新入社員意識調査(2023年 情報通信業界編)
2023年入社 情報通信業の新入社員は、約7割が仕事についていけるか不安!「成功体験」に基づく成長の仕組みづくりが重要
2023年6月30日
背景
2023年入社の新入社員はZ世代と呼ばれ、物心ついたときからすでにデジタル技術が発達している社会で育ってきました。幼少期から高速通信環境が存在し、学生時代には4G・5Gが整備され、YouTubeなど個人発信のエンタメの発展と共に育ってきました。また、学生時代は、新型コロナウイルス感染症の影響によりコミュニケーションの大部分がオンラインへと移行。組織を意識することや、集団行動が求められる機会が減少したことにより友好関係も縮小傾向にありました。さらに、近年はロシア・ウクライナ戦争の長期化による経済の縮小、原材料価格や物流費の高騰や円安など、様々な外部環境の変化に翻弄される企業を、メディアを通じて見てきたことでしょう。
そこで、今回の調査では、このような外部環境の大きな変化と共に育ってきた今年の新入社員が、仕事に対してどのような価値観をもっているのかを明らかにすべく、「新入社員の意識調査」を行いました。本調査結果が、組織づくりや新入社員育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方、OJT担当の方にとって有益な情報となれば幸いです。
調査結果の概要
- ● 入社式後の新人の気持ち、「不安」に感じる割合が他業種より1.6ポイント高く最多の結果に。不安に感じることは、約7割が「仕事の難易度」と回答
- ● 仕事で成し遂げたいこと、昨年1位の「自分を成長させたい」を上回り、「安定した生活を送りたい」がトップに
- ● 今の会社で働き続けたいと思える状況は、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」状況
- ● 約7割の新人が「楽しくてやりがいのある仕事」をしていきたいと回答。「チーム一丸となって取り組む仕事」を望む声も昨年から増加し、他業種より高い結果に
- ● 自身の成長に必要なこと、6割以上が「成功体験」と回答。他業種よりも「上司・先輩からの事後フィードバック」や「振り返り習慣」を重視する結果に
- ● 社会人としてスキルアップするために取り組みたいこと、7割以上が「仕事を通じたスキルアップ」と回答

1. 入社式後の新人の気持ち、「不安」に感じる割合が他業種より1.6ポイント高く最多の結果に。不安に感じることは、約7割が「仕事の難易度」と回答
2023年4月、入社式を終えたばかりの新入社員5,623人に、現在の気持ちを単一選択で質問しました。結果、情報通信業の新入社員は「不安」と回答した割合が35.4%と最多となり、情報通信業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)よりも、1.6ポイント高い結果となりました。次に「緊張」が20.4%、「期待」が15.1%と続き、こちらの項目は他業種より低い結果となりました。情報通信業の新入社員は、他業種よりも特に不安な気持ちが高いことがわかります。(図1)

では、情報通信業の新入社員は具体的にどのようなことに不安を感じているのでしょうか。現時点で不安に感じることを質問してみたところ、「仕事についていけるか(仕事の難易度)」に不安を感じている割合が69.1%いることがわかりました。また、その割合は他業種よりも5.8ポイント高い結果となりました。(図2)

2. 仕事で成し遂げたいこと、昨年1位の「自分を成長させたい」を上回り、「安定した生活を送りたい」がトップに
次に、仕事を通じてどのようなことを成し遂げたいと考えているか、2019年から5年間の情報通信業と他業種の回答結果を比較してみました。
2023年の新入社員が仕事で成し遂げたいことは「安定した生活を送りたい」が68.4%と最も高い割合となりました。この「安定した生活を送りたい」という回答の割合は過去4年連続増加し続けており、2023年の調査では他の回答をおさえ、はじめて1位となりました。他業種と比較しても5.3ポイント高く、情報通信業の新入社員は安定志向が高まっていることがわかります。
次に高い割合となった項目は「自分を成長させたい(62.6%)」でした。この項目は2020年から始まったコロナ禍を機に増加し、その後高止まりを続けていましたが、2023年は減少する結果となりました。(図3)

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