カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?厚生労働省の定義と法改正、企業の対応
更新日:2026.08.27
公開日:2025.05.19

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客などからの過度な言動・要求によって、従業員の就業環境が損なわれる行為を指します。2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法により、事業主によるカスタマーハラスメント防止措置は「努力目標」から「義務」に改められました。
本コラムでは、厚生労働省の資料をもとに、カスタマーハラスメントの判断基準、クレームとの違い、主な事例、法改正の内容、企業が取るべき対応までを整理して解説します。
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは
カスタマーハラスメントとは、顧客などが従業員などに対し、常識を超えた言動で精神的・肉体的な負担を与え、職場環境を悪化させる行為です。
まずは厚生労働省の資料から、カスタマーハラスメントの定義、一般に言われる「クレーム」との違いを確認しましょう。
カスタマーハラスメントの判断基準
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、「顧客や取引先からの言動が、提供した商品・サービスの問題への対応として社会通念上の範囲を超え、従業員の就業環境を著しく損なう行為」を指します。
厚生労働省はカスタマーハラスメントについて「明確に定義することは難しい」としつつも、判断の軸として2つのポイントを示しています。
- ①顧客などのクレーム・言動について、その要求内容に妥当性があるか
- ②内容が妥当であっても、要求を実現するための手段・態様が社会通念上、相当な範囲か
①の「妥当性がない」に判断されると、その要求はカスタマーハラスメントに該当する可能性が高くなります。具体的には、次のようなケースです。
【要求内容が妥当ではないケース】
- 提供する商品・サービスに問題がないのに、クレーム・要求をしてきている
- 提供する商品・サービスとは関係のないクレーム・要求をしてきている
商品・サービスへのクレーム自体は正当でも、②の手段・態様が常識の範囲を超えていれば、カスタマーハラスメントと判断されます。
【要求を実現するための手段・態様が社会通念上、一般的でないケース】
- 暴行などの身体的攻撃をする
- 脅迫・中傷・名誉毀損・侮辱・暴言などの精神的攻撃をする
- 土下座を要求する
- 繰り返ししつこく要求する
- 退店を求めても出て行かず、居座る
- 従業員をその場に長時間拘束する
- 差別的言動や性的言動をする
- 「○○会社の従業員△△は」といった従業員個人への攻撃・要求をする
一般的な対応としてあり得る手段であっても、商品の特性や求める内容の程度によっては、カスタマーハラスメントと判断される場合もあります。例えば、商品の交換ができないにもかかわらず「交換しろ」としつこく要求してきたり、金銭による補償を求めてきたりするケースです。
なお、顧客による暴行・脅迫・名誉毀損・侮辱・居座りは、それ自体が刑法上の犯罪行為です。こうした行為があった段階で、カスタマーハラスメントと判断できます。
出典:「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)p.7-8
カスタマーハラスメントとクレームの違い
カスタマーハラスメントの判断に関して迷いやすいのが、一般的なクレームとの違いです。
クレームとは、商品・サービスへの不満を顧客が申し出る行為であり、根拠が明確なものは企業にとって改善の手がかりになります。カスタマーハラスメントとの違いは、「要求の中身が妥当か」と「要求の仕方が常識の範囲か」という2点にあります。どちらの基準も満たしていれば、それはクレームです。どちらか一方でも逸脱していれば、カスタマーハラスメントと判断される可能性が高まります。
厚生労働省は、カスタマーハラスメントを「不当・悪質なクレーム」と表現しています。*
正当なクレームを放置すれば顧客を失いますが、カスタマーハラスメントを放置すれば従業員の心身に深刻なダメージを与え、休職や退職につながります。企業として対応の線引きを明確にしておく必要があるのは、この違いがあるためです。
カスタマーハラスメントを含むハラスメント全般の定義や概要は、以下の関連コラムで解説しています。
カスタマーハラスメントの主な事例
カスタマーハラスメントについてのイメージをつかむために、具体的な事例を見ていきましょう。ここでは、厚生労働省の資料をもとに、業種別の事例をご紹介します。
カスタマーハラスメント事例【業種別】
