36協定をわかりやすく解説!残業上限と2024年問題、届け出方法

published公開日:2025.05.26
36協定をわかりやすく解説!残業上限と2024年問題、届け出方法
目次

36協定とは、会社が従業員に残業や休日労働をさせるために締結する労使協定の1つです。近年の労働基準法改正により、残業・休日労働には上限規制が設けられ、違反すれば懲役または罰金が科されることになりました。

本コラムでは、36協定とは何か、その対象者や一般条項・特別条項の概要、2024年問題、締結方法から届け出・更新の流れまで、36協定の基本をわかりやすく解説します。

36協定とは?パート・アルバイト・契約社員も対象

まずは、36協定の正式名称や関連する法律、36協定の目的と対象者などを確認していきましょう。

36協定とは

36協定とは、従業員に残業(時間外労働)や休日労働をさせるために、会社と従業員の間で結ぶ協定です。36協定で残業・休日労働の対象となる業務の種類や上限時間を定め、従業員に周知して労働基準監督署に届け出ることではじめて効力が生まれます。

36協定という名称は、“労働基準法第36条に基づく協定”というところからきています。この名称は通称であり、正式名称は「時間外・休日労働に関する協定」です。

36協定には、「一般条項」と「特別条項」があります。一般条項は全ての36協定で定められますが、特別条項は必要な場合にのみ定めます。簡単にいえば、

  • 一般条項=残業時間・休日労働の原則的な上限時間を定めるもの
  • 特別条項=原則の上限時間を超えて労働しなければならない“臨時的で特別な事情がある場合”として定める残業時間・休日労働の上限(例外規定)

ということになります。

36協定の目的

36協定の目的は、過度な残業や休日労働を防ぐこと。「働きすぎ」によって健康を害することを避けるための仕組みです。

36協定には、法律で定められた上限時間があります。詳しくは後述しますが、一般条項における「月45時間」という残業時間の上限は、長時間労働と心身への悪影響の関係性から定められた時間数です。特別条項における「月100時間未満」や「月平均80時間以内」も、いわゆる過労死ラインを意識した時間数となっています。

36協定の対象者

36協定で残業・休日労働の制限が行われる対象者は、労働基準法で定義される「労働者」です。基本的には、労働契約を締結して働く全ての従業員であると理解して構いません。そのため、パート・アルバイト・契約社員といった従業員も、36協定の対象となります。

ただし、管理職については注意が必要です。労働基準法における「管理監督者」に当たる場合は、36協定の対象者とはなりません。

そして、管理職である全ての従業員が必ずしも管理監督者であるとはいえない点も難しいところです。管理職に就いている従業員が「管理監督者」か否かは、「係長」「部長」といった役職名ではなく、「具体的にどのような働き方をしているか」で判断されるからです。

【管理監督者かどうかの判断ポイント】

以下に当てはまる場合は、管理監督者である可能性が高くなる

  • 労働条件の決定や労務管理について、経営者と一体的な立場にある
  • 労働時間・休憩・休日などに関する制限を超えて仕事をすることが要請されざるを得ないような重要な職務内容を担っている
  • 労働時間・休憩・休日などに関する制限を超えて仕事をすることが要請されざるを得ないような重要な責任と権限をもつ立場である
  • 実際の働き方も、労働時間などの制限になじまない働き方が求められている
  • 賃金などにおいて、その地位にふさわしい待遇がなされている

管理監督者以外では、以下の人が36協定など残業や休日労働などの規制の対象外です(労働基準法第36条第11項、第41条)。

【残業や休日労働などの規制の適用除外】

  • 農業・畜産・養蚕・水産に従事する労働者
  • 機密事務取扱者
  • 監視又は断続的労働に従事する労働者(労働基準監督署からの許可が必要)
  • 新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する労働者

