管理職意識調査(管理職のやりがい編)
管理職になって良かったこと、「意思決定」「裁量」「収入」が上位
“やりがい”伝播する仕組み創りで管理職の前向きなキャリア開発に
2025年9月22日
累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り®」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所®は、5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本レポートでは、「管理職になって良かったこと」にフォーカスし、管理職の属性ごとに回答を比較分析した結果を公表します。
〈背景〉
市場の変化が加速し、競争が激化する一方で、経済と賃金の長期的な停滞が続く近年は、まさに「不確実性の時代」と言えます。そんな中で、部署や部門、チームの成果を創出し続けることが求められる管理職に対して、報酬と負担が見合わないと感じる人は少なくないかもしれません。
確かに、部下のライフワークバランスや多様性、コンプライアンスなどを踏まえながら、部門の成果を創出し続けることは決して簡単ではありません。様々な企業が、管理職や管理職候補をどのように育成し、活躍に導くのか、頭を悩ませています。
そこで、当社ではこれまで焦点が当てられにくかった管理職の「やりがい」について調査しました。どんな管理職が、どんなことについて「管理職になって良かった」と感じているのか調べ、明らかにしました。本レポートが経営者や人事担当者、管理職の皆さまにとって有益な情報となりましたら、幸いです。
調査結果の概要
- 管理職になって良かったこと、1位は「意思決定に関与できるようになった」で半数以上(図1)
- 【男女別】管理職になって良かったことのトップ、男性は「意思決定に関与」、女性は「収入の増加」(図2)
- 【ステージ別】管理職になって良かったこと、全ステージ通じて「意思決定に関与」が上位に(図3)
- 【業務内容別】なって良かったことの回答割合、「プレーヤー業務寄り」に比べて、「マネジメント業務寄り」が高い傾向(図4)

管理職になって良かったこと、1位は「意思決定に関与できるようになった」で半数以上
課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)に対し、管理職になって良かったと感じることについて質問したところ、最も割合が高かったのは「意思決定に関与できるようになった」(51.5%)でした。次いで「仕事の裁量が増えた」(48.2%)、「収入が増えた」(46.8%)が続き、報酬面のメリットよりも、仕事の役割や幅が広がったことに対して喜びを感じる管理職が多い結果となりました。「部下の成長や成功を喜べるようになった」が42.0%、「経営視点が養われた」が41.2%と、管理職ならではの視野の広がりや視座の高まりにやりがいを感じている人も一定数いました。
また、「良かったと感じることはない」と回答した人は5.0%で、95.0%が「なって良かった」と感じていることがわかりました。(図1)

【男女別】管理職になって良かったことのトップ、男性は「意思決定に関与」、女性は「収入の増加」
管理職になって良かったことを男女で比較したところ、回答傾向に差があることがわかりました。
男性の上位回答は、回答割合が高い順に、「意思決定に関与できるようになった」(53.2%)、「仕事の裁量が増えた」(49.5%)、「収入が増えた」(45.1%)でした。
女性は、「収入が増えた」(55.9%)、「意思決定に関与できるようになった」(44.1%)、「仕事の裁量が増えた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」(ともに42.4%)でした。
男女で最も差が大きくなった項目は「新しい挑戦の機会を得られた」で、女性39.0%、男性26.3%で、女性が12.7ポイント高くなりました。また、「収入が増えた」も女性が10.8ポイント高くなりました。
男性の回答割合の高さが目立った項目は、「チームを先導できるようになった」で、女性の23.7%に対し男性は10.0ポイント高い33.7%でした。また、「意思決定に関与できるようになった」は9.1ポイント、「仕事の裁量が増えた」は7.1ポイント、男性の回答割合がそれぞれ高くなりました。(図2)

【ステージ別】管理職になって良かったこと、全ステージ通じて「意思決定に関与」が上位
続いて、管理職になって良かったことについて、経験年数や役職などのステージごとに違いがあるのか調べました。調査対象の管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、回答結果を比較しました。
| 新任管理職 | 1~3年目の課長クラス |
|---|---|
| ベテラン管理職 | 4年目以上の課長クラス |
| 幹部候補 | 部長クラス |
結果、新任管理職では「収入が増えた」(50.7%)が最も高く、半数以上が回答しました。2位は「意思決定に関与できるようになった」で44.9%、3位は「仕事の裁量が増えた」で42.6%でした。
ベテラン管理職は、「意思決定に関与できるようになった」が最高の52.0%。「仕事の裁量が増えた」が45.5%、「収入が増えた」が44.7%と続きました。
幹部候補は、「意思決定に関与できるようになった」が最も高く、60.2%。続いて、「仕事の裁量が増えた」が59.2%、「経営視点が養われた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」がともに56.1%でした。
全ステージで「意思決定に関与できるようになった」が上位となり、幹部候補は6割を超えました。幹部候補は「経営視点が養われた」「仕事の裁量が増えた」「部下の成長や成功を喜べるようになった」の項目でも、新任・ベテランより10ポイント以上高い結果となりました。(図3)

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