顧客満足度(CS)とは?ビジネスでの重要性やCS向上のための取り組み事例を解説
公開日:2026.01.27

CSとは、英語「Customer Satisfaction」の略で、顧客のサービスや商品への満足度を示す指標です。
売上・収益力の安定化やブランド力強化など様々なメリットがあるため、小売りやサービス業だけでなく医療など業界・業種を超えて重要視されています。
本コラムでは、CSの定義や重要性、企業や病院での取り組み事例などについて解説します。
CS(顧客満足度)の意味と重要性
商品やサービスを提供する企業にとって、CS(顧客満足度)を理解することは欠かせません。CSは単なる顧客の感想ではなく、経営成果や成長に直結する指標として位置付けられているからです。
まずは、CSとは何か、正確な定義やビジネス上の役割について確認しておきましょう。
CSとは何か?定義と略語の使われ方
CSとは英語で「Customer Satisfaction」の略語で、顧客が商品やサービスに対して抱く満足度を表す指標です。
日本ではJCSI(日本版顧客満足度指数)という制度が整備され、幅広い業界で比較や分析が行われ、多くの企業がこの調査やデータを使用しています。JCSIを運営する公益財団法人日本生産性本部のサイトに掲載されている定義は以下の通りです。
一般的に、商品の購入時やサービスの利用時に感じる何らかの満足感のことを「顧客満足」と呼びます。CS(Customer satisfaction)、消費者満足、お客様満足とも言われ、この顧客満足を高めていくことが売上・利益拡大を図る上で重要なポイントとなります。
JCSI調査においては、多様な業界の企業が参加し、顧客の声を基準とした評価が行われています。顧客満足調査は、企業活動の健全性を示す重要な指針となります。企業にとってCSは単なる略語以上に、経営の方向性を示す基盤といえるでしょう。
ビジネスにおけるCSの役割と影響
日本のビジネスでCSが注目され始めたのは、バブル崩壊後の1990年代以降といわれます。それまでの大量生産・大量消費の時代には「良いものを作れば売れる」という発想が主流でしたが、市場が成熟し競争が激化すると、単に製品の性能や価格だけでは差別化できなくなってきました。
この時期から「顧客の体験や満足度を高めることが、持続的な成長につながる」という考え方が広がり、CSが経営戦略の重要テーマとして位置付けられるようになったのです。
2000年代にはインターネットやSNSの普及により、顧客の声が企業の評判や売上に直結する環境が整い、CSの影響力はさらに高まりました。
現在では、JCSI(日本版顧客満足度指数)などの制度を通じて客観的に評価される仕組みが整い、企業は顧客満足を数値として管理・改善することが一般化しています。
このようにCSは、時代の変化とともに「付加価値」から「企業存続の必須条件」へと役割を変化させ、ビジネス全体の成否を左右する存在となっているのです。
CS(顧客満足度)を高めるメリット
CSを高めることは、単に顧客に好印象を与えるだけでなく、企業の収益や持続的な成長に大きな効果をもたらします。
満足度が高い顧客はリピーターとなり、安定した売上基盤を築く原動力になります。
企業においてCSを高めるメリットがどのような点にあるのか、3つの観点から詳しくみていきましょう。
リピーター増加と売上向上
CSを高める大きなメリットは、既存顧客がリピーターとして継続的に商品やサービスを利用してくれる点にあります。
顧客は満足した経験を繰り返したいと考えるため、信頼できる企業に再び足を運び、結果として売上が安定するでしょう。
自動車販売や飲食業では、顧客満足度の高い企業ほど固定客を抱え、競合との差別化に成功しています。顧客を獲得するための新規広告費や営業コストを削減できる点も見逃せません。
つまり、CS向上は顧客維持率を高め、企業の収益性改善に直結するのです。
新規顧客獲得やブランド力強化
顧客が満足した体験を持つと、その情報は口コミやSNSを通じて広がり、新規顧客の獲得につながります。
特に現在はインターネットで情報が瞬時に拡散するため、顧客体験がブランドの信頼性を左右する大きな要素となっています。また、顧客に「この企業は信頼できる」と思わせられれば、ブランドイメージの強化や長期的なファンの形成にもつながります。
