ボトムアップとは|意味やトップダウンとの違い、会社での活用事例などを解説

update更新日:2025.06.03 published公開日:2023.02.27
ボトムアップとは|意味やトップダウンとの違い、会社での活用事例などを解説
目次

ボトムアップとは簡単に言うと、下から上に意見を伝えて組織を動かす方法です。

日本企業の多くは、ボトムアップではなくトップダウン方式の経営といわれていますが、近年は環境や働き方の多様化に伴い、現場の意見を重視するボトムアップ型組織やボトムアップ理論が注目されています。

本コラムでは、ボトムアップの意味やトップダウンとの違い、会社における活用事例などを解説していきます。

ボトムアップとは?意味と使い方

ボトムアップは、組織や意思決定のプロセスにおいて、現場の従業員や下層のメンバーからの意見やアイデアを上層部に伝え、それをもとに組織全体の方向性や方針を決定する手法です。日本語では「下意上達」とも表現されることがあります。

はじめに、ボトムアップの基本的な意味と考え方、組織運営やプロジェクト管理手法など、様々なボトムアップの使われ方をみていきましょう。

ボトムアップの基本的な意味と考え方

ボトムアップとは、英語で「bottom up」といい、元々は「さかさまに」といった意味で使われる言葉です。そこから、組織内での意思決定などを、上から下ではなく下から上に伝えていくやり方を意味するようになりました。

ビジネスでは、組織で現場の従業員や下層のメンバーからの意見やアイデアを上層部に伝え、それをもとに組織全体の方向性や方針を決定する手法という意味で用いられています。

ボトムアップでは現場の声を収集しながら意思決定を行うため、従業員の意見を反映させ、風通しの良い組織風土を形成できます。また、ボトムアップ方式での経営を行うと、従業員の自主性やマネジメント力が高まるというメリットもあります。

ボトムアップの考え方ややり方は、企業文化や組織の性質によって異なりますが、従業員が自ら考え、行動することを促すという点で、多くのケースで有効なアプローチといえるでしょう。

ボトムアップ理論とは

ボトムアップ理論とは、組織や意思決定のプロセスにおいて、下層の現場レベルから情報や意見を集め、それをもとに上層が意思決定を行う手法を理論化したものです。

サッカーの育成指導で実績を挙げたことで知られる畑喜美夫氏が提唱し、全国の学校や企業で講演するなどして注目されています。

ボトムアップ理論は、個と組織が自主的、主体的に活躍・発展していくために有効な理論として、企業経営だけでなく、教育、スポーツ、マーケティングなど幅広い分野で活用されています。

参考:【公式】畑喜美夫 公式サイト|進化するボトムアップ理論

ボトムアップの使い方

ボトムアップは、組織運営の方法だけでなく、問題解決やプロジェクト管理の手法としても活用されます。

ここではボトムアップの使い方として、ボトムアップ型組織、ボトムアップアプローチ、ボトムアップ処理の3つを取り上げて解説します。

ボトムアップ型組織

ボトムアップ型組織とは、従業員が積極的に意見を出し、意思決定に関与する組織の形態です。この組織では、従業員が現場の課題や改善点を提案し、それが経営に反映されるため、柔軟性が高く、創造的なアイデアが生まれやすいというメリットがあります。

例えば、Googleや3Mといった企業は、従業員の自由な発想を尊重し、イノベーションを促すボトムアップの文化を取り入れているのが特徴です。一方で、組織内で意見の集約や調整が必要となるため、意思決定に時間がかかることが課題となる場合もあります。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチとは、細かい要素を積み上げて全体の意思決定を行う方法です。この手法は、特にプロジェクト管理や課題解決の場面で活用されます。

例えば、新製品開発で、現場の技術者やマーケティング担当者がアイデアを出し、それを統合して最終的な商品設計を行うことがボトムアップアプローチの例です。また、教育の場面でも、学生の意見や学習の進捗をもとに指導方法を調整することで、より効果的な学習環境を構築するなどのやり方で、ボトムアップアプローチが採用されています。

ボトムアップ処理

ボトムアップ処理とは、細かい情報から全体を理解する情報処理の方式です。

例えば、人間の認知機能や言語処理などにおいて、細かい1つ1つを積み重ねて全体を理解する方法をボトムアップ処理と呼んでいます。また、AIの機械学習でも、個々のデータをもとに学習を進め、全体のパターンや法則を導き出すボトムアップ処理が活用されています。

ボトムアップとトップダウンの違いとは?

