リスクヘッジとは?意味や重要性、方法などをわかりやすく解説

update更新日:2025.12.11 published公開日:2024.09.03
リスクヘッジとは?意味や重要性、方法などをわかりやすく解説
目次

リスクヘッジは、リスクの回避・軽減を意味する英語「hedge」から派生した言葉です。

投資など金融取引で使われていたことから、昨今ではビジネスでも幅広く使われるようになりました。

本コラムでは、リスクヘッジの意味や重要性、企業のリスクヘッジのやり方などを解説します。またリスクヘッジができる人の特徴をおさえたリスクヘッジ能力の高め方もご紹介します。

リスクヘッジの意味とは

リスクヘッジとは、これから発生する可能性のある損害を軽減・回避することです。リスクは「危険」、ヘッジは「回避」を意味しています。

最初に、リスクヘッジの基本的な意味、投資などの金融取引、英語表現での使われ方について解説します。

リスクヘッジの基本的な定義

リスクヘッジとは「将来発生するかもしれない危険を予測し、それを避ける、または被害を軽減すること」を意味します。

一般的なビジネス用語としてのリスクヘッジは、事業において直面する可能性のあるリスクを予測し、それらを回避するために取る対策のことです。

不確実性の増すビジネス環境の中、企業にとって予期しないリスクが起これば大きな損失やトラブルにつながります。日々の業務に関して可能な限りリスクヘッジをしておくことで、万が一の事態が発生しても迅速な対応が可能になります。

つまり、リスクヘッジは単なるリスクの「回避」ではなく、被害を最小化する「予防的な戦略」として注目されているのです。

投資など金融取引でのリスクヘッジの使われ方

リスクヘッジはもともと投資など金融の世界で広く使われてきた言葉で、「市場の変動や不確実性から資産を保護するために対策すること」を意味します。

具体的には、分散投資などを行い、リスクを最小限に抑える方法などがあります。

また、為替リスクを抑えるために先物取引やオプション取引を利用するケースも代表的なリスクヘッジ手法です。

このように、金融におけるリスクヘッジは「不確実性を前提とした資産の守り方」であり、その考え方は企業経営や個人のライフプランニングにまで応用されています。

英語表現「hedge」との違いと使い方

「リスクヘッジ」の語源である「hedge」は英語で「防御」や「囲い」を意味し、金融用語では「損失を防ぐための取引」を指します。

英語圏では「hedge」単独で「リスク回避」の意味を持ち、例えば「hedge against risk(リスクに備える)」といった形で使われます。

日本語では「リスク」と「ヘッジ」を組み合わせて「リスクヘッジ」と呼びますが、実際には「hedge」だけで同様の意味が成立します。

参考:辞典・百科事典の検索サービス -Weblio辞書|hedgeとは 意味・読み方・使い方

リスクヘッジの言い換え・類語表現

リスクヘッジは「危険を事前に予測して対策を講じる」という意味を持ちますが、実際のビジネスシーンでは類似する用語と混同されやすい点があります。

特に「リスクマネジメント」や「リスクアセスメント」との違いを理解することは、リスクヘッジの正確な意味や使い方をマスターするうえでも重要です。また、日常業務や会話では「危機回避」や「リスク回避」などの言い換えが使われる場合もあります。

ここでは、リスクヘッジに関連する言葉との違いを整理しつつ、言い換えの具体例を紹介します。

リスクマネジメントとの違い

リスクヘッジはリスクマネジメントの一部であり、両者は包含関係にあります。

リスクマネジメントとは、直面する可能性のあるリスクを把握し、その影響を評価し、対応策を講じるためのプロセス全体のことです。

一方、リスクヘッジはその中で「具体的なリスクを回避・軽減する手段」を意味します。

例えば、企業経営においてリスクマネジメントは「地震による事業停止のリスクを想定して事業継続計画(BCP)を策定する」ことです。その中でリスクヘッジは「データをクラウドにバックアップして被害を最小化する」などの具体的行動を指します。

つまり、リスクマネジメントは戦略的枠組み、リスクヘッジはその実行策と理解すると整理しやすいでしょう。

リスクマネジメントについては、以下のコラムでも詳しく解説していますので参考にしてください。

コラム「リスクマネジメントとは|企業で取り組む必要性やプロセスについて」はこちら

リスクアセスメントとの違い

「リスクアセスメント」とは、前述したリスクマネジメントのステップの1つで、リスクを特定・分析し、その影響を評価するプロセスです。

リスクアセスメントは「リスクを評価すること」に重点を置く言葉で、リスクヘッジとは目的が異なります。

リスクヘッジはリスクを回避する対策であるのに対し、リスクアセスメントはリスクヘッジの前段階であるリスクの内容や程度の予測を行います。つまり、リスクアセスメントによってリスクを理解したうえで、その対策を講じるリスクヘッジのプロセスに入るという流れです。

