OJTとは?意味・目的・メリット、“放置”を防ぐ進め方のポイント



OJTとは「On the Job Training(オンザジョブトレーニング)」を略したビジネス用語で、その意味は“実務を通じたトレーニング”です。OJTには多くのメリットがあります。しかし、育成対象者を放置してしまったり、OJTトレーナーが自己流のやり方で教えてしまったりするケースも多く見られます。
本コラムでは、OJTの意味・目的とメリットを確認しながら、「OJTガチャ」と言われない効果的な進め方のポイントをわかりやすく解説します。
OJTとは?意味と目的、Off-JTとの違い
OJTとは、現場の業務を進めながら実践的な知識やスキルを学ぶトレーニング方法です。より明確なイメージをもつには、Off-JTやメンター制度との違いをおさえましょう。
OJTの意味と目的
OJTは「On the Job Training」の頭文字をとった略語。その意味は、「実地での訓練」「勤務中の訓練」です。ビジネス用語としては、配属された職場で実際に業務を割り当てられ、その業務を進めながら知識やスキルを習得していくトレーニングとなっています。
OJTの目的は、経験豊富な職場の上司や先輩が、実際に業務を通じて若手社員・後輩の業務スキルを習得・向上させること。研修やマニュアルだけでは習得しにくい実践的な能力を養えます。
なお、OJTで教える側の呼び方は「OJT指導者」や「OJTトレーナー」です。他方、教えられる側については「育成対象者」「OJT対象者」「トレーニー」など様々な表現が見られます。
OJTの実施期間
OJTの実施期間は、一律に決められるものではありません。
比較的シンプルな業務であれば2週間前後、一連の業務の基本を覚えてもらうのであれば1〜3カ月程度になるでしょう。自社特有のルールも含めて習得してもらい、自律的に業務をこなせるまで指導するケースでは、1年かけてじっくりトレーニングする場合が珍しくありません。
OJTの実施期間を決める主な要素には、業務内容とその難易度に加えて、育成対象者のスキルも含まれます。
【OJTの業務特性・育成対象者と実施期間の例】
要素 | 例 | 実施期間の傾向 |
---|---|---|
業務の特性 | マニュアル業務や手順の習得 | 短期間 |
多様な状況が発生し得る業務 | 数カ月〜1年 | |
マネジメント業務 高度な専門スキルが必要な業務 |
1年〜 | |
育成対象者 | 業界未経験の新入社員 | 1年〜 |
業界経験がある中途入社の社員 | 数週間〜数カ月 | |
次期管理職や役員候補者 | 1年〜 |
業務が複雑・高度になるほど、そして目標レベルと育成対象者の現在のスキルの差が大きいほど、OJTに要する期間は長くなります。
例えば新入社員の場合、ビジネスパーソンとしての基本的なマナーや自社の事業に関する知識のほか、業界に関する知識も習得しなければなりません。これらを一度に教えると混乱する恐れがあるため、段階的に数カ月〜1年を一区切りとしてOJTを実施するケースが多く見られます。
反対に、既にビジネスマナーや業界知識がある中途社員であれば、自社のルールや特徴を指導するだけで済むでしょう。そのため、育成対象者のスキルに応じて数週間〜数カ月程度でOJTを終えられる可能性が高くなります。
OJTとOff-JTの違い
OJTの反対の概念として比較されるのが、Off-JT(Off the Job Training、オフザジョブトレーニング)です。その意味は、「勤務外での訓練」となります。
Off-JTの典型例は、実務を行う場を離れて行われる研修などです。具体的には、新入社員研修、管理職研修、ハラスメント研修などが該当します。
OJTとOff-JTの大きな違いは、業務の中で学ぶか、業務とは別の時間を確保して学ぶかという点にあります。
Off-JTの詳細は、以下の関連コラムで解説していますので、あわせてご覧ください。
コラム「Off-JTとは?OJTとの違い、Off-JT研修のやり方や具体例を解説」はこちら
OJTとメンター制度の違い
OJTとの違いを問われるものに、メンター制度もあります。「先輩社員が後輩社員にアドバイスする」という点で両者は共通していますが、その目的は異なります。
OJTでは、実務を通じた業務スキルの習得・向上が主な目的です。他方、メンター制度の目的は、主に新入社員が仕事に慣れ、精神的に安定して勤務できるようにサポートすることです。