医療・接客業で信頼関係を構築できる理由
医療や接客業では、CSが直接的に信頼関係の構築に影響します。患者や利用者は安心感や信頼感を重視するため、丁寧な対応や誠実な説明が満足度を高める大きな要素となるのです。
医療業界の例でいえば、病院での待ち時間を短縮させたり、診療や薬の処方時の説明を丁寧に行ったりすることにより、患者の安心につながり、治療への信頼が深まります。
介護やホテル業界でも同様に、利用者の声を反映したサービス改善は顧客との信頼関係を強化するのに役立っています。
こうした信頼関係は一度築かれると長期的に継続しやすく、安定した顧客基盤を作り出す力を持っているのです。
CS(顧客満足度)の調査・測定方法
顧客満足度を正しく把握するためには、客観的な調査や測定方法の導入が欠かせません。
CSは目に見えにくい感情や印象を扱うため、アンケートやインタビューを通じて顧客の声を直接収集するのが一般的です。そのうえで、定量的な指標を用いて数値化することで、比較や分析が可能になります。
さらに、外部の調査機関が発表するランキングを参考にすれば、自社の強みや弱みを業界全体の中で把握できます。こうした調査や評価の仕組みの活用が、企業がCS向上に取り組むうえでの第一歩となります。
CSの調査方法
CSを調査する際には、まず以下のような項目を明確にして調査の計画を立てます。
- 調査の目的
- 使用する指標
- 調査の対象範囲
- 調査の方法(商品同封のアンケート、オンラインなど)
まずは調査目的の明確化が重要です。目的に沿って、指標や調査対象などを決定します。
調査の方法としては一般的にはアンケート調査やオンラインフォームが活用され、利用後の体験や満足度を数値や自由回答で確認します。インタビューやヒアリングを取り入れることで、より深い顧客の本音を把握できる場合もあります。
調査結果が集まったらデータを単純に集計するだけでなく、多面的に分析を行いましょう。顧客が何に満足し、どこに不満を感じているのかを可視化でき、改善策につなげやすくなります。
CSの指標
CSを測定する際には、いくつかの代表的な指標が使われています。
| 指標 | 概要 |
|---|---|
| CSI(Customer Satisfaction Index) | アメリカを中心に現在約30カ国で使用されている国際的な顧客満足度指数 |
| JCSI(Japan Customer Satisfaction Index)*1 | 世界の主流CS解析理論をベースにして開発された日本独自の顧客満足度指数 |
| NPS®(Net Promoter Score)*2 | アメリカのコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが開発した顧客のロイヤルティを測る指標 |
「CSI」や日本独自の「JCSI」は、幅広い業種の顧客体験を評価し、企業の強みや課題を明らかにします。
「NPS」は顧客がどの程度その企業やサービスを他人に勧めたいかを数値化する方法です。
これらの指標を使うことで、単なる感想ではなく、業界間で比較可能なデータとして活用できます。数値化された情報は経営層にもわかりやすく、具体的な改善活動を進めるための有効な指針となるでしょう。
*1 参考:公益財団法人日本生産性本部| 調査研究・提言活動| 統計手法(JCSI因果モデルとは)|世界のCSI(顧客満足度指数)
CSランキングや調査機関
CSを評価するランキングや調査機関は、企業が自社の立ち位置を知るうえで重要な役割を果たします。
日本では公益財団法人日本生産性本部が実施する「JCSI調査」が代表的です。
さらに、以下のような民間の調査・コンサルティング会社が、様々なCSに関わる調査やランキング公表を実施しています。
| CS調査 | 概要・特徴 |
|---|---|
| J.D. パワー | 業界ごとに独自のCS調査を実施・公開 |
| オリコン顧客満足度調査 | サービスを利用したユーザーのみを対象にしたアンケート調査 |
