コンテクストとは?意味や例文、ハイコンテクストとローコンテクストの使い方を解説

update更新日:2025.04.07 published公開日:2023.11.02
コンテクストとは?意味や例文、ハイコンテクストとローコンテクストの使い方を解説
目次

コンテクストとは、もともと「文脈」や「前後関係」といった意味の言葉ですが、ITや建築など様々な分野で特別な意味をもって使われています。

ビジネスにおいてもコンテクストは重要な意味をもっており、ビジネスコミュニケーションではハイコンテクストとローコンテクストの特徴を理解して上手に使い分けることが大切です。

本コラムでは、コンテクストとは何か、ハイコンテクストとローコンテクストの違い、ビジネスにおける活用方法を解説します。

コンテクストとは?

コンテクストには、分野によって様々な意味があります。

まずは一般的な意味や使い方、似た言葉であるコンテキストとの違いなどについて解説します。

コンテクストの意味

コンテクストは英語で「context」と表し、一般的な日本語の訳語としては「文脈」「前後関係」などが充てられます。「con(一緒に)」と「text(本文、文章)」という言葉が合わさっていることからもわかる通り、もともと文章の背後にあるものや内在する状況などの意味をもつ言葉です。そこから派生して、コンテクストは明文化されていない事情や意図、経緯といった幅広い意味で使われるようになりました。

コンテクストの使い方と例文

日本語でのコンテクストの使い方としては、「コンテクストを読む」「コンテクストをくみ取る」といった表現が多くみられます。

例文①

「クライアントの要望のコンテクストを読み取る必要がある」

この場合は、クライアントの要望の裏にある、言葉で明文化されていない背景や事情、隠された意図やこれまでの経緯、などといった意味でコンテクストが使われています。

また、ビジネスシーンやIT分野などでは「コンテクストの生成」「コンテクストをつくる」などといった表現を使うこともあります。

例文②

「新しいサービスについてはコンテクストの生成が課題だ」

コンテクストの生成とは、独自の解釈を加えて文脈や背景を創り出すことを意味します。ビジネスシーンでは、曖昧なものに情報や意味を加えて再定義したり、新しい商品・サービスに文脈や背景事情の情報を付加したりする意味で使われることが多いです。

コンテクストとコンテキストの違い

コンテクストと似た言葉に「コンテキスト」がありますが、基本的に両者は同じ言葉で、英語の「context」を日本語のカタカナで表記したものです。

コンテクストとコンテキストに厳密な違いはありませんが、コンテクストは一般的な「文脈」「背景」といった意味で使われ、コンテキストはIT分野で使われることが多いようです。

IT分野でのコンテクストまたはコンテキストの意味や使い方については、次のセクションで詳しく解説します。

コンテクストの各分野における使い方や意味の違い

コンテクストは、一般的には「文脈」や「状況」を意味しますが、様々な分野で異なる形で使われています。

IT分野ではプログラムの設定情報を指し、建築では設計における周囲の環境や歴史的背景を考慮する概念として使われています。

ここで、それぞれの分野における具体的な意味や使い方をみておきましょう。

IT分野のコンテクスト

IT分野でのコンテクストは、主にプログラムやシステムが動作するために必要な環境や設定を意味します。例えば、アプリケーションが実行される際のユーザー情報、デバイスの状態、ネットワーク設定などです。

画面描画やグラフィックス処理などで、入出力先の装置を抽象化し、プログラム上で扱えるデータ構造の集合などの形に表したものをコンテキスト(デバイスコンテキスト、グラフィックスコンテキスト、レンダリングコンテキストなど)と呼ぶこともあります。

また、同じ操作方法でも設定や操作対象に応じて表示される項目が変わるメニューのことを「コンテクストメニュー(コンテキストメニュー)」といいます。PCにおけるマウスの右クリックメニューがその典型例です。

参考:IT用語辞典 e-Wordsコンテキスト(コンテクスト)とは

建築分野におけるコンテクスト

建築分野におけるコンテクストは、設計を行う際に周囲の環境や歴史、文化的背景を考慮することを指します。

1950年に建築家ロバート・ヴェンチューリが「建築の構成におけるコンテクスト」の論文を発表し、建築設計において周辺環境や文化背景を取り入れる「コンテクスチュアリズム」の概念が普及するようになりました。