36協定と労使協定の違い

36協定と労使協定の違いは、協定が対象とする範囲の違いにあります。

まず、労使協定とは、使用者と労働者の間で結ばれる書面契約のことです。その内容は、労働条件の改善や勤務体制の整備に関するもので、様々な種類が行われます。具体的には、変形労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制、計画年休などです。

これに対して、36協定が対象とするのは、残業や休日労働に関するルールのみ。36協定自体は様々な労使協定のうちの1つであり、「労使協定とは別物」というわけではありません。

つまり、36協定の締結は、労使協定を結ぶ行為の1つなのです。

36協定の一般条項と残業時間・休日労働の上限

先述の通り、36協定には一般条項と特別条項があります。一般条項は残業や休日労働に関する原則を定めるもので、特別条項は一般条項で定めたルールを超えて残業や休日労働をさせるためのルールです。

まずは一般条項の概要と定めるべき内容、上限から見ていきましょう。

労働基準法第32条では、労働者の労働時間について「1日8時間・週40時間」を超えてはいけないとしています。これを「法定労働時間」と呼び、法定労働時間を超える労働は「時間外労働」(残業)となります。

また、休日についても、毎週少なくとも1日は労働者に休日を与えなければなりません(労働基準法第35条)。これを「法定休日」と呼びます。本来休むべき法定休日に労働させることは「休日労働」となります。

この時間外労働や休日労働をさせるために必要な基本ルールが、36協定の一般条項です。具体的に定める主な項目は、下表の通りです。

【36協定 一般条項で定める主な内容】

項目 概要 上限
時間外労働について
  • 残業をさせる必要がある具体的な理由
  • 残業をさせる業務の種類
  • 対象労働者数(満18歳以上)
  • 1日当たりの残業時間数(8時間を超える時間数)
  • 1カ月当たりの残業時間数
  • 1年当たりの残業時間数
  • 月45時間以内
  • 年360時間以内
休日労働について
  • 休日労働をさせる必要がある具体的な理由
  • 休日労働をさせる業務の種類
  • 対象労働者数(満18歳以上)
  • 労働させることができる法定休日の日数と、その始業時刻・終業時刻
そのほか
  • 残業時間と休日労働の合計労働時間が、1カ月に100時間を超えていないことの確認
  • 残業時間と休日労働の合計労働時間が、複数月(2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月)の平均が月80時間を超えていないことの確認
  • 労働者の過半数代表者の職名・氏名・選出方法
  • 使用者の職名・氏名 など
  • 月100時間未満(単月の残業時間+休日労働の合計労働時間)
  • 平均月80時間以内(残業時間+休日労働の複数月平均)

上の表にある「上限」は、各項目についての上限時間数です。残業時間は月45時間・年360時間を超えてはいけません。休日労働の上限については、残業時間との合算で上限が設定されています。残業時間と休日労働における労働時間数の合計は、月100時間未満でなければなりません。

さらに、直前の1〜5カ月で算出した2カ月平均・3カ月平均・4カ月平均・5カ月平均・6カ月平均のいずれも、残業時間と休日労働の時間数が平均月80時間以内となる必要があります(詳しくは後述)。

以上が、残業や休日労働の上限時間数の基本的なルールです。

なお、一般条項における月当たりの最大残業時間が45時間となっていることには、業務量と脳・心臓疾患の発症との関連性が考慮されています。残業が月45時間を超えると、それらの疾患と労働時間の関連性が強まり、健康障害を引き起こしやすくなるからです。

また、残業時間と休日労働の合計労働時間についての上限である「月100時間」や「平均が月80時間」は、いわゆる「過労死ライン」と呼ばれる基準となります。簡単にいえば「働きすぎが健康障害を引き起こした」と判断されるか否かのラインが、複数月における平均の月80時間や、単月における月100時間の残業時間ということです。

36協定の特別条項の内容と上限

36協定の一般条項で定めた基準を上回る残業時間・休日労働をさせることは、基本的には「36協定違反」です。ただし、一般条項に加えて特別条項を定めていれば、一定の範囲内で一般条項の基準を超えて残業や休日労働をさせることができます。

