リーダーとは?意味・種類・役割と必要スキルを踏まえた育成方法

published公開日:2025.06.16
リーダーとは?意味・種類・役割と必要スキルを踏まえた育成方法
目次

リーダーとは、組織やチームのメンバーをまとめ、目標達成に導き、成果を出すという役割を担うポジションです。リーダーの種類はリーダーシップスタイルによって異なります。適切なスタイルを選択するには、リーダーに求められる役割や仕事を理解し、必要なスキルを磨かなければなりません。

本コラムでは、リーダーとは何か、その役割から具体的なスキル、育成方法までわかりやすく解説します。

リーダーとは何か?意味と種類

まずは、「リーダー」の辞書的な意味とビジネスシーンにおける簡単な意味、およびリーダーの種類を見ていきましょう。

「リーダー」の意味

「リーダー(leader)」の辞書的な意味は、「指導者」や「統率者」です。人々をまとめ、指導し、統率していく人物がリーダーと呼ばれます。

これをビジネスの文脈でいえば、「組織やチームをまとめ上げ、達成すべき目標に向かって引っ張って行く人」となるでしょう。そのため、特定の役職名ではなく、集団を引っ張って行く役割を担う人がリーダーであるといえます。

リーダーの役割を果たすには、組織やチームの特徴に合わせたリーダーシップスタイルを選択するとともに、そのスタイルを実現するためのスキルを習得しなければなりません。

リーダーの種類

一口にリーダーといっても、様々な種類があります。

わかりやすい分類は、職位による種類です。プロジェクトのまとめ役として任命される「プロジェクトリーダー」「チームリーダー」をはじめ、現場の実務レベルのリーダーである「主任」、特定の部署のリーダーである「係長」「課長」などがあります。管理職は一般に「マネージャー」と呼ばれますが、リーダーとしてメンバーに働きかける側面もあるからです。

他方、リーダーシップスタイルによる分類もあります。例えば、次のようなスタイルです。

【リーダーの種類(例)】

理論 種類 概要
PM理論 Pm型 人間関係よりも目標達成を重視する
pM型 目標達成よりも人間関係を重視する
PM型 目標達成も人間関係も重視する理想的バランス型
pm型 目標達成も人間関係も未熟なケース
SL理論 教示型 新入社員や未経験者に対して指示・指導を中心に行う
説得型 2年目の社員など業務に慣れたメンバーに対して、指示とサポートを行う
参加型 若手〜中堅社員など、最低限の指示で業務を遂行できるメンバーに対してサポートを中心に行い、意思決定に参加させる
委任型 自律的・主体的に業務を進められるメンバーを見守り、仕事を進めやすい環境を整える
EQ型 ビジョン型 ビジョン共有とチーム全体での試行錯誤によって目標達成を目指す
コーチ型 各メンバーの特徴・希望を尊重し、メンバーを支援しながら目標達成を目指す
関係重視型 各メンバーの感情に注目し、チームの一体化を重視する
民主型 各メンバーの意見を積極的に聞き、コンセンサスの形成を行う
ペースセッター型 リーダーが手本となって高いパフォーマンスを示し、メンバーにも同等のパフォーマンスを求める
強制型 メンバーに考える余地を与えず、指示・命令によってメンバーを動かす

リーダーシップスタイルに関しては多様な理論があり、「これが一番優れている」と簡単にいえるものではありません。チームの特徴と状況に合わせて、柔軟に使い分けることが大切です。

リーダーとマネージャー、エースの違い

リーダーと似たポジションに、「マネージャー」や「エース」があります。マネージャーやエースもリーダーとしての役割を担うことはありますが、リーダーと同義ではありません。

この微妙な違いを意識することで、リーダーとしてやるべきことをよりイメージしやすくなるでしょう。

リーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーの違いは、チームを引っ張っていく際の手法や考え方にあります。

マネージャーが行う「マネジメント」は「管理」の意味。これは、チームが従うべきルールや業務の進め方に基づいた指示・指導を行いながら、目標達成へつなげるやり方です。

これに対して、リーダーは必ずしもメンバーを管理するわけではありません。リーダーが担うのは、チームのビジョンと方向性を示し、メンバーをチームとしてまとめ上げること。全員が一丸となって目標達成に進んでいけるような関係性構築と環境づくりが中心となります。

