福利厚生とは?種類、具体例、メリット・デメリットと導入時の注意点
更新日:2025.12.25
公開日:2023.11.29

福利厚生は、給与や賞与以外に会社が従業員に提供する報酬・サービスのこと。従業員の満足度やモチベーションを向上させるだけでなく、健康経営や対外的な企業のイメージアップにもつながります。
本コラムでは、福利厚生の概要や目的、制度の種類と具体例、導入するメリット・デメリット、運用方法、注意点などをご紹介します。ぜひ、福利厚生の充実にお役立てください。
福利厚生とは
福利厚生とは、企業が従業員とその家族に提供する、給与や賞与以外の報酬やサービスの総称です。具体的には、社会保険・雇用保険・労災・住宅手当・交通費支給・社員研修など、その内容は多岐にわたります。
福利厚生の対象者は、以下に当てはまる全ての労働者です。
- 正社員
- 正社員と同様の業務を担当するパートタイム・有期雇用労働者
- 派遣会社から派遣されて働く従業員
2020年4月施行の改正パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法により、正社員とパート・有期雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止が明確化されました。
さらに、2022年施行の年金制度改正法によって厚生年金保険などの社会保険の加入対象も拡大され、従来よりも多くの非正規労働者が福利厚生の恩恵を受けられるようになっています。
福利厚生を提供する目的
企業が福利厚生を導入する主な目的は、従業員とその家族が健康で安定した生活を送れるよう支援することです。働く人々の基本的な生活基盤を支え、安心して業務に専念できる環境を提供することが、企業の社会的責任でもあります。
福利厚生の歴史は、明治時代の産業発展期にさかのぼります。当時の急速な西洋化に対応するために、企業が鉱山や工場の労働者確保を目的に導入したといわれています。
現在、日本は労働人口の減少が進んでいます。企業が持続的に成長し続けるには、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す取り組みが不可欠です。それには、従業員が心身ともに健康で、仕事に集中できる状態を維持する必要があります。
また、働き方の多様化や価値観の変化により、従業員が求める「働く環境」も変わってきています。企業は多様なニーズに応え、優秀な人材を確保・定着させるための戦略的施策として、福利厚生の充実に取り組んでいます。
法定福利厚生・法定外福利厚生の種類と具体例
福利厚生には、大きな分類として「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。
法定福利厚生の種類
法定福利厚生とは、法律で定められた福利厚生です。企業における導入・実施が義務付けられており、主に以下の2つのカテゴリーに分類されます。
-
①保険・労働保険関連の法定福利厚生
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 子ども・子育て拠出金
-
②福利厚生に含まれる主な休暇・休業制度
- 年次有給休暇
- 産前産後休暇
- 育児休業
- 介護休暇
- 子の看護休暇
- 生理休暇
など
そのほか、労働安全衛生法などに基づいて実施が義務付けられている「法定健診(定期健診)」なども、広義の法定福利厚生に含まれます。
一般的な法定外福利厚生の種類
一方、法定外福利厚生は法律で定められておらず、企業が任意で導入するものです。内容は各企業で自由に決められますが、多くの企業で共通して提供されているものがいくつかあります。
以下の10種類が、一般的な法定外福利厚生の例です。
| 種類 | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|
| 住宅 | 従業員の住まいに関する資金をサポートする |
住宅補助制度 社宅・寮の提供 |
| 交通費 | 通勤にかかる交通費を補助する | 通勤手当(非課税限度額を超えるもの) |
| 健康増進 | 従業員の健康維持・向上や栄養摂取をサポートする |
人間ドック費用補助 メンタルヘルスケア 食事補助制度 |
| 出産・育児・介護 | 仕事と家庭生活の両立をサポートする |
育児・介護休業期間の延長 育児・介護の短時間勤務制度 |
