フォローアップとは?ビジネスでの意味や使い方を解説


フォローアップという言葉は、営業・販売活動や研修といったビジネスシーンや医療用語など、様々な意味で使われています。
フォローアップは、元々英語では「追跡する」という意味で、施策や研修などを実施した後に継続的に観察・確認を行うことです。
本コラムでは、フォローアップという言葉の意味やビジネスでの使い方、フォローアップメールの例文やフォローアップ研修の取り組み方まで、詳しく解説します。
フォローアップとは?基本の意味とビジネスシーンでの使い方
ビジネスにおける「フォローアップ」とは、ある取り組みや対応のあとに、その効果や進捗を確認し、必要に応じて補足や改善を行う活動を指します。
フォローアップという言葉はビジネスシーンにおいて、顧客対応や研修、人材育成など多くの場面で活用されています。
最初に、フォローアップの基本的な意味や「フォロー」との違い、ビジネスシーンにおける重要性についてわかりやすく解説します。
フォローアップの意味
フォローアップとは、元々は「追跡する」「追求する」という意味で、「ある行動や施策を実施した後、その効果や進捗を確認したり、必要に応じて補足対応を行ったりすること」を指します。
医療現場では、治療や投薬後の患者の体の状態を経過観察する、という意味で用いられています。ビジネスシーンでは、例えば社内研修後に受講者の理解度を確認することや、商談後に顧客の反応を確認して提案内容を見直すことなどを指してフォローアップと呼んでいます。
参考:医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト(医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き)フォローアップ
フォローとの違い
「フォロー」と「フォローアップ」はよく似た言葉ですが、意味するところに少し違いがあります。
フォローは、相手ができていない部分や不足している部分を補う行為を意味しますが、フォローアップは、既に行った行動や成果を対象に、継続的な確認や補強を行うことを指します。
例えば、業務が遅れている同僚の仕事に具体的なアドバイスを与えるのはフォロー、指示内容やアドバイス通りにできているかを一定期間観察して、確認したりサポートしたりするのがフォローアップです。
つまり、フォローは「今を補う」ことであり、フォローアップは「過去を振り返り、未来につなげる」ための行動といえるでしょう。
ビジネスにおけるフォローアップの重要性
ビジネスでフォローアップが重要とされるのは、施策の効果を高め、定着を促したり継続的な関係性を築いたりするためです。
例えば、顧客対応後のフォローアップは、信頼関係の構築につながり、リピート率や満足度の向上にも寄与します。
また、フォローアップは特に、人材育成や新人研修など人事の分野で重要性が注目されています。研修後にフォローアップを行うことにより、一度学習しただけでは難しい知識やスキルの定着や理解度が高まるでしょう。さらに、会社や上司から、フォローアップを継続的に行うことは、社員のモチベーションやエンゲージメント向上にも効果があります。
フォローアップの言い換え表現や例文
フォローアップはビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、使う際にはいくつか注意が必要な点があります。
ここでは、フォローアップの英語表現を使う場合の注意点、言い換え表現やビジネスメールの例文などを具体的に解説します。
英語表現としての「follow up」の使い方と注意点
フォローアップは英語の「follow up」をカタカナ表記したものですが、元々の英語の意味は以下のようなものです。
- ①どこまでも追求する、厳しく追跡する
- ②いやが上にも徹底させる、追いうちをかける
フォローアップはビジネス英語でも頻繁に使用されていますが、上記のように元々は「厳しく追及する」「追いうちをかける」というトーンが含まれているので、使い方には注意が必要です。命令口調を避け、丁寧なトーンで用いることで、相手への配慮を示すように心がけましょう。
日本語での自然な言い換え表現
フォローアップという言葉はカタカナ語のため、状況によっては日本語に言い換えると伝わりやすくなります。
ビジネスシーンにおけるフォローアップの言い換え表現の例を挙げてみましょう。
