内定者研修とは?給料が出ない研修は違法?おすすめの内容とポイント
更新日:2026.11.05
公開日:2022.08.03

内定者研修とは、内定式後から入社前までに実施する内定者向けの研修の総称です。会社側の担当者とのコミュニケーション機会が生まれるだけでなく、基本のビジネスマナーや知識・スキルを入社前に習得し、入社後のリアリティショックを和らげる効果もあります。
本コラムでは、内定者研修の目的・メリットといった基本から内定者から疑問が出やすい研修中の給料・交通費・服装、実施に向けた準備のポイントなどについて、詳しく解説します。
内定者研修とは?開催時期と主な内容
内定者研修について、「内定者に対して行う研修」ということは漠然とわかっていても、具体的な時期や内容には困ってしまう人もいるでしょう。まずは内定者研修の基本をチェックしていきましょう。
内定者研修とは何か?
内定者研修とは、入社前の内定者を対象に行われる研修の総称です。
新卒採用の内定者には、まだ大学などの学校に通っている現役学生が多いもの。学生は、心構えや振る舞いにおいて、多くの点で社会人と異なります。例えば、以下のような点です。
【学生と社会人の違いが現れる点】
- 仕事の責任と人間関係の捉え方
- 時間管理の必要性
- お金に対する意識
- 身だしなみ・言葉遣いへの意識
学生と社会人の違いについて知らないまま入社すると、入社前後のギャップに大きな衝撃(リアリティショック)を受け、意欲を失ってしまうことがあります。
入社前に社会人としての心構えや基本的なビジネスマナーを教え、内定者のリアリティショックを軽減するために、内定者研修が実施されています。
内定者研修はいつから?時期と頻度
内定者研修の多くは、内定式以降に行われます。具体的な日程は企業によって異なるものの、10月〜11月や、入社直前期である2月〜3月に実施されることが多いようです。
内定者研修の頻度については、多くの場合で複数回実施します。内定者との定期的なコミュニケーションなどを目的としているため、1回限りで終わらせることは基本的にありません。
ただし、あまりに多くの回数や日程で実施すると内定者側の負担が大きくなり、内定辞退を招くことがあります。内定者が学校での授業や卒業に向けた準備をしっかりと進められるよう配慮することが大切です。
内定者研修の主な内容
内定者研修の内容では、
- ビジネスマナーやコンプライアンス教育
- 会社の仕組みの理解
- 同期・先輩との交流機会
などを設定する例が多く見られます。学生と社会人の違いを学ぶという点から、知識のインプット型の研修が一般的です。
業界によっては、見学・実習などを通じて業務の理解や職場の雰囲気の把握などを促すこともあります。
内定者研修を実施する目的・メリット
内定者研修を成功させている企業は、研修の目的とメリットを意識し、それを最大化するための施策を講じています。では、内定者研修の目的・メリットとは何でしょうか。大きく分けると、以下の3つがあります。
【内定者研修の目的・メリット】
- (1)内定者の不安・悩みの解消
- (2)ビジネス知識・人材像の事前インプット
- (3)内定辞退の防止
順番に解説します。
(1)内定者の不安・悩みの解消
1つ目は、内定者の不安・悩みの解消です。
キャリアのうえでは、内定は社会人としてのスタートに過ぎません。しかし、内定者にとっては、多くの不安が生じる重要な転換点です。
「自分のライフスタイルに合う働き方ができるのか」
「全く知らない人たちの中で、きちんと人間関係を築けるのか」
「この会社でキャリアを形成できるのか」
会社側は、内定者研修を通じてこうした不安・悩みにダイレクトに向き合います。不安や疑問点に答え、1つずつ解消することで、安心して仕事ができるようになるための土台を一緒に築いていくのです。
(2)ビジネス知識・人材像の事前インプット
2つ目は、社会人に必要なビジネス知識と会社が求める人材像の事前インプットです。言い換えれば、入社後にスムーズに適応できるようにするための準備と予行練習です。
内定者研修では、例えば次のようなテーマを通じて、社会人としての心構えと働く姿のイメージを持てるようにサポートしていきます。