したがって、メンター制度におけるメンターの役割は「指導」というより「相談にのること」であり、業務以外のプライベートの悩みや人間関係の相談にのることもあります。
OJTの基本の進め方
OJTの進め方は、育成計画の作成から内省支援(フィードバック)まで、4ステップで捉えることができます。
(1)育成計画の作成
ステップ1は、育成計画の作成です。
ビジネスパーソンの成長は、多くの割合で現場の業務を通じて促されます。そのため、育成対象者にどのような業務をどのような順番で経験させるかが大きなポイントとなります。
適切なタイミングで適切な業務を割り当てるには、育成計画の作成が必須です。企業が求める人材像や現場で必要な知識・スキルの習得を考慮しながら、段階的な目標を設定し、その目標達成に必要な業務経験を考えましょう。
こうして作成されたOJTの育成計画書は、ぜひ職場で共有してください。共有することで、周囲のメンバーも育成に関する共通認識をもつことができます。
(2)業務の量・質の選定
ステップ2は、育成対象者に割り当てる業務の量と質の選定です。場当たり的に仕事を割り振るのではなく、必ず育成計画書に基づいて選定しましょう。
与える業務の質と量を選定するポイントは、下表の通りです。
【OJTで割り当てる業務の量・質のポイント】
ポイント | |
---|---|
業務の質 | 本人が習得済みの知識・スキルに追加して習得できるレベルや、他のやり方を思いつくことで達成できるレベルに設定する |
業務の量 | 業務フローやスキルの習得を進めるとともに、習得後にスムーズにできるようになることが期待される程度の量を確保する |
業務の質・量がともに育成対象者本人の力量を大幅に超えてしまうと、習得を諦めてしまう恐れがあります。反対に、本人の力量を大幅に下回る場合は、仕事に対する“甘え”や「仕事がつまらない」といった気持ちを抱かせてしまうでしょう。
無理のない目標設定とともに、それを達成するための業務の選定もOJTの成否を握る鍵なのです。
(3)業務遂行
そして、いよいよステップ3としてOJTの中心を占める業務遂行が始まります。具体的には、OJTトレーナーが育成対象者に指導しながら実際の業務を進めさせることです。
業務遂行では、まず業務の概要や意義を伝えましょう。見本として、OJTトレーナーが実際にその仕事をやって見せると理解が早くなります。次に、本人が業務を進める様子を横で見守り、適切なタイミングでアドバイスを与えましょう。
育成対象者が業務を一通りできるようになったら、最後に本人だけで進めてもらい、定着を図ります。
(4)内省支援
OJTは、業務遂行で終わりではありません。ステップ4として実施すべきことは、内省支援です。内省支援を行うことで、業務の理解と定着が飛躍的に高まります。
内省支援をより細かく見ると、「振り返り」と「概念化」に分けることができます。それぞれの内容は、次の通りです。
【内省支援における振り返り・概念化】
構成要素 | 内容 |
---|---|
振り返り | 実施した業務が成功したか、失敗したかを確認する |
概念化 | 成功/失敗の要因を本人に考えてもらう |
内省支援は、業務を通じたトレーニングを“やりっぱなし”にせず、次につなげるための準備でもあります。これを実施することで、同様の業務に従事する際に成功する確率が高まり、類似した業務への応用にもつながるでしょう。
内省支援の詳細については、経験学習のポイントを解説した以下のコラムでご紹介しています。
OJTの6つのメリット
OJTの目的や進め方からわかるように、OJTには多くのメリットがあります。今回は、教えられる側・教える側・会社側の観点から、合計6つのメリットをご紹介しましょう。
教えられる側のメリット
OJTの育成対象者にとってのメリットは、実務を通じて実践的スキルを学べることと、フィードバックをすぐに受けられることの2つです。
育成対象者は、OJTで実際の業務を割り当てられ、業務遂行に必要な知識・スキルを指導されます。そのため、教えられた知識・スキルと具体的な業務を結びつけやすくなり、その後の実践で活用しやすくなります。
業務を進める中で不明な点やミスが生じた場合も、Off-JTや定期面談に比べて短い期間でフィードバックを受けられるでしょう。課題をすぐに解決できるという利点とともに、育成対象者自身が気づかない課題についても、本人の記憶が新しいうちに指摘し、改善に向けた行動につなげやすくなります。
