論理的思考(ロジカルシンキング)とは?意味や鍛える方法を解説
更新日:2026.01.15
公開日:2022.03.08

論理的思考(ロジカルシンキング)とは、複雑な情報や状況を順序立てて整理する思考法です。
論理的思考力はビジネスパーソンにとって重要ですが、得意不得意があっても、誰でもトレーニングによって鍛えられます。
本コラムでは、論理的思考とは何か、論理的思考ができる人の特徴や鍛える方法などについて解説します。
論理的思考(ロジカルシンキング)とは?意味・定義と必要性を解説
論理的思考(ロジカルシンキング)は、複雑な情報や課題を整理し、筋道を立てて結論を導き出す力です。
複雑化・多様化するビジネス環境において、従来の経験や知識に頼るのではなく、論理的思考に基づいた意思決定や判断が求められています。
本コラムでは、論理的思考の定義や背景、実際の活用例を通じて、その本質と重要性をわかりやすく解説します。
論理的思考(ロジカルシンキング)の定義とは
論理的思考とは、情報や状況を順序立てて整理し、矛盾や飛躍がないように考える思考法です。
英語で「Logical Thinking(ロジカルシンキング)」と呼ばれ、問題解決能力の向上や合理的な意思決定の実現に役立つビジネススキルとして注目されています。
【論理的思考の特徴】
- 情報を整理し、矛盾なく筋道を立てて考えられる
- 複雑なテーマでも説得力のある形で結論を導き出せる
- 相手にわかりやすく考えを伝えられる
論理的思考にはいくつかの基本思考法があります。伝統的な思考法として代表的なのは「演繹(えんえき)法」と「帰納(きのう)法」です。
【演繹法】
大前提、小前提、結論の3段階で結論を導き出していく思考法
<具体例>
大前提:成功するプロジェクトリーダーはコミュニケーション能力が高い
小前提:Aさんは成功するプロジェクトリーダーだ
結論:ゆえに、Aさんはコミュニケーション能力が高い
演繹法では既知の事実から論理的に結論を導き出します。
【帰納法】
具体的な事例や経験から、一般的な法則や結論を導き出す思考法
<具体例>
観察1:A営業所がヒアリングシートを導入し、商談成約率が35%から50%に向上した
観察2:B営業所はヒアリングシート導入後に成約までの商談回数が平均5回から3回に短縮した
観察3:C営業所もヒアリングシート導入で顧客満足度調査のスコアが25%改善した
結論:ヒアリングシートの導入は営業プロセスの効率化と成果向上につながる
帰納法は複数の具体例から共通点を見いだし、一般的な法則性を導き出す思考法です。
論理的思考は、このような思考法のほか、漏れなく重複なく考えるための「MECE」というアプローチや、フロー、フレームワークなどのツールを活用して行います。論理的思考のツールやフレームワークについては後ほど詳しく解説します。
なぜ今、論理的思考が重視されるのか
現代社会では、情報量の増加とスピードの速さにより、短時間で正確な判断が求められます。その中で、感情や印象ではなく、根拠に基づいて筋道を立てて考える論理的思考力は、意思決定の質を高める武器となるのです。
膨大なデータや選択肢の中から的確な判断を下すには、感情や勘だけでなく、事実に基づいた筋道ある思考が欠かせません。
また、社内外での説明責任や意思決定の透明性が求められる中、論理的に話す力は信頼構築にも直結します。
さらに、問題の本質を見抜き、的確な解決策を導くためにも、論理的思考力は不可欠なビジネススキルといえるでしょう。
論理的思考の具体例
論理的思考はビジネスではどのように実践できるでしょうか。ビジネスシーンで論理的思考を実践する具体例を挙げてみましょう。
【ケース1:売り上げ減少への対応】
「対象商品の需要変化」「競合の施策」「広告効果」など複数の要因に分解し因果関係を整理。要因ごとの対策を立案した。
【ケース2:顧客からのクレーム発生への対応】
事実をもとに「何が起きたのか」「どの工程でミスが発生したのか」「再発を防ぐには何が必要か」と順序立てて分析。原因が納期管理の共有不足にあると特定し、情報共有フローを改善することで再発を防止した。
このように、論理的思考は、情報を整理し筋道立てて結論を導く力があるため、問題解決や意思決定、説得力ある説明が求められるビジネスの現場において、効果的に活用できます。
論理的思考(ロジカルシンキング)ができる人の特徴
