新入社員研修の服装指定はどう決める?「ふさわしい服装」の考え方と判断基準

published公開日:2026.08.21
新入社員研修の服装指定はどう決める?「ふさわしい服装」の考え方と判断基準
目次

新入社員研修の案内を準備するとき、服装の指定をどこまで書くか迷った経験はないでしょうか。「スーツ着用」とひと言で済む場面ばかりではなく、オフィスカジュアルを認める際の許可範囲、指定しなかった場合に起きやすいトラブル、男女別の具体的な伝え方など、実務では細かな判断が求められます。

本コラムでは、服装指定の最近の傾向とメリット・デメリットの整理から、場面別の考え方、男女別の指定例と案内文に盛り込むべき項目まで、担当者が現場で使える視点でお伝えします。

新入社員研修の服装指定、最近の傾向

新入社員研修の服装指定の方針は、企業の規模や業種、社風によって様々です。まず、現在どのような傾向があるかを整理しておきましょう。

スーツ指定が基本の企業と、オフィスカジュアルを認める企業の違い

新入社員研修でスーツ着用を基本とする企業は、金融・保険・官公庁関連など、外部との接触が多い業種や、フォーマルな商慣習が根づいた業界に多い傾向があります。

一方、IT・クリエイティブ・スタートアップなどの業種では、入社当初からオフィスカジュアルを認める企業も増えています。普段の業務でスーツを着ることがない職場では、研修期間だけスーツを求めることへの違和感も出てきており、現場の実態に合わせた方針をとる企業が少しずつ広がっているようです。

どちらが正解というわけではなく、自社の業種・文化・研修の目的に合わせて判断することが基本になります。

リクルートスーツとビジネススーツ、研修期間中の目安

研修期間中はリクルートスーツで可とし、配属後や入社から一定期間が経った段階でビジネススーツへの移行を促す企業が多い傾向にあります。

「いつまでリクルートスーツでよいのか」という疑問は新入社員が抱きやすいポイントの1つであるため、研修案内の段階で触れておくだけで、担当者の対応の手間を省けます。

スーツ以外を認める企業が増えている背景

スーツ以外の服装を認める企業が増えた背景には、働き方の多様化やカジュアル化の流れがあります。リモートワークの普及により、日常的にスーツを着る機会そのものが減ったことも、研修時の服装に対する意識の変化につながっているといえるでしょう。

また、採用競争が激化する中で、「入社後の業務環境に早くなじんでもらいたい」という考えから、研修でのオフィスカジュアルを許可する企業もあります。服装の自由度を高めることで、新入社員が研修に集中しやすい環境を整えるという考え方も、一定の支持を得ています。

そもそもオフィスカジュアルとは

オフィスカジュアルに明確な定義はなく、企業や職場によって解釈の幅があるのが実情です。一般的には、スーツほどフォーマルではないものの、ジーンズやスウェットなどのカジュアルすぎる服装とも異なる、ビジネスの場にふさわしい清潔感のある服装を指すことが多いようです。

具体的には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 会社の雰囲気や業種に合っていること
  • 取引先や社外の人が来ても違和感がなく、清潔感のある服装であること
  • スーツほどかしこまらないが、きちんと感があること
  • ジーンズ、サンダル、露出の多い服装など、極端にラフな印象でないこと
  • 長時間の業務を想定し、動きやすさ・着心地への配慮があること

注意したいのは、「オフィスカジュアルOK」という案内だけでは、受け取る側の解釈が大きくばらつく点です。「スニーカーは可か」「デニムはどうか」といった判断が人によって異なるため、担当者としては許可する範囲とNGの例をあわせて伝えるとよいでしょう。

新入社員研修の服装を指定するメリットとデメリット

服装の指定には、単純なルール設定以上の意味があります。入社直後の新入社員にとって、服装は「社会人としての自覚」を意識する最初のきっかけになることも少なくありません。自社の文化や価値観を伝える場として研修を位置づけるなら、服装の方針もその一部として考えておく価値があるでしょう。

そのうえで、指定することで生まれるメリットとデメリットを両面から整理しておきましょう。

新入社員研修の服装を指定するメリット

企業の方から服装を明示することで、新入社員が「何を着ていけばよいか」を迷わずに済みます。入社直後は環境への適応だけでもストレスがかかりやすい時期であるため、服装に関する不安をあらかじめ解消しておくことは、研修のスタートを円滑にするうえで意外と重要かもしれません。

また、全員が同じ基準の服装で研修に臨むことで、見た目の統一感が生まれ、場の雰囲気を整える効果も期待できます。担当者の視点からは、「服装について個別に問い合わせが来る」という手間を減らせる点もメリットの1つです。