例えば、製造業で「機械の故障による生産停止リスクが年間5%の確率で発生し、損害は数百万円規模」と評価するのがリスクアセスメントです。そして「予備部品を常備し、故障時に即時交換できる体制をつくる」のがリスクヘッジです。

つまり、リスクアセスメントは診断、リスクヘッジは治療にあたる役割を持っているといえます。

ビジネスシーンで使える言い換えの具体例

リスクヘッジは状況に応じて様々な言い換えが可能です。

具体例としては以下のような言葉が挙げられます。

  • 危機回避
  • リスク回避
  • 予防策
  • 安全策

ビジネス文書や会議の場では相手に合わせて適切な語彙を選ぶことで、伝わりやすさや説得力が高まります。

対義語リスクテイクとは

「リスクテイク」はリスクヘッジの対義語です。リスクヘッジがリスクの回避を目指す対策である一方、リスクテイクは、ある程度のリスクを受け入れることを指します。

企業活動において、リスクを完全に排除することはほとんど不可能でしょう。そのため、リスクを避けることだけを考えるのではなく、リスクを受け入れられる範囲に抑える施策も重要です。

例えば、新規事業などでリターンが大きく、保険などのリスクヘッジができない場合には、敢えてリスクテイクする、という選択肢を採ることも必要となります。

リスクマネジメントにおいては、適切なリスクアセスメントでリスクの把握と評価を行い、そのうえでリスクヘッジを取るかリスクテイクを取るかを判断することが大切です。

リスクヘッジの使い方と例文集

リスクヘッジという言葉は、単に知識として理解するだけでなく、実際のビジネスや日常の会話で活用できることが重要です。

特にメールや会議の場面では、適切な言葉を選ぶことで相手に明確に意図を伝えられます。また「リスクヘッジを取る」といった表現や、金融・投資における具体的な使い方もおさえておくと理解が深まります。

ここでは代表的なビジネスでの例文を紹介し、正しい活用の仕方を解説します。

ビジネスメールや会議での例文

リスクヘッジという言葉や表現は、実際のビジネスメールや会議ではどのような使われ方をしているのでしょうか。

ビジネスでは「リスクヘッジを図る」「リスクヘッジのために準備する」といった表現がよく使われます。

例文

「納期遅延のリスクヘッジとして、外注先の候補を複数確保しています」

「予算オーバーのリスクヘッジを図るため、複数の見積もりを取得しました」

「新規プロジェクトについてリスクヘッジが不十分であると考えられます」

「リスクヘッジを取る」とは

「リスクヘッジを取る」という表現は、特定の危険を想定してあらかじめ行動を選択することを意味します。

ビジネスシーンでの例文を挙げると例えば以下のようになります。

例文

「納期遅延のリスクヘッジを取るために、サプライヤーを二社契約している」

「人材流出に備え、安定的に事業を運営するため、リスクヘッジを取る必要がある」

つまり、「リスクヘッジを取る」とは、リスクを想定して最適な選択肢を確保することなのです。

金融・投資シーンでのリスクヘッジ表現

金融や投資の分野におけるリスクヘッジは、資産を守るための具体的な取引や分散戦略を指します。

金融・投資シーンでのリスクヘッジ表現としては、例えば以下のようなものが挙げられます。

例文

「株価下落のリスクヘッジを目的に、複数銘柄に分散投資を行う」

「為替リスクのリスクヘッジを取るため、ドル建て資産と円建て資産を組み合わせる」

金融でのリスクヘッジは単なる概念ではなく、損失を抑えるための手段として実務的に活用されています。投資家や企業にとっては、利益を追求するだけでなく「守り」を強化する行為として非常に重要です。

リスクヘッジの重要性

では、なぜ企業にはリスクヘッジが必要なのでしょうか?