【内定者研修で扱うテーマ例】
- ビジネスコミュニケーションの基本ルールを覚える
- 社内コミュニケーションに使うツールの操作を覚える
- 顧客志向について理解する
- 会社が求める人材の特徴を理解する
こうした内容は、実のところ入社後の新入社員研修でも触れることになります。「2回も伝えなくていいのではないか」と感じられることもあるかもしれません。しかし、内定者研修で事前に把握できるようにしておけば、入社後の研修で習得がよりスムーズになります。現場での早期活躍にもつながるでしょう。
内定者研修では、取得してもらいたい知識・スキルをただ列挙するのではなく、本人が「どのような社会人になっていきたいか」をイメージできるよう支援することも大切です。そうしたイメージは、業務対応で迷ったときの判断を支えるものとなります。上司・先輩社員・お客さまに対する不適切な振る舞いを軽減することもできるでしょう。
(3)内定辞退の防止
3つ目は、内定辞退の防止です。
内定者の多くは、不安を抱えています。これを入社式まで放置すると、「やっていけないのではないか」という気持ちが次第に大きくなり、内定辞退に踏み切ってしまうことがあります。まだ会社への帰属意識が低く、自分で社内のルールや事情を調べることが難しいからです。
内定者研修は、会社側の担当者と内定者が定期的に接触する機会になります。折に触れてコミュニケーションを取っていけば、内定者としても不安や疑問に答えてもらいやすく、ほかの内定者と同期意識を育むこともできます。内定者研修で同じチームとして活動することで、「一緒に課題を乗り越えた仲間」としての信頼関係も生まれるでしょう。
内定者研修は、内定者にとって「わかる」「できる」という小さくてもポジティブな体験を得られる場所。しっかりとサポートできれば、内定者が「この会社でやっていけそうだ」という実感を持つことができます。
内定者研修の給料・交通費・服装の問題
ただ、内定者の視点で見ると、内定者研修のやり方にはいくつか曖昧な部分や疑問を感じる部分が出てきます。その典型例が、給料や交通費といった金銭面と服装の問題です。
内定者が不安なく安心して受講できるよう、コンプライアンスも意識してルールを明確化しておきましょう。
無給は違法になる?
第一に挙げられる疑問は、「内定者研修では給料が出ないのだろうか」という点です。
内定者研修への参加に賃金を支払うかどうかは、法律に従って考えなければなりません。
簡単に言えば、
- 強制参加の内定者研修なら給料を支払う
- 本人の希望、任意参加の内定者研修なら、無給でも違法になる可能性は低い
となります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
判断のポイントは、内定者研修の時間が「労働時間」に相当するか否かです。「労働時間」とは、会社側(使用者)が従業員(労働者)に指示・命令して何かをさせる時間です。
では、入社前である内定者は、自社の従業員(労働者)なのでしょうか。判例では、「採用内定」は、採用内定取り消し事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するものとしています。つまり、内定によって労働契約が成立したとされるため、内定者も自社の従業員(労働者)であると理解されるのです。*
したがって、もし内定者研修の受講を内定者に義務付けていたり、参加しないと不利な取り扱い(内定取り消しや入社後の不利な待遇)を行ったりする場合は、内定者研修の時間は「労働時間」となり、給料を払わなければなりません。
反対に、内定者研修への参加が内定者本人の自由であり、不参加でも不利益な取り扱いがない場合は、給料の支払いは義務付けられていません。給料を出しても出さなくても、違法ではないということです。
内定者にはこの点を明確にし、給料を支払わない内定者研修については参加が任意であり、不利益な取り扱いもないことを伝えましょう。
*参考:大日本印刷事件(最高裁第二小法廷 昭和54年7月20日判決)
交通費はどうする?