教える側のメリット
OJTトレーナーにとっても2つのメリットがあります。教えることを通じて業務知識・スキルの習熟度が向上すること、そして組織が求める人材像を明確に認識し、後輩に対する育成スキルを養えることです。
OJTトレーナーとして育成の成果をあげるには、業務の特性だけでなく組織が求めるやり方を知らなければなりません。育成対象者からは投げられる質問にも答える必要があります。こうした業務の基本的な特徴と状況に応じた対応を言語化して説明することで、育成対象者だけでなくOJTトレーナー側の理解も深まるのです。
そして、現場で活躍できる人材を育成するには、組織がどのような人材を求めているかを知り、その人材像に近づけるような指導が求められます。一方的に自己流のやり方を教える方法では、なかなかうまく育てられないでしょう。
OJTトレーナーは、「どのように指導すればいいのか、それには自身にどのようなスキルが必要か」などを育成の実践を通じて学べます。この育成経験は、将来管理職として部下を育成・マネジメントする際に必要な知識・スキルの習得機会にもなるでしょう。
会社としてのメリット
OJTを導入する会社側のメリットは、社内コミュニケーションの活性化と、自社のミッション・ビジョンに合う人材を育成しやすくなることです。
まず、社内コミュニケーションが活性化するのは、OJTによって新入社員や中途入社の社員に縦のつながりが生じるからです。
指導をする・受けるという関係がある以上、業務の中で必ず何かしらの報告とフィードバックが発生します。こうしたやりとりは、既存社員にとって新人の知識・スキル・傾向の把握だけでなく、ちょっとしたコミュニケーションのきっかけにもなります。育成対象者にとっても、気軽に質問できる相手がいることで、現場に慣れやすくなるでしょう。
そして、自社のミッション・ビジョンに合う人材育成ができる理由は、OJTで達成すべき目標は、そもそも自社が求める人材像を基準に定められるからです。
例えば、研修を外部に委託すると、自社の理念とは関係なく“一般的な”ビジネスマナーやスキルを学ぶケースが多くあります。その中には、自社のやり方とは相容れないものもあるでしょう。OJTは社内で実施する訓練であるため、このような問題が発生しません。
効果的なOJTを実施できれば、社員同士が連携し、ミッション・ビジョンと整合的な基準に基づいた業務遂行が実現するのです。
OJTの3つのデメリットと失敗の原因
一方で、OJTにはいくつかのデメリットもあります。これらはOJTトレーナーが「うまくいかない」と悩んだり、育成対象者が大きな不満を抱えたりする原因になり得ます。
OJTトレーナーが「目の前の仕事」を自己流で教える
1つ目は、OJTトレーナーが無計画に指導を実施すること。言い換えれば、「目の前の仕事」を場当たり的に任せたり、自己流の業務のやり方を教えてしまったりすることです。
OJTでよくある誤解は、「目の前の仕事を教えればいい」という認識です。これまで何を教えてきたか、これから何を教えるべきかといった一貫性に欠けるケースが多く、育成対象者は業務に関する体系的な理解ができません。
さらに、OJTトレーナーごとに教え方や業務スキルのレベルが大きく異なる場合、当然ながら育成の成果にも大きな差が生じてしまいます。
OJTの成功には、目的・目標を意識した「意図的」で「計画的」な育成が重要なのです。
OJTトレーナーが多忙で育成対象者を“放置”する
2つ目は、OJTの育成対象者に適切な指導を行わず、“放置”してしまうことです。これには、OJTトレーナーとなる中堅社員やリーダー職の多忙さが関係しています。
OJTの成功には計画的な実施が必要であると述べましたが、OJT計画書の作成には手間がかかります。ようやく計画書が承認されて実施期間に突入しても、OJTトレーナーは自身の業務に忙殺され、育成対象者に業務を割り振っただけで十分な説明やフィードバックを行う時間を確保しにくいでしょう。
「この仕事をやってみて」と割り当てられただけで何も教えてもらえなければ、育成対象者は落胆し、業務へのモチベーション自体が下がってしまうもの。ときには成功体験を得られず職場での孤独感を強め、早期離職に至る恐れすらあります。
こうした問題を避けるには、育成対象者がいる現場の上司や人事担当者もOJTの実施に関わることが大切です。