論理的思考ができる人には、共通する思考パターンや行動特性があります。
ここでは、論理的思考力がある人の代表的な3つの特徴を解説し、ビジネスでどのように活かされているのか、具体例とともに紹介します。
前提や事実を整理して考えられる
論理的思考ができる人は、感情や印象に流されず、前提条件や事実をしっかりと確認したうえで思考を進めます。
例えば、「業務改善が必要だ」と感じたとき、すぐに結論を出すのではなく、「現在の業務フローはどうなっているか」「どこにボトルネックがあるか」などを客観的に整理し、土台を固めてから判断します。
このように、論理的思考ができる人は、“考える前に整える”ことを大切にしており、その姿勢が思考の精度をより高めているのが特徴です。情報があふれる時代だからこそ、事実を見極める力がより重要になっています。
説明がわかりやすい
論理的思考ができる人は、相手にとってわかりやすい形で情報を伝える力にも優れています。
例えば、会議で意見を述べる際にも、「何を言いたいのか」「なぜそう考えるのか」「具体的にはどういうケースか」が明確なため、聞き手の理解を得やすくなるでしょう。これは単なる話し上手とは異なり、思考の構造が整理されているからこそ生まれる「伝わる力」といえます。
論理的思考力がある人ほど、主張・理由・具体例といった要素を整理し、無駄なく話せます。
複雑な問題の全体像を捉え分解もできる
論理的思考では、複雑な問題に直面しても混乱せず、全体像を俯瞰しつつ、要素ごとに分解して分析することが求められます。
例えば、プロジェクトの遅延が発生した場合、「人員不足」「工程の見積もりミス」「外部依存の遅れ」など、要因を細かく分類し、それぞれに対して改善策を講じられるのが、論理的思考力のある人です。
論理的思考ができる人は、複雑な問題を前に、ロジックツリーやフレームワークなどを活用しながら、問題の構造を可視化して適切に対応できます。
論理的思考力を鍛える方法とは?日常でできるトレーニング
論理的思考力は、生まれつきの資質ではなく、日常生活や仕事の中で意識的に鍛えられます。
ここでは、論理的思考力の鍛え方について、論理の流れを意識する習慣やクイズの活用、目的志向の会話トレーニングなど、実践的な方法を紹介します。
論理の筋道を意識した思考の流れをつくる
論理的思考力を高める第一歩は、考えや会話に「筋道」を意識的に持たせることです。「主張→理由→具体例」という構成で話すようにすれば、自ずと論理的な順序が身につきます。
例えば、「この商品を導入すべきだ(主張)」というだけでなく、「コストが削減できるから(理由)」「同業他社では導入後に経費が20%下がった(具体例)」といった流れで伝えることが大切です。
最初は文章を書くときに意識するだけでも効果があります。日常のメールや会話で論理の流れを意識する習慣を持つと、思考の骨格が自然に強化されます。
問題解決型のクイズで論理的思考を鍛える
楽しみながら論理的思考を鍛えたい場合には、「論理クイズ」や「なぞなぞ」などの問題解決型パズルが効果的です。
例えば「ウソをついているのは誰か?」といった前提と証言をもとに答えを導くタイプのクイズは、情報の整理、矛盾点の発見、筋道立てた推論など、論理思考に必要な力を総合的に養えます。こうした問題は書籍やWebサイトで手軽に取り組め、短時間でも脳を刺激するトレーニングになります。
朝のウォームアップや通勤中などに日課として取り入れれば、考える力に柔軟性とスピードが身につくでしょう。楽しみながら継続することがコツです。
相手目線・目的思考を意識する練習
論理的に考える力は、自分の中で完結するだけでは不十分です。
相手に伝わり、納得されてこそ論理的思考が実践的に活きるのです。そのためには「相手は何を知りたいのか」「目的は何か」を常に意識しましょう。
例えば、上司に報告する際は、単に経過を伝えるだけでなく、「この報告で何を判断してもらいたいか」「何を簡潔に伝えるべきか」といった視点で組み立てるようにします。
普段の会話やメールでも、相手がどう受け取るかを想定して構成することで、論理展開がより洗練されます。目的と聞き手を意識する姿勢が、論理的思考の実践力を高めてくれるのです。
ロジカルシンキング鍛え方については以下のコラム記事で詳しく解説しています。
論理的思考(ロジカルシンキング)の思考法・ツールとフレームワーク