リーダーとエースの違い

リーダーとエースの違いは、比較的簡単です。

エースとは、特定分野の第一人者や最も優れた人のことを指します。他方、リーダーはチームを率いる立場ではありますが、能力や業績において最も優れているとは限りません。

リーダーの場合、重視されるのは人間関係を構築するスキルや誠実さ、責任感、そして問題解決力などです。これらが優れていれば、業績が1番でなくても構いません。逆に、業績が1番であっても、メンバーと信頼関係を形成したり組織全体を見渡す視点を持ったりすることが難しいのであれば、リーダーとしての役割を果たすことは困難でしょう。

リーダーに求められる役割・仕事

では、リーダーに求められる役割とは具体的にどのようなものなのでしょうか。1つには組織目標の達成があります。もう1つは、チームメンバーのサポートです。

さらに、これらの役割を果たすための適切なリーダーシップの発揮が欠かせません。

組織の目標達成への貢献

リーダーにとって最も重要な仕事は、組織目標の達成です。リーダーが行うべきほかの仕事は、全て目標達成につながると言っても過言ではありません。

目標達成に必要な仕事として具体的に挙げられるのは、例えば次のようなことです。

【組織目標達成に必要なリーダーの仕事(例)】

  • チームの方向性、達成すべき目標(KGI)、および中間目標(KPI)の設定
  • 会社の経営戦略・上位計画と整合的な現場レベルのアクションプランの策定
  • アクションプランに基づくメンバーへの業務の割り振り
  • メンバー同士が連携しやすい環境整備(人間関係構築や円滑な情報共有に向けた仕組みづくりなど)

また、業務を円滑に進めるには、各メンバーへの個別的なサポートも不可欠です。典型的には、メンバーのモチベーションアップに向けた取り組み、チームの生産性向上に向けた人材育成があります。

【リーダーが行うメンバーのサポート(例)】

  • トラブル発生時や判断が難しい状況において、組織のビジョンを確認し、考え方を示す
  • 進捗の見える化やポジティブフィードバックで、メンバーのやる気を引き出す
  • 1on1の面談などを活用し、具体的な個人目標の設定と定期的な振り返り、課題分析とアドバイスを行う

これらの取り組みを一貫して進めることが、チーム全体の生産性向上と目標達成につながります。

適切なリーダーシップの発揮

リーダーには、チーム全体を俯瞰(ふかん)し、各メンバーを支援する視点が必要です。同時に、「チームとして目標を達成する」ことを重視しなければなりません。

チーム内には、個人プレイのみで業績をあげていくことを好むメンバーもいるかもしれません。あるいはリーダー自らが積極的に業績をあげ、他のメンバーの負担を軽減しようと考える人もいるでしょう。

しかし、個人プレイのみで業績をあげている状況は、チームとして機能していない状況です。高い業績をあげているメンバーやリーダーが体調不良や緊急の事案で動けなくなれば、途端にチームの業績が落ちてしまうからです。

これを回避するには、リーダー自らが周囲を巻き込み、組織として成果を出し続けられるよう意識しなければなりません。

例えば、問題解決に当たってリーダーが1人で何でも判断・解決するのではなく、必要に応じてメンバーに意見を求める方法があります。チームとしてのビジョンを再確認し、方向性を見失わないように注意しながら意見を出し合うことで、各メンバーの“自分事”として受け止める姿勢が育つでしょう。

業務の割り振りについても、「一度割り振ったあとは最後まで変更なし」とするのではなく、状況に応じてメンバー同士がサポートできるようにする必要があります。途中で離脱せざるを得ないメンバーが出てきたり、特定の事案に想定以上の時間がかかってしまったりする場合があるからです。

一部のメンバーにのみ過度な負担がかからないよう、どうすればチームパフォーマンスを最大化できるのかを常に考えながら、リーダーシップスタイルを選択しましょう。

リーダーに必要なスキル・特徴

リーダーとしての役割を果たすには、基本のビジネススキルに加えて、チームをまとめ上げる能力が必要です。そのために獲得・強化すべき中心的なスキルが、

  • コミュニケーション力
  • チームビルディング力
  • 分析力・決断力
  • リーダーシップ
  • セルフマネジメント力

といったものです。

コミュニケーション力

チームが一丸となって共通のビジョン・目標達成に向けて進むには、リーダーとメンバーの間に信頼関係を築き、チーム内での情報共有を円滑にしなければなりません。そこで鍵となるのが、コミュニケーション力です。