ボトムアップの対義語としてトップダウンがあります。ボトムアップとトップダウンは、組織運営や意思決定の方法において対照的なアプローチです。

ボトムアップは、現場の意見やアイデアを積極的に取り入れる方法で、従業員の自主性を尊重します。一方、トップダウンは、経営層や管理職が方針を決定し、それを組織全体に浸透させるスタイルです。

ここでは、ボトムアップとトップダウンの違いについて、組織やアプローチ法の例を挙げて解説します。

トップダウンとは

トップダウンはボトムアップと異なり、上層部で意思決定を行い、現場の従業員に指示を与えます。従業員たちが指示に従い実行していく経営スタイルです。

トップダウン方式は、企業内での意思統一がしやすいのが特徴です。特に、大規模な組織や危機対応時には、トップダウン方式が有効といえるでしょう。また、意思決定を迅速に行えるため、スピード感が求められる分野の商品・サービスを取り扱っている場合や、素早い判断が求められるときなどに適しています。

トップダウンについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

コラム「トップダウンとは|メリット・デメリット、意識すべきポイントを解説」はこちら

ボトムアップ型組織とトップダウン型組織

ボトムアップ型組織では、メンバーが積極的に意見を出し、意思決定プロセスに関与します。このスタイルは、創造性を促し、現場の実態に即した施策を生み出しやすいという特徴があります。一方、トップダウン型組織は、明確なリーダーシップのもとで運営され、戦略が一貫性を持って遂行されるメリットがあります。しかし、トップダウン型では現場のニーズを把握しにくくなる可能性があるため、柔軟な対応が求められます。

トップダウン型組織は、カリスマ性のあるトップが経営する企業や、スタートアップやベンチャーの立ち上げ時で意思決定にスピード感が第一に求められるフェーズなどに適したスタイルです。一方、経営が安定してイノベーションやダイバーシティが求められているような場合は、ボトムアップ型組織の方がよいといえるでしょう。

ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチの使い分け

ボトムアップとトップダウンは、どちらが優れているというものではなく、状況に応じた使い分けが重要です。

例えば、新規事業や商品開発など、創造的なアイデアを求める場面ではボトムアップアプローチが有効です。一方、危機管理や組織改革など、迅速かつ統一された対応が求められる場面では、トップダウンアプローチが適しています。企業が持続的な成長を遂げるためには、両者のバランスをとることが不可欠です。

また、投資や資産運用の手法では、個別企業の業績や財務分析を積み上げて、投資銘柄を選定する方法をボトムアップアプローチ、経済情勢、金利などのマクロ経済分析により投資銘柄を選定する方法をトップダウンアプローチと呼んでいます。

参考:三井住友DSアセットマネジメント|わかりやすい用語集 解説

ボトムアップのメリット・デメリット

ボトムアップには現場の声を取り入れやすい、メンバーのモチベーションが高まるなどのメリットがある一方、意思決定に時間がかかるなどのデメリットもあります。

ここでは、ボトムアップのメリット・デメリットを解説します。

ボトムアップを取り入れているがうまくいかない、という場合や、新たにボトムアップ方式を取り入れるという際はぜひ参考にしてください。

ボトムアップのメリット

まずはボトムアップにはどんなメリットがあるかを確認しておきましょう。

ボトムアップのメリットには以下のようなものがあります。

現場の声を上層部に届けられる

現場しかわからない課題や問題点などの意見が経営トップに届きやすくなるのが、ボトムアップ方式のメリットの1つです。

トップダウンで硬直的な組織運営では、現場レベルの課題を放置していたことで問題が大きくなり、社会的に報じられた結果、組織の信用を落としてしまったというケースも少なくありません。

このようなことを避けるために、定期的に現場でのヒアリングをする、意見を通しやすい制度を作るなど、ボトムアップの仕組みを整えることが大切です。組織的な課題だけでなく、アイデアが集まって新たな事業が生まれることもあります。