新入社員研修の服装を指定するデメリットや注意点

一方で、服装の指定内容が曖昧だと、「この服装でよいのか」という判断が人によって分かれ、かえって個別の問い合わせが増えることもあります。「何がOKで何がNGか」をできるだけ具体的に伝えることが大切です。

また、業種や社風と合わない過度に厳しい服装規定は、入社初期の印象に影響することもあります。指定の内容が現場の実態からかい離していないか、定期的に見直す視点も必要でしょう。

新入社員研修で「服装指定なし」にするメリットとデメリット

新入社員研修の服装を「特に指定しない」という選択をする企業も一定数あります。自由度を高めることには利点もありますが、それに伴うリスクもおさえておきましょう。

新入社員研修の服装を自由にするメリット

服装を自由にする最大の利点は、日常業務でもスーツを着ない職場において、研修と実際の就業環境に一貫性が生まれる点です。入社直後から職場の文化を自然な形で体感してもらいやすくなるでしょう。

若手層ほど働きやすさや自由度を重視する傾向がある中で、服装面での柔軟さはエンゲージメントの向上にもつながります。

新入社員研修で服装を自由にした場合に起きやすいトラブル

服装指定をしない場合に最も多いのは、「何を着ていけばいいかわからない」という新入社員からの問い合わせです。「自由」という言葉の解釈は人によって幅があり、カジュアルすぎる服装で研修に来てしまうケースも起こりえます。

研修に外部の方が参加する場合や、顧客への訪問が含まれる場合には、服装の基準があいまいなままだと現場で困ることもあるでしょう。「指定しない=何でもよい」とは限らないため、指定なしとする場合でも「清潔感のあるオフィスカジュアルで参加してください」など、最低限の目安をひと言添えるだけで問い合わせを減らす効果が期待できます。

【場面別】新入社員研修の服装指定の考え方

研修の形式や場所によって、求められる服装の基準は変わります。以下では、場面ごとの考え方を整理します。

社内集合研修・合宿型研修

社内で実施する集合研修は、外部との接触が少ない分、オフィスカジュアルを認めやすい場面の1つです。特に複数日にわたる合宿型の場合、毎日スーツで参加させることへの負担を考慮して、「2日目以降はオフィスカジュアル可」とする企業もあります。

合宿の中に役員との懇親会や社外講師のセッションが含まれる場合は、フォーマルな場面に備えた服装も必要であることを、スケジュールとあわせて案内するとよいでしょう。

社外研修や外部講師を招く場合

社外の研修施設を利用する場合や、外部講師を招いて行う研修では、スーツ着用を基本とするのが無難でしょう。企業の外に出る以上、新入社員が会社の「顔」として見られること、身だしなみが社外への印象につながることを意識してもらう良い機会にもなります。

オンライン研修

オンライン研修では、「カメラに映る範囲」を意識した服装の指定が求められます。自宅からの参加でも、「上半身はきちんとした印象の服装で」など、オンラインならではの基準を案内に盛り込んでおくと安心です。

また、社外の参加者が混在するオンライン研修では、社内のみの研修と同様に扱うのではなく、外部との接触がある場面として服装の基準を設けることをおすすめします。

【男女別】新入社員研修の服装指定の具体例

服装指定の案内では、基本の方針だけでなく、色や組み合わせの目安まで具体的に示すほうが、新入社員が迷わず準備しやすくなります。以下は、多くの企業で見られる指定の傾向を、男女別にまとめた参考例です。自社の業種や社風に合わせてアレンジしてご活用ください。

男性向けの服装指定例(スーツの色・シャツなどの選び方)

男性の場合、スーツの色は黒・紺・グレーの無地またはピンストライプ・ペンシルストライプといった細いストライプ柄を選ぶ企業が多い傾向にあります。白や薄いブルーのワイシャツに、落ち着いた色・柄のネクタイを合わせる組み合わせが一般的です。

靴は黒または茶色の革靴(または革靴調の素材)を指定するケースが多く、白いスニーカーや目立つデザインのものは避けるよう案内しておくと無難でしょう。ベルトも靴と同系色(黒または茶色)のシンプルなものを基本とし、スポーティなデザインや過度に装飾のあるバックルは控えるようひと言添えておくとバランスが整います。

女性向けの服装指定例(スーツ・ブラウスなどの選び方)

女性の場合、スーツ(パンツ・スカートどちらでも可)または、スーツに準じる清潔感のあるジャケット+ブラウスの組み合わせを指定するケースが多い傾向にあります。ブラウスは白や淡い色のものが研修の場に合わせやすいとされることが多く、柄物や素材感が強いものは避けるよう案内するのが一般的なようです。

靴については、ヒールのあるパンプスが一般的ですが、高さは3〜5cm程度を目安とし、極端に高いものやサンダル類は研修の場にふさわしくないため控えるよう伝えておくとよいでしょう。フラットシューズについては可否が企業によって分かれますが、許可する場合も「清潔感のある革靴調のもの」と条件を添えると解釈がぶれにくくなります。

