プレゼンテーションとは?意味や作り方・相手の心に届くコツなどを解説

update更新日:2025.07.18 published公開日:2021.12.24
プレゼンテーションとは?意味や作り方・相手の心に届くコツなどを解説
目次

プレゼンテーションとは、企画や提案を相手にわかりやすく伝え、共感や納得を得ることです。作り方や構成などを工夫することで効果的なプレゼンテーションが可能になります。

本コラムでは、プレゼンテーションの作り方や便利なアプリやテンプレート、相手の心に届くプレゼンテーションのコツを解説します。

プレゼンテーションとは?意味と発表との違い

プレゼンテーションは、意図や企画・提案などを相手に伝えることです。

はじめに、プレゼンテーションの定義と発表との違い、そしてビジネスにおける重要性について解説します。

プレゼンテーションの定義とは

プレゼンテーションとは、自分の意図や考え、提案を相手にわかりやすく伝え、理解と納得を促すコミュニケーション手法です。英語の「presentation」は「提示」や「紹介」を意味し、単なる発表以上に「相手に届ける」「伝わる」ことを重視します。したがって、プレゼンテーションでは一方通行の説明ではなく、相手の関心や理解度を意識した構成と表現が求められます。

プレゼンテーションと発表の違い

プレゼンテーションと発表は似ていますが、目的と進め方に違いがあります。発表は情報を一方向に伝えることが中心で、聞き手の反応を強く意識する必要はありません。一方、プレゼンテーションは聞き手の理解と納得を得ることがゴールです。聞き手の興味を引き、コミュニケーションをとることで相手に行動変容を促すことまで可能にするのがプレゼンテーションです。

ビジネスにおけるプレゼンの重要性

ビジネスにおいてプレゼンテーションは特に重要です。プレゼンテーションと発表の違いは、一方向ではなく相手の理解や納得を得るという目的や進め方にあると説明しました。さらにそれを深めて相手に決断やアクションまで促すのが、ビジネスプレゼンテーションの役割です。例えば、以下のようなビジネスシーンでプレゼンテーション力が必要とされます。

  • プロジェクトや企画を上司や経営層に説明する
  • 自社の製品や提案をクライアントに伝える
  • 部下や組織のメンバーに企業のビジョンや方針を理解してもらう

短時間で効果的に意図を伝える能力は、社内外問わず信頼を高め、キャリアアップにも直結する重要なスキルといえるでしょう。

プレゼンテーションの基本構成と作り方

プレゼンテーションでは、情報を「わかりやすく」「伝わるように」整理することが大切です。聞き手の理解を助けるためには、論理的な構成を意識して話を組み立てる必要があります。

ここでは、代表的な4つの構成フレームワークをご紹介します。

序論・本論・結論の基本構成

プレゼンテーションで最も基本となる構成は「序論・本論・結論」です。

  • 序論
  • 本論
  • 結論

まず序論で話の全体像や目的を伝え、本論で根拠やデータを示し、最後に結論で要点をまとめます。この順番で話すことで、聞き手は「何について」「なぜそう考えるのか」「最終的に何が言いたいのか」を整理して理解できます。特にはじめてのプレゼンテーションでは、この3段構成を意識することで、話の流れが自然になるのでおすすめです。

PREP法

PREP法は、短い時間で説得力のある話をするための説明方法です。

  • Point(結論)
  • Reason(理由)
  • Example(具体例)
  • Point(結論)

まず「結論」を述べ、次にその「理由」を説明し、「具体例」で補足したうえで、最後にもう一度「結論」を述べます。この構成を使えば、話がブレずに要点が伝わりやすくなります。プレゼンテーションだけでなく、ビジネスの会話や文章作成でも活用される定番のフレームワークです。

SDS法

SDS法は以下の3つの順で話す構成法です。

  • Summary(要点)
  • Details(詳細)
  • Summary(要点)

最初に伝えたい要点を簡潔に述べ、次に詳しい説明を加え、最後に改めて要点を繰り返すことで、情報の定着を促します。PREP法に似ていますが、理由を説明して相手の納得や理解を重視するPREP法と異なり、主に報告や説明型のプレゼンテーションに向いています。時間が限られている中でも、聞き手の理解を深めやすいのが特徴です。

