企業価値向上につながるリカレント教育とは?
更新日:2026.08.04
公開日:2021.12.15

リカレント教育とは、社会人が仕事と学びを行き来しながら能力を高める仕組みです。
IT技術の進展や労働環境の急速な変化を背景に、社会人が新たな技能を習得するリカレント教育の重要性が高まっています。
本コラムでは、人事・経営視点から、その意味や注目される背景、大学講座や補助金の活用方法までをわかりやすく解説します。
リカレント教育とは何か|意味・定義と基本的な考え方
リカレント教育とは、社会人が働きながら、あるいは仕事を一時中断して、必要なタイミングで学び直す教育の考え方を指します。
最初に、リカレント教育の意味や背景を整理し、基本的な考え方を確認します。
リカレント教育の意味と「学び直し」の位置づけ
リカレント教育とは、社会人が働きながら、あるいは一定期間仕事を離れて、必要なタイミングで学習を行う教育の考え方を指します。
ここで、「recurrent」の英語としての意味を確認しておきましょう。
【リカレントの英語の意味】
recurrent:「再発する」「周期的に起こる」
使い方の例:recurrent cancer(再発がん) a recurrent fever(回帰熱)
リカレント教育は「一度学んで終わり」ではなく、「必要に応じて学びを循環させる」点に本質があります。技術革新や仕事の変化が速い現代では、学生時代の知識だけでは対応できない場面が増えています。
参考:Weblio英和辞書|英語「recurrent」の意味・読み方・表現
「繰り返し教育」と言われる理由と言い換え表現
リカレント教育が「繰り返し教育」と呼ばれるのは、仕事と教育を何度も行き来する点に由来します。
そのため、「社会人の学び直し」と言い換えられることもあります。また、後ほど詳しく解説しますが、「生涯学習」や「リスキリング」など類似の言葉・概念との違いも重要です。
リカレント教育は、単なる復習ではなく、新たな知識やスキルを獲得する点が重要であり、変化に対応するための戦略的な学習と位置づけられています。
欧米のリカレント教育との違い
欧米では、リカレント教育が長年にわたり制度として定着してきました。
日本との主な違いは、学び直しが一般的なキャリア選択肢として社会的に受け入れられている点にあります。
欧米では、年齢や職位に関係なく大学に戻ることが珍しくなく、企業も人材育成の一環として学び直しを支援する文化があります。つまり、就業と復学を繰り返して学ぶスタイルが多いのです。
一方、日本では、新卒一括採用や長期雇用を前提とした仕組みが強く、学び直しが転職や離職と結び付けて考えられがちでした。そのため、日本では「在職中に学習する形態」を指す場合が多いといえます。
近年は状況が変わりつつありますが、制度面・意識面の差が課題として残っています。
参考:『日本ではなぜリカレント教育が普及しないのか?―日本とスウェーデンの比較から』法政大学キャリアデザイン学部 教授 佐藤 厚
リカレント教育と他の学び方の違い|リスキリング・生涯学習との比較
学び直しを検討する際、「リカレント教育」「リスキリング」「生涯学習」といった用語を目にする機会が増えています。
いずれも社会人の学びに関わる概念ですが、目的や位置づけは同じではありません。違いを正しく理解しないまま使うと、期待する成果につながらない可能性もあります。
ここでは、それぞれの特徴を整理し、どのような場面で選ぶべきかをわかりやすく解説します。
リカレント教育とリスキリングの違い
リスキリングとは、事業環境や業務内容の変化に対応するために、新たなスキルを習得する取り組みを指します。特にデジタル分野などで使われることが多く、企業主導で行われるケースが目立ちます。
一方、リカレント教育は、仕事と学びを行き来する仕組みそのものを示す概念です。
リスキリングはリカレント教育の一部として位置づけられる場合もあり、両者は対立概念ではなく、目的と範囲が異なる関係にあります。
リカレント教育と生涯学習の違い
リカレント教育と生涯学習の主な違いは、「目的の明確さ」にあります。
生涯学習は、年齢を問わず学び続ける姿勢全般を指し、趣味や教養の習得も含まれます。そのため、生涯学習は必ずしも仕事やキャリアに直結しない点が特徴です。
一方、リカレント教育は、特に日本では、仕事や社会参加と強く結び付いた学びという文脈で使われます。キャリア形成や職業能力の向上を目的とし、大学や講座など体系的な教育を受ける点に特徴があります。
なぜ今リカレント教育が人事・経営課題として注目されているのか
近年、リカレント教育は個人の学び直しにとどまらず、人事および経営戦略の重要テーマとして位置づけられるようになっています。