従業員の自主性やモチベーションが高まる

ボトムアップ経営では、従業員たちに考える機会を作り出すことで、当事者意識を高められるのも大きなメリットです。意見や提案をトップに伝えるためには、自身の仕事の目的を把握し、どのように進めるべきかを考える必要性が出てきます。すると、仕事の意義ややりがい、責任感といった当事者意識が芽生えるのです。

与えられた仕事を全うするのはもちろん、進んで業務改善に取り組むことが期待できるため、事業成長の促進につながるでしょう。

マネジメントの人材育成に役立つ

ボトムアップ型組織では、現場の従業員の声のまとめ役が必要です。まとめ役を務める人材には、従業員それぞれの得意分野や課題を見つけ、適切な行動を促すマネジメントスキルが求められます。

そのため、人材育成の一環としてボトムアップの環境が役立ちます。育成したい人材に、現場のまとめ役としての役割を与えて、メンバーの育成や意見の取りまとめ、上層部との折衝などの経験を積ませるのです。同様のやり方でスキルアップできることがわかれば、他の人材を育成する際にも転用できるため、効率的な人材育成が期待できます。

ボトムアップのデメリット

ボトムアップは、現場の意見を重視することで組織の柔軟性や創造性を高めるメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。

ボトムアップのデメリットとして挙げられる3つのポイントを解説します。

現場の声をまとめるのに時間がかかる

ボトムアップの最大の課題の1つは、意思決定までに時間がかかることです。

現場の従業員から多様な意見が集まるため、それらを整理し、意思決定に反映させるプロセスには時間を要します。

上層部の人数に対して現場の人数の方が多いため、一人ひとりから意見を聞くのはどうしても時間がかかります。さらに、出された意見をまとめるのにも一定の時間を要することから、スピード感を求められる意思決定には不向きといわれています。

効率的に意見を集約できる制度を設ける、部署やチーム単位で日ごろから意見をまとめておくといった対策でカバーしましょう。

まとめ役がいないと機能しない

ボトムアップでは、現場の意見を集約して上層部に伝える「まとめ役」が不可欠です。適切なまとめ役がいない場合、意見がバラバラになり、組織全体の意思決定がまとまらなくなるリスクがあります。

従業員の数が多い場合、全ての意見をトップに伝えるわけにはいきません。無数の意見を収集してそれぞれの意見を吟味し、まとめる作業が必要です。したがって、従業員の声をうまくまとめられる人材がいなければ、ボトムアップ方式の経営は機能しません。

まずは、チームリーダーや係長、課長などの役職者にまとめ役を任せ、徐々に現場の人間に任せるといったステップを踏み、まとめ役の育成を図りましょう。

全員の合意を得るのが難しい

ボトムアップでは、全員の合意を得るのが難しいのもデメリットです。人数が多ければ多いほど、全員が合意・納得するというのは現実的に難しいケースもあります。どの意見を優先し、どのように意思決定を行うかを整理するまとめ役が機能しないと、せっかく意見を求められたのに聞いてもらえなかった、と返って従業員に不満を残すことになりかねません。

リーダーシップを持つ中間管理職やファシリテーターを配置し、意見の集約と意思決定のサポートを行うことが求められます。

ビジネスでボトムアップが適しているケース

ビジネスでボトムアップが適しているのはどのような企業や組織でしょうか。

ここでは、ボトムアップ方式が適しているケースをご紹介しますので、自社に当てはまるかチェックしてみてください。

業態が幅広い

業態が幅広く、部署や事業部によって仕事内容が大きく違う企業では、ボトムアップ方式が有効です。このような企業では、上層部が現場の状況を把握しにくいため、現場で何が行われているか・何が必要なのかがわからず、業務改善や効率化が鈍化し、機会損失を招いてしまうリスクがあるからです。

特に、従来の事業とは全く異なる新規事業を展開したような場合、トップに現場の知識が無いために任せきりになるケースがあります。現場は現場で、自身の仕事を理解してもらえないと不満を持ち、双方にとって良くない状況に陥るリスクがあるのです。このようなケースでは、正しい情報が無いと経営判断の誤りにもつながるため、ボトムアップ方式を積極的に取り入れて、現場の状況を把握するようにしましょう。