特別条項まで定めた36協定は、「特別条項付き36協定」と呼ばれます。

一般条項に加えて定める特別条項の内容は、下表の通りです。

【36協定 特別条項で定める主な内容と上限】

項目 上限
臨時的に限度を超えて労働させることができる場合の具体的な状況
各状況の具体的な業務と対象労働者数(満18歳以上)
各状況における限度時間(月45時間)を超えて労働させられる回数
  • 年6回以内
各状況の1カ月における法定労働時間を超えて延長できる残業時間数と休日労働の時間数の合計時間、および割増賃金率
  • 月100時間未満(単月の残業時間+休日労働の合計労働時間)
  • 平均月80時間以内(残業時間+休日労働の複数月平均)
各状況の1年における法定労働時間を超えて延長できる残業時間数と割増賃金率
  • 年720時間以内(残業時間単独)
限度時間を超えて労働させる場合の手続き
限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康・福祉確保措置

ここで注意しなければならないのは、「1カ月における法定労働時間を超えて延長できる残業時間数と休日労働の時間数の合計時間」の上限です。一般条項のチェック項目にも記載されていますが、これには「月100時間未満」と「平均月80時間以内」という2種類の上限があり、それぞれ計算式が異なります。

上限「月100時間未満」の場合は、単純に「1日8時間・週40時間」という法定労働時間を超えた残業時間と休日労働の労働時間数を1カ月ごとに合計すれば問題ありません。この合計時間数が1カ月当たり100時間未満になるようにします。

他方、「平均月80時間以内」の場合は、2カ月〜6カ月の残業時間を平均した時間数に関する上限です。2カ月平均・3カ月平均・4カ月平均・5カ月平均・6カ月平均という5つの平均値を出す必要があり、このうち1つでも「平均月80時間」を超えれば違法となってしまいます。

【平均月80時間に関する違法ケース(例)】※10月において計算する場合

残業時間+休日労働時間 平均時間数
5月 80時間

6カ月平均

(70+75+80+90+90+80)÷6=80.83

平均月80.83時間

6月 90時間

5カ月平均

(70+75+80+90+90)÷5=81

平均月81時間

7月 90時間

4カ月平均

(70+75+80+90)÷4=78.75

→平均月78.75時間

8月 80時間

3カ月平均

(70+75+80)÷3=75

→平均月75時間

9月 75時間

2カ月平均

(70+75)÷2=72.5

→平均月72.5時間

10月 70時間

日々の労務管理では、こうした計算によって従業員が「働きすぎていないか」をチェックしなければなりません。

また、「限度時間を超えて労働させる場合の手続き」については、「通告」や「協議」といった具体的な方法を記載する必要があります。「労働者の過半数代表者への事前申し入れ」なども可能です。

「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康・福祉確保措置」の内容は、「36協定届」の様式第9号の2に関する「36協定届の記載例」に具体的な選択肢が10個示されています。様式では、その選択肢から選んで番号を記入するとともに、自社で行う具体的な措置を記入するよう求められます。

【健康・福祉確保措置の選択肢】*

  1. (1)労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること
  2. (2)深夜時間帯(22時から5時)において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること
  3. (3)終業から始業までに、一定時間以上の継続した休息時間を確保すること(勤務間インターバル)
  4. (4)労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること
  5. (5)労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること
  6. (6)年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
  7. (7)心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること
  8. (8)労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
  9. (9)必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
  10. (10)その他

特別条項に定める残業時間・休日労働は、従業員の心身に悪影響を与える可能性がある時間数です。従業員の健康を維持できるよう時間数の上限を守るとともに、月45時間を超えて残業などを行う従業員には、健康管理のための適切な措置を講じられるよう体制を整えましょう。

*出典:「36協定届の記載例(特別条項)」(厚生労働省)