ここでは、リカレント教育が経営課題として注目される理由を整理します。
人生100年時代と長期的な人材育成の必要性
医療の発達により平均寿命が延伸し、いわゆる「人生100年時代」が到来しました。結果として、就労期間も長期化しています。
就労期間の長期化に伴い、継続的な学び直しを前提とした人材育成が不可欠となっています。
ビジネス環境がめまぐるしいスピードで変わる中、定年まで同じ知識やスキルで働き続けることは困難です。入社時に身につけた能力も、時間とともに価値が下がる可能性があります。
そのため、企業は短期的な教育だけでなく、長期的に成長を支える仕組みを整える必要に迫られているのです。
技術革新・事業変化に対応するための人材ポートフォリオ
技術革新や事業環境の変化に対応するためには、戦略に適合した人材ポートフォリオを再設計する視点が欠かせません。新しい技術や事業分野が生まれるたびに外部採用に頼ると、時間やコストがかかります。
そのため、既存社員を育成し、多様なスキルを持つ人材ポートフォリオを構築する考え方が重要になります。
リカレント教育は、社内人材の再配置やスキル転換を実現する戦略的手段として活用されています。
採用依存から育成重視へ転換する経営背景
人手不足が深刻化する中、採用だけで人材を確保する経営モデルは限界を迎えています。
人材育成そのものが企業競争力の源泉となる時代に移行しています。採用市場では即戦力人材の獲得が難しくなり、採用コストも上昇しています。
こうした状況下では、既存社員の能力を高め、活躍の幅を広げることが重要です。リカレント教育は、育成重視の経営に転換するための具体的な施策として注目されています。
厚生労働省の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」とは
令和4年6月29日に厚生労働省より「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」が公表されました。本ガイドラインは、職場における人材開発の強化を目的として、企業と従業員が取り組むべき事項を整理したものです。
企業がリカレント教育に取り組む際には、以下のような項目が重要とされています。
- 従業員の自律的・主体的な学び・学び直しの機会の確保
- 持続的なキャリア形成につながる学びの実践、評価
- 現場リーダーの役割、企業によるリーダーへの支援
企業は、従業員が社会環境の変化に対応できるよう、学び直しができる機会を確保することが求められます。自社で得ることができないスキルの獲得・実践については、副業・兼業や在籍型出向の活用を推奨しています。
リカレント教育で何を学ぶ?学べる分野や講座の例
リカレント教育では、「今後の仕事や役割で必要となる知識・スキル」を中心に、学びます。学ぶ内容は個人のキャリア課題や企業の経営課題によって大きく異なりますが、共通しているのは、単なる教養の習得ではなく、仕事やキャリアに活かすことを前提としている点です。
大学や専門機関では、社会人向けに実践性を重視した講座が数多く用意されています。代表的な例を挙げてみましょう。
| ジャンル | 講座の例 |
|---|---|
| 語学 | 英語・ビジネス英会話・中国語など |
| IT関連 | 情報セキュリティ・プログラミング言語・システム設計/構築など |
| データ分析 | データサイエンス・AI活用など |
| 経営・マネジメント | MBA・リーダーシップ・組織マネジメント・イノベーションなど |
| 会計・財務 | 管理会計・財務・企業価値評価(バリュエーション)など |
| 介護・福祉 | 管理栄養士・看護師など |
リカレント教育には、高度専門スキルの習得を目指すものから、再就職支援に重点を置くものまで、多様なプログラムがあります。何を学ぶかだけでなく、どう学ぶかの選択肢も広がっていますので、目的や課題に応じて最適なプログラムを選択できます。
企業がリカレント教育を取り入れるメリット
企業によるリカレント教育の導入は、単なる社員教育にとどまらず、経営に直結する取り組みです。
急速に変化する社会環境の中では、社員の能力を継続的に高めることが不可欠となっています。
ここでは、企業がリカレント教育を導入する主なメリットを整理します。
業績向上への波及効果が期待できる
リカレント教育により獲得した最新の知識や技術を現場の業務に活かすことで、業務プロセスの改善や新たな業務手法の創出につながります。その結果、個々の社員の業務効率向上や、新たなサービスの開発、結果として企業の業績向上に寄与します。
人材流出の抑制と人材確保につながる