内定者研修に出席するための交通費については、法律による支払いの義務はありません。そのため、交通費支払いの有無や金額は、企業によって異なります。
ただし、交通費を一切出さない場合、遠方から研修に参加する内定者には現地開催のたびに経済的負担を強いることになります。その負担が大きければ、会社に対するネガティブな印象を与えるでしょう。
基本的には、内定者研修への参加にかかる交通費でも、社員と同様のルールを適用する会社が多いようです。例えば、社員に「往復3,000円以内であれば3,000円を支給、それを超える場合は実費で支給」としているのであれば、内定者にも3,000円の定額またはそれを超える実費で交通費を支給します。
「私服で構いません」の許容範囲となる服装は?
就職活動では、多くの学生はリクルートスーツを着て会社を訪問してきました。しかし、内定者研修では「私服で構いません」と会社側から伝えることがあります。このとき「では、どういう服装なら怒られないのか?」と内定者は悩むようです。
学生の場合、「私服」で持っている服装をそのまま会社へ着ていくと「ラフすぎる」「カジュアルすぎる」という印象を与えることがあります。一方で、業界によっては「私服と言われてもスーツに準じた服装で」「動きやすい服装であるほうが好ましい」といった違いが見られます。
混乱を防ぐには、私服における許容範囲を具体的に示すとよいでしょう。「ビジネスカジュアル」と記載するだけでも判断しやすくなります。過去の内定者研修の様子を撮影した画像や動画、ドレスコードがわかりやすいイラストなどを提示するのもよいでしょう。
内定者研修におすすめの内容・開催方法
内定者研修で扱うテーマは、学生から社会人への視点の転換を促し、ビジネスパーソンに求められる基本的な振る舞いと知識を身につけるものが中心です。開催方法については、まだ大学などの授業がある学生の負担を考慮し、参加しやすい方法を検討しなければなりません。
具体例とともに見ていきましょう。
会社紹介・ビジネスマナーなどおすすめの研修内容
内定者研修におすすめの内容は、次のようなものです。
【内定者研修におすすめの内容】
- 仕事の基本・社会人としての心構え
- 基本的なビジネスマナー
- 情報セキュリティやコンプライアンス
- 会社の仕組み・組織図
1つ目の仕事の基本や社会人としての心構えは、学生から社会人へと視点を転換するために欠かせないテーマです。仕事のプロセスや成果に責任を負い、その対価として給料を得るという労働の基本を学びます。場に応じた身だしなみと振る舞い、自分の好き嫌いによらない人間関係の構築、「約束した時間を守る」「計画的な行動のために時間管理を行う」という意識の醸成も、仕事をうまく回すには欠かせません。
2つ目の基本的なビジネスマナーでは、第一にあいさつと身だしなみの重要性を確認しましょう。就職活動を通じて知っている学生も多くいますが、入社後も継続して実践できるよう改めて伝えてください。また、社会人だからこそ必要な知識である「席次」「宴席でのマナー」も教えます。口頭で伝えたり図解したりするだけでなく、ケーススタディやロールプレイングを通じて体感的に学ぶやり方が効果的です。
3つ目の情報セキュリティやコンプライアンスは、近年特に重要なテーマです。社員によるSNSへの投稿で大きなトラブルが発生したり、データの不適切な取り扱いで社員や顧客の個人情報が漏えいしたりといった事案は後を絶ちません。そのため、少なくとも以下のポイントは早期に理解してもらう必要があります。
【情報セキュリティ・コンプライアンス研修のポイント】
- 業務で知り得た情報を業務以外の場面で使用しない、SNSに投稿するリスクを理解する
- 勝手にオフィス内部を撮影した画像・映像をインターネット上で公開しない、公開するリスクを理解する
- 顧客との信頼関係と個人情報保護の重要性を理解する
- 業務に関連する法令と違反時に適用され得る罰則を知る
- 企業理念・行動指針の内容と目的、社員に求める人材像を理解する
情報セキュリティやコンプライアンスの重要性とリスクは、事例などを活用しつつ説明するとわかりやすいでしょう。データを扱う際の適切な振る舞いに関しては、ケーススタディをもとにディスカッションを実施することで、学びを深められます。