主なポイントは、予期しないリスクへの対応、信頼や評判の維持、持続可能性の確保です。リスクヘッジによって、予期しない出来事や損失から組織を守り、安定した状態を保つという効果があります。

企業におけるリスクヘッジの必要性を順番に確認していきましょう。

予期しないリスクへの対応

自然災害、市場の変化、経済の変動、技術革新など、企業経営においては予測不可能な要因が多くあります。

こうしたリスクを具体的に想定し、各拠点における災害時の備えを普段から行うなど適切なリスクヘッジを講じることで、緊急事態への対応力を高め、その影響を最小限に抑えることができます。

信頼や評判の維持

リスクヘッジは、顧客や投資家、パートナー企業からの信頼を得て、評判を維持するうえでも重要です。

適切なリスクヘッジを取る企業は、社会からの不信を招くような行動を控え、常に現状分析と課題への対応を行うことで、顧客やパートナー企業、投資家などから信頼を得ています。

リスクヘッジによって企業の信頼や評判を維持することが、その後の安定した企業活動につながるのです。

長期的な計画と持続可能性の確保

リスクヘッジは、企業の中長期経営計画や事業の持続可能性の確保にも欠かせないものです。

グローバル化が進み、かつ外部環境の変化が激しいVUCAの時代にあっては、社会課題に関連する自社の課題の認識と対策が欠かせません。

企業の生き残りや安定的成長には、長期的な視点で多角的に生じ得る困難を予測し、悪影響を軽減・回避するリスクヘッジが重要です。

リスクヘッジを取ることで、企業は将来にわたって持続可能な成長や発展を支えるための経営基盤をつくることができます。

企業が行うべきリスクヘッジの種類

企業にとってリスクヘッジが重要といわれても、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。

企業を取り巻く事業環境は多様化しているため、リスクの種類や特性を考慮してそれぞれに合わせた対応策を取ることが重要です。

ここでは、企業が行うべきリスクヘッジを4つの種類に分類して解説します。

ミス・トラブル対処のためのリスクヘッジ

1つ目は日常業務で発生しやすいミス・トラブルを防ぐためのリスクヘッジです。

新入社員から経営層まで、情報の抜け漏れや情報共有上のミス、ネットワーク関連のトラブルなどを事前に想定し、それを回避するための業務フローやチェック体制を構築することが重要です。

例えば、次のようなリスクヘッジのやり方が考えられます。

  • 誤入力・誤送信に備え、決済の入力作業はダブルチェックを行う
  • データの損失に備え、バックアップを取る
  • 災害発生時にスムーズに対処するため、定期的に災害対応訓練を実施する

業務上のミスやトラブルは顧客満足度低下や損失につながります。事前に対処策を備えることで、影響を最小限に抑え、信頼を維持できます。

情報漏洩防止に向けたリスクヘッジ

2つ目は、クラウドやSNS活用、テレワークなどの浸透によって一層重要性が高まっている情報漏洩防止のためのリスクヘッジです。

機密情報や顧客情報、従業員の個人情報などの漏洩が起こると、企業は社会からの信用を大きく損ない、ステークホルダーにも無視できない影響がおよびます。適切な情報管理を行い、顧客に安心して取引を続けてもらうためにも、十分な対策を行わなければなりません。

情報漏洩防止を目的とするリスクヘッジには、以下のようなものがあります。

  • 機密情報の取り扱い方法やパスワード設定のルールなどを明確に規定した情報セキュリティポリシーを策定し、従業員に周知徹底する
  • 従業員に与えるアクセス権限を最小限にすることで、情報への不正アクセスを防ぐ
  • セキュリティソフトやファイアウォール、暗号化など技術的な対策を導入し、社外からのハッキングなどの攻撃を防ぐ

情報漏洩は信用失墜や法的責任につながります。セキュリティ強化や教育を徹底することで、企業価値を守り、取引先や顧客の信頼を確保できます。

人材流出に向けたリスクヘッジ

3つ目は、人材の流出に関するリスクヘッジです。

少子高齢化による労働力人口の減少や転職の一般化が顕著となった昨今、人材流出は多くの企業における重要課題となっています。

人材流出を放置すれば、その人材を雇用するためにかけたコスト、育成コストなどが無駄になり、自社のノウハウの流出や残った従業員の業務負担増加といった悪影響につながります。

こうした事態を防ぐには、社内環境の整備や相談窓口の設置など、従業員がより働きやすい職場づくりが欠かせません。

人材流出に向けたリスクヘッジとしては、以下のような施策が考えられます。

  • 適正な給与や働きやすい環境を提供することで、従業員の満足度を向上させる
  • 長時間労働を是正するための労働時間管理を徹底する
  • 業務フローの見直しを行い、さらなる業務効率化を図る
  • テレワーク制度や短時間勤務制度などを導入し、多様な働き方に対応する
  • 定期的に従業員アンケートを実施し、社内の課題を把握する
  • ハラスメント対策を担うチームを発足させ、相談窓口を設置する
  • 組織内の風通しを良くし、従業員と経営者が直接意見交換できる場を設ける