企業側がリカレント教育を取り入れることで、社員はその会社で働きながらキャリアパスを形成できます。その結果、人材の流出を防ぎ、人手不足の緩和につながります。
また、定年後の再雇用やシニア人材に対しても活躍の場を提供できるため、豊富な人材を自社にとどめておけるようになります。
社員の定着率向上および優秀人材の獲得につながる
リカレント教育を取り入れることで、社員の独立や転職を懸念する声もあります。
しかし、スキルを得た社員は所属企業でそれまで以上の成果を出せるため、社内でのキャリア機会が拡大することで、結果として定着率の向上が期待できます。
また、学び続けられる環境があると評判が得られれば、就職希望者も増えるでしょう。
キャリア形成を支援する姿勢は、企業への信頼感やエンゲージメントを高め、結果として、離職率の低下や優秀な人材の確保につながります。
企業のリカレント教育活用方針
リカレント教育を効果的に機能させるには、人事部門および経営層の明確な方針とコミットメントが不可欠です。
学び直しを個人の自己研鑽に任せるのではなく、企業成長と結び付けて設計する必要があります。制度だけを整えても、方向性が曖昧では成果につながりません。
人材戦略の一部として位置づけることで、リカレント教育は企業価値を高める取り組みになります。
社員の学び直しを企業成長につなげる考え方
社員の学び直しは、企業の成長と連動させて考えることが重要です。学びを業務や成果につなげる視点がなければ、教育投資は効果を発揮しません。
例えば、事業戦略や将来の事業領域を踏まえ、どの分野の知識やスキルが必要かを明確にします。そのうえで学習テーマを設定すると、学んだ内容を実務に活かしやすくなるでしょう。
キャリア自律と組織ニーズを両立させる制度設計
リカレント教育では、社員のキャリア自律と組織のニーズを両立させる設計が求められます。
社員が主体的に学びたい分野と、企業が必要とするスキルが重なる領域を見極めることが大切です。どちらか一方に偏ると制度は定着しません。
面談やキャリア支援制度と組み合わせ、学びの方向性を擦り合わせるとよいでしょう。手間はかかりますが、社員のキャリア自律と組織ニーズを丁寧に調整し続けることが、学び直しを前向きな取り組みとして定着させる鍵となります。
リカレント教育を「福利厚生」で終わらせないための視点
リカレント教育が福利厚生の一環として扱われると、形だけの制度になりがちです。それを避けるためには、評価や配置と結び付ける視点が欠かせません。
つまり、学んだ内容をどのように業務に反映させるのか、どのような役割につなげるのかを示し、学びの意味を組織の業務やキャリアの中で明確に位置づける必要があります。
また、成果を正当に評価する仕組みを整えることも重要です。リカレント教育を経営戦略の一部として位置づけることで、実効性のある取り組みになります。
リカレント教育を実施する手段
リカレント教育を実施する手段は教育機関で学ぶことだけではありません。
セミナーや研修の実施も取り入れ、選択肢を増やすことで、社員が働きながら学びやすい環境を整えられます。リカレント教育を自社で導入する際に、どのような手段を用意するべきかしっかり検討しましょう。
大学・大学院などの教育機関で学ぶ
国内の大学・大学院では社会人を対象としたコースが用意されており、社会人向けの特別選抜制度を利用して入学できます。一部の科目を履修することで単位を取得できる教育機関もあります。
大学・大学院でのリカレント教育講座の内容や企業連携については後ほど詳しく解説します。
職業訓練に通う
職業訓練は、正式には「公的職業訓練」といい、就業に役立つ知識やスキルが無料で習得できる制度です。介護やプログラミングなど、就業に役立つ技術が習得できる多様なコースが用意されています。
受講期間は3~6カ月が一般的ですが、1~2年の長期コースもあります。職業訓練はテキスト代を除き無料で利用できるため、コストを抑えて学び直したい方におすすめです。
セミナーや講習に通う(対面・オンライン)
社外のセミナーや講習を活用するのもリカレント教育を実施する手段の1つです。セミナーや講習には対面・オンラインの2種類があり、受講しやすい方法を選択できます。
セミナーや講習であれば、教育機関に通うよりも経済的な負担がかかりません。インターネット回線や学習用の端末は必要ですが、学習を続けやすい環境を整えられます。
特にオンラインでセミナーや講習を受講する場合は、場所を問わず興味のあるコースを選べるのがメリットです。学び直しのために遠くまで通う必要がないため、在職中でも知識やスキルを身につけやすいでしょう。
自社で研修を実施する