専門性の高い業務や業界

専門性の高い業務・業界においても、ボトムアップが良い効果をもたらします。

現場に専門知識を持つ人が多く、経営層との間に知識の乖離があると、何ができて何ができないのかの判断がつかないためです。また、知識の乖離が溝となって、現場と経営層との組織観にズレが起きてしまうと、企業としての力も弱まります。

そのような事態を招かないためにも、ボトムアップ方式を取り入れて、積極的に現場理解に努めることが重要です。ただし、意思決定を行うのは経営層です。専門知識が無いからと、現場の言いなりになる必要はありません。

現場の声を聞いて理解を深めつつも、利益が出るのか出ないのか、社会的に実行する意義はあるのかなど、経営層は現場とは違う視点を取り入れて総合的に判断することが重要です。

トップダウン方式の意思決定がボトルネックになっている

トップが業務内容を把握したり、意思決定を行ったりする際に時間がかかるような場合もボトムアップ方式で経営を実施するのが適しています。

意思決定が遅くなってしまうのは多くの場合、経営体制が整っていないことが原因です。経営スピードを上げたいと考えている場合は、ボトムアップへのシフトを検討するとともに、自社で掲げているビジョンや目標が明確であるか、経営のPDCAサイクルに問題が無いかも、確認してみてください。

人材育成に力を入れたい

能動的かつ当事者意識を持った人材を育成したい場合は、ボトムアップ方式を取り入れたり比重を大きくしたりしてみましょう。

現場や部下が、上司やトップに何かを伝えたいとき、そこにあるのは不安や不満、アイデアなどです。しかし、忙しい上司に的確に情報を伝える、現場から集約するのには、スケジュール管理やコミュニケーション能力、文書作成スキルなど、様々なスキルを要します。

つまり、ボトムアップ方式を取り入れることにより、必然的に現場の人間への要求スキルが高まり、ベースアップにつながるのです。また、まとめ役を設けることで、マネジメントスキルも身につけざるを得なくなるため、リーダーシップを持った人材も育成できます。

ボトムアップを会社に導入するには?成功事例を紹介

ボトムアップを会社に導入したいと思っても、いきなり組織全体や経営スタイルそのものをトップダウンからボトムアップに変更するのは大変です。

ボトムアップを会社に導入する際には、まず人材育成や新規事業開発など、部分的に取り入れるのがよいでしょう。

ボトムアップを会社に導入して成功している事例を3つご紹介します。

【事例1】INAXのダイバーシティ推進

タイル製造・販売のINAXはダイバーシティ推進の中でも、特に女性にフォーカスした施策を数多く推進しています。人材や組織の活性化を目標とした「EPOCH女性活躍推進室」が中心となり、トップダウンからの情報発信と、 研修を通じた意識改革をメインとしたボトムアップアプローチの両者を活用しているのが特徴です。

ボトムアップの研修制度は大きく分けて「ダイバーシティ研修」と「EPOCHリーダー研修」があります。ダイバーシティ研修は、ダイバーシティの言葉の定義やダイバーシティが求められる環境要因の解説、ケースディスカッションなどを全役職者対象に実施。EPOCHリーダー研修は、役職登用者や次世代リーダー層の希望者を対象に、 概念構築のスキルやコミュニケーションスキル、キャリアビジョンの形成などを目的に行われます。

社内の調査では、EPOCH活動を紹介するイントラサイトへのアクセス数を計測したところ、多くの従業員が複数回同サイトを訪れていました。ボトムアップの研修制度を通じて、ダイバーシティへの関心が高まり、社内風土が醸成されつつあるのがわかります。

参考:日本労働研究雑誌 2008年5月号(No.574) 企業事例から学ぶダイバーシティ推進サイクル

【事例2】リクルートホールディングスの事業開発

人材・販促プラットフォームを展開するリクルートグループは、グループ会社従業員を対象にしたボトムアップの新規事業提案制度「Ring」を実施しています。新規事業のテーマはリクルートの既存領域に限らず、様々な分野が対象で、リクルートグループの従業員は誰でも自由に参加可能です。

参加者は新規事業のプランを作成し、役職者による書類審査や新規事業開発室からの選考審査を通過すると、社長・役員への最終プレゼンを実施。最終プレゼンで事業化検証案件に決まると、新規事業開発室の専門的な立場の社員も加えて、予算やリソースを段階的に投下しながらテストマーケティングを実施し、本格的な事業化検証ステージに進めます。