優秀な人材の離職は業務停滞や競争力低下を招きます。働きやすい環境やキャリア支援を整備することは、長期的な企業成長につながります。

不祥事が発生した場合のリスクヘッジ

4つ目のリスクヘッジは、不祥事への対応です。

近年、企業の不祥事がメディアで報道されると、SNSなどで拡散されて大きな炎上を招くケースが見られます。炎上騒動が大きくなるほど、企業の社会的イメージは大きく損なわれ、業績や人材採用にもネガティブな影響を与えかねません。

不祥事が発生した場合のリスクヘッジとして、具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 組織内のコンプライアンスを確立し、法律や業界内のルールに確実に従えるような体制をつくる
  • 内部統制の仕組みを確立し、業務プロセスを監視することで、不正や不祥事の発生を防ぐ
  • 不祥事が発生した際に、適切な対応を迅速に行えるように、危機管理計画を策定する

実際に不祥事が起きると、様々な制約を受け、現場も混乱しがちです。事前のコンプライアンス体制や危機対応マニュアルを整えることで、被害を最小化できます。

リスクヘッジのやり方

リスクヘッジは「リスクを特定する」「リスクの影響範囲と発生確率を把握する」「対策の立案を行う」という3つのプロセスで行います。

リスクを特定する

まずは、事業に関連する潜在的なリスクを特定します。情報収集によって事業の全体像を把握し、企業の内部環境と外部環境を分析することで、起こりうるリスクを予測しましょう。

リスクには以下のような種類があります。

【リスクの種類】

リスクの種類 概要
市場リスク 株価、金利、商品価格、為替レートなどの市場変動によるリスク
信用リスク 取引相手が契約条件を履行しないリスク
流動性リスク 資金が不足するリスクや資産を速やかに現金化できないリスク
法的リスク 法律の改正や新たな規制の導入による影響
環境リスク 自然災害や気候変動による影響
地政学的リスク 政治の不安定化や国際関係の緊張によるリスク
技術リスク 技術の陳腐化や新技術の導入失敗などによるリスク

リスクの影響範囲と発生確率を把握する

次に特定したリスクを評価し、その影響範囲と発生確率を分析します。

この時、それぞれのリスクについて量的、質的に評価することが重要です。リスクの評価を適切に行い、リスクごとに対応の優先順位をつけることで、スムーズにリスクヘッジを行えます。

具体的な手順を整理してみましょう。

  1. ①リスクの影響の評価

    リスク発生時にどのような影響があるか、定性的(高・中・低)または定量的(数値化)に評価する

  2. ②リスクの発生確率の評価

    過去のデータを収集して頻度や条件を調査し、発生確率を定性的(高・中・低)または定量的(パーセンテージや頻度)に評価する

  3. ③リスク評価マトリックスの作成

    縦軸に影響範囲、横軸に発生確率を取り、各リスクをこのマトリックス上にプロットして、「リスク評価マトリックス」を作成する

  4. ④リスクヘッジの優先度の評価

    広い影響範囲と高い発生確率を持つリスクを優先度の高いリスク、狭い影響範囲と低い発生確率を持つリスクを優先度の低いリスクとして評価する

手順に沿って見落としや重複のないよう、正確にリスクを評価し、優先度が高いものからリスクヘッジ対策を検討していきます。

対策の立案を行う

いよいよ、どのようなリスクヘッジを取るのか、具体的な対策を立案する段階です。

リスクが発生したケースを想定して実際の業務に当てはめながら検討すると、より実践的で効果的な対策となるでしょう。

【リスク対策の例】

製造業:原材料供給チェーンの停滞リスク対策

  • 供給元の多様化を図り、1つの供給元に依存しないようにする
  • サプライチェーン全体の透明性を向上させるための追跡システムを導入する

建設業:建設プロジェクトの事故リスク対策

  • 安全対策を強化し、現場作業員に対して定期的な安全トレーニングを実施する
  • 天候リスクを考慮した柔軟なスケジュールを設定し、予備日を設ける

そのほか:情報漏洩に対するリスク対策

  • 全従業員に対して、セキュリティ意識向上のための定期的なトレーニングを実施する
  • それぞれのユーザーが必要最低限のアクセス権限のみを持つようにする

このように自社におけるリスクヘッジの具体的な対策を立案し、いざという時のための迅速な対応と影響範囲の拡大防止に努めましょう。

リスクヘッジ能力を高める方法

リスクヘッジは知識として理解するだけでなく、実際に実践できる能力を磨くことが重要です。

リスクヘッジができる人とはどのような人をいうのでしょうか?

