α世代とは?企業が知っておくべき次世代人材の価値観と採用戦略

published公開日:2026.05.15
α世代とは?企業が知っておくべき次世代人材の価値観と採用戦略
目次

α世代は、2010年代初頭から2020年代半ばに生まれた、スマートフォンやAIに囲まれて育った世代です。2030年代にはα世代が消費や労働市場の中心を担うため、企業は今から特性を理解し、対策を講じる必要があります。

本コラムでは、α世代の基本情報から特徴、マーケティングや採用・育成のポイントを解説します。

α世代とは

はじめに、α世代の具体的な年齢やこの言葉が使われ始めた時期、命名の由来について見ていきましょう。

α世代に該当する年齢層

α世代の具体的な年齢については諸説ありますが、2010年から2024年頃までに生まれた人々を指すのが一般的です。これまでの世代の流れは以下の通りです。

  • X世代:1960年代半ば〜1980年頃生まれ
  • ミレニアル世代(Y世代):1980年〜1995年頃生まれ
  • Z世代:1996年頃〜2010年頃生まれ
  • α世代:2010年〜2024年頃生まれ

α世代の親の多くは、デジタル技術に親しんできたミレニアル世代に該当します。

α世代の最年長は既に10代半ばに達しており、およそ2027〜2028年度から高校に進学し始め、2030年代には労働市場の中核を担う世代となります。

α世代と呼ばれはじめたのはいつからか

社会研究者マーク・マクリンドル氏が2005年にオーストラリアで全国調査を実施した際、Z世代の次の世代名として「α(アルファ)」を提案したのが始まりだといわれています。

日本では2020年代以降、マーケティングや人材育成の分野で注目されるようになりました。現在は、企業の経営層や人事担当者の間でも広く使われています。

α世代の名称の由来

α世代の言葉は、ギリシャ文字の最初の文字「α(アルファ)」が由来とされています。

世代の命名は、直近はX世代、Y世代(ミレニアル世代)、Z世代と続いてきました。ここでアルファベットの最後に達したため、新たなサイクルの始まりとしてギリシャ文字が選ばれたと考えられます。

このパターンに従えば、α世代以降はβ世代、γ世代と続くことが予想されます。実際、2025年以降に生まれる世代をβ世代と呼ぶ動きも出始めています。

α世代とZ世代の違い

α世代と1つ前のZ世代は同じデジタル世代ですが、特徴としていくつか異なる点も見られます。以下の表に主な違いをまとめました。

【α世代とZ世代の主な違い】

比較項目 Z世代 α世代
生まれた年代 1996年頃〜2010年頃 2010年頃〜2024年頃
デジタル環境 デジタル化の進展を経験 生まれたときからスマホ・AIが当たり前
教育環境 対面授業中心+デジタルツール オンライン授業・タブレット学習が一般的
情報収集 検索エンジンで能動的に調べる 音声アシスタント・AIとの対話で答えを得る
コミュニケーション 画像投稿型SNS(ビジュアル+テキスト) 短尺動画中心

Z世代がデジタル化の進展とともに成長したのに対し、α世代は生まれたときから完成されたデジタル環境に囲まれている点が異なります。特に、情報の消費スタイルは大きく異なり、Z世代が「検索して読む」のが一般的であるのに対し、α世代は「対話して聞く」という傾向が強まっています。

また、文字から映像へ、静止画から動画へと、情報の消費速度がさらに加速している点も注目されています。

α世代の6つの特徴

ここからは、α世代が独自に持つ特徴を6つの観点から掘り下げていきましょう。

(1)デジタル環境が生活の一部である

α世代は、生まれた瞬間からスマートフォンやタブレット、AIが身近にある環境で育っています。音声アシスタントに話しかけたり、AIを活用して情報を得たりすることは、日常の一部です。

短い動画を視聴しながら理解を深めたり、自分のペースで繰り返し学んだりできる環境が整っている点も特徴です。教科書を読む従来型の学習から、視覚的・体験的に学ぶスタイルへの移行が急速に進んでいる世代といえます。

(2)プログラミング教育の必修化

α世代が受ける教育は、親世代とは大きく様変わりしています。2020年に日本で小学校のプログラミング教育が必修化され、論理的思考やデータ活用の基礎を学ぶカリキュラムが組まれました。

従来の暗記や反復だけでなく、創造的に考え、問題を解決する力が重視され始めています。

(3)タイムパフォーマンスへのこだわり

α世代を理解するうえで欠かせないのが、タイムパフォーマンス(タイパ)への強いこだわりです。

生まれたときから個人に最適化されたおすすめ機能や倍速再生に囲まれて育ったα世代は、最短ルートで目的の情報や体験にたどり着けることが当たり前の環境で育ちました。そのため、長い文章を読むよりも、要点がまとまった短い動画を見る方が効率がよいと考える傾向が顕著に見られます。

(4)多様性が重視される時代である

α世代が成長する時代は、多様性が社会的に注目され始めた時期と重なります。実際に、学校教育やメディアを通じて性別・人種・国籍など様々な背景を持つ人々の存在を知る機会も増えており、インターネットで国内外の価値観や文化に触れることも日常化しています。

こうした環境が影響し、「こうあるべき」という固定的な考え方よりも、個々の選択や個性を尊重する姿勢が育ちやすくなっていると考えられます。

(5)仮想空間でのコミュニケーション

オンラインゲームを始めとする仮想空間における交流は、α世代にとってリアルの出会いと変わらないコミュニケーションの1つです。

メタバースのような仮想空間でアバターを通じた自己表現や、遠く離れた人々との交流にも抵抗がない人が多いでしょう。物理的な距離よりも、価値観や興味の共通点を重視する傾向があります。