ボトムアップの新規事業提案制度「Ring」からは、企業と退職者をつなぐカムバック採用支援サービス「Alumy」や、スキマ時間でできる近所のお仕事を提供するサービス「エリクラ」などをはじめ、実際に多くの新サービスが事業化されています。

参考:Ring

【事例3】JR東日本のボトムアップ型人材育成

鉄道会社のJR東⽇本グループは新たな経営ビジョン「変⾰2027」において、企業としての価値創造の方針を、従来の鉄道インフラを中心としたサービス提供から「ヒト(すべての⼈)の⽣活における『豊かさ』を起点とした社会への新たな価値の提供」へと大きく転換しました。それに伴い、これまでにない柔軟な⼈材育成を目指して、ボトムアップ型の人材育成を推進しています。

具体的には、研修後のアンケート、⼈事本部から現場に社員を派遣したヒアリング、遠⽅の従業員が本社に来て本社内各部の⾒学や意⾒交換を行う「本社訪問」などを実施しました。このような活動で社員の声を汲み上げることにより、例えば「海外体験プログラム」に社員の希望を取り入れて1カ月の短縮プランを導入するなど、ボトムアップ型の人材育成が進んでいます。

参考:産業能率大学 総合研究所| 特集・コラム| 事例紹介:人材育成取り組み紹介|「社員の声を汲み上げる」JR東日本グループが実践するボトムアップ型人材育成事例とは?

ボトムアップできる環境にするには

ボトムアップ方式で経営できる環境にするための方法をご紹介します。

以下でご紹介する4つの方法をぜひ実践してみてください。

トップとの交流の機会を増やす

立場が違う従業員同士で交流する機会を作ってみましょう。研修やOJTなど、業務に即した形で機会を増やすというのもよいのですが、業務から少し離れる形で、従業員と経営層との定期的な面談やミーティングの場を設けるというのも良い方法です。

これまで長年トップダウンでの経営をしてきた場合、従業員たちはそれに慣れてしまっているため、すぐにボトムアップにシフトすることは難しいでしょう。そのため、まずは交流の機会を増やすことから始めてみるのがおすすめです。

現場でのコミュニケーションを活性化させる

現場で従業員同士のコミュニケーションを活性化させることも大切です。例えば、報連相の機会を増やす、ランチミーティングや社内イベントを実施するなど、接触機会の増加を図ります。従業員同士の交流機会を増やすことで、話しやすい環境づくりが行えるのです。

話しやすい環境になり意見が出やすくなれば、トップに届けられる声が増えます。つまり、経営判断に必要な現場の情報が増えるということです。大きな決断をする際に、現場から得た情報に偏りがあれば、判断を誤りかねません。そうならないために、従業員同士がオープンに話せる場を作りましょう。

コミュニケーションツールを使用する

対面でのコミュニケーションだけでなく、文字のやり取りやテレワークの普及によるビデオ通話などでのコミュニケーションも大切にしてください。伝える手段を増やすためのツールを活用するのもよいでしょう。

チャットツールやバーチャルオフィスツールなど、オンライン上で仕事だけでなく従業員同士が交流できるツールは多数あります。面と向かって話すのは苦手だけど、文字のやり取りなら平気、といったようにツールにより従業員がコミュニケーションを取りやすくなることもあります。

自社に合うツールを導入して、多角的なコミュニケーションを図ってみてください。

取りまとめられるリーダーを育てる

リーダーを育てるという意識も大事です。現場の状況を把握し、現場の声をまとめられる優秀な人材の育成は、ひいては会社全体の利益にもつながります。また、現在中堅社員として働いているなら、トップと現場の間に入って積極的に声を上げることで、新たなポジションを掴める可能性があります。

ボトムアップ・トップダウンマネジメントはバランスが重要

ボトムアップとトップダウンのどちらか一方に偏りすぎると、問題が生じるケースがあります。そうならないためには、バランスが大切です。

利益拡大や人材育成など、組織にとってのメリットを最大化させる場合、トップダウン方式で意思統一を図りながら、ボトムアップで従業員の当事者意識を育てる、といったように両者のメリットを掛け合わせた経営を行うようにしてみましょう。両方をバランスよく取り入れると、それぞれのデメリットを打ち消す効果も期待できます。

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