一般的なビジネスシーンでの言い換え表現 | 人材育成での言い換え表現 |
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特に目上の方や社外との文書では、自然な日本語表現を選ぶとより丁寧な印象を与えられます。
フォローアップメールの例文
フォローアップメールとは、面談や会議、商談、問い合わせ対応などのあとに送る確認・補足・お礼を目的としたメールのことです。
相手との関係性を深めるとともに、話し合った内容の整理や次のアクションの明確化に役立ちます。
フォローアップに関するメールは、丁寧かつ簡潔にまとめることが大切です。以下は商談後のフォローアップメールの一例です。
件名:先日のご面談の御礼と今後のご提案について
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
先日はお忙しい中、お時間を頂き誠にありがとうございました。
ご説明いただいた内容をもとに、弊社にてご提案をまとめさせていただきました。
詳細は添付資料をご確認ください。ご不明点などございましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
面談で話した内容や決まった内容などを整理し、不明点の問い合わせなどで次のアクションを促します。
フォローアップメールは相手への配慮を示す重要なビジネススキルの1つです。適切なタイミングと丁寧な表現を心がけましょう。
フォローアップを人材育成や研修で行うメリットと必要性
人材育成や研修におけるフォローアップは、学んだ内容を実務に活かし、スキルの定着を図るうえで非常に重要です。
定期的なフォローアップは従業員の知識やスキルを定着させるだけでなく、モチベーション維持やキャリア形成を後押しします。
ここでは、フォローアップを人材育成や研修で行うメリットと必要性について解説します。
従業員の知識の理解度やスキルの向上
人材育成において、フォローアップは知識の理解度やスキルの向上に直結します。
研修で学んだ内容をそのままにしておくと、理解が不十分なまま実務に活かせない可能性もあります。研修後に上司が内容の振り返りや実践状況を確認するフォローアップを行えば、定着度が高まりやすくなるでしょう。
習得したスキルを継続的に確認・強化することで、従業員の知識や理解度を向上させ、成長速度を加速できます。
離職率の低下・従業員定着にも効果的
フォローアップは、離職率の低下や従業員の定着にも大きく貢献します。
研修後に継続してサポートを受けることで、従業員が「自分は大切にされている」と実感できるでしょう。また、定期的な面談や進捗確認を通じて不安や疑問を解消することは、早期離職の防止にもつながります。結果的に、職場への信頼感やモチベーションが高まり、長く働きたいと思える環境がつくられます。
新卒社員の離職を防ぐためのフォロー方法については、以下のコラムも参考になります。
コラム「フォローを起点に考える、新卒社員の離職を防ぐ3つのポイント ~キーワードは『関係性』『安定』『成長』~」はこちら
教育・育成・面談との関係性
フォローアップは、教育・育成・面談と密接に関係しています。
というのも、これらの取り組みは一度きりの施策ではなく、継続的な支援によって効果を最大化できるからです。例えば、研修後の面談で実践の様子を確認し、改善点や成長課題を共有することは、育成の質を高める手段となります。フォローアップは教育や研修と実務をつなぐ橋渡しなのです。
フォローアップの面談には、個別のフィードバックやモチベーションの向上を期待できる「1on1」ミーティングを導入すると効果的です。「1on1」のやり方や事例などについては以下のコラムを参照ください。
フォローアップ研修とは?目的、導入のポイント
フォローアップは人材育成や研修において大きな効果を発揮します。
最近では、研修の実施後に、一定期間をおいて行う復習・実践支援のためのフォローアップ研修を導入・実施する企業も増えています。
最後に、フォローアップ研修の目的や対象者、実施時のポイントを解説します。
フォローアップ研修とは?目的とメリット
フォローアップ研修とは、初回研修後に一定期間を置いて実施する振り返りと強化を目的とした研修です。学んだ内容を定着させ、より実践力を向上させる目的で行われます。
研修内容はその場で理解できたつもりでも、時間が経つと忘れてしまったり、実務に活かすのは難しかったりする場合が多々あります。そこで、フォローアップ研修により、実務を通じた課題や疑問を再確認し、解決のヒントを得られるようにすると効果的です。