社内で講師を立てたり、外部講師を招いたりすると、自社内でも研修を実施することが可能です。社員のニーズに合わせたカリキュラムを組んで実施すれば、エンゲージメントも高まるでしょう。
社内で学習環境を整える際には、eラーニングのようにオンライン学習環境を整備すると、リモートワークの社員にも学ぶ環境を提供できます。研修を用意しているアウトソーシングを活用するのも手です。
あわせて、社員のキャリア形成を支援する制度を整備することも重要です。
例えば、社内にキャリアアドバイザーを在籍させることで、社員一人ひとりのキャリア形成に対して適切なアドバイスが行えます。転職せずにキャリアアップを目指せる環境があれば、定着率アップと人材育成を同時に実現できるでしょう。
ALL DIFFERENTでは、各種サービス資料をご用意しています。無料動画セミナーからお役立ち資料まで、人材育成に関するコンテンツを提供していますので、貴社の人材育成施策の検討材料としてご活用いただけます。
リカレント教育で活用できる大学・大学院の講座
リカレント教育を進めるうえで、大学・大学院が提供する講座は重要な選択肢です。
社会人向けのプログラムは、働きながら学べる仕組みが整いつつあり、専門性の高い知識・スキルを習得したい人にとって、有力な選択肢となります。
ここでは、公的支援の枠組みと講座選びのポイントを整理します。
文部科学省のリカレント教育支援プログラム
文部科学省は、大学などを通じてリカレント教育を推進する取り組みを支援しています。
社会人が学び直ししやすい環境整備を目指し、大学・企業・自治体などと連携したプログラム開発を促進しています。具体的には、履修証明制度や科目等履修制度を活用することで、単位取得に向けた学習が可能です。
学位取得だけでなく、実務に直結する知識を体系的に学ぶ機会が増えています。公的支援は教育機関側の負担も軽減し、講座提供の幅を広げています。
企業連携・社会人向けに設計された大学の講座
多くの大学では、働きながら学べる社会人向けの講座を用意しています。
企業連携型の教育プログラムは、現場のニーズに沿った即戦力のスキル獲得を支援します。例えば、ビジネスリーダー育成やデジタル人材育成、マネジメントスキルなどの分野に特化した講座が増えています。
オンライン受講や夜間・週末開講のプログラムも多く、仕事と両立しやすい設計です。
また、企業単位での受講契約が可能な場合もあり、人事戦略の一部として導入されています。
大学・大学院の講座選定で人事が確認すべきポイント
大学・大学院の講座を選ぶ際は、学習効果を高める設計が重要です。
人事部や経営層は以下の3点を確認するとよいでしょう。
- 目的と成果
- 実務への適用性
- 継続性
まず、講座の目的が自社の戦略や社員のキャリアと一致しているかを確認します。
次に、学んだ内容を実務にどう活かすか具体的な道筋が示されているかをチェックします。
最後に、講座が継続的な学習サイクルに組み込まれているか、制度として持続可能な設計となっているかを確認します。
3つのポイントをおさえて学習・講座内容を選定することで、教育投資のリターンを高められます。
リカレント教育に活用できる補助金・支援制度
リカレント教育を進める際には、教育費用や人材育成に対して、国や公的機関の補助金・支援制度を活用できます。
人事・経営層が制度を理解し、戦略的に活用すれば、リカレント教育の費用対効果をさらに高められるでしょう。
ここでは、代表的な補助金・支援制度と活用時の注意点を整理します。
人材開発支援助成金
企業がリカレント教育を進める際に活用できる代表的な制度として、「人材開発支援助成金」があります。
企業が従業員のキャリア形成を目的に職業能力開発へ取り組んだ場合、その経費や賃金の一部を助成する制度です。
複数のコースが設けられており、特定訓練コース、教育訓練休暇付与コース、人への投資促進コースなどが用意されています。
【人材開発支援助成金制度の主なコース】(2026年2月現在)
| コース名 | 助成の対象 |
|---|---|
| 人材育成支援コース | 職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練、所定のOJT付き訓練、非正規雇用労働者の正社員化を目指す訓練など |
| 教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受けた場合 |
| 人への投資促進コース | デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、新たな分野で必要となる知識および技能を習得させるための訓練 |