コミュニケーションにおいて不可欠な要素は、メンバー一人ひとりを尊重する姿勢です。リーダーは各メンバーの能力や特性を踏まえて業務の割り振りを行う必要がありますが、メンバーの一側面だけで判断しないよう気をつけなければなりません。

例えば、Aさんに“集中力が続きにくい”という傾向があった場合、ただ「集中して」とだけ指導したり簡単な業務のみを任せたりするのではなく、「集中しやすい場所を作ってみよう」「任せる仕事は一度に1つだけにしよう」といった工夫をすることが考えられます。

ここで求められるのが、適切なフィードバックのやり方と内容です。個人の性格を責め立てるのではなく、課題となっている要因を分析し、本人と一緒に解決策を話し合うことで、建設的な解決策の検討ができます。これには、リーダー自身が考えていることの言語化とともに、メンバーが言葉で表現しきれない思いをていねいに拾っていく聴く力(傾聴力)が重要です。

加えて、「噓をつかず、都合が悪いことでも報告・相談する」というルールを浸透させましょう。課題の分析・解決には、正確な情報が必要だからです。たとえネガティブなことでも誠実に報告・相談されたのであれば、相談してくれたことに対してポジティブフィードバックを行い、事態改善に向けた具体的な解決策の検討を進めてください。

リーダーからメンバーへのコミュニケーションでは「おひたし」も効果的とされています。「怒らない・否定しない・助ける・指示する」の頭文字をとった言葉です。「助ける」「指示する」は必要に応じて行い、まずは「怒らない」「否定しない」を意識するとよいでしょう。

例えば、

「報告してくれてありがとう」

「そのアイデアのここを掘り下げてみるのは、どうかな」

といった言い回しを使うと、不都合な連絡・報告を受けた際も感情的に叱責せずに済みます。

メンバーが発信する「これは改善すべき」「これはやりやすい」といった言葉に日頃から注意を払い、アイコンタクトなどの非言語コミュニケーションも使いながら、協働しやすいチームをつくっていきましょう。

チームビルディング力

次に重要なスキルが、リーダーのチームビルディング力です。コミュニケーションが活発でお互いを尊重し合えるチームでも、各メンバーが別々の方向に進んでしまうと組織目標は達成できません。悪くすれば、ただの“仲良しグループ”で終わってしまいます。

メンバーを集めてチームとして機能させるには、同じビジョンと目標を共有して進むためのチームビルディングが不可欠なのです。

チームビルディングのために行われる代表的な施策は、次の2つです。

  • チーム内の信頼関係・協力関係の構築
  • チームとしてのビジョン・戦略の設定と浸透

信頼関係と協力関係の構築は、チームメンバー同士がお互いを知り、安心して意見を出し合えるような関係づくりです。具体的には、それぞれの得意分野を活かして1つのことを達成するアクティビティ(ペーパータワーなど)が活用されます。

チームとしてのビジョン・戦略の設定と浸透は、主にリーダーからメンバーに対して行われるものです。会社全体の経営戦略や事業の目的に対する理解をチーム全体で深め、「そのために、このチームはどうやって貢献するのか」を考えるような取り組みが求められます。

分析力・決断力

リーダーは、メンバーから様々な相談を受けることになります。プロジェクトの進捗が遅れるなど、何らかの効果的な対応を迫られることも少なくないでしょう。

こうした場合に、ただ「頑張れ」「残業して遅れを取り戻せ」と言うだけでは、なかなか問題は解決しません。一度は切り抜けられても、同じような事態が繰り返し発生してしまう恐れもあります。

より根本的な対応を進めるには、課題に対する分析力が必要です。

例えば、

  • どのような問題が発生しているのか
  • なぜその問題が発生しているのか
  • 各要因を改善した場合の目標達成への貢献度はどのくらいか
  • 現在のリソースから取り得る選択肢はどれか