| 慶弔・災害 | 従業員に慶事や身内の不幸があった際に、従業員とその家族を支援する |
慶弔見舞金 災害見舞金 |
| 自己啓発 | 従業員のスキルアップやキャリア形成に向けた成長をサポートする |
資格取得支援制度 書籍購入補助金 e-ラーニング |
| 財産形成 | 従業員の財産形成を企業がサポートする |
財形貯蓄制度 持ち株制度 |
| 多様な働き方 | 自由度の高い勤務時間・場所で多様な働き方をサポートする |
在宅勤務制度 フレックスタイム制度 |
| 特別休暇 | 有給休暇以外の休暇を与えて私生活の充実をサポートする | 長期連続休暇 |
| 文化・体育・レクリエーション | 社内イベントを開催して従業員をねぎらう |
社内サークル 社内旅行 親睦会 |
ユニークな福利厚生制度の具体例
近年、従業員の価値観や働き方の変化に対応するため、独創性のあるユニークな福利厚生制度を導入する企業が増加しています。
注目されている分野としては、健康経営やメンタルヘルスケア、柔軟な働き方の実現、個人の価値観を尊重した休暇制度などが挙げられます。
【ユニークな福利厚生の分野別一覧】
| 分野 | 主な制度・取り組み | 目的・効果 |
|---|---|---|
| 健康・ウェルビーイング |
|
生産性向上とストレス軽減、従業員の心身の健康を総合的にサポート |
| 多様な働き方支援 |
|
従業員が柔軟な働き方を選択できる環境づくり |
| 自己成長・キャリア開発 |
|
従業員のスキルアップを積極的に支援し、個人の成長を組織の競争力向上につなげる |
| 家族・子育て支援 |
|
仕事と家庭の両立を支える制度の拡充 |
| コミュニケーション促進 |
|
従業員同士の交流を深め、組織の結束力を向上 |
| ユニークな特別休暇 |
|
従来の慶弔休暇に加え、個人の価値観や趣味を重視した休暇制度 |
福利厚生を導入する6つのメリット
福利厚生を導入する最大のメリットは、従業員の働き方や私生活を支援することで、従業員のモチベーションがアップし、ひいては企業の持続的成長につながる点にあります。
ここでは、福利厚生がもたらす主なメリットを6つご紹介します。
(1)従業員エンゲージメントが向上する
従業員エンゲージメントとは、「企業と社員の深いつながり」を意味する言葉です。従業員一人ひとりが企業理念に共感し、帰属意識が高まっている状態を指します。
福利厚生の住宅手当や健康支援、育児・介護支援などのサポートを受けることで、従業員の会社に対する信頼感が深まります。
エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して「活力・熱意・没頭」の3要素を持つといわれており、自主的に企業課題に取り組むようになります。さらに、職務への満足感も高まり、長期的な雇用関係の基盤となるのです。
コラム「エンゲージメントとは?意味・サーベイ・高める方法を解説」はこちら
(2)優秀な人材を確保しやすくなる
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、若い世代ほど会社の福利厚生を重視して勤務先を選ぶ傾向が見られます。
【年代別 福利厚生重視度】
質問:「現在の勤め先を選ぶときに、福利厚生制度の内容を重視したか」(単一回答)
| 年代 | 非常に重視する | ある程度は重視する | 合計 |
|---|---|---|---|
| 20歳未満 | 11.1% | 44.4% | 55.5% |
| 20歳代 | 8.7% | 43.9% | 52.6% |
| 30歳代 | 5.5% | 33.6% | 39.1% |
| 40歳代 | 3.3% | 29.9% | 33.2% |
| 50歳代 | 3.1% | 28.1% | 31.2% |
| 60歳以上 | 2.1% | 24.5% | 26.6% |
20代では、福利厚生を重視する割合が50%を超えています。福利厚生の充実は、こうした求人ニーズに対応し、優秀な人材を安定的に確保するために欠かせない要素となっています。
参考:「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
(3)離職率の低下につながる
福利厚生の導入によって働きやすい環境が整備されれば、従業員は安定した生活を営みながら、長期的に働き続けることができます。
従業員の「この会社で働き続けたい」という気持ちが高まり、結果的に人材の定着率向上につながります。