カスタマーハラスメントがよく話題となるのは、コールセンターや店舗でしょう。これらの事例では、次のような過度な要求が見られました。
【コールセンターや店舗でのカスタマーハラスメント(例)】*1
| 分野 | 顧客などによる要求の内容・態様 |
|---|---|
| コールセンター・サポートデスク |
|
| 小売業の店舗 |
|
また、ホテルや病院、福祉施設でのカスタマーハラスメントも多く報告されています。
【ホテル・病院・福祉施設でのカスタマーハラスメント(例)】*2
| 分野 | 顧客などによる要求の内容・態様 |
|---|---|
| ホテル |
|
| 病院・福祉施設 |
|
行政機関におけるカスタマーハラスメントの例
行政機関の窓口も例外ではありません。神奈川県総務局が公表している資料では、神奈川県が本庁や出先機関である全所属職員へのアンケート結果として、以下のようなカスタマーハラスメント内容が報告されています。
【行政窓口でのカスタマーハラスメント(例)】*3
| 分野 | 住民などによる要求の内容・態様 |
|---|---|
| 行政窓口 |
|
こうしたハラスメントが、425所属のうち約4割で発生。そのうち20所属については年間100回以上(県庁全体では1万回以上)のカスタマーハラスメントを受けていたことがわかりました。
*1 出典:「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(第9回) 参考資料1 カスタマーハラスメント事例集」(厚生労働省)p.2、p.5-6
カスタマーハラスメントの改正法
厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によれば、過去3年間にカスタマーハラスメントの相談があったと回答した企業は27.9%。令和2年度調査(19.5%)から8.4ポイント増えており、深刻化が続いています。*
カスタマーハラスメントへの対応は2025年6月の法改正を境に、企業の「任意の取り組み」から「法律上の義務」に変わりました。
ここでは、改正法の施行スケジュールと義務化される措置内容について詳しく見ていきましょう。
*出典:「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要」(厚生労働省)p.2
改正法の成立と施行スケジュール
改正労働施策総合推進法は2025年6月11日に公布され、公布日から1年6カ月以内に施行される予定です。これまでパワハラ・セクハラは防止措置が義務化されていましたが、カスタマーハラスメントは「講じることが望ましい」という位置づけにとどまっていました。今回の改正でカスタマーハラスメントも同等の義務水準に引き上げられます。
改正法が定義するカスタマーハラスメントは、以下の3要件を全て満たすものです。
- ①職場において行われる、顧客・取引の相手方・施設利用者その他の当該事業主の事業に関係を有する者の言動であって
- ②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより
- ③当該労働者の就業環境を害すること
参考:「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について」(厚生労働省)
義務化される措置の内容
企業が講じなければならない措置の詳細については、施行時に国から指針が発表される予定です。現在、厚生労働省が公表している「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」には、現時点での基本的な枠組みとして次の内容が示されています。
(1)事前の準備として
- 従業員を守るという企業の基本方針・姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
- カスタマーハラスメントを受けた従業員の相談対応体制の整備
- 対応方法・手順の策定
- 従業員への社内ルールの教育・研修
(2)カスタマーハラスメントが起きた際の対応として
- 事実関係の正確な確認と対応
- 被害を受けた従業員への配慮措置
- 再発防止の取り組み
- 相談者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止
参考:「カスハラとは?法改正により義務化されるカスハラ対策の内容やカスハラ加害者とならないためのポイントをご紹介」(政府広報オンライン)
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例
自治体レベルでの対応をいち早く進めたのが東京都です。「東京都カスタマーハラスメント防止条例」は2025年4月1日に施行されました。