DESC法

DESC法(デスク法)は、相手との対話や交渉を円滑に進めたいときに有効なフレームワークです。

  • Describe(描写)
  • Express(表現)
  • Suggest(提案)
  • Consequence(結果)

事実を冷静に描写した後で、自分の気持ちを表現し、建設的な提案を行い、望む結果を説明する、という流れです。DESC法は、自他を尊重しながら相手に自分の意見や要望を伝えるコミュニケーション法であるアサーティブコミュニケーションとしても有効な方法といわれています。DESC法を活用することで、意見が対立しそうな場面でも、感情的にならずに論理的に話すことができます。

アサーティブコミュニケーションとDESC法について詳しくは以下のコラムでも解説していますので参考にしてください。

コラム「アサーティブ|自他を尊重して的確に伝える技術」はこちら

PowerPoint(パワーポイント)でプレゼンテーションはもう古い?|ツール・アプリ紹介

プレゼンテーションにおいて「PowerPoint(パワーポイント)一択」という時代は過ぎつつあり、多様なツールが登場しています。

プレゼンテーションの目的や環境に応じて、最適なアプリケーションを選ぶことが効果的です。ここでは、代表的なツールとその特徴についてご紹介します。

PowerPointのテンプレートを活用

社内のシステム環境やクライアントからの制約などにより、定番ツールであるPowerPointを使わなければならないという人も多いでしょう。PowerPointでプレゼンテーション資料を作成する場合には、あらかじめ用意されたテンプレートを活用するとよいでしょう。構成やデザインを考える時間を短縮でき、内容に集中しやすくなります。

Microsoftが提供している「Microsoft Create」のほか、使いやすいプレゼンテーション資料用テンプレートをダウンロードできるサイトを利用すると便利です。こういったテンプレートを使えば、視覚的にわかりやすく初心者でも整った構成で資料を作成できます。

参考:Microsoft Create|ソーシャル メディア、ドキュメント、デザイン用の無料テンプレート

Googleスライド・Keynoteなどの特徴比較

PowerPoint以外にも、ビジネス上のプレゼンテーション資料作成にはGoogleスライドやKeynote、WPS Cloudなどのツールがあります。

ツール・
アプリ名
料金体系 特色
Google
スライド
無料 Googleアカウントがあれば誰でもインストール不要で利用可能、PowerPointと同じような機能でスマホからも操作可能
WPS Cloud 無料(オンライン使用のみ) オフィスのクラウドサービス、クラウドストレージで共同して編集やファイルの共有がしやすい
Keynote 無料 iOSに標準搭載、Apple製品との相性が良く、ビジュアル性に優れている

それぞれに得意な機能があるため、目的や使用環境に合わせて選ぶことで、より効果的なプレゼンテーション資料を作成できます。

参考:Google Workspace|プレゼンテーション スライドショー作成ツール

参考:「WPS Cloud」|オフィスクラウド

参考:Apple(日本)|Keynote

その他のプレゼンテーション作成アプリ

無料でも高機能なプレゼンテーション作成アプリが増えています。

アプリ名 料金体系 スマホ対応 特徴
Canva 無料 iPhone/
Android
直感的な操作性やデザイン性に優れている
Prezi 無料 iPhone/
Android
テンプレートや画像素材などが豊富で180を超える国で使用されている
Gamma 無料 iPhone/
Android
AI作成機能が充実

例えば「Canva」はデザイン性に優れ、直感的に操作できるのが魅力です。また「Prezi」は動きのあるダイナミックなプレゼンテーションが得意で、聞き手の興味を引きつけやすい構成を実現できます。「Gamma」は日本での知名度はあまり高くありませんが、AI作成機能が充実しており、プロンプトやボタンクリック1つでプレゼンテーションが作成できます。

これらのツールはブラウザ上で利用でき、特別なソフトのインストールが不要な点でも利便性が高いのが特徴です。

参考:Canva(キャンバ)

参考:Prezi Present|ハイブリッド チーム向け、魅力的なビジュアルを使ったプレゼンとビデオ

参考:Gamma |プレゼンテーションのためのGamma | AIで瞬時にデッキを作成

相手に伝わるプレゼンテーションのコツ|事前準備

では、相手に伝わるプレゼンテーションを行うための事前準備について考えてみましょう。プレゼンテーション前の準備には大きく5種類あります。

  1. (1)「相手は誰か」「課題は何か」の想定
  2. (2)「結論」と「根拠」の準備
  3. (3)「モノ」の準備
  4. (4)「ロープレ」の実施
  5. (5)「100本ノック」の実施