36協定の2024年問題とは?建設業・運送業などにも上限規制を適用

このような上限規制を制定したのは、2018年の改正労働基準法。一方で、改正労働基準法の最初の施行から5年間は、一部の業種に対する上限規制の適用が猶予されていました。いわゆる建設業や運送業などの適用除外です。

こうした事業者への適用が始まったのが、2024年です。残業・休日労働に上限が適用されたことで、これらの業界では労務管理の見直しが迫られ、「2024年問題」と呼ばれるようになりました。

各業種における上限規制は、これまでに見てきたものと基本的には同様です。ただし、その働き方の実態に応じた上限が別途設けられている場合もあります。その概要を下表にまとめました。

【建設業・運送業などにおける上限規制】

業界 法律による上限
建設業*1
  • 残業は月45時間以内・年360時間以内(一般条項)
  • 月45時間を超える残業は年6回以内(特別条項)
  • 残業は年720時間以内(特別条項)
  • 残業+休日労働は月100時間未満、複数月平均で月80時間以内
トラックドライバー*1
  • 残業は月45時間以内・年360時間以内(一般条項)
  • 残業は年960時間以内(特別条項)
  • 1日の拘束時間は原則13時間未満とし、超える場合でも最大15時間
  • 1年の拘束時間は、年3,300時間以内
  • 1カ月の拘束時間は、月284時間以内
  • 1日の休息時間は基本的に11時間以上とし、これを下回る場合でも9時間以上の休息時間を確保
  • 運転時間は、2日平均で1日当たり9時間以内
バス・タクシーのドライバー*1
  • 残業は月45時間・年360時間以内(一般条項)
  • 残業は年960時間以内(特別条項)
  • 1日の拘束時間は原則13時間未満とし、超える場合でも最大15時間
  • 1年の拘束時間は、バスでは年3,300時間以内
  • 1カ月の拘束時間は、バスでは月281時間以内、タクシーでは月288時間以内
  • 1日の休息時間は基本的に11時間以上とし、これを下回る場合も9時間以上の休息時間を確保
  • バスの運転時間は、2日平均で1日当たり9時間以内
医師*2
  • 1カ月の残業・休日労働の上限は、月100時間未満(原則)
  • 1年の残業・休日労働の上限は、原則として年960時間(A水準)
  • 地域医療確保や副業・兼業として派遣されるケース、研修医などの研修を担当する医師の場合は、年1,860時間(連携B水準・B水準・C-1水準・C-2水準)

これらの業種では、従来の働き方から上限規制を踏まえた働き方への転換のため、業務の進め方や受発注の段階での労働時間の考慮など、より厳密に労務管理を行うことが求められています。特に建設業や運送業では、「終わらせるために無理をしながら働く」というスタイルの改善が具体的に指摘されました。

*1 参考:「建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ」(厚生労働省)

*2 参考:「基礎編 医師の働き方改革~患者さんと医師の未来のために~(PDF)」(厚生労働省)

36協定に違反した場合の罰則

2018年の改正労働基準法で設けられた上限規制や36協定に違反した場合、何か罰則はあるのでしょうか。

まず法的な上限についていえば、月45時間や月100時間、平均月80時間といった上限に違反して従業員に労働をさせた場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法第119条第1項)。

罰則の対象者は、会社や会社で労務管理を行う責任者です。

ただ、36協定に違反したからといって即座に罰則が適用されるわけではありません。違反する実態が確認されたら社内で早期解決を図り、適正な労務管理と残業・休日労働の制限、職場環境改善や健康・福祉措置の確保などを行ってください。

これらの施策を行わずに放置すると、従業員などから労働基準監督署に通報される可能性が高まります。通報を受けた労働基準監督署は事業所に対して調査を行い、必要な監督指導を行うでしょう。悪質な場合は、会社や責任者を書類送検する場合もあります。

書類送検されると、検察庁で起訴するかどうかの調査・検討が行われるとともに、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として企業名と違反した法令、違反内容の概要が公表されます。