OJTトレーナーが途中で退職し、引き継ぎも十分にされない
そして3つ目は、途中でOJTトレーナーが交代する場合に十分な引き継ぎがなされないことです。
人材の流動性が高まっている昨今、現在OJTトレーナーとなっている人材が、トレーニング期間終了まで同じ職場にいるとは限りません。人事異動によって育成を他のメンバーに引き継ぐこともあれば、何らかの事情で退職することもあるでしょう。
特に退職を理由としてOJTトレーナーの交代が発生し、引き継ぎも十分に行われていない場合、役割を引き継いだメンバーは「これまで何を教えてきたのか」を確認できなくなります。OJTをトレーナー任せにしていると、こうした問題が発生し、現場の人材育成は頓挫してしまうでしょう。
成功するOJTには、「継続性」という要素が欠かせません。中途半端な状態で終わらせないためにも、意図的・計画的な実施とともに、継続性を意識した実施体制を整えましょう。
OJTがうまくいかない場合の対策ポイント
では、具体的にどのようにすればOJTはうまくいくのでしょうか。そのポイントは、次の4つです。
- OJTトレーナー研修(OJT研修)を実施する
- 明確な目標設定と振り返りを行う
- OJTトレーナーに丸投げせず、手法を一致させる
- OJTトレーナーが評価される機会・制度を導入する
順番に確認していきましょう。
OJTトレーナー研修(OJT研修)を実施する
OJTが失敗する原因の1つであるトレーナーごとのやり方やスキルレベルの差を軽減するには、OJTトレーナー向けの研修(OJT研修)が有効です。
OJT研修の目的は、
- 基本的な進め方の大原則である意図的・計画的・継続的な取り組みの重要性を理解すること
- OJTトレーナーとしてのマインドセットの変革を起こすこと
の2点です。
具体的な研修内容は、3つあります。
【OJT研修の内容】
項目 | 概要 |
---|---|
前提知識 | 育成に必要な理論・フレームワークの知識を習得する |
役割の伝達 | OJTトレーナーに期待される役割とあるべき姿を理解する |
ワークショップ・ケーススタディ | OJTの目標設定や教育計画書の作成、業務選定、内省支援のロールプレイなどに取り組み、意見交換を行う |
OJT研修では、トレーナー自身の多忙さを理由に育成対象者を放置しないよう、OJTの意義づけをしっかりと行い、どのような役割を期待されているのかを理解し、自覚を深めてもらいます。加えて、OJTトレーナーに必要な知識・スキルの習得も支援しましょう。
多くの企業で人材育成をご支援してきたALL DIFFERENTでも、OJTトレーナーを対象とする研修を実施しています。研修内容の詳細は、以下のページでご確認いただけます。
なお、OJTトレーナーとしての自覚を促す方法として、「レディネスの形成」があります。レディネスとは「心身の準備性」という意味で、簡単にいえば「これからOJTトレーナーを務めるための心構え」です。
レディネスを形成するには、OJTトレーナーになるメンバーに対して、選出した段階で早めに上司や担当者から「なぜOJTトレーナーに選出したのか」「どのような役割を期待しているのか」を伝えましょう。「あなたの○○を評価しているから」などの具体的表現を用いると、より納得感を高められます。
明確な目標設定と振り返りを行う
OJTの実施に向けて、その目的・目標を達成するための育成計画書も作成しましょう。明確で適切な目標設定を行い、その目標達成度を定期的に確認することが、OJTの意図的・計画的・継続的な実施を実現します。
明確で適切な目標設定を行うには、4つのポイントがあります。
【明確で適切な目標設定の4つのポイント】
- 育成対象者の現在の知識・スキルレベルと目標との差を確認する
- 段階的な目標を設定する(スモールステップ)
- ストレッチアサインメントを行う
- 「SMARTの法則」を意識する
ストレッチアサインメントとは、本人の今の実力から少しだけレベルの高い目標・業務を設定することです。少し背伸びをすれば達成できる目標は本人の意欲を引き出し、達成した場合の成功体験につながります。
SMARTの法則は、明確な目標設定の5つの基準を意味します。詳しくは、以下の関連コラムで解説していますので、あわせてご覧ください。
コラム「KPIとは?簡単にわかるビジネスでのKPIマネジメントとKPI設定のコツ」はこちら
