもしれません。しかし、過去の体験が今も通用するとは限りません。外部環境の変化を踏まえ、客観的に再検討・選定する必要があります。

③ゴール達成までのプロセスを細分化する

次は、要素や手段を細分化して、ゴール達成までのプロセスをさらに具体的な要素やアクションで把握できるようにしましょう。KFSの分析と同時に進めることも可能です。

細分化は、現場の動きに直結する重要なステップです。可能な限り具体的なアクションレベルまで細分化することで、個人目標の設定や業務の割り振りが容易になります。

例えば、売上向上には見積書・提案書の提出数の増加が必要ですし、それには訪問商談数も増やす必要があるでしょう。訪問商談数を増やすにはアポイントメントの獲得が不可欠で、アポイントメントの獲得には、アウトバウンドや自社HPなどからの引合が必要です。

④KPIを設定する

そして最後に、KPIを設定します。KFSを定量的な指標に置き換えると、KPIになります。

KPIツリーでは、KGIから要素への分割を行い、その要素全てをKPIと捉える場合もあります。ただ、あまり多くのKPIを設定するとマネジメントの労力も大きくなってしまうでしょう。

そこで、全ての要素・手段をKPIに設定するのではなく、「KGI達成には、ここは外せない」というものを優先しましょう。組織のKPIとしては3〜5個が目安です。

個人目標に落とし込む際は、組織のKPI達成に関わる業務の担当者・チームごとに、下位のKPIを設定するとわかりやすくなります。

KPI設定の具体例(営業の場合)

KPI設定の具体例として営業チームのケースを考えてみましょう。

KGIが会社の売上向上である場合、営業チームのKGIも売上になります。今回は、月500万円の売上をKGIとして、KPI設定をしてみます。

【営業チームのKGI・KPI設定例】

指標 項目 数値目標 考慮すべき要素
KGI 売上・受注 月500万円*
*100万円×5件
見積書・提案書の提出数の25%
KPI 見積書・提案書提出 月20件 訪問商談数の約30%
KPI 訪問商談数 月60件 引合件数の約30%
KPI HPからの引合 月200件

まず、月500万円の売上を得るには「受注」が必要です。よって、営業チームのKGIは「月500万円の受注をする」となります。「自社では受注1件当たり平均100万円の売上がある」のであれば、5件以上受注しなければなりません。

次に、受注の前に「見積書・提案書」を先方に提出する段階に注目しましょう。見積書・提案書を提出して確実に受注につながるのであれば5件を提出すればよいのですが、現実はそううまくいきません。自社の受注率が25%である場合、KGIにある5件の4倍で、月20件の見積書・提案書の提出が必要です。

見積書・提案書を提出するには、訪問商談というステップがあります。これも、訪問商談をすれば必ず見積書・提案書の提出に進むわけではないため、自社における確率を出しておきましょう。今回は訪問件数の3分の1程度が見積書・提案書の提出に進むと仮定します。すると、月20件の見積書・提案書の提出を達成するには、月60件の訪問商談をこなさなければならないことがわかります。

そして、訪問商談を行うには、問い合わせの獲得が欠かせません。アウトバウンドや自社HP、広告など、問い合わせを得るための手段はいくつかあります。今回は、特に自社HPからの引合を重視するとしましょう。引合から実際に訪問商談まで進む確率が3割とすれば、必要な引合件数は月200件です。

このような形で、KGIから逆算して具体的な中間目標を定量的に算出していくことが、効果的なKPI設定の鍵となります。

適切なKPI設定と管理を行うために

企業が持続的に成長するためには、適切なKPIの設定と管理が欠かせません。KPIを通じて目標を数値化し、進捗を可視化することで、課題の早期発見と改善が可能になります。さらに、効果的なKPI運用のためには、組織全体で整合性のある目標設定と評価制度を構築し、人材育成や管理職のマネジメント力を高めることが重要です。これらが有効に機能すれば、企業全体の生産性と業績の着実な向上が期待できます。

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