論理的思考力を高めるには、日常的なトレーニングだけでなく、思考を整理・構造化するためのツールやフレームワークの活用が効果的です。
ここでは、代表的な「MECE」「ロジックツリー・ピラミッド構造」「SWOT分析・マトリックス」について解説し、ビジネスですぐに使える思考技術として紹介します。
MECE(モレなくダブりなく)の考え方
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは、「モレなくダブりなく」情報や要素を整理するための基本的な論理的思考法です。
例えば、電子タブレットの利用者をどのように分類するかを考えてみましょう。
| モレはないがダブりがある | 未使用者・初級者・中級者・上級者・20代以下、30~40代、50代以上 |
|---|---|
| ダブりはないがモレがある | 初級者・中級者・上級者 |
| モレもダブりもある | 初級者・中級者・上級者・20代・30代・40代 |
| モレもダブりもない | 未使用者・初級者・中級者・上級者 |
この場合、「電子タブレットの習熟度」と「年齢層」という異なった2つの基準で分けてしまうと、「20代以下で未使用者」や「50代以上で上級者」といったダブりが生じてしまいます。また、「未使用者」や「50代以上」などモレがないように分類することが必要です。
論理的な説明を求められる場面で、MECEを意識して構造化する習慣を持つことが、説得力と思考の精度を高めるポイントとなります。
MECEについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
コラム「MECEとは?具体例や鍛え方、フレームワークをわかりやすく解説」はこちら
ロジックツリーとピラミッド構造
ロジックツリーとピラミッド構造は、複雑な情報を構造化して考えるための代表的な思考ツールです。
ロジックツリーとは、課題に対して「Why so?(なぜそうなったか?)」「So what?(だからなに?)」という問いを繰り返し、ツリー状に分解・整理して解決する手法です。
例えば、「なぜ売上が減ったのか」といった問いに対して、「集客減少」「購買単価低下」など、要因を枝分かれのように整理していきます。
一方、ピラミッド構造はまず具体的な情報や事実からボトムアップで結論を導く手法です。
例えば、ある店舗で「売り上げが減っている」「社員がすぐやめてしまう」「社員の業務知識が不足している」といった事実が認められるため、原因をMECEで分析しながら、「社員の研修を充実させエンゲージメントを高める」という解決策を導き出します。
これらを活用すれば、課題の原因分析や施策提案の場面で、論理的で一貫性のある思考と表現が可能になります。
フレームワーク(SWOT分析やマトリックス)
論理的思考を実践的に使う際には、SWOT分析やマトリックスといったフレームワークの活用も有効です。
SWOT分析は、企業や組織の「強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)」を4象限で整理する方法で、経営戦略やマーケティング戦略の立案に活用されています。
マトリックスは、その名の通り縦横の項目を組み合わせて表で整理する思考法です。複雑化した問題は、二次元の標準的なマトリックスだけでなく、複数の要素を組み合わせた多次元マトリックスを用いる方法も有効です。
SWOT分析などのフレームワークについては、以下のコラム記事でも解説していますので参考にしてください。
論理的思考(ロジカルシンキング)と関連概念の違いを整理する
論理的思考は、ビジネスや教育の場で頻繁に使われる思考スキルですが、似た概念として「クリティカルシンキング」「ラテラルシンキング」「合理的思考」などもよく使われます。これらは互いに密接に関係しながらも、役割や使いどころに違いがあります。
ここでは、これら3つの思考法と論理的思考の違いを解説します。
クリティカルシンキングとの違い
クリティカルシンキング(批判的思考)は、「本当にそれは正しいのか?」と既存の情報や前提を疑い、物事を深く掘り下げて検証するための思考法です。一方で、論理的思考は、既にある情報や前提をもとに、筋道を立てて結論を導くことを目的とします。