といった点を分析・検討する視点が求められるでしょう。

ときには素早い決断も必要です。そうしたケースではじっくり分析している時間はありません。それでも、その場しのぎの判断よりも手元の情報に基づき、リスクを考慮したうえで取るべき道を選ぶほうが、最終的な目標達成につながります。

チームの高いパフォーマンスは、リーダーの分析力と決断力が鍵。日頃から目標達成に必要な業務知識・ノウハウを積極的に吸収し、いざという時に備えましょう。

リーダーシップ

リーダーの役割を果たすにあたり、リーダーシップの発揮は欠かせません。主なリーダーシップの種類を本コラム冒頭でご紹介しましたが、どのスタイルを選択するかは、状況に応じて変化します。

取るべきリーダーシップスタイルを決める際は、ぜひ自社で活躍するリーダーのスタイルを参考にしましょう。そのために、まずは活躍するリーダーのスタイル・やり方を以下の観点で分析してみてください。

【自社におけるリーダーシップスタイルの分析】

  • 自社で成功しているリーダーの特徴は何か
  • リーダー職の前任者の特徴は何か
  • それらの特徴をもつリーダーシップを発揮すると、現在自身が率いているチームにはどのような影響を与え得るのか
  • それらの特徴をもつリーダーシップを発揮すると、会社にはどのように貢献できるのか

こうした観点から、自身のチームに合うリーダーシップスタイルを決定しましょう。

リーダーシップスタイルの種類やリーダーシップを発揮するためのポイントなどを以下の関連コラムでも詳しく解説しています。ぜひご確認ください。

コラム「PM理論とは?リーダーシップ4タイプの特徴と強化法、活用例をわかりやすく解説」はこちら

コラム「リーダーシップとは何か?理論や種類、要素と高める方法」はこちら

セルフマネジメント力

そして、リーダーにはセルフマネジメント力が求められます。セルフマネジメント力とは、簡単にいえば自己管理力です。自ら考え行動するために、時間管理力・感情コントロール・学び続ける力などが求められます。

リーダーはメンバーに対して助言や指導を行う立場にあるため、メンバーのセルフマネジメント力ばかり気にしやすいものです。

しかし、メンバーに「しっかりタイムマネジメントをしなければ」と言うだけで、自身が約束の時間に遅れたり、資料の確認が会議までに終わっていなかったりすれば、メンバーからは「口だけのリーダー」と思われかねません。メンバーからの信頼を失えば、チーム全体の協働体制も崩れ、目標達成は遠のいてしまうでしょう。

また、リーダーは助言・指導する立場だからこそ、学び続けなければなりません。ビジネスシーンで活用される知識や技術は日進月歩で進化します。

コロナ禍ではテレワークの導入が迫られ、慣れないオンライン会議への対応に四苦八苦した人は多いのではないでしょうか。しかし、チームの生産性を向上させるには、こうした新しいツールにも対応せざるを得ません。新しい技術によって新しい市場が生まれる可能性も十分にあります。

リーダーは、必ずしもスペシャリストであるとは限りません。ただ、少なくとも業務で必要とされる範囲の知識・スキルにどのようなものがあるかを把握し、その基本的な部分を習得することは大切です。

さらに、セルフマネジメントで特に気をつけなければならないのが、アンガーマネジメントです。

「心理的安全性の高い環境をつくろう」「意見をどんどん出し合おう」という方針で動いているのに、リーダー自身はメンバーからの報告に感情的に反応し、一方的に叱責したり仕事を取り上げたりすれば、「リーダーが言い出したルールなのに、自分は守っていない」と反感を招いてしまうでしょう。

困難な状況やメンバーのミスが発生しても、リーダーは冷静に対処しなければなりません。「怒るべきとき」は適切な方法で怒り、そうでないときは別の方法を選択できる心の余裕が必要です。リーダー自身の精神的安定が、チーム全体の心理的安全性を高めるのです。

アンガーマネジメントの詳細は、以下の関連コラムでご覧いただけます。

コラム「アンガーマネジメントとは?怒りの感情をコントロールする6秒ルールや実践方法」はこちら

リーダー自身がボトルネックとならないよう、日々のセルフマネジメントを怠らないようにしましょう。

リーダーの苦労“あるある”と対応策

ここまで、リーダーに期待される役割や求められるスキルを見てきました。とはいえ、実際にリーダーを担うビジネスパーソンの悩みはつきません。特によく聞かれる悩みが3つあります。