例えば、新しい建物を建てる際に、建物単独の機能や外観だけを考えるのではなく、その土地の歴史的な建物や自然景観との調和を図るのが、建築におけるコンテクストの重視「コンテクスチュアリズム」です。このようなアプローチは、歴史保存やリノベーション、地域社会への貢献などの観点からも重要視されています。

参考:artscapeコンテクスチュアリズム

教育や人材育成におけるコンテクスト

教育や人材育成の分野では、コンテクストは学びの背景や環境を指します。学習する内容そのものではなく、学習者が置かれている文化的・社会的な状況や事情に着目するのが、教育におけるコンテクストの意義です。

例えば、異文化圏の学習者に対しては、その文化的背景を理解しながら指導を行うことで、学習効果を高めることができるでしょう。企業の人材育成においても、社員が置かれた状況や業務内容を踏まえた教育を提供することが重要です。

社会や環境が多様化する中、教育や人材育成において効果を実現するために、学習内容だけでなくコンテクストを意識することが求められています。

ハイコンテクストとローコンテクストとは

ハイコンテクストとローコンテクストは、情報伝達における2つの対照的なスタイルを表しています。

ハイコンテクストは暗黙の了解や文脈に依存するスタイルで、ローコンテクストは明確に言葉で伝えるスタイルです。

ハイコンテクストとローコンテクストはどちらが良い、悪いではなく、状態を理解して上手に使い分けることがポイントです。

ここでは、ハイコンテクストとローコンテクストの違いや特徴について解説します。

ハイコンテクストとは?特徴と例

ハイコンテクストとは、背景事情や前提条件が多く、複雑であるような状況のことです。前提条件や背景は必ずしも毎回明示されるわけではなく、むしろ省略されることが多くなります。

そのため、ハイコンテクストなコミュニケーションでは、「暗黙の了解」も多くなります。慣れている人同士であれば効率よくやりとりできるというメリットがある一方で、慣れていない人にとっては混乱のもとになるというデメリットがあります。

例えば、上司と部下の間で以下のような会話があったとします。

上司A「展示会のスケジュールを調べて資料作成しておいてください」

部下B「わかりました、明日までにドラフトを作成します」

この場合、明文化されていない前提条件や背景には例えば以下のようなものが考えられます。

  • 目的や対象(どの展示会か?展示会のスケジュールだけ?資料作成は展示会の内容も対象か?)
  • 資料作成の方法や様式(どうやって調べるか?様式は?)
  • アウトプットの方法やスケジュール(作成した資料はどうやって見せるか?いつまでに提出?)

ハイコンテクストな会話は話し手と聞き手の間で、このような明示されていない背景情報が共有されている場合に成り立つコミュニケーションです。このため、相手の意図や状況を察する能力が求められます。

日本はなぜハイコンテクスト文化といわれるのか

日本はよくハイコンテクスト文化な国であるといわれます。日本はなぜハイコンテクスト文化だといわれるのでしょうか。

その理由として、歴史的に同じ文化圏での生活が長く続き、同質性が高い社会であることが挙げられます。

例えば、「空気を読む」といった表現は、日本文化に根付いたハイコンテクスト的な特徴を象徴しています。「阿吽の呼吸」「以心伝心」といった言葉のように、言葉で明示しなくても伝わることを良しとする価値観があるのも特徴的です。さらに、敬語や婉曲的な表現が多い傾向も、文脈や関係性を重視する文化を反映していると考えられます。

日本では詳細を明確に説明するよりも、相手に察してもらうことが重視される文化や風潮があるため、ハイコンテクストな文化だといわれているのです。

ローコンテクスト

ローコンテクストは、ハイコンテクストとは逆に、背景事情や前提条件がシンプルな状況です。メンバー同士が事情や前提を共有していなくてもコミュニケーションが可能で、「暗黙の了解」が少ない状態といえます。

ハイコンテクストで紹介した「展示会の資料作成の指示」という会話を例に考えてみましょう。仕事に慣れた人に指示をする場合にはハイコンテクストな会話でも通じますが、新入社員や所属されたばかりの人に指示する場合にはそれでは通じません。