順番に解説していきます。

(1)「相手は誰か」「課題は何か」の想定

プレゼンテーション対象者が、決裁権を持つ取締役なのか現場のリーダーなのかで、直面している課題は全く異なります。

対象者が経営陣ならば、売上アップやコストダウン、会社の成長につながる話をメインに行い、対象者が現場リーダーならば、現場を円滑に回せることや生産性が上がるなどの話をするなど、同じ商品・サービスをプレゼンテーションする場合でも、聞き手が違えば訴求するポイントも変わってくるからです。

(2)「結論」と「根拠」の準備

対象者によって異なりますが、プレゼンテーションは最初のインパクト(自分たちの課題を解決してくれるといった期待を持たせてくれる)と、最後の締め方(最初に感じた期待は間違っていなかったと感じさせてくれる)で相手の心証が全く変わってきます。対象者の抱える課題に合わせて提案=結論をしっかりと定め、構成を作成していきましょう。

例えば顧客管理システムのプレゼンテーションをPREP法で構成すると以下のようになります。

  1. 結論:
    弊社の顧客管理システムを導入していただくと、貴社の3つの課題を解決できます。
  2. 理由:
    5つの便利な機能があるからです。
  3. 具体例:
    例えば、商談内容を音声で入力ができ、入力時間が今までよりも半分になります。
  4. 結論:
    よって、貴社の3つの課題を解決できます。

PREP法などのフレームワークを使いながら、シンプルかつ相手に話が伝わりやすい構成づくりを心がけましょう。

(3)「モノ」の準備

配布資料の印刷、資料を投影するためのプロジェクター・スクリーン、レーザーポインター、サンプル品など、「モノ」として用意できるものを準備しましょう。

(4)「ロープレ」の実施

ぶっつけ本番でプレゼンテーションがうまくいくことは決してありません。資料にはない情報をどのタイミングで、どのように話すのか。またその情報を話すことは聴衆にどのような効果をもたらすのか、といったこともロープレを通じて検証しましょう。

(5)「100本ノック」の実施

自身で行ったプレゼンテーションのロープレを動画で撮り、何度も見返しながら100回ロープレを繰り返す覚悟で、徹底的にプレゼンテーションの練習をしましょう。スティーブ・ジョブズ氏でさえ、プレゼンテーションの前に何度も何度も練習をしていたそうです。

(2)「結論」と「根拠」の準備でお伝えした「結論」を最初と最後にしっかりと自信を持って言いきれているか、また自信を持って伝えているその結論の根拠は、客観的に見ておかしくないか?を確認することが重要です。

相手に伝わるプレゼンテーションのコツ|話し方

では次に、上手なプレゼンテーションを行うための話し方についてお伝えします。先ほども例に出した「顧客管理システムをA社に導入してもらうため」のプレゼンテーションをイメージしてみましょう。

上手なプレゼンテーションを行うための話し方にはポイントが3つあります。

  1. (1)結論を最初と最後に言う
  2. (2)難しい言葉、専門用語は使わない
  3. (3)話すスピードと声の大きさを意図的に変える

結論を最初と最後に言う

プレゼンテーションの成否は、事前準備(2)「結論」と「根拠」の準備でお話した結論をどれだけ相手に刺さるように伝えられるか、にかかってきます。プレゼンテーション冒頭で結論から言い、プレゼンテーションの結びで再度結論をお伝えすることで、相手にインパクトを与えましょう。

難しい言葉、専門用語は使わない

事前準備(1)「相手は誰か」「課題は何か」の想定でもお伝えしましたが、プレゼンテーションの対象者によって、課題や話すべき内容は変わってきます。また、現場の方にしか理解していただけないような専門用語は、経営者には聞きなじみがないので、使わないほうが無難です。

「弊社のCRMはリージョンフィットなので、シームレスかつホリゾンタルにお使いいただけます」など、相手が理解できない言葉を使った瞬間に、相手の聞く耳は閉じてしまいます。

話すスピードと声の大きさを意図的に変える

スティーブ・ジョブズ氏でも孫正義氏でも、プレゼンテーションを聞いていると非常にゆっくり話す場面と、早口でまくしたてる場面とがあります。結論など重要なことは、大きな声でゆっくりと、途中の開発秘話などの物語的な部分は少し早めに話すなど、話すスピードと声の大きさ、表情などを調整することで、相手の心に刺さるプレゼンテーションができるようになります。

