若手社員の意識調査(社会人1年目)2023年度 入社前後のギャップの実態
上司とのコミュニケーションに苦戦する新人は離職意向が高まる傾向に。
上司はスキルアップサポートで安心感の醸成を!
2023年11月29日
背景
2023年度の新入社員が入社し、半年以上が過ぎました。今や現場で戦力となりつつある新入社員ですが、この半年間は生活環境の大きな変化や慣れない仕事と新たな人間関係に、入社前にイメージしていた理想と現実のギャップを感じながら業務に励んできたことでしょう。昨年当社が実施した若手社員の意識調査の結果*1では、社会人1年目の7割が入社前後で「生活リズムや社会人としての考え方」にギャップを感じると回答。そのギャップを難しいと捉えた新人は『辞めたい・不安』の感情につながりやすい結果が明らかとなりました。転職市場が活発化する中、若手社員の早期離職は採用・教育コストが水泡に帰するだけでなく、既存社員の業務負担の増加や企業のイメージダウンにもつながるため、経営課題のひとつとして問題視されています。そこで当社では、社会人1年目の直面するリアリティショックを探るべく、今年も入社前後のギャップに関する調査を行いました。本調査結果が、新入社員の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、有益な情報になれば幸いです。
*1 2022年度 若手社員の意識調査(社会人1年目)https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_73_220819.html
調査結果の概要
- ● 「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大
- ● 昨年と比較した入社前後のギャップ、最大差となった項目は「仕事の難易度」で、10.6ポイント増加
- ● ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大
- ● 上司との関係をポジティブに捉えた新人は、「安心」「嬉しい」「成長の機会」と感じる傾向に
- ● ネガティブなギャップ、「生活リズムや社会人としての考え方」が想定以上に難しいと回答する割合が最大
- ● 上司との関係をネガティブに捉えた新人は、「会社を辞めたい」と感じる傾向に

1. 「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大
社会人1年目の新入社員(以下『新人』と記載)に対し、生活リズムや社会人としてのマナー、仕事の量や難易度、上司との関わりなど、9つの項目について、入社前後にギャップを感じたか質問しました。結果、昨年と同様に全ての項目で約6割の新人が何らかのギャップを感じていることが明らかとなりました。特に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」は約7割もの新人がギャップを感じており、昨年同様最大の割合となりました。
次に「仕事の難易度(65.6%)」、「上司への悩み相談(65.3%)」が続きました。(図1)

2. 昨年と比較した入社前後のギャップ、最大差となった項目は「仕事の難易度」で、10.6ポイント増加
2022年度と2023年度の新人で、入社前後のギャップに違いがあるか比較してみました。2022年度と2023年度で、入社前後のギャップの差が最大となった項目は「仕事の難易度」で10.6ポイント増加する結果となりました。内訳は、ポジティブもネガティブ回答もどちらも約5ポイントずつ増加しました。
次に差が出た項目では「仕事の量」で、8.3ポイント増加。内訳は、ポジティブ回答は差がなく、ネガティブ回答が増える結果となりました。(図2)

3. ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大
多くの新人が入社前の想定に対してギャップを感じていることがわかりました。ここからは、そのギャップをポジティブに感じているのか、ネガティブに感じているのか、詳細を見ていきます。
まずは、ポジティブに感じる回答*2を抽出したところ、「上司とのコミュニケーション」が最も高く、30.3%の新人が『想定よりもとてもフランクで話しやすい・フランクで話しやすい』と回答しました。次に、26.7%が「上司からの仕事のアドバイス」を『とても細やか・やや細やか』と回答。「上司からのスキルアップのサポート」について『想定よりとてもサポートしてもらえる・サポートしてもらえる』が24.6%と続きました。上位3項目が上司との関わりによる項目となったことから、想定以上に上司とよい関係を築けていることをポジティブに捉えた新人が多いことがわかります。(図3)

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