労働基準法の罰則が適用されるのは、起訴されて有罪が確定してからです。その場合に、前述した6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が命じられます。

36協定の締結方法から届け出・更新の流れ

36協定を締結するには、従業員側の代表者との協議・合意が必要です。会社側の都合だけで一方的に進めれば労働基準法違反となります。

締結から届け出・更新までの各ステップを順番に見ていきましょう。

(1)36協定を結ぶ相手(過半数組合・過半数代表者)と協議・合意する

会社が36協定を締結する相手は、具体的には“労働者の過半数”で組織された「労働組合(過半数組合)」や、“労働者の過半数”を代表する「過半数代表者」です。過半数組合がある場合はその組合と締結し、過半数組合がない場合は過半数代表者を選出して締結してください。

過半数代表者の選出に当たっては、いくつかのルールがあります。このルールに違反すると法令違反となり得ます。

【過半数代表者の選出のポイント】

  • 管理監督者ではない従業員から選ぶ
  • 選出に当たって、36協定締結のための過半数代表者の選出であることを明示する
  • 選出方法は、投票または挙手などにする
  • 会社側が過半数代表者を指名したり、「○○さんがいいのではないか」などと言ったりしてはいけない

過半数組合または過半数代表者が決まったら、36協定の具体的な内容を説明・協議し、合意しましょう。合意した内容は文書にまとめます。

(2)「36協定届」様式第9号などを作成し、労働基準監督署に提出する

36協定は、従業員側と合意しただけでは効力が発生しません。36協定を有効とするには、所定の様式で「36協定届」を作成し、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出してください。

使用する基本の様式は、一般条項は様式第9号、特別条項は様式第9号の2です。ただし、業種によっては別の様式を指定されている場合もありますので、厚生労働省の様式ダウンロードページをご確認ください。

届け出の方法は、窓口への直接提出、郵送、電子申請から選べます。主な手順は、下表の通りです。

【36協定届の提出方法と手順・提出書類】

提出方法 手順・提出書類
窓口提出
  • 正本(原本)と副本(写し)を窓口へ提出する
  • 副本は会社控え用として返却される
郵送
  • 正本(原本)・副本(写し)・切手貼付済みの返信用封筒・送付状を郵送する
  • 特定記録やレターパックなどの記録付き郵便で送る(推奨)
  • 副本はあとで返送される
電子申請
  • 「e-Gov電子申請」のアカウントを取得し、マイページにログインしてからオンラインで書類を作成する
  • 書類の作成が終わったら、そのままシステムを通じて提出する

毎年3月後半から4月前半は労働基準監督署の窓口が混みやすくなります。スムーズな申請のために、国ではe-Gov電子申請による届け出を推奨しています。

(3)36協定の内容を従業員に周知し、1年ごとに更新する

労働基準監督署への届け出と同時に、締結した36協定の内容を従業員に周知しましょう。残業や休日労働について行き違いが発生しないよう、社内に掲示したり社内報に載せたり、社内ポータルサイトなどでいつでも確認できるようにしておいたりすることが大切です。

また、36協定の有効期間は1年間とされることが基本です。翌年も引き続き残業や休日労働をさせる場合は、36協定を更新しなければなりません。その際、法定労働時間を超過する時間数の見直しなどを行い、従業員にとって負担の少ない働き方ができるようにしましょう。

過半数組合や過半数代表者と協議をして合意形成ができたら、最初の届け出と同様に所定の様式を用いて届け出を行います。

36協定を守れる職場づくりは適切な労務管理から

厳しい上限規制が導入された改正労働基準法では、36協定のない残業や休日労働だけでなく、上限となる時間数を超えた残業・休日労働を許すことも違法となりました。

36協定に絡む違反事例には、適正な労働時間の把握に課題があり、36協定で定めた時間数を超えた残業・休日労働で書類送検された事案が複数見られます。「ついうっかり……」が通用しない現在、改めて従業員の正確な労働時間の把握が必須となっているのです。

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