  • メンバーにうまく指示を出せない
  • メンバーのサポートばかりで自分の業務が進まない
  • 部下と上司の板挟みで孤独になる

これらの悩みには、どのように対処していけばいいのでしょうか。

メンバーにうまく指示を出せない

「メンバーにうまく指示を出せない」というケースで考えられる第一の要因は、リーダーの言語化する力や伝達力の不足です。これには、一般的な状況でしっかり伝えられるスキルがあっても、メンバーの特性によってはうまく伝わらない場合が含まれます。

例えば、具体的なお手本や現物を確認するほうが理解しやすいメンバーの場合、いくら抽象的な言葉で指示を出しても、なかなか通りません。反対に、抽象的思考が得意なメンバーの場合は、個別事例を列挙しただけでは「結局どういうルールだろう」と首を傾げてしまうでしょう。

また、口頭での指示が通りにくい一方で、文字で伝えれば理解しやすいメンバーもいます。そのようなケースでは、口頭での指示に固執せず、チャットやメール、メモなどを使うほうが効率的です。

指示を出せないもう1つの要因に、「自分はリーダーだから」という強い上下関係の意識もあるかもしれません。「リーダーとしてしっかりしなくては」と考えすぎると、普段ならできるコミュニケーションもぎくしゃくしてしまうことがあります。

「チームの一員としてお互いを尊重しつつ、一緒に仕事をする」ことを再確認し、伝え方を工夫しながら話しやすい雰囲気をつくっていきましょう。

メンバーのサポートばかりで自分の業務が進まない

リーダーは自分の業務以外にメンバーそれぞれの業務をサポートする多忙なポジションです。そのため、メンバー以上に時間管理力が求められます。

「自分の業務が進まない」と困っている場合は、チームで各メンバーの予定を共有できているかをチェックしてみてください。スケジュールを共有することで、チーム全体でリーダーや各メンバーの可処分時間を意識できるようになります。

加えて、リーダーは自身の仕事に取り組む時間帯を決め、その時間帯はなるべく会議や相談対応を入れないようにしましょう。その分、メンバーの相談に応じる時間もしっかり確保します。1日に数時間をまとめて確保しても構いませんし、「1回の相談は15分以内」などと時間を決めて、1日に複数回設定しても構いません。

もう1つの方法は、リーダーが「自分でやるべき」と思っている仕事を思い切ってメンバーに任せることです。リーダーとして果たすべき役割とは直接関係のないタスクを洗い出し、任せられそうなメンバーがいないか、共有スケジュールを確認しながら検討してみてください。

リーダーには、周囲を巻き込む力が必要です。「何でも自分でやってしまうリーダー」よりも、「適切な業務の割り振りができるリーダー」のほうが、メンバーの成長やチーム全体の生産性の向上につながるでしょう。

部下と上司の板挟みで孤独になる

リーダーは、ときにメンバーからの要望と上司からの指示の板挟みになります。この問題からは、立場上逃れられません。

そうしたリーダーの苦しみは、本来であれば上司に相談して具体的な改善方法を話し合い、解決すべきものです。それには、リーダー職にある社員を支援するために、上司や人材育成担当者が定期的に面談・アドバイスをするといったサポート体制を構築する必要があります。

また、リーダーが孤独にならないような配慮も仕組みとして重要です。現場で実践されている仕組みの例には、リーダーが横のつながりをもてる部署横断的な交流会の開催などが考えられます。リーダー職に就いている社員を対象に開催し、悩みの共有や意見交換を行うのです。

交流会で出た意見を人材育成や労務管理を担う部署と共有すれば、リーダーがより働きやすい環境づくりにもつながるでしょう。

リーダーの育成方法における3つのチェックポイント

最後に、組織としてリーダーを育成する際におさえたいポイントを3つご紹介します。現在リーダー職にある方にとっても重要なチェックポイントです。

リーダーとメンバーの違いを知る

繰り返し述べている通り、リーダーには「組織目標を達成する」という重要な役割があります。他方、メンバーの役割は任された仕事と責任の範囲で高いパフォーマンスを発揮すること。これがリーダーとメンバーとの大きな違いです。