育成担当者A「来月開催される〇〇展示会のスケジュールを調べて、この資料と同じフォーマットで展示会の内容をまとめてください」

新入社員B「わかりました」

育成担当者A「資料のファイルの共有フォルダの〇〇に保存されています。いつまでにできそうですか?」

新入社員B「明日の午前中にはできると思います」

上司A「では、一旦明日のお昼休みまでにドラフトを作成して私にメールで送ってください」

育成担当者は、ハイコンテクストでは明示されていなかった前提条件についてあらかじめ説明しています。

ローコンテクストでは、「相手もわかっているだろう」という前提がないため、物事の目的や条件などを、その都度しっかり言語化して伝えなければなりません。言語化に慣れていない人にとっては、「やりにくい」と感じられることもあるでしょう。しかし、業務の目的や条件が明示されるため、新しいメンバーでも仕事を進めやすい環境であるという大きなメリットもあります。

Bさんは会社での業務に慣れておらず、共有している情報が少ない状態です。そのため、Bさんが抱える疑問点に対してAさんは言葉で伝えたり、実際に操作して見せたりするとBさんの仕事がスムーズに進むでしょう。

こうしたローコンテクストの状態から業務を始めることで、Bさんは業務のやり方を習得しやすくなります。

ローコンテクストで人材育成をする場合に気をつけるべきポイントや進め方については、「ローコンテクストで実践する人材育成4つのポイント」のセクションでくわしく説明しますので参考にしてください。

ハイコンテクストな会話とは?コミュニケーションにおけるコンテクストの重要性

ハイコンテクストな会話は、発言や行動が共有された文脈や背景に基づくコミュニケーションスタイルです。このようなコミュニケーションでは、言葉そのものよりも、状況や関係性、文化的な共通認識が重要な役割を果たします。日本をはじめとするハイコンテクスト文化圏では、暗黙の了解や以心伝心が重視されるため、相手の意図や背景を理解する能力が重要です。

ここでは、ハイコンテクストな会話の特徴とそのメリット・デメリット、そしてビジネスシーンでの活用方法について解説します。

ハイコンテクストな会話のメリット、デメリット

ハイコンテクストな会話のメリットは、言葉にしなくても意思疎通がスムーズに進む点です。共通認識があることで、詳細な説明を省略でき、短時間で効率的に話し合いを進められます。また、このスタイルは関係性を深め、仲間意識を強化する効果もあります。

一方で、デメリットとしては、共有されていると仮定した背景が相手に伝わっていない場合、誤解が生じやすい点が挙げられます。新人や外部の人材にとっては、文脈を理解するのが難しく、適応するのが困難な状況に陥る可能性があるでしょう。特に、情報共有が不十分な場合、曖昧な指示や行き違いが発生しやすい傾向にあります。

ビジネスコミュニケーションにおけるコンテクスト

ビジネスの現場では、ハイコンテクストなコミュニケーションが利点と課題の両方をもたらします。

例えば、長年一緒に働いているメンバー間では、暗黙の了解があるため、迅速な意思決定が可能です。しかし、新規メンバーや異なる文化圏から来た人々にとっては、このスタイルが障壁となる場合もあります。

効果的なビジネスコミュニケーションを実現するには、ハイコンテクストを補完する形で、明確な指示や情報共有を意識することが重要です。また、全員が共通の認識を持てるよう、定期的な確認やフィードバックの場を設けることが求められます。

ハイコンテクストにおける文脈理解とは

ハイコンテクストなコミュニケーションで重要なのは、文脈を読み取る力です。具体的には、相手の表情やトーン、発言の背景にある意図を察する能力が求められます。

ハイコンテクストな現場に対応するには、他のメンバーが共有している知識やスキルを、新しいメンバーも習得していかなければなりません。端的にいえば、それを可能とする文脈理解力を育てておく必要があります。

ハイコンテクストにおける文脈理解力を育てるポイントを4つに分けてご紹介しましょう。

土台となる知識を習得する

文脈理解力は、土台となる知識を習得することで育てやすくなります。土台となる知識とは、業務に必要な基礎的な知識やスキルです。

基礎的な知識やスキルを習得するなかで、質問力も高めていきましょう。知らない部分やわからない部分を質問することで、わかる部分を増やしていくのです。

こうした知識があれば、いずれ、様々な前提をもとに推測・判断できるようになっていきます。

多くの社員が持っている知識を習得する

一般に通用する基礎的な知識やスキルに加えて、自社でのツールの使い方、用語の理解なども習得する必要があります。

自社で使っているツールについては、例えば、

  • ビジネスチャットでのメンション、スレッドのルール
  • 進捗管理表や顧客管理表の使い分け、使い方
  • 通話記録の入力方法、記載すべき内容
  • メールの件名のパターン、社外へ送信するメールのテンプレート