将来の不確実な出来事に備えるためには、論理的な思考や多角的な視点、失敗からの学び、そして日常への落とし込みが重要です。これらを意識的に取り入れることで、リスクを正しく予測し、備える力を着実に高められるでしょう。

最後に、リスクヘッジ能力を高めるための具体的な4つの方法について解説します。

論理的思考でリスクを予測する

リスクを予測するには論理的思考が不可欠です。

なぜなら、物事を因果関係で整理することで、潜在的なリスクの発生要因を明確にできるからです。

例えば、納期遅延のリスクがある場合、その原因が「資材の調達不足」なのか「人員の配置ミス」なのかを整理する必要があります。原因ごとにリスクヘッジの手段は異なり、調達不足なら仕入先の多様化、人員不足ならシフト管理の改善が有効です。

このように、リスクヘッジ能力を高めるためには、現象を表面的に捉えるのではなく、構造的に理解する姿勢が重要なのです。

日常の業務や生活の中で「なぜ?」を繰り返し問いかけることで、論理的思考力は鍛えられ、将来的なリスクを正確に予測できるようになります。

多角的な視点を持つ習慣をつける

リスクヘッジ能力には、多角的な視点で物事を見る習慣を身につけることも重要です。

企業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しているため、1つの考え方に偏らず複数の立場から状況を評価することで、見落としがちなリスクを発見できるようになります。

例えば、企業の新商品企画では「販売部門の視点」だけでなく「顧客の視点」「生産部門の視点」を取り入れることが、潜在的な失敗の回避につながります。具体的には、異なる部署との意見交換や第三者からのフィードバックを積極的に取り入れることが有効です。

リスクヘッジができる人は、自身の業務遂行においても、多角的な視点を持っています。

例えば、

  • 自信が担当する前にどこから情報や資料が来るのか
  • 業務遂行中に関わるメンバーは誰か
  • それらのメンバーは今どのような状況にあるのか
  • 業務に使用する機器・設備などがメンテナンスで使えなくなる時間帯はあるか
  • 自分の業務で作成した成果物は、今後、誰のどのような業務に関わるのか

といった視点です。

普段からこうした視点を持つよう意識することで、予想外の事態にも柔軟に対応できる力が養われ、結果として堅実なリスクヘッジにつながります。

失敗を振り返り、改善する

適切なリスクヘッジを取るには、過去の失敗を振り返り、活かすことも大切です。

事業や日常業務でPDCAを実践することが、過去の失敗を繰り返さず、組織を発展させるために欠かせません。経験から得た教訓は机上の知識よりも具体的で実践的な気づきを与えてくれます。

日常的に「なぜ失敗したのか」「どうすれば防げたか」を問い直すことは、リスクを予測し適切な対策を講じるための強力な訓練となります。

何らかの失敗やトラブルが発生したら、その原因を招いた従業員を感情的に責めるのではなく、適切な配慮のうえで事例として共有しつつ再発防止策を講じましょう。

普段の業務や生活に落とし込む

リスクヘッジは特別な場面だけでなく、普段の業務や生活の中で実践することが大切です。リスクヘッジができる人は、日常的に意識して行動することで、無意識にリスクを予測し備える習慣が身につけています。

例えば、出張の際に複数の交通手段を事前に調べておくことや、資料提出前にバックアップを取っておくことは、日常的なリスクヘッジの一例です。

こうした小さな積み重ねが、いざという時に大きな効果を発揮します。また、普段から「もし〜ならどうするか」を考える習慣を持つと、緊急事態でも冷静に行動できます。

業務や生活に自然にリスクヘッジを組み込むことが、最終的には大きな危機回避力につながります。リスクヘッジは特別なスキルではなく、日々の行動に根付かせることで本当の力となるのです。

ALL DIFFERENT株式会社では、リスクヘッジ能力を高めるために必要な論理的思考力・多角的な視点、それらを実務に落とし込むための問題解決力などをブラッシュアップできる研修メニューを多数ご用意しています。ページ下部の「関連する研修」より、ぜひご確認ください。

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