リーダーの役割を果たすには、多様なチームメンバーの特徴を捉え、適材適所の業務分担を実現し、メンバーが仕事を進めやすい環境を整えなければなりません。全体を俯瞰(ふかん)しながら調整する視点が必要です。

リーダーの役割・必要スキルを学ぶ

これまで述べてきたリーダーの役割と必要スキルは、ビジョニング・チームビルディング・コミュニケーション・意思決定という4項目にまとめることができます。

【リーダーの役割・必要スキル】

項目 概要
ビジョニング チームの方向性・将来像を伝え、浸透させる
チームビルディング 目標達成に向けて一丸となって進むチームをつくる
コミュニケーション リーダーとメンバーのコミュニケーション、メンバー同士のコミュニケーションが円滑に行われるようにする
意思決定 リーダー自身が迅速で責任ある意思決定を行うとともに、メンバー自身も意思決定ができるようにする

ビジョニングは、組織やチームの方向性を具体的にイメージさせ、浸透させることです。リーダーが勝手に将来像を打ち出せばいいというものではなく、会社の経営層が描くビジョンをかみ砕き、その姿と整合的なイメージを打ち出さなければなりません。

「どのようなチームなのか」

「会社にどのように貢献するのか」

といったポイントをおさえて道筋を示し、上位計画と整合的なアクションプランを策定しましょう。

チームビルディングでは、リーダーとメンバー、そしてメンバー同士が信頼関係を築き、協働して目標達成に向かうための組織化を進めます。重要なのは、各メンバーの得意分野を互いに把握し、「チームで目標を達成する」という姿勢を浸透させることです。チームビルディングに成功すれば、パフォーマンスの最大化につながります。

コミュニケーションは、チームビルディングやビジョニング、意思決定の基盤となる項目です。相互理解と情報共有に欠かせないものであり、リーダー自身のコミュニケーション力が要となります。

コミュニケーションで特に気をつけたいのは、「聴く力(傾聴力)」です。リーダーやメンバーが自分の考えを言い合っているだけでは、なかなか話し合いが進みません。「相手の話を聴き、自分の意見や質問を出す」という姿勢があってこそ、円滑なコミュニケーションが実現されるからです。相手にとってわかりやすい伝え方を意識することも重要です。

そして、意思決定ではリーダーによる迅速で責任ある意思決定を行うとともに、メンバーそれぞれが意思決定できる指針を示しましょう。メンバーが自分で判断するには、ビジョニングと正確な情報の共有が欠かせません。つまり、他の3つの要素があってこそ、効果的な意思決定ができるのです。

日頃から正確な情報をインプットしつつチーム全体の様子や各メンバーの進捗を的確に把握することで、発生し得るトラブルを予測し、先手を打つことが可能になります。

リーダーの考え方を体得する“フォロワーシップ”を身につける

次期リーダー育成において特におすすめなのが、“フォロワーシップ”の獲得です。フォロワーシップとは、リーダーの仕事をアシストする中で、リーダーの考え方を理解し、リーダーの仕事を代行できるようになることです。具体的には、リーダーと各メンバーの橋渡し役を担うなどの方法があります。

フォロワーシップを獲得するには、チームの決定に従って目標達成をするために自ら進んで行動する「貢献力」と、リーダーの指示・考え方・決断が適切なのか否かを自分なりに熟考し、必要に応じて提案を行う「批判力」が必要です。

貢献力と批判力の両方を鍛えながら、次期リーダーとしての土台固めを行いましょう。

次期リーダー育成に必要な研修プログラムには、例えば次のようなものがあります。

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リーダーとしての成長にリーダー研修の活用を

以上のように、リーダーには大きな役割が期待され、それを実現するための様々なスキルが求められます。これらのスキルを効果的に身につけるには、まず組織におけるリーダーの立ち位置や求められる姿を理解しなければなりません。

多くの企業で人材育成に伴走してきたALL DIFFERENTでは、リーダー職に就いているビジネスパーソンおよび次期リーダーを対象に、成長に欠かせない知識とノウハウをご提供してきました。スキル別研修もご用意していますので、ぜひリーダーの育成・成長にお役立てください。