などが考えられるでしょう。

用語の理解では、

  • 自社でよく使う用語とその意味
  • 一般的な業界用語の調べ方・参照先
  • 自社でのみ通用する共通の言葉(略称・独自の言い回しなど)

などを知ることで、より文脈を理解しやすくなります。

業務遂行で重要な情報を記録・共有する

リアルタイムに進行する案件の情報共有も重要です。それには、現在の業務に関わる議事録や顧客とのコミュニケーション履歴などを関係者が確認できるようにしておく必要があります。

議事録やコミュニケーション記録には、例えば以下のような重要な情報が含まれています。

  • なぜそのような判断になったのか
  • その業務の目的や位置づけは何か
  • その業務が関わるプロジェクトの目標と目標達成時期はいつか
  • どのようなメンバーが関わっているか

判断の結果だけを見ると「不合理なのではないか」と感じられることでも、その背景を知ることで納得できるものがあるでしょう。単純で無意味な業務に感じられていたものが、全体における位置づけを知ることで、非常に重要な業務であり、そこで何が最も重要なのかに気づけるかもしれません。

質問しやすい雰囲気をつくる

最後に欠かせないのは、質問しやすい雰囲気づくりです。

新しいメンバーは、ハイコンテクストな現場で「暗黙の了解」となっている情報を知らずに入ってくることが多いもの。なるべく早くそうした情報を共有し、業務の効率化や生産性向上につなげるためにも、「あれ?」と思ったことを放置しない文化の醸成が大切です。

ただ、忙しい現場において、小さな質問の全てに誰かが答えなければならないという状況は効率的ではありません。そこで、「マニュアルや社内の情報共有サイト、インターネット、書籍などで調べてもわからない部分、曖昧な部分があったら、質問する」というルールも必要に応じて導入しましょう。

コンテクストをビジネスに活用するためのヒント

ビジネスにおいて、コンテクストの理解と活用は、より効果的なマーケティング戦略やマネジメント手法を構築するために重要です。コンテクストを的確に把握することで、顧客の潜在的なニーズを満たしたり、効率的な業務運営を実現したりすることが可能になります。

最後に、コンテクストをビジネスに活用するヒントとして、コンテクストマーケティングやコンテクストマネジメントの概要、ローコンテクストで人材育成する場合のポイントについて解説します。

コンテクストマーケティングの概要と活用法

コンテクストマーケティングとは、「コンテクスト=顧客の購買行動や関心」に基づき、適切なタイミングで商品やサービスを提供するマーケティング手法を指します。

例えば、Eコマースサイトでは、過去の購入履歴や閲覧履歴をもとに、関連商品をレコメンドする仕組みが典型例です。また、SNS広告で、ユーザーの興味や行動データを分析し、特定のタイミングで関連性の高い広告を表示することなどもコンテクストマーケティングの一種といえます。

コンテクストマーケティングの目的は、顧客や消費者のニーズを満たす商品やサービスを適切なタイミングで提供することで、顧客の満足度やロイヤリティを向上させることです。顧客データを分析してコンテクストマーケティングを行うことで、リピート購入を促進したり、ブランドロイヤリティ、顧客体験などを向上させたりする効果が期待できます。

コンテクストマネジメントとは

コンテクストマネジメントとは、組織やプロジェクトの運営において、関係者の状況や環境に基づいた意思決定やリソース配分を行う管理手法を指します。

企業や組織の競争力の源となる組織力=組織プロセスを形成するには、社内の環境や仕組みである企業コンテクストをマネジメントする必要がある、というのがコンテクストマネジメントの基本的な考え方です。経営者は、「戦略」「経営管理」「組織行動」などのコンテクストを構築・運営してマネジメントを行います。

企業が多様な人材を活用する現代において、組織のイノベーションを促し経営の質を高めるコンテクストマネジメントの手法が注目されています。

ローコンテクストで実践する人材育成4つのポイント

人材育成はローコンテクストの典型的な場面の1つです。新入社員など新しくメンバーに加わった社員を育成対象とする場合、育成対象者は自社の企業文化、顧客情報、ツールの運用ルールなどを把握していません。

特に顧客情報やツールの運用ルールなどは、新人研修などの集合研修を終えて現場に配属された際に直面する大きな課題といえます。現場の社員が「そんなことは知っているはず」と思えることでも、実は言語化して伝えるべきケースが多いのです。

ここでは、人材育成の場面で意識すべきローコンテクスト4つのポイントを、「ハイコンテクストとローコンテクストとは」のセクションで紹介した「展示会についての資料作成」という場面を用いて解説します。

指示内容や要求している作業の工程を分解する

例えば、熟練した社員に対して指示する場合、指示者であるAさんは「展示会のスケジュールを調べて、表にまとめておいてください」とだけ伝えます。しかし、新人担当者のBさんは、それだけの指示では以下のような疑問をもつでしょう。

  • 何の展示会について調べる?
  • どうやって調べる?インターネット検索?資料?
  • どのファイルにまとめる?