(4)企業のブランドイメージがアップする
福利厚生を充実させることで、「従業員を大切にする会社」というイメージを社内外に効果的に伝えられます。働きやすい職場環境や手厚い支援制度は、採用活動において企業の魅力向上や、顧客・取引先からの信頼獲得に寄与するのです。
特に近年は、働き方改革や従業員のウェルビーイングへの関心が高まっており、福利厚生の充実は企業の社会的責任の一環としても評価されています。
(5)業務効率と生産性が向上する
従業員が最適な状態で業務に取り組める環境が整備されると、一人ひとりの集中力や業務パフォーマンスが高まり、企業全体の業務効率向上が期待できます。
例えば、柔軟な勤務時間制度の導入やリモートワーク支援により、従業員は自分にとって最も集中できる時間帯や環境で仕事に取り組むことができます。また、健康支援制度や仮眠制度を採用すれば、疲労の蓄積を防ぎ、集中力低下にもつながるでしょう。
(6)節税効果が期待できる
法定外福利厚生は、一定の条件を満たせば会社の経費として計上できます。現金で給与として支給する代わりに、福利厚生制度として提供することで、社会保険料の負担軽減や税務上のメリットが期待できる場合があります。
ただし、経費として認められるには、「全従業員を対象としていること」「社会通念上妥当な範囲であること」などの条件を満たす必要があるため、事前の確認が大切です。
福利厚生のデメリットと課題
福利厚生にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットや課題も存在します。制度を導入・運営する際は、これらの課題を事前に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
(1)コストが増加する
福利厚生の導入には、費用と時間の両面でコストが発生します。
費用面では、例えば住宅手当を導入する場合、単純に対象従業員数×支給金額分の費用が必要となります。法定福利厚生は法律で義務付けられているため、必ず実施しなければなりません。しかし、法定外福利厚生については各企業の裁量で決定できます。その点を考慮して、企業は法定外福利厚生にどの程度のコストを投じられるかを慎重に検討する必要があるでしょう。
時間的コストは、制度を作り、浸透させるまでにかかる期間のことです。従業員のニーズが明確で目的が明らかな制度であれば比較的短期間で導入できますが、福利厚生によっては、従業員の即時利用や意図の理解が難しい場合もあります。
「すぐに効果が出る」と考えるのではなく、時間をかけて理解を促し、企業文化の醸成を図ることが重要です。
(2)管理負担が増加する
企業にとって、福利厚生は管理負担の増加にもつながります。制度ごとに処理方法が異なっていたり、書類作成や利用サービスの窓口とのやり取りなど、新たな事務作業が発生したりするためです。これらの処理をアウトソーシングすることも可能ですが、その場合は費用面での検討が必要となります。
福利厚生は、単に制度の数が多ければ良いというわけではありません。費用が過度にかさめば事業に悪影響を及ぼす可能性があります。利用率の低い制度については定期的に見直しを行い、場合によっては廃止を検討することも必要です。
(3)従業員のニーズに合わないと不満につながる
どのような福利厚生を提供すべきかは、企業側のミッション・ビジョンや目的だけでなく、従業員の年齢やライフスタイル、価値観によっても異なります。そのため、せっかく導入しても従業員のニーズに合っていなければ、利用頻度が低く、無駄な制度となってしまう可能性があります。
重要なのは、「全ての従業員が満足する福利厚生は存在しない」ということです。どのような制度でも、一部の従業員にとっては不要であったり、不満の原因になったりする場合があります。また、社会状況の変化に伴い、求められる福利厚生も変化するため、定期的な見直しが欠かせません。
従業員へのアンケートやヒアリングを定期的に実施し、利用率、満足度、希望する福利厚生のアイデアなどを現場から吸い上げ、それらの実現に向けて積極的に取り組みましょう。実現が難しい場合でも、ニーズに合った代替策を検討することで、従業員の納得感につながるはずです。
福利厚生にかかるコスト(費用面)
福利厚生の導入におけるデメリットの1つに、コスト面の課題がありました。具体的な費用については、経団連が実施した福利厚生費調査結果が参考になります。