そして4つ目の会社の仕組み・組織図を内定者研修で扱うのは、自社について理解してもらうことで、「入社後に自分が担当する業務が、組織全体のどの位置にあるのか」を捉えやすくなるからです。全体とのつながりを把握できれば、たとえ売上に直接関係しない部署の業務であっても、「組織の一員である」「事業活動を支える重要な業務なのだ」という実感を持ちやすくなるでしょう。
既に社会人として長く働いていると「当たり前」になってしまうことでも、内定者にとっては新鮮な事柄です。“知識ゼロ”から教えることを前提に、ていねいに伝えていきましょう。
集合研修・オンライン研修・eラーニングなどの開催方法
内定者研修の開催方法には、
- 講習・セミナー形式(会場での集合研修、オンライン研修)
- グループワーク
- eラーニング
- モバイルラーニング
といったやり方があります。
知識のインプットを中心としつつ育成担当者やほかの内定者との交流機会を設けるのであれば、会場での集合研修を選ぶとよいでしょう。遠隔地から入社する内定者がいたり、感染症流行期・災害などで外出に危険が伴ったりするケース、あるいは学生が卒論などで忙しい時期に開催したりする場合は、オンライン研修のほうが参加の負担を軽減できます。
グループワークでは、例えば内定者に課題を与えてチームで取り組むなどのやり方が可能です。共通の目標に向かって同期のメンバーと試行錯誤を重ねることになりますので、チームビルディングや意見交換による成果の向上を体感的に学べます。「ほかのメンバーと協力する」ことの有効性の理解とともに、同期同士の関係構築も進むでしょう。
eラーニングは、知識のインプットに向いている手法です。eラーニングとオンライン研修の違いは、主にリアルタイム性にあります。オンライン研修は全員が同じ時間にリアルタイムで参加しますが、eラーニングでは事前に用意した動画や学習コンテンツを使って学びます。受講者が自分のタイミングで進められますので、多忙な学生でも学びやすい点が大きなメリットです。会社側も進捗管理をしやすくなります。
そして、モバイルラーニングは、スマートフォンが高い普及率を誇る社会だからこそ可能な新しい手法です。内定者向けの学習コンテンツを充実させたアプリを内定者にインストールしてもらい、隙間時間に少しずつ学習を進めてもらいます。電車の中やちょっとした空き時間など、ほかのアプリを使うのと同様の感覚で操作できますので、スマートフォンの操作に慣れている若い世代にとって抵抗感が少ない点も魅力です。
モバイルラーニングの事例では、当社ALL DIFFERENT株式会社が開発したマイクロラーニング・アプリ「Mobile Knowledge for Freshers」があります。300コンテンツという充実した内容でありながらも、1回3分という短い時間での学習が可能。効率的に入社1年目に必要なビジネス知識・スキルを習得できるアプリとして、経済産業省後援のHRテクノロジー大賞で「奨励賞」を受賞するなど、高い評価をいただいています。
「Mobile Knowledge for Freshers」の詳細はこちら
以上のような複数の開催方法・学習方法を選択肢に入れることで、内定者研修の効果をより引き出すことができます。複数の手法をうまく組み合わせながら、自社の内定者が学びやすいバランスを模索していきましょう。
内定者研修のプログラム例
内定者研修の詳細なプログラムを検討する際は、ぜひ内定者の意見も参考にしてください。当社が実施したアンケートでは、内定期間中に入社する会社から受けたいサポートとして、以下のものが上位となりました。
【内定者が内定期間中に受けたいサポート(複数回答)】
| 上位項目 | 割合(文系) | 割合(理系) |
|---|---|---|
| 先輩社員との人間関係を築く機会がほしい | 51.6% | 53.1% |
| マナーや仕事の進め方など、社会人の基本を教えてほしい | 46.5% | 43.2% |
| 他の内定者との人間関係を築く機会がほしい | 44.0% | 50.6% |