例えば、会議で新しい提案が出されたとき、論理的思考は「その提案の理由や効果を整理して伝える」ことに力を発揮しますが、クリティカルシンキングは「そもそもこの提案の前提は妥当か?他の選択肢はないのか?」といった視点で分析します。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングは相反するものではなく、相互に補完的な役割を果たします。ロジカルシンキングだけでは前提情報の正しさを判断できず、クリティカルシンキングだけでは、物事をわかりやすく説明したり、納得のいく結論を導き出したりすることが難しくなります。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので参照してください。
コラム「クリティカルシンキングとは?意味・例題と実践トレーニング3つのコツ」はこちら
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキング(水平思考)は、常識や既存の枠組みにとらわれず、自由で斬新な発想を生み出すための思考法です。対して、論理的思考は、前提をもとに矛盾のない論理の流れを重視します。
例えば、商品企画で新しいアイデアを出す場面では、ラテラルシンキングが「従来にない視点」や「既存の枠組みにとらわれないアイデア」を生み出すのに役立ちます。
一方、出されたアイデアの実現性や展開方法を整理し、論理的にプレゼンする段階では、論理的思考が求められます。
論理的思考と合理的思考の違い
論理的思考と合理的思考は混同されがちですが、アプローチと判断基準に違いがあります。
論理的思考は、「矛盾なく一貫性のある思考の流れ」を重視します。一方、合理的思考は「時間・コスト・効果などの制約の中で、最も効率的な手段を選ぶ」ことに重点を置いた思考法です。
特に、ビジネスにおける合理的思考と論理的思考の違いは、目的や条件にかなっているか否かにあります。論理的思考は、演繹法や帰納法といった手法を用いて、結論に至るまでの過程を論理的に明確にする思考法です。一方、合理的思考では、論理的であることに加えて、「目的・条件にかなっている」ことが重要となります。
ある企業の業務改善を例に、両者の違いを具体的に見てみましょう。
論理的思考のアプローチ例
論理的思考では、問題の原因を分析し、それに対する最適な解決策を導き出します。例えば、「残業時間が多い」という問題に対して、原因を次のように分析します。
- 作業プロセスの効率が悪いのではないか
- 特定の人にしかできない業務が多いのではないか
- 指示系統が明確になっていないのではないか
これらの問題に対する解決策は以下の通りです。
- 新しい業務管理システムを導入してはどうか
- 業務の手順をマニュアル化してはどうか
- 組織の体制を見直してはどうか
このように論理的思考では、実現可能性は別として、問題の原因と解決策を順序立てて考えることで、理論的に正しい結論を導き出します。
合理的思考のアプローチ例
対して、合理的思考では論理的な分析に加え、現実的な制約条件も考慮します。
- 予算に余裕がないため、高額なシステム導入は難しいのではないか
- 人員を増やすことができないため、今の体制でできることを考えるべきではないか
- 一度に全ての改善を実施するのは難しいため、段階的に進めてはどうか
これらの制約を考慮し、実行可能な改善案として以下のように考えます。
- まずは既存ツールを使った業務の可視化から着手してはどうか
- 次に重要業務のマニュアル作成を進めてはどうか
- その後、段階的な業務移管を実施してはどうか
つまり、合理的思考では論理的な分析を土台としながら、実務上の様々な制約も考慮し、より実現可能性の高い解決策を導き出すのが特徴です。
合理的思考については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
論理的思考は現代のビジネスパーソンに必須のスキル
論理的思考(ロジカルシンキング)は、情報を整理し筋道を立てて結論を導く力であり、ビジネスパーソンにとっては必須のスキルといえます。
前提や事実に基づいて考え、伝える力を高めるためには、日常でのトレーニングや思考ツールの活用が効果的です。また、クリティカルシンキングやラテラルシンキングなど関連する思考法との違いを理解することで、より柔軟で実践的な思考力が養われます。
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