同調査によれば、2019年度における従業員1人1カ月当たりの福利厚生費は10万8,517円でした。このうち8万4,392円が法定福利厚生、残りの2万4,125円が法定外福利厚生という内訳になっています。
法定福利厚生と法定外福利厚生、それぞれの内訳は以下の通りです。
【法定福利厚生の内訳】
| 法定福利厚生 | 従業員1人1カ月当たり |
|---|---|
| 健康保険・介護保険 | 3万1,041円 |
| 厚生年金保険 | 4万6,832円 |
| 雇用保険・労災保険 | 4,810円 |
| 子ども・子育て拠出金 | 1,671円 |
| その他 | 39円 |
法定福利厚生では、厚生年金保険が最も大きな割合を占め、次いで健康保険・介護保険、雇用保険・労災保険となっています。
【法定外福利厚生の内訳】
| 法定外福利厚生 | 従業員1人1カ月当たり |
|---|---|
| 住宅関連 | 1万1,639円 |
| 医療・健康 | 3,187円 |
| ライフサポート | 5,505円 |
| 慶弔関係 | 514円 |
| 文化・教育・レクリエーション | 2,069円 |
| 共済会 | 272円 |
| 福利厚生代行サービス費 | 309円 |
| その他 | 629円 |
法定外福利厚生では、住宅関連が最も大きく、次いでライフサポート、医療・健康の順となっています。
福利厚生の運用形態
企業の福利厚生運用には、大きく分けて自社運営型、アウトソーシング型、ハイブリッド型の3つのパターンがあります。企業の規模や業種、従業員のニーズに応じて最適な方法を選択することが重要です。
(1)自社運営型
自社運営型は、企業が独自に福利厚生サービスを企画・運営し、従業員に提供する形態です。
企業の特性や従業員のニーズに合わせたきめ細かいサービス提供が可能ですが、運営コストや人的リソースの負担が大きいという課題があります。
(2)アウトソーシング型
アウトソーシング型は、福利厚生サービスの運営を外部の専門業者に委託する形態です。近年、多くの企業で採用されています。主に以下の3つの方式があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
【アウトソーシング型福利厚生の分類】
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| パッケージプラン(定額制) |
|
| カフェテリアプラン(ポイント制選択型) |
|
| 特化型 |
|
アウトソーシング型は、専門業者のノウハウを活用でき、運営コストと人的リソースを削減できるといった利点があります。しかし、自社の特性を反映しにくかったり、中小企業の場合はポイント制にすると割高になったりする場合もあります。
(3)ハイブリッド型
ハイブリッド型は、自社運営型とアウトソーシング型を組み合わせた形態です。一部のサービス(宿泊・レジャー優待や健康支援など)はアウトソーシングで効率的に提供しながら、企業独自の制度や特殊な支援制度は自社で運営します。
この方式の最大の利点は、ニーズに応じて柔軟に運営できることです。全国展開する大手代行サービスの豊富なメニューを活用しつつ、自社の文化や従業員の特性に応じたオリジナルの制度も並行して提供できます。
ただし、複数の運営形態が混在するため、管理が複雑になるというデメリットがあります。
福利厚生導入の基本的な流れと手順
福利厚生の導入には、相応の準備期間が必要です。ここでは、福利厚生の導入手順を5つのステップでご紹介します。
(1)導入目的を明確にする
最初のステップは、福利厚生を導入する目的の明確化です。目的をはっきりさせることで、どのような従業員を対象とするのか、それによってどのようなメリットが生まれるのか、どのくらいサポートを行うべきかなども明確になります。
例えば、在宅勤務制度の場合、「出社が難しい状況でも生産性を維持する」「出社が難しい従業員も雇用できるようにする」などが考えられます。そして、前者であれば「在宅勤務でも生産性を維持するには、どのようなサポートが必要か」、「在宅勤務が必要な従業員は、どのような人か」を検討することになります。
(2)制度を設計する
導入する目的を明確化したら、次は目的を達成できるような制度の設計です。
制度設計では、従業員の具体的なニーズの把握が欠かせません。「他社で人気だから」といった安易な考えで導入するのではなく、自社の従業員が本当に求めているものを把握する必要があります。