スーツ以外を認める場合は、「ジャケット着用を基本とし、華美な柄や露出の多い服装はご遠慮ください」と範囲を示すだけでも、判断に迷う新入社員の助けになるでしょう。

服装指定の案内文に盛り込むべき項目

案内文を作成する際に盛り込んでおきたい項目は、概ね以下の通りです。

  • 基本となる服装の種類(スーツ・オフィスカジュアルなど)
  • 認めるもの・避けてほしいものの具体例
  • 靴・バッグ・ベルトなど小物の目安(リュックサックの可否は企業によって判断が分かれるため、案内に明記しておくとよい)
  • 季節や天候への配慮(夏の軽装可否、冬のコートのデザインや預け方の案内など)

許可する範囲とNGの例を両方書いておくことが、当日の混乱を防ぐうえで効果的でしょう。また、服装の案内は複数の解釈が生まれやすいため、書いた後に別の担当者に読んでもらい、受け取り方にズレがないか確認しておくことをおすすめします。

服装指定の案内文【サンプルテキスト例】

実際の案内文を作る際の参考として、スーツ指定とオフィスカジュアル可の2パターンを示します。自社の状況に合わせて文言を調整してご使用ください。

【パターン①:スーツ指定の場合】

研修期間中はスーツ着用をお願いします。スーツの色は黒・紺・グレーが適しています。シャツは白または淡い色のものをご用意ください。靴は革靴またはそれに準じるもの(スニーカー・サンダルは不可)、ベルトは靴と同系色のシンプルなものをお選びください。なお、研修期間終了後はオフィスカジュアルへの移行を予定しています。

【パターン②:オフィスカジュアル可の場合】

研修期間中の服装はオフィスカジュアルで構いません。ジャケットまたはそれに準じる清潔感のある服装をベースとしてください。ジーンズ・スウェット・サンダル・露出の多い服装はご遠慮いただいています。社外の方が参加するプログラムについては、別途ご案内します。

服装以外の身だしなみ指定で見落としやすいポイント

服装指定していても、身だしなみ全体の基準を定めていないと、研修当日に想定外の対応が必要になることもあります。服装以外で確認しておきたい項目についても、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。

髪色・ヘアスタイルの目安

髪色については、「明るすぎる色はご遠慮ください」と伝える企業もあれば、特に触れない企業もあります。業務内容や接客の有無、社風によって判断が異なるため、一概に「どこまで」とは言いにくい部分ですが、自社の基準を念頭に置いたうえで必要と感じる場合は案内に一文添えておくとよいでしょう。

ヘアスタイルについても、長髪の場合は「まとめてください」と伝える企業が多い傾向にあります。飲食・製造・医療関連の企業や、外部との接触が多い職種では特に、衛生面や第一印象の観点から具体的な目安を伝えておくと安心です。

ネイル・アクセサリー・香水の扱い

ネイルやアクセサリーについては、「派手すぎるものはご遠慮ください」といった一文があるだけで、研修当日に個別対応が必要なケースを減らせるでしょう。

見落とされがちな項目として、香水・コロンの扱いが挙げられます。研修は閉鎖的な空間で長時間過ごすことも多く、強い香りが他の参加者の集中を妨げたり、体調に影響したりするケースもあります。「強い香りのご使用はご遠慮ください」とひと言添えておくだけで、こうした配慮が伝わりやすくなるでしょう。

ジェンダーへの配慮と表現の工夫

案内文を作成する際は、「男性はスーツ、女性はスーツまたはオフィスカジュアル」という画一的な書き方に頼らず、性別を前提としない表現を意識することが求められるようになっています。

例えば「スーツまたは清潔感のあるオフィスカジュアルでお越しください」という書き方は、性別を問わず当てはまる表現です。男女別に伝えたほうが具体的でわかりやすい場面もありますが、「男性は〜、女性は〜」という形式を使う場合は、注意書きとして「上記はあくまで参考です。性自認に合わせた服装でお越しいただいて構いません」という一文を添える配慮もできるでしょう。

服装に関する規定は、採用・研修の場での心理的安全性にもかかわるため、一度社内で表現を確認してみることをおすすめします。

ビジネスマナーとしての身だしなみ

身だしなみは、ビジネスマナーの基本原則の1つとして位置づけられています。服装や小物の選び方を整えることは、挨拶・言葉遣い・態度といった他のマナーへの意識を高める入口にもなります。研修の場で「なぜこの身だしなみが求められるのか」を言葉にして伝えておくことで、新入社員が社会人としての振る舞い全体を考えるきっかけにもなるでしょう。

ビジネスマナーの基本については、以下のコラムで詳しく解説しています。

コラム「ビジネスマナーとは?基本5原則から実践一覧・研修方法まで解説」はこちら

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