こうしたニーズを踏まえると、例えば次のようなテーマでの研修・イベントが考えられるでしょう。
【内定者のニーズを考慮したテーマ例】
- 先輩社員との座談会
- ビジネスマナー研修
- 内定者交流会
先輩社員との座談会で意識したいのは、「どの階層との座談会を実施するか」「何を目的とするか」です。入社1年目である社員との交流なら、入社直後の動きについて最新の体験談を聞くことができます。若手社員を招くのであれば、業務に慣れて独り立ちできる段階での働き方を知ることができます。中堅社員・ベテラン社員は、「社会人としての大先輩」です。働き方だけでなく、キャリア形成の点からも学べることが多いでしょう。
こうした点を踏まえて具体的なプログラムを検討すると、例えば次のような流れで実施できます。
【先輩社員との座談会のプログラム例】
- ①座談会のオープニングとアイスブレイク
- ②研修の目的と大きな流れを伝える
- ③内定者を複数のグループに分ける
- ④資料やワークシートなどを配布する
- ⑤登壇者である先輩社員の所属・名前・担当業務などを紹介する
- ⑥登壇者である先輩社員が1人ずつ講演を行う
- ⑦先輩社員が内定者のグループを順番に回り、質問に答える
- ⑧内定者全体で気づきなどを共有する
- ⑨内定者一人ひとりが「どのような社会人になりたいか」をワークシートなどで言語化する
講演会形式で実施する場合、壇上の先輩社員に対して内定者が手を挙げて質問をするやり方も考えられます。ただ、その方法では先輩社員と内定者の関係づくりはあまり進みません。そこで、より近い距離でコミュニケーションをとれるよう、今回の例では内定者のグループを先輩社員が順次回りながら質問に答えるという形にしています。
また、座談会の前に職場見学・オフィスツアーを行うと、実際の働き方をイメージできて効果的です。想定問答も用意しておけば、スムーズに進められます。
【先輩社員への質問の例】
- なぜ、この会社への入社を決めたのか
- 内定期間中に何をやっていたか
- 入社後に感じたギャップや苦労した点は何か
- 入社後に「内定期間中、これをやっておけばよかった」と思ったことは何か
- 今、どのようなことに気をつけながら仕事をしているか
- 仕事のやりがいは何か
- ワークライフバランスでは、どのような点に気をつけているか
- 今後、どのようなキャリアを目指しているか
想定問答を作成する代わりに、事前に「聞きたいポイント」を内定者にヒアリングしておくというやり方もあります。
内定者が抱く不安や期待などを以下のレポートで詳しくご紹介しています。併せてご活用ください。
ラーニングイノベーション総合研究所「内定者意識調査(内定期間中の心境編)」の調査・研究レポートはこちら内定者研修の効果を高める準備のポイント
繰り返しになりますが、内定者研修を成功させるには、会社側から「覚えてほしいこと」を一方的に伝えるだけでなく、内定者側のニーズも捉えることが重要です。
そのうえで、研修の目的をしっかりと伝え、インプットした知識をアウトプットする機会も設定しましょう。また、研修以外でコミュニケーションを取れる手段も確保しておくと、内定者の不安を和らげ、入社への意欲を高めることができます。
これまでの内容を振り返りも含め、1つずつ確認していきましょう。
一方的なやり方をせず、内定者のニーズを捉える
内定者研修は、内定者が学生から社会人へと視点を転換し、基本的なビジネスマナー・スキルを強化するための大切な研修です。会社側としても、入社後の早期戦力化を見据えて多くのことを教えたくなるでしょう。
しかし、会社側の要望を一方的に押しつけるだけの研修では、内定者の意欲は下がってしまいます。自社の考えや求める行動だけでなく、内定者のニーズにも合致した研修にしなければなりません。とはいえ、内定者に直接聞いてから研修の準備を始めるのでは間に合いません。
そこでおすすめなのが、社歴の浅い社員へのインタビューです。入社1年目・2年目だからこそ覚えている内定者としての記憶からアドバイスを得られます。
「内定者研修のときに、ここを深掘りしてほしかった」
「入社前に、これは知っておきたかった」
こうした要望があれば、ぜひ研修に反映させましょう。
研修目的を内定者に明確に伝える