同条例では、「顧客と働く人とが対等な立場において相互に尊重する都市をつくりあげるとともに、カスタマー・ハラスメントのない公正かつ持続可能な社会を目指す」としています。
その第11条では、東京都が「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針」を定めることを規定しており、2024年12月25日に同指針(ガイドライン)を制定・公表しました。
企業に対して求める防止措置については、第14条を中心に努力義務が定められています。具体的な内容は、「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針」で示されました。
【事業主に求められるカスタマーハラスメント対策(努力義務)の例】*
- カスタマーハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
- カスタマーハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
- 従業員への教育・研修などの実施
- 相談窓口の設置と適切な相談対応の実施
- 相談者のプライバシー保護に必要な措置の規定と従業員への周知
- 相談を理由とする不利益取扱いの禁止と周知
- 現場での初期対応の方法・手順の作成
- 内部手続き(報告・相談、指示・助言)の方法・手順の作成
- カスタマーハラスメント発生時の事実関係の正確な確認と事案への対応
- 従業員の安全の確保、精神面および身体面への配慮
- カスタマーハラスメントの再発防止に向けた取り組みの検討と実施
同条例・指針に罰則規定はありませんが、カスタマーハラスメント発生時の状況や対応によっては、先述の通り刑法や民法などをもとにした判断が行われます。企業間取引でカスタマーハラスメントが発生した場合は、例えば下請代金支払遅延等防止法違反や独占禁止法違反となり、罰金・課徴金が課される場合もあります。
全国的にも同様の条例整備が進んでおり、自治体によっては啓発キャンペーンや相談窓口の拡充が始まっています。
カスタマーハラスメントと刑法との関係
カスタマーハラスメントの中には、刑法上の犯罪行為に該当するものがあります。顧客からの言動であっても、内容によっては警察への相談や被害届の提出が選択肢になります。
東京都が整理した資料では、カスタマーハラスメントの典型行為と、それぞれに成立し得る罪名が以下のように示されています。*
【カスタマーハラスメントの行為と成立し得る罪名】
| 行為の例 | 成立し得る罪名 |
|---|---|
| 殺す・壊すなどの発言による脅し | 脅迫罪(刑法第222条) |
| 大声での恫喝・罵声・暴言の繰り返し | 名誉毀損罪(第230条)/侮辱罪(第231条) |
| 長時間の電話・繰り返し来店などによる業務妨害 | 偽計業務妨害罪(第233条)/威力業務妨害罪(第234条) |
| 土下座・謝罪文の強要 | 強要罪(第223条) |
| 正当な理由のない居座り・長時間の拘束 | 不退去罪(第130条) |
| 従業員へのわいせつな行為 | 不同意わいせつ罪(第176条) |
| SNSへの虚偽投稿による企業・従業員の評判毀損 | 信用毀損罪(第233条) |
| SNSによる個人情報の公開・名指し中傷 | 名誉毀損罪(第230条)/侮辱罪(第231条) |
こうした法的根拠をあらかじめ従業員に伝えておくことで、被害を受けた際に「会社は動いてくれる」という安心感につながります。
カスタマーハラスメントに関する裁判例
ただし、刑事上の対応だけが企業の責任ではありません。カスタマーハラスメントが訴訟に発展したとき、責任を問われるのは加害者だけでなく、対応を誤った企業も安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
以下の3事例はいずれも、企業側の対応のあり方が結果を左右した判例です。
【カスタマーハラスメントの裁判例】
| 発生場所 | 概要 | 判決 |
|---|---|---|
| 市立小学校*1 | 保護者から理不尽な言動を受けた教員に対して、校長が事実確認と適切な対応をしないまま、一方的に謝罪を求め続けた | 校長の行為を不法行為と認定。学校を設置する市と、教員の給与を支払う県に損害賠償責任があるとした |
| 小売店舗*2 | 買い物客とのトラブルで従業員が心身に不調をきたし、安全に働ける環境を確保しなかったとして会社に損害賠償を請求した | 企業側は顧客への初期対応の指導と相談体制の整備を適切に行っていたと認定され、安全配慮義務違反はないとされた |
| 病院*3 | 医療機器販売会社の社員2名に対し、病院の担当者が暴行・脅迫を行い精神的苦痛を与えたとして、加害者個人と病院を運営する企業に損害賠償を請求した | 有罪判決後も慰謝の措置がとられていなかったと認定。加害者本人への慰謝料支払いに加え、病院運営企業にも使用者責任を認めた |