プレゼンテーション力を高めるためのポイント

プレゼンテーションの効果を高めるためには、構成やスライドの質だけでなく、話し方や自己表現のスキルも重要です。ここでは、実践的なプレゼンテーション力を養う方法として、「英語でのプレゼンテーションのポイント」「研修や検定の活用」「ノンバーバルコミュニケーション」の3つの観点からご紹介します。

英語でのプレゼンテーションのポイント

英語でのプレゼンテーションでは、言語面の工夫だけでなく、論理的で明快な構成が求められます。聞き手にとって理解しやすいプレゼンテーションを実現するには、言葉の選び方や伝え方を意識することが重要です。ここでは、英語プレゼンを成功に導くための3つのポイントをご紹介します。

使う英語はシンプルでわかりやすく

英語でのプレゼンテーションでは、複雑な語彙や表現を避け、簡潔で伝わりやすい言葉を使うことが基本です。難解な単語を使うよりも、中学生レベルの単語でも明瞭に伝える方が効果的です。例えば“use”や“help”など、シンプルな動詞を活用すると、相手の理解を助け、誤解を避けることができます。英語力に自信がない場合も、簡単な表現を繰り返し練習することで、プレゼンテーション全体の完成度は大きく高まります。

結論ファーストでわかりやすい構成にする

英語でのプレゼンテーションは「結論ファースト」が基本です。最初に主張(結論)を述べてから、その理由や根拠を説明する構成は、英語圏での論理的な話法として広く受け入れられています。例えば“I believe this strategy works best. Here’s why.”というように、まず言いたいことを伝えます。日本のストーリー構成でよく用いられる「起承転結」のような構成や、長い前置きや導入は不要です。結論ファーストにすることで、聞き手は話のポイントを早い段階で理解でき、内容の整理がしやすくなります。

定型句や使いやすいフレーズを多用する

英語プレゼンでは、事前に用意した定型フレーズを効果的に使うことで、スムーズな進行が可能になります。例えば、“Let me begin by...”や“To summarize...”などの表現を活用すれば、場面転換や締めくくりが明確になり、聞き手にとって理解しやすくなります。“In conclusion...”や“As a final point...”など、結論や強調する場合のフレーズは何パターンか用意しておくとよいでしょう。

“handouts(配布資料)”、“table(表)”といったプレゼンテーションでよく使う用語もしっかり確認しておいてください。

これらの専門用語やフレーズを覚えておくことで、緊張しても話の流れを見失いにくくなり、自信を持ってプレゼンテーションに臨めます。

話し方とノンバーバルコミュニケーションが重要

プレゼンテーションにおいて、話す内容だけでなく、声のトーンやスピード、身振り手振りといったノンバーバル(非言語)要素も大きな影響を与えます。聞き取りやすい話し方や目線の使い方は、相手の集中力や共感を引き出す鍵です。また、適度なジェスチャーを加えることで、言葉だけでは伝えにくいニュアンスを補い、説得力が増します。話し方と非言語の表現を意識することで、プレゼンテーション全体の印象が大きく変わります。

プレゼンテーション検定と研修の活用

プレゼンテーションに関わる検定試験としては、一般社団法人日本プレゼンテーション教育協会の「プレゼンテーション検定」があります。プレゼンテーション検定では、3級・準2級・2級・1級の4つのレベル別に講座を受講後、検定試験を受験して合格すると、各級に応じた資格を取得できます。*

プレゼンテーション力を体系的に高めたい場合は、専門的な研修や検定の受講がおすすめです。特に社会人向けのプレゼンテーション研修では、話し方や資料作成だけでなく、相手を動かすための説得技法や心理的アプローチも学べます。

ALL DIFFERENTではプレゼンテーション専用の研修メニューをご用意しています。入門編ではケーススタディやワークショップの時間が多く含まれ、プレゼンテーションの基本を学習可能です。「ご自身や部下のプレゼンテーション力を向上させたい」という方はぜひこちらの研修にご参加ください。

「プレゼンテーション入門<デリバリー力向上編>」研修の詳細はこちら

*参考:日本プレゼンテーション教育協会プレゼンテーション技能検定