内定者研修では、内定者に研修目的を明示することが大切です。形式的に行うだけでは、内定者側も「辞退させないように縛っているだけでは」と疑念を抱いてしまうからです。
研修を始めるときは、ぜひ、その目的や各課題の意義、何をゴールとするのかといった点をしっかり伝えてください。目的を理解できれば学ぶ意欲が高まり、納得感を持って参加してもらえます。
会社側と内定者の共通認識が生まれることで、より大きな教育効果も引き出せるでしょう。
課題量・開催日程を内定者の負担にならない程度に抑える
「内定者はこれから社会人になる人たちだ」という点ばかり見ていると、「内定者は現役の学生である」ということを忘れやすくなります。しかし、内定者にとっては最終年であり、「最後の学生期間」です。卒業研究に励む人や、卒業旅行・趣味などで自分の時間を大切にしたい人が多いものです。
もし、残り少ない学生期間で疲弊するほどに多くの課題を与えれば、内定者の精神的・身体的負担は過大なものとなるでしょう。「入社前からこんなに大変なら、入社後はどうなってしまうのだろう」という不安も抱かせてしまいます。
内定者研修で取り組んでもらう課題を検討する際は、必ず内定者の立場から“残り時間”の使い方を考慮し、その大切な時間を尊重しながら決めてください。
研修後に学んだ内容をアウトプットする機会を設ける
内定者研修以外の研修でも言えることですが、学んだ内容を定着させるにはアウトプット(実践)が欠かせません。知識インプット型の研修だけでなく、グループワークや研修レポートといった施策も組み込みましょう。
例えば、以下のような施策が考えられます。
【アウトプットのための施策例】
| 施策 | 実施例 |
|---|---|
| グループワーク |
|
| 研修レポートなど |
|
| 懇親会・座談会 |
|
| 社員の前でのプレゼンテーション |
|
“学ぶ→やってみる→振り返る→もう一度やってみる”というサイクルで考えると、インプットとアウトプットの機会をバランス良く設けることができます。
研修以外のコミュニケーション機会・手段を用意する
会社側の担当者と内定者のコミュニケーションの場は、研修・イベントだけではありません。ICTが発達した現在、遠く離れていてもリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。
例えば、メールや社内のビジネスチャットを使えば、社内でのみ共有される情報でも内定者に伝えやすくなります。SNSのコミュニティ機能などを使えば、会社側から発信した情報を内定者がキャッチしやすく、内定者同士の交流も促されるでしょう。
このように、日常的に接触できる機会を意識的に設けることが、内定期間での重要な施策となります。課題や研修に取り組む内定者に対して、わからないところはないか、行き詰まっていないかなどをヒアリングし、適宜フォローしていきましょう。
また、諸事情で研修に参加できなくなった内定者がきちんと欠席連絡を行えるように、連絡窓口を周知することも大切です。連絡先となるメールアドレスや電話番号、欠席連絡のフォーマットなどを共有しましょう。
きめ細やかなフォローを入れることで、「困ったことがあっても対応してもらえる」という安心感を与えられます。
内定者研修を成功させるには、内定者の事情・ニーズも考慮して
内定者研修の開催に当たっては、自社が求める人材像やゴールから逆算した内容だけでなく、内定者のニーズも踏まえた施策が求められます。
内定者が納得感を持って学べる方法・内容で研修を実施できれば、入社後に必要となるビジネスマナー・スキルを早期に習得できます。加えて、「この会社で成長できそうだ」「サポートをしっかり受けられる」といったポジティブな印象にもつながり、入社への意欲を一層高められるでしょう。
中小企業から大手企業まで、多数の企業に内定者研修・新入社員研修をご提供してきたALL DIFFERENT株式会社では、内定者向けのモバイルラーニングツール、オンライン研修、業界や企業風土に合わせた内定者研修の企画・運営など、入社前の成長支援にお役立ていただけるサービスを多数ご用意しています。ぜひお気軽にご相談ください。