3つの裁判例に共通するのは、「会社が何をしたか(しなかったか)」が判決を分けた点です。小売店舗では相談体制の整備と初期対応の指導という2点が企業を守り、学校の判例では被害者を守るどころか一方的に非難した事実が不法行為と認定されました。
カスタマーハラスメントを「個人間のトラブル」として放置することが、そのまま法的リスクに直結することを示した事例といえるでしょう。
*1 出典:甲府地判平成30.11.13、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)p.16より作成
*3 出典:長野地飯田支判令 4・8・30、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(第5回)資料2 裁判例の傾向」(厚生労働省)p.12より作成
カスタマーハラスメントの類型と判断基準
カスタマーハラスメントへの対応を考えるうえで、「どの類型に当たるか」を把握することが出発点になります。厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は11の類型を示しており、これを起点にすることで対応手順の議論が具体的になります。
カスタマーハラスメントの11類型
カスタマーハラスメントの11類型とその具体例は、下表の通りです。
【カスタマーハラスメントの類型と具体例】
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 時間拘束 |
|
| リピート型 |
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| 暴言 |
|
| 対応者の揚げ足取り |
|
| 脅迫 |
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| 構成型 |
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| SNSへの投稿 |
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| 正当な理由のない 過度な要求 |
|
| コロナ禍関連のもの |
|
| セクハラ |
|
| そのほか |
|
類型を把握しておくと、対応手順を場面ごとに考えやすくなります。
例えば、セクハラが発生した場合、被害を受けている従業員の心身は危険な状況にあります。「まず顧客と従業員を引き離し、現場の責任者が代わって対応する」という手順も、類型を念頭に置くことでイメージしやすくなるでしょう。
参考:「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)p.9
カスタマーハラスメントの判断基準
目の前の言動がカスタマーハラスメントかどうか判断する際の基本軸は、①要求内容の妥当性と②手段・態様の相当性の2点です。この2軸を組み合わせると、
判断基準と判断の流れは以下のようになります。
【カスタマーハラスメントの判断フロー図】

なお、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、要求内容に妥当性がない場合でも、顧客がすぐに要求を取り下げた場合は「従業員の就業環境が害されたとは言えず、カスハラに該当しない可能性がある」と説明しています。*
類型はあくまでも「場面のヒント」であり、最終的な判断には要求の内容だけでなく、従業員への影響の有無も含めて総合的に見ることが重要です。
カスタマーハラスメントへの対応マニュアル
最後に、カスタマーハラスメントに対する具体的な対応の準備について解説します。
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は対応の枠組みを「事前準備」と「カスタマーハラスメント発生後の対応」の2段階に整理しており、ここではその内容を順に見ていきましょう。
(1)事前準備
カスタマーハラスメント対策における事前準備は、次の4項目です。
【カスタマーハラスメント対策における事前準備】
- ①会社としての基本方針・基本姿勢を明確化し、従業員に周知する
- ②カスタマーハラスメント被害を相談できる窓口を設置・周知する
- ③カスタマーハラスメントへの対応方法・対応手順を策定する
- ④研修などを通じて対応ルールを従業員が学べるようにする
最初に取り組むべきは①です。「会社として従業員を守る」という経営層の明確な意思表示がなければ、マニュアルを整備しても現場に浸透しません。「なぜ対策が必要か」というメッセージを経営層から発信することが、残り3項目を機能させる前提になります。