企業規模や訓練内容により助成額や対象要件が異なるため、自社の教育計画に合ったコース選択が重要です。
こうした助成金を活用することで、教育コストを抑制しながら、計画的な人材育成を推進できます。
企業内のキャリアコンサルティング(セルフ・キャリアドック)
セルフ・キャリアドックとは、企業が従業員に対し、専門家によるキャリアコンサルティングやキャリア研修の機会を提供する仕組みです。
従業員が自身の仕事内容やキャリアを主体的に見直すことが目的です。厚生労働省委託事業としてキャリア形成サポートセンターが実施しています。
補助金を活用する際の制度設計・運用上の注意点
補助金や支援制度を活用する際には、制度要件や運用条件を事前に十分確認することが重要です。
例えば、助成金は事前に訓練計画を提出しなければ支給されないケースがあり、計画内容によって支給額や対象講座が変わる制度もあります。また、対象講座や訓練計画が要件を満たしているかを事前に確認し、申請書類の不備を防ぐことが重要です。
制度は年度ごとに要件が変更・改定されるため、最新情報を確認するようにしましょう。
文部科学省「リカレント教育エコシステム構築支援事業」とは
文部科学省が令和6年度補正予算で実施する「リカレント教育エコシステム構築支援事業」は、大学などが地域や産業界と連携し、リカレント教育プログラムを開発・提供する取り組みを支援する補助金事業です。
採択された大学などの機関には、1件当たり数千万円規模の補助金が交付されるなど、地域や産業の人材ニーズに合った教育環境の整備が進められています。
リカレント教育の実例
リカレント教育は、人生100年時代やグローバル化の進展に対応する施策として注目されています。厚生労働省も社会人の学習環境整備を推進しており、多くの企業が人材戦略の一環としてリカレント教育を導入しています。
最後に、厚生労働省がまとめた事例集の中から3つの事例を取り上げます。
参考:「イノベーション創出のためのリカレント教育事例集(企業編)」 経済産業省
味の素株式会社
味の素株式会社では、企業価値向上を目的として、社員の問題解決力を高める能力開発施策を実施。DXによる業務改革が不可欠であることから、デジタル人材の育成に注力しています。
ビジネスDX人材育成コースを設置し、受講を希望する社員は会社が費用を負担したうえで学習できるのが特徴です。初級・中級・上級の3コースが用意されており、DXに関する知識・スキルを段階的に習得できる設計となっています。
受講は強制せず、自律的なキャリア開発を尊重する方針を採っています。また、エンゲージメント向上を目的として、社員を表彰する「ASVアワード」を設け、学習意欲を高めています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社では「100人100通りの人事制度」を実現することを人事制度上の方針としています。社員はキャリアのために必要な内容を学び、会社は社員の学びを支援する体制を整備しました。
キャリア形成に必要な学びについては、社員の主体性を尊重。業務時間外での自己啓発に関する金銭的支援も、業務との関連性を踏まえ、個別に支援可否を判断しています。
社員のキャリア形成を支援する目的で、所属していない部署で業務を体験できる「大人の体験入部」も用意しています。また、退職後、最長6年間は再入社が可能となる制度でも、社員の学び直しをサポートしています。
三井不動産株式会社
三井不動産株式会社では、人口減少やテクノロジーの加速度的な進化を受けて、イノベーションの推進や新産業の創造を実現する人材の育成を実施しています。
社員数名を大学などに外部派遣することで、将来のリーダーを育成。また、デジタル分野に関しては、DXビジネス人材の育成を目的として、大学院などへの派遣制度の整備を進めています。
三井不動産では人事制度の工夫として、ジョブローテーションにより、変化する環境に対応できる社員と組織の形成を目指しています。また、研修派遣者の体験レポートや報告会を通じて、社員同士が触発されやすい環境を整えているのも特徴です。
リカレント教育を取り入れて企業価値を上げよう
リカレント教育は、個人の学び直しにとどまらず、企業の成長や競争力を左右する重要な人材戦略です。
採用だけに頼らず、社員の学びを通じて能力を高め続ける仕組みが、これからの企業には求められます。大学・大学院の講座や公的補助金を活用することで、負担を抑えながら計画的な人材育成が可能です。
人事部や経営層が目的を明確にし、キャリア自律と組織ニーズを両立させることで、リカレント教育は企業価値を高める投資となります。今こそ、リカレント教育を導入することによって、企業価値を高めましょう。