研修を行う側にとっても、研修後の受講者の成長度や行動変容を把握できるため、研修効果の測定にも活用でき、今後の教育施策にもつなげられるというメリットがあります。
フォローアップ研修の対象者
フォローアップ研修の対象者は、新入社員に限らず、若手・中堅社員や管理職など全ての階層が該当します。
- 新入社員
- 若手社員
- 中堅社員
- 管理職
特に新入社員に対しては、入社後数カ月で生じる実務上の課題を解決する機会となります。若手や中堅社員の場合には、業務の幅が広がる中で必要なスキルや考え方を補強する機会として効果的です。管理職には、マネジメント課題の振り返りやリーダーシップの再確認の場となり、階層ごとに異なる課題に対応するための柔軟な設計が求められます。
フォローアップ研修導入のポイント
フォローアップ研修は本研修と同じ内容をただ繰り返せばよいというものではありません。
やみくもにフォローアップ研修を実施しても、実施側の手間だけがかかり、受講者や現場にも負担感が募ります。
フォローアップ研修の導入を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。タイミングや内容の設計、実務との連動性、効果測定といった点をおさえることで、より実効性のある育成施策になるのです。
以下に、フォローアップ研修を効果的に導入するためのポイントを解説しますので、参考にしてください。
実施時期やタイミング
フォローアップ研修は、初回研修から一定期間経過したタイミングで実施するのが効果的です。なぜなら、実務での課題や疑問が明確になることで、学びが現場と結び付きやすくなるためです。
フォローアップ研修の実施は、本研修の3カ月後や半年後など、業務経験がある程度積まれた時期に設定するとよいでしょう。
研修実施の間隔が短すぎると効果を実感しにくく、逆に間が空きすぎると記憶の定着が不十分になる可能性があります。
内容に重複がないよう工夫する
フォローアップ研修では、初回研修と内容が重複しないよう設計することが重要です。同じ内容の繰り返しでは受講者のモチベーションが下がり、学びの効果も薄れてしまいます。
前回の研修内容の要点を振り返りつつ、新たなテーマや実践的な課題を盛り込むことで、継続的な成長を促せます。例えば、前回は知識習得が中心だった場合、フォローアップ研修では実践演習やグループ討議を取り入れるとよいでしょう。逆に、本研修にグループワークやディスカッションなどが多いケースでは、フォローアップとして体系的に知識を整理する講習内容にするなどの工夫が求められます。
実務経験やキャリアプランと結び付ける
フォローアップ研修の内容を実務やキャリアと関連付けることで、受講者の当事者意識と理解度を高められます。
新人研修ではまだ実務経験がないため、現場に配置されてからの実務経験に基づく課題の振り返りや、目標設定のワークを取り入れることで、実践につながる気づきを促進できます。
若手社員や中堅社員の研修では、フォローアップ研修で研修内容と自分のキャリアプランを紐付けることで、「今の自分にどう役立つか」「将来どのようなキャリアにつながるか」を明確化することが大切です。研修内容にこうした要素があると、受講者のモチベーションが高まり、研修の成果が現場で活かされやすくなります。
成果や効果の測定を行う
フォローアップ研修を実施したら、必ず研修の成果や効果を測定しましょう。事後アンケートや上司からのフィードバック、行動変化の観察などを通じて、学びの定着度や業務改善への影響を評価します。
フォローアップの効果は目に見えにくいため、成果や効果の測定を継続的に行うことにより、今後の研修内容やタイミングを見直す材料となり、継続的な育成施策の質向上にもつながります。また、成果を可視化することで、組織としての研修投資の妥当性も検証しやすくなるでしょう。
まとめ|フォローアップをビジネスで上手に活用する
フォローアップは、顧客対応や人材育成、研修後の支援など、あらゆる場面で活用できます。フォローアップを上手に活用することで、ビジネスにおける信頼関係を構築したり、業務成果を最大化したりできるでしょう。
特にフォローアップは人材育成や研修において活用すると効果的です。
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