②の相談窓口は、既存のパワハラ・セクハラ窓口と統合する形でも運営できます。ただし、カスタマーハラスメント被害は「即時対応」が求められる場面が多く、現場の管理職が最初の窓口になるケースが大半です。管理職自身が相談受付の基本を理解していないと、窓口が形骸化します。窓口担当者の育成は、設置と同時に進めてください。
③の対応手順は「初期対応」と「内部手続き」の2段階に分けて整理します。
【初期対応のポイント】
- 顧客への対応は、原則として複数名で行う
- 従業員の安全確保が必要な場合は、現場の責任者が対応を代わり、顧客と従業員を引き離す
- 現場の責任者がすぐに対応できない場合は、クレームの内容と事実を明確にして限定的な謝罪を行い、顧客の連絡先などの情報を得る
- 店頭でやりとりを続けるのではなく、場所や人、時間を変えて複数名体制で冷静に対応する(傾聴の姿勢を持つ)
- 初期対応においては、録画・録音できない場所での対応や、夜間・早朝といった一般的でない時間帯の訪問を避ける(相手から要求されても断る)
【内部手続きのポイント】
- 顧客から犯罪行為があったなど重大なケースについて、本部・本社への報告を求めることを定める
- 報告すべきケースの判断基準を策定する(犯罪行為、行政との連携の必要性、法的手続きの必要性など)
- 報告すべき内容を定める(日時・場所・対応者の名前・顧客の情報・要望内容・管理者の指示・対応結果など)
④の研修は、管理職向けと現場担当者向けで内容を分けます。管理職には「被害を受けた部下をどう支援するか」、現場担当者には「どこまで対応し、どこで引き渡すか」という判断基準の習得が中心になります。
参考:「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚生労働省)p.18−35
(2)カスタマーハラスメント発生後の対応
カスタマーハラスメントが起きた際の最優先事項は、従業員の安全確保と事実確認です。事前に策定した初期対応・内部手続きのルールに沿って動くことで、担当者個人の判断に頼る場面を最小化できます。
カスタマーハラスメントの中でも、暴力行為やセクハラ行為がある場合は、すぐに現場の責任者が顧客対応を代わり、部下である従業員を守らなければなりません。犯罪行為なら、警察への通報や弁護士との連携が必要となる可能性が高くなります。セクハラ行為があった場合は、従業員のケアのため、同性の相談対応者につなぎましょう。
もし従業員のメンタルヘルス不調が疑われるケースでは、産業医や産業カウンセラー、臨床心理士などの専門家につなぐことも大切です。
そして、カスタマーハラスメントへの対応後も企業には行うべきことがあります。再発防止のための事案の記録と、施策の見直し・改善です。具体的には、被害を受けた従業員のプライバシーを保護したうえで、事案に関する記録を残し、情報の社内共有と事例の検証、対応マニュアルや研修内容の更新を行いましょう。
その際、カスタマーハラスメント被害を受けた従業員や、カスタマーハラスメントについて相談した従業員について、不利益な取り扱い(解雇・減給・降格・不利になる人事異動など)がないよう、十分注意してください。
カスタマーハラスメントの相談窓口
社内の相談窓口が整っていても、上司や同僚には話しにくいと感じる人もいるでしょう。外部の窓口を選択肢として明示しておくことで、被害が埋もれるリスクを下げられます。
以下の表に、主なカスタマーハラスメント相談窓口とその特徴をまとめました。
【主なカスタマーハラスメントの相談窓口】
| 窓口 | 特徴 |
|---|---|
| 社内の相談窓口 |
|
| 総合労働相談コーナー* |
|
| 警察署 |
|
| 弁護士 |
|
社内の対応マニュアルにこれらの外部窓口も一覧として記載しておくと、担当者が判断に迷う場面を減らせるでしょう。
カスタマーハラスメント対策の本質とは
カスタマーハラスメントへの対応が難しい理由の1つは、「顧客の権利を守ること」と「従業員を守ること」が、時に相反して見えるからです。
顧客を優先するあまり過剰な要求に応え続ければ、従業員は安心して働けなくなります。一方、企業側の都合だけを基準にして正当なクレームにも応じなければ、会社の信用を自ら傷つける結果となります。
どちらか一方を犠牲にするのではなく、判断の基準を明確に持てるようにすることが、カスタマーハラスメント対策の本質といえるでしょう。
こうした判断力と対応力は、従業員が研修を通じ、実践的な学びを積むことで身につきやすくなります。多くの企業で人材育成に伴走してきたALL DIFFERENTでは、「クレーム対応研修」や「クレーム電話対応研修」など、カスハラ・クレーム対応に特化したプログラムを複数ご提供しています。ページ下部の「関連する研修」からご確認ください。