(6)インフルエンサーの影響力

α世代は、テレビCMや雑誌広告といった従来型のマスメディアよりも、自分が「推している」インフルエンサーやクリエイターの言葉に影響を受けやすいのが特徴です。

いわゆる「推し活」も日常的で、自身の属するコミュニティで交わされる情報が、購買行動を大きく左右します。信頼する誰かが「これがいい」と言えば、それが選択の決め手になります。

α世代を対象としたマーケティングのポイント

α世代の多くはまだ子どもですが、既に親の購買判断には影響を与え始めています。企業はα世代の特性を理解し、今から関係性を築いておくことが重要です。

ここでは、α世代を対象としたマーケティングのポイントを4つ解説します。

スピードと視覚で伝える

タイパを重視するα世代には、端的に価値を伝える工夫が必要です。長い文章よりも、短尺動画やビジュアル重視のコンテンツが効果的といえます。

特に重要なのは、最初の数秒です。スクロールを止めるインパクトがなければ、その先は見られることがありません。結論を先に示す構成にしたり、音声なしでも理解できるように字幕を活用したりするとよいでしょう。

ただし、とにかく短ければよいというわけではありません。内容が薄くならないよう、要点を絞り込み、必要な情報を凝縮して伝える技術が求められます。

パーソナライズされた体験を提供する

AIのおすすめ機能に慣れたα世代には、一人ひとりに合わせたコンテンツ配信が効果的だといわれています。一律のメッセージではなく、興味や行動履歴に基づいた提案が求められるでしょう。使えば使うほど自分の好みを理解してくれるサービスが好まれます。

この際、プライバシーには十分配慮が必要です。特に親世代であるミレニアル世代は子どものデータ利用に敏感なため、情報開示と説明を徹底し、信頼関係を築くことが重要です。

居心地のいい「ゆるいつながり」を提供する

α世代には、SNSを「見る専」として活用し、自分のペースで関わりたいと考える人も少なくありません。コミュニティに対しても、上下関係や内輪感のある濃密なつながりより、同じ世界観を持つ人たちがゆるやかに集まれる場を好む傾向があります。

インフルエンサーマーケティングでも、この特性は重要です。α世代は、インフルエンサーが企業やブランドを本当に理解し、本音で語っているかを敏感に見抜きます。自分らしく活動している姿に共感し、応援したいと思える存在であることが、購買行動につながります。

体験型コンテンツで関心を引く

ゆるいつながりを好む一方で、α世代は自分が興味を持ったことには主体的に関わりたいと考えます。受動的に広告を見るだけより、自分で操作して体験できることに価値を感じるためです。AR機能で商品を自宅に配置したり、バーチャル試着で色やサイズを確認したりできるサービスが効果的でしょう。

大切なのは「参加を強制しないこと」です。自分のタイミングで気軽に試せる体験を用意することが重要です。ユーザー生成コンテンツを促進し、顧客自身がブランドの発信者になる仕組みを作ることで、α世代との関係性を深められます。

α世代を迎える組織づくりのポイント

α世代が本格的に労働市場へ参入するのは2030年代です。まだ働いた経験のない世代ですが、現在の学習スタイルや価値観から、職場で求められる環境をある程度予測できます。Z世代の傾向も参考にしながら、今から準備を始めておくことで、優秀な人材の獲得と定着につなげられるでしょう。

ここでは、α世代を迎え入れるために準備しておきたい組織づくりのポイントを解説します。

透明性の高い評価制度の構築

α世代は、デジタル学習環境で自分の進捗をデータで確認してきました。この経験から、業務の進め方や評価の仕組みが曖昧だと不安を感じる可能性があります。何がどう評価されるのか、今の自分がどの位置にいるのかを把握できる環境が求められるでしょう。

例えば、タスク管理ツールで業務を細かく区切り、リアルタイムで確認できるようにするとよいでしょう。評価基準を明文化し、どのような成果が期待されているかを最初に示すことで、本人の納得感が高まります。

主体性を引き出す育成スタイル

幼い頃からオンラインで学んできたα世代は、わからないことをすぐに調べる習慣が身についています。上司が一から十まで教え込むスタイルより、必要な情報やリソースへのアクセスを用意し、自ら学べる環境を整える方が適していると考えられます。

そのため、マネージャーには指導者というより主に伴走者としての役割が求められるでしょう。業務の意義や背景をしっかり説明し、学習意欲を引き出すことが重要です。

動画・音声など多様な情報伝達手段の活用

文字ベースのマニュアルや長文メールは、α世代にとってはもはや効率的な情報手段ではなくなり、動画や音声など視覚・聴覚に訴えるコンテンツの方が理解されやすいと予想されます。

業務手順を短い動画で説明したり、ポイントを音声で伝えたりする準備をしておくとよいでしょう。チャット、ビデオ通話、テキストなど、状況に応じて使い分けられる環境を整えれば、コミュニケーションの質が向上するはずです。

企業理念への共感を醸成する

α世代は、学校教育でSDGsや環境問題を学び、サステナビリティが「当たり前」の価値観として育っています。Z世代でも見られた傾向ですが、給与や福利厚生だけでなく、企業が何を大切にしているかへの関心は、さらに高まると予想されます。

そのため、社会にどう貢献しているか、どんな未来を目指しているかといった企業の姿勢が、働く場所を選ぶ判断材料になるでしょう。

対策としては、経営層が直接ビジョンを伝えたり、若手の意見を取り入れる仕組みを作ったりして、帰属意識を高める工夫が求められます。情報を積極的に開示し、双方向でコミュニケーションを取るような取り組みが、長期的な人材定着のカギになります。