定期的な目標達成度の確認では、良い成果に対してポジティブフィードバックを行い、課題については育成対象者本人と要因を話し合い、課題解決のためにやるべきことを明確化しましょう。
なお、OJTの計画書作成や振り返りにおいては、育成対象者の世代にどのような傾向が見られるかをおさえておくと、指導で役立つ場合があります。
例えば、近年の新人には「言われたことは確実にこなす一方、失敗を極端に恐れ、不安があると行動に移せない」という傾向があるといわれます。この場合、任せる仕事の難易度が育成対象者にとって高すぎないように配慮し、かつ心理的安全性を確保して相談しやすい関係性・環境をつくるとよいでしょう。
OJTトレーナーに丸投げせず、手法を一致させる
OJTの継続性については、OJTトレーナーにやり方を丸投げせず、会社としてOJT実施体制を整備することも重要です。具体的なポイントは、次の3つです。
【OJT実施体制の3つのポイント】
- 人事担当者や管理職がOJTトレーナーを支援する
- Off-JTと連携した育成計画を立てる
- OJTトレーナーの内省の機会を設ける
「OJTは意味がない」と言われやすい状況の1つは、Off-JTとOJTで育成対象者に伝えているやり方・ノウハウが食い違うケースです。その原因は、Off-JTが体系的なカリキュラムで育成することが多い一方で、OJTは現場の実践を重視したノウハウが扱われる点にあります。しかし、個別的なケースに特化した指導ばかりでは業務の全体像が見えず、「何が原則か」を見失ってしまう恐れがあります。
Off-JTとOJTの内容に矛盾を生じさせないためには、両者の連携が欠かせません。Off-JTに現場の声を取り入れるとともに、育成対象者がOff-JTで何を学んでいるのかをOJTトレーナーも把握しましょう。Off-JTの実施時期・内容とOJTの指導を連動させれば、インプットとアウトプットの好循環を形成できます。
また、内省支援は育成対象者だけでなく、OJTトレーナー自身にとっても重要です。具体的には、指導する中でどのような成功・失敗を経験し、そこから何を学んだのかを振り返る機会を設定し、上司や人事担当者との1on1を実施したり、OJT研修テキストの見直しを行ったりします。
OJTトレーナーが評価される機会・制度を導入する
最後のポイントは、OJTトレーナーが評価される機会や制度の導入です。例えば、次のような施策があります。
【トレーナーが評価される機会・制度の例】
取り組みの例 | 具体的な制度 |
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OJTトレーナー同士のつながりをつくる |
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OJTトレーナーが称賛される機会をつくる |
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OJTトレーナーの活動を評価する制度をつくる |
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OJTトレーナーには、はじめて後輩の育成を担当するメンバーもいます。慣れない指導で試行錯誤して頑張っていても、「うまくいかない」と落ち込む場合もあれば、「自分だけが頑張っている」と孤独感に悩むこともあるかもしれません。
こうした事態の軽減には、OJTトレーナーを業務とメンタルの両面から支える体制が必要です。横のつながりをつくるとともに、組織としてOJTの成果を評価する環境をつくりましょう。
「OJTガチャでハズレた」と言われないために
OJTには、「とにかく現場で業務の指導をすればいい」という誤解により、計画性や継続性を欠いた場当たり的な指導がされやすい状況があります。OJTトレーナー任せにするばかりでOJTへの組織的な支援がなければ、トレーナーのやり方や知識・スキルレベルの差がそのまま成果の差になってしまうでしょう。
こうした現場に丸投げするやり方こそが、OJTの育成対象者から聞かれる「OJTガチャでハズレた」「OJTで放置された」という不満の原因です。OJTでの失敗が続く場合は、ぜひ本コラムでお伝えしたポイントを改めてチェックしてみてください。
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