| HDI-Japan格付けベンチマーク | ITサポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体HDIの日本支部によるサポートセンター格付け |
| 日経リサーチCS調査 | 日経リサーチ社によるBtoB向けお客さま満足度調査 |
こうした外部調査は、顧客から見た客観的な評価を示しており、企業にとっては自社の改善余地や業界全体のトレンドを把握するための貴重な情報源となります。
CS(顧客満足度)向上の取り組み事例
CSの重要性が認識されるにつれ、多くの企業が自社の特徴や業種に合わせて独自の取り組みを進めており、その成果は顧客の信頼やブランド価値の向上につながっています。
ここでは、CS向上の取り組みについて、自動車、金融、医療の分野の3つの事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
レクサスのCS取り組み事例
トヨタ自動車が展開する高級ブランド「レクサス」は、日本の自動車業界のCS調査として定評があるJ.D.パワーの「自動車セールス満足度調査」「自動車サービス満足度調査」において、11年連続で第1位という快挙を成し遂げています。
その背景にあるのは、販売店での接客品質を徹底的に高める取り組みです。レクサスの店舗では、来店した顧客が快適に過ごせるよう細やかな気配りを行い、購入後も定期的なアフターサービスを通じて信頼関係を築いています。また、従業員教育にも力を入れ、専門知識とホスピタリティの両立を重視しています。
こうした積み重ねが「期待を超える体験」となり、顧客のリピーター化やブランドイメージの強化につながっているのです。
SBI証券の取り組み事例
オンライン証券の大手であるSBI証券は、「J.D. パワー 2025年個人資産運用顧客満足度調査SM」の<ネット証券部門>において、総合満足度ランキング1位となっています。
SBI証券のCS取り組みには以下のようなものが挙げられます。
- 業界最低水準の手数料
- ポイントプログラムの充実
- 見やすく使いやすいWebサイトやアプリ
- 豊富な決済手段や入出金チャネル
- システムの安定性
- 勉強会やセミナーの実施
- 充実した無料分析ツールの提供
特に取引システムの安定性や操作のしやすさに重点を置き、初心者から経験豊富な投資家まで幅広い利用者が安心して取引できる環境を整えているのが特徴です。
金融サービスにおいては顧客が不安を感じやすいため、トラブル時の対応力や透明性がCSに直結します。SBI証券はこうした取り組みにより、競合他社との差別化を実現し、多くの顧客から支持を集めています。
済生会小樽病院での医療DX化による取り組み事例
北海道の済生会小樽病院では、医療DX推進により、患者のCS向上に取り組んでいます。
電子カルテやAIを活用し、診療情報や退院サマリーを効率的に作成する仕組みを導入。これにより医師や看護師の事務作業が減少し、患者と向き合う時間が増加しました。
また、診療の質を維持しながら待ち時間の短縮にもつながり、患者の安心感や信頼感を高める結果となっています。
医療現場では人材不足が課題となっていますが、デジタル技術を活用した業務改善は、サービスの質を維持しながら顧客満足度を高める有効な手段といえます。
参考:NEC|済生会小樽病院様 「Future Hospital 医療DXで目指す新たな価値創造」: 医療・ヘルスケアソリューション
CSと関連する概念や似た用語との違い
CS(顧客満足度)はビジネスにおける重要な指標ですが、似た用語や関連する概念と混同されることも少なくありません。
マーケティングの場面では同じ「CS」が異なる意味で使われる場合があり、さらに従業員満足度(ES)や顧客不満度(CD)など、顧客体験を多角的に捉える言葉も存在します。これらを整理して理解することは、CSを正しく活用するうえで欠かせません。
最後に、CSと関連する概念や似た用語との違いを解説しますので参考にしてください。
マーケティングでのCSの3つの意味とは
マーケティングの領域では「CS」という言葉が主に3つの文脈で使われます。
1つ目は本コラムで解説する顧客満足度(Customer Satisfaction)、2つ目は顧客の成功体験を支援するカスタマーサクセス(Customer Success)、3つ目は顧客からの問い合わせ対応などを指すカスタマーサービス(Customer Service)またはカスタマーサポート(Customer Support)です。
