人事部の意識調査(人と組織の課題編)
人事部が取り組みたいテーマ1位「人材育成・組織開発」
離職予防・定着のカギは採用・育成・評価の連動性
2025年5月12日
累計20,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り®」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所®は、2024年10月~2025年2月の期間で、企業の人事責任者・担当者302人を対象に意識調査を行いました。本レポートでは、人と組織の課題について調査・分析した結果を公表いたします。
〈背景〉
東京商工リサーチの調査*によると、2024年の全国の企業倒産件数は3年連続で前年を上回り、11年ぶりに10,000件を超える結果となりました。アフターコロナ以降、急速に進んだAIなどの技術革新や歯止めのかからない物価高、トランプ関税の今後の影響など、様々な変化に対処するため企業がやるべきことは多岐にわたりますが、競争力を維持・向上するためには優秀な人材の確保と知識・スキルの最大化が必要不可欠です。本調査では、企業の持続可能な成長を目指し、組織の成長と従業員の幸福を支える人事部が、現在どのような課題を抱えており、何に取り組もうとしているか、意識調査を実施しました。本調査結果が、人材育成・組織創りに悩む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、今後の取り組みに活かせる有益な情報となれば幸いです。
*東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1200857_1610.html調査結果の概要
- 人事部として取り組みたいテーマ1位「人材育成・組織開発」、従業員数1001人以上の大企業は9割が回答
- 人材育成・組織開発を推進する上での課題、「現場社員の時間不足」「推進メンバーの時間不足」等、リソース不足への課題が上位を占める
- 人事部の関心テーマ、300人以下企業では「採用」、301人以上企業は「教育研修体系の構築・運用」がトップの結果に
- 離職防止・定着のために取り組みたいこと、中小企業は「育成制度の構築・見直し」、大企業は「上司・管理職への教育」と回答する傾向に
- 【考察】企業規模別に人事が取り組むべきこと
人事部として取り組みたいテーマ1位「人材育成・組織開発」、従業員数1001人以上の大企業は9割が回答
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者302人に、人事部として抱えている課題や、今後取り組みたいことなどの実態調査を行いました。その結果を、従業員数が1~100人の企業(以下、『100人以下企業』と記載)、101~300人企業(以下、『101~300人企業』と記載)、301~1000人企業(以下、『301~1000人企業』と記載)、1001人以上の企業(以下、『1001人以上企業』と記載)に分けて分析した結果をご紹介します。
はじめに、人事部として取り組みたいテーマを質問しました。結果、「人材育成・組織開発」と回答した割合が、100人以下企業は87.9%、101~300人企業は86.7%、301~1000人企業は83.3%、1001人以上企業は92.3%と、どの従業員規模でもトップになりました。特に、1001人以上企業は9割以上が回答しました。
「評価制度」に関しては、100人以下企業、101~300人企業の半数以上が回答し、従業員規模の小さい企業において回答率が高まる傾向にありました。一方、「労務管理」や「経営との連動性の向上」については、従業員規模の大きい企業において、回答率が高くなる傾向にありました。(図1)

人材育成・組織開発を推進する上での課題、「現場社員の時間不足」「推進メンバーの時間不足」等、リソース不足への課題が上位を占める
8割以上の人事部が「人材育成・組織開発」を今後取り組みたいテーマと考えていることがわかりましたが、人材育成・組織開発を推進する上で具体的にどのような課題があるのでしょうか。
従業員規模別に、トップの回答をご紹介します。100人以下企業、101~300人企業、1001人以上企業は「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」の回答が最も多く、それぞれ55.2%、70.8%、66.7%が回答しました。301~1000人企業では「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」が最も多い回答となり、56.0%が回答しました。従業員規模に関わらず、人や時間のリソース不足に関する課題がトップを占める結果となりました。
従業員規模別による違いがありました。100人以下企業では「効果的な人材育成・組織開発の方法がわからない」「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」と、取り組み方や解決方法に関する項目が、そのほかの企業に比べて高くなりました。一方、101~300人企業、301~1000人企業、1001人以上企業では「部署によって育成への意識や取り組みに差がある」と半数以上の人事が回答し、従業員規模が大きいからこそ直面する課題が表出しました。(図2)

続きはこちらからお読みいただけます
下記フォームに必須事項をご入力ください(30秒)
調査・研究 一覧
-
2025年6月20日 新入社員意識調査2025(3933人の勤続意向編)
「今の会社で働き続けたい」6割以上が回答、12年間で最大に
新人が直面する「組織適応の壁」には、上司からの4つのアプローチが定着のカギ -
2025年6月17日 新入社員意識調査2025(3933人のキャリア志向編)
新人のキャリア志向「なし」「今後決めたい」が増加傾向
キャリアを考え続ける機会の提供がカギ――1年目だからこそ幅広い業務経験と内省支援を -
2025年6月12日 新入社員意識調査2025(3933人が考える成長に必要なもの編)
成長に必要なこと「成功体験」、過去5年間で最高割合
アサインの際は業務の目的・意義の丁寧な共有を -
2025年6月10日 新入社員意識調査2025(3933人の仕事の価値観編)
仕事で成し遂げたいこと「自分の成長」が過去最低
新人の成長意欲を喚起する鍵は「自ら解決策を思考・実行する機会」の提供にあり -
2025年5月15日 人事部の意識調査(OJT編)
OJTの課題1位「担当者のやり方にバラつき」
意図的・計画的・継続的なカリキュラム構築で組織全体で若手育成を