これは、「展示会のスケジュールを表にまとめる」という作業工程に関わる疑問です。

よって、Aさんは、Bさんに任せる業務の工程を分解し、何をどの順番で進めればよいか教える必要があるとわかります。

工程の中には、Bさんにとって既知の部分があるかもしれません。それでも工程を分解して示しておくことで、Bさんが何を知っていて、何を知らないのかを明確にできるでしょう。

Bさんが知らない部分を中心に説明すれば、ローコンテクストでありながら効率のよい指示が出せます。

5W1Hを使って指示を出す・情報共有する

工程の分解とともに欠かせないことが、5W1Hを意識した指示です。今回の例では、以下のような形で指示・情報共有をするとよいでしょう。

When いつ 今日の15時までに
Where どこで 自席(のパソコン)で
Who だれが/だれに Bさんが/Aさんに
What 何を 展示会のスケジュールを作って報告する
Why なぜ 新サービスの発表とリード獲得のため
How どのように
  • 過去に参加した展示会の今期の開催情報をインターネットで調べる
  • 参加したことがない展示会のうち、新サービスに合うものをインターネットで探す
  • 調べた情報を指定のエクセルファイルに入力する
  • ファイルへ入力したら、情報に誤りがないかチェックする
  • チェックが終わったら、Aさんに報告する
  • 必要に応じて情報を修正する
  • 作成したファイルを共有フォルダの指定場所にアップロードする

5W1Hは、工程ごとに細かく設定することも可能です。「どこで」「だれが」など、既に共有していたり、わかりきったことであったりする場合は、省略してもよいでしょう。

「もし〜なら」と条件を明確にする

業務を進める際に、もともと想定されている流れとは異なる進め方が必要になることがあるかもしれません。そうした場合に備え、「もし〜なら」と条件付けをしておくことも効果的です。

例えば、「今日の15時までに報告する」という指示を出していたものの、Bさんが作業に手間取り、15時までに完了できなかったとしましょう。入力やチェックが終わっていないためAさんに報告する段階にはなっていません。しかし、そのままBさんからの報告がなければ、Aさんは状況が把握できないでしょう。

この場合、Aさんは「もし15時までに終わらない場合は、作成途中でも構わないので一度報告に来てください」といった条件を伝えてあげるとよいでしょう。

また、Aさんが多忙で15時に部署内にいないケースも考えられます。そのような場合、Aさんは「作業が終わったときに私が部署内に見当たらないときは、チャットで私にメンションして報告してください。部署に戻り次第、確認します。報告してから次の指示があるまでは、セミナー動画の○○を見ておいてください」などと次のアクションまで明示しておくようにしましょう。

見本やテンプレートなど、完成イメージを共有する

5W1Hの「How」については、言語化して伝える以外に、見本やテンプレートを示して完成イメージや作業工程を共有する方法も考えられます。

展示会スケジュールをまとめた表でいえば、過去に作成した同様のファイルのコピーをBさんに共有し、「この形式で作成してください」または「この表にある情報を新しいものに書き換えてください」などと指示できます。

見本やテンプレートがあれば、入力すべき項目や体裁が一目でわかります。過去に作成したファイルなら、それまでに参加していた展示会の名称や時期をヒントに、作業を効率化できるかもしれません。

言葉で説明されるより実物を見せてもらうほうが理解しやすいという人もいますので、育成対象者の特性に合わせて選んでみてください。

コンテクストを使い分け効果的なコミュニケーションへ

ビジネスシーンには、ハイコンテクストな場面もあれば、ローコンテクストな場面もあります。

迅速な判断や対応が求められる現場では、様々な前提条件を省略したハイコンテクストなコミュニケーションで業務効率化を図れます。一方で、前提知識を持たない新人の育成や文化的な背景が異なる多様な人材が参加する場所などでは、様々な情報を言語化して明示するローコンテクストな方法を用いるほうが効果的でしょう。

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