| 日本語 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| カスタマーサティスファクション (顧客満足度) |
Customer Satisfaction | 顧客が製品やサービスにどの程度満足しているかを示す度合い |
| カスタマーサクセス | Customer Success | 顧客が製品やサービスを通じて成功体験を得られるように支援する活動 |
| カスタマーサービス (またはカスタマーサポート) |
Customer Service(Customer Support) | 製品やサービス購入後の問い合わせやアフターサポート |
カスタマーサクセスとは、商品やサービスを通じて顧客と能動的に関わり顧客の成功体験の実現を支援することや、そのための組織を意味します。
カスタマーサービスは製品やサービスの購入者に対しトラブルや悩みなどの課題解決を行うことです。
一口にCSといってもシーンや文脈によって使い分けが必要ですので注意しましょう。
CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の関係
企業がCSを高めるうえで無視できないのが、ES(従業員満足度)との関係です。働く環境や待遇に満足している従業員は意欲的に業務へ取り組み、自然と顧客への対応品質が向上します。
逆に職場に不満を抱える従業員が多ければ、接客やサービスにその影響が表れ、顧客満足度の低下につながりかねません。
実際に「ESを向上させた結果、CSも改善した」という事例は数多く存在します。企業にとってESとCSは相互に影響し合う関係にあり、両者をバランスよく高めることが長期的な成長の鍵となります。
CSとCD(カスタマーディライト)との違い
CS(顧客満足度)とよく比較される概念に、CD(カスタマーディライト)があります。
CSが「顧客の期待に応えることで得られる満足」を示すのに対し、CDは「顧客の期待を大きく超える体験を提供し、感動や喜びを与えること」を意味します。
例えば、ホテルで丁寧な接客を受けるのはCSの範囲ですが、誕生日にサプライズのサービスを受けて強い感動を覚えるのはCDの領域です。
つまり、CSは顧客にとって当たり前の満足を確保する基盤であり、CDはそれを超えてブランドへの愛着や長期的なファン化を促す戦略的な取り組みといえます。
企業にとっては、まずCSを安定して高めたうえでCDを創出できれば、他社には真似できない強い顧客関係を築けるでしょう。
そのほかビジネス上でCSを含む略語(CSR・CSMなど)
ビジネスでは「CS」を含む略語が多く存在し、混乱を招くことがあります。
CSR(Corporate Social Responsibility)は企業の社会的責任を意味し、環境保護や社会貢献といった活動を通じて信頼を得る取り組みです。また、CSM(Customer Success Management)は、顧客が商品やサービスを通じて成果を出せるよう支援する考え方で、サブスクリプション型ビジネスで特に注目されています。
ビジネスシーンで略語を使う機会が増えており、特にCSとつく用語が多いため混乱しがちですが、それぞれの意味をおさえておけば心配ありません。
CSRについては以下のコラムで詳しく解説していますので、興味がある方はご参照ください。
CS(顧客満足度)は企業成長の原動力
CSは、単なる評価指標ではなく、企業が持続的に成長するための重要な基盤です。CSを理解し改善に取り組めば、リピーターの獲得や新規顧客の拡大、さらにはブランド力の強化につながります。
レクサスやSBI証券、済生会小樽病院といった事例が示すように、業種を問わずCSを重視する姿勢が企業の競争力を支えているのです。
今後も企業が顧客中心の視点を持ち続け、満足度向上に取り組むことが、信頼と成長を両立させるための最も確かな道といえるでしょう。
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