ニーズの把握には、年代や職種の異なる従業員に対し、アンケートやヒアリングを実施するとよいでしょう。定期的な1on1も、日常的な課題を通してニーズを把握する良い機会になります。
(3)コストを試算する
続いて、導入・運用コストを試算します。試算結果をもとに、導入が実現可能であるかを判断し、予算確保の検討を行いましょう。当初の想定での実現が困難な場合は、より重要度の高い要素に絞り込むという方法もあります。
「導入したものの、コストがかさんで短期間で廃止」という事態は避けなければなりません。最初は導入コストを抑えて安定的に運用し、必要に応じて段階的に拡充していく方法を取るとよいでしょう。
コスト管理には、先述した福利厚生サービスの利用や、国・自治体の助成金・補助金制度の活用も検討しましょう。
(4)就業規則・マニュアルを作成する
制度設計が完了したら、次は内容や条件に基づいて就業規則を作成します。労使間で認識のずれが生じないよう、対象者、利用条件、申請方法、金額などを明記してください。
また、制度を円滑に運用するため、担当者向けのマニュアルも作成しましょう。事務処理などを担う従業員のほか、管理職向けの対応マニュアル、一般従業員向けの利用ガイドもあると、申請や運用の誤りを減らせます。
(5)従業員に周知・運用開始する
福利厚生の導入後は、従業員への周知も忘れてはいけません。制度の内容を記載した資料を配布し、従業員に利用を促しましょう。資料は配布するだけでなく、実際に目を通してもらえるような工夫も必要です。
なお、運用開始後は、定期的に利用状況や従業員の満足度を調査し、費用対効果を確認することも大切です。必要に応じて制度を見直し、自社により適したサービスへと改善を図りましょう。
福利厚生導入に当たっての注意点
福利厚生の導入および運用を円滑に進めるためには、よく見られる失敗の傾向を把握することが重要です。最後に、福利厚生を導入する際に特に留意すべき点についてご説明します。
(1)従業員のニーズを正確に把握する
最も多い失敗は、従業員の実際のニーズと導入する制度のミスマッチです。経営陣や人事部が「良いと思った制度」と、従業員が「実際に欲しい制度」が異なるケースは少なくありません。
例えば、在宅勤務制度を導入したものの、実際にはオフィス環境の充実を求める従業員が多かった場合、期待した効果は得られないでしょう。世代、職種、ライフスタイルによってニーズは大きく異なるため、アンケートやヒアリングを通じて現場の声を十分に取り入れることが重要です。
(2)制度の公平性を確保する
福利厚生制度を導入し、特定の従業員だけが恩恵を受ける仕組みにならないように、細かな配慮が必要です。利用者に偏りが生じると、制度を利用できない従業員から不満の声が上がり、かえって職場の雰囲気が悪化する可能性があります。
できるだけ全従業員が平等に利用できる制度設計を心がけ、やむを得ず対象者を限定する場合は、その理由を明確に説明し、代替的な支援策を検討しましょう。
(3)福利厚生は既得権となりやすい点に注意する
福利厚生制度は、一度導入すると撤廃や縮小が難しいという特徴があります。制度の見直しや廃止を行わなければいけない場合に、従業員から強い反発を受けるかもしれません。
そのため、導入前に長期的な運営コストや会社の財務状況を十分に検討し、持続可能な制度設計を行うことが重要です。「とりあえず導入してみる」という軽い気持ちでの制度導入は避けましょう。
(4)税務・法務上の要件を確認する
福利厚生を導入する際は、税務・法務面での要件を満たしているかをよく確認しましょう。福利厚生費として認められる条件として、以下のようなものが挙げられます。
- 全従業員が公平に利用できること(機会の平等性)
- 金額が社会通念上妥当な範囲であること
- 現金や商品券など換金性の高いものでないこと
- 事業に必要な支出であること
これらの条件を満たさない場合、福利厚生費として経費計上できず、従業員への給与とみなされて課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
(5)費用対効果を定期的に見直す
導入した制度の利用率や従業員満足度を定期的に測定し、費用に見合う効果が得られているかを検証しましょう。
利用率が低い制度や満足度が上がらない制度については、改善策を検討するか、場合によっては別の制度への変更が求められます。

