管理職意識調査(役割・悩み編)
ベテラン管理職でも、約6割が「プレーヤー業務が7割以上」と回答
支援が不足しがちなベテラン管理職こそ、マネジメントへの重心シフトをサポート
2025年9月30日 |NEW!
累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り®」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所®は、2025年5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本レポートでは、回答者のうち課長クラス以上の管理職の役割や悩みに焦点を当てた結果を公表します。
〈背景〉
近年、企業を取り巻く環境が急速に変化する中、管理職に求められる役割も多様化・高度化していると言われています。負担・責任と報酬・権限が見合わないと感じる人が増えており、管理職は必ずしも誰もが目指したい役職ではなくなってきているのかもしれません。しかし、管理職は現場と経営層をつなぎ、組織の中核を担う非常に重要な役職です。組織全体のパフォーマンスを高めるには、メンバーをけん引する管理職の存在が必要不可欠です。本レポートでは、管理職がどのような役割認識を持ち、どのような悩みを抱えているか実態をまとめました。本調査結果が、管理職の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場で奮闘する管理職の皆さまにとって有益な情報となれば幸いです。
調査結果の概要
- 管理職の最大の悩みは「部下の育成」、半数以上が回答。「悩みなし」の管理職はいない(図1)
- 新任管理職は「部下の育成」「マネジメント知識の不足」に悩み、ベテラン管理職は「コミュニケーション」、幹部候補は「方針・戦略の浸透」「方針・戦略の実行」に悩む割合が高い(図2)
- 管理職として認識している役割、新任・ベテランは「方針の伝達」、幹部候補は「事業計画・部門戦略の構築」が高い割合に(図3)
- 管理職の業務内容、新任は半数以上、ベテランは6割以上が「プレーヤー業務寄り」。幹部候補は半数以上が「マネジメント業務寄り」(図4)
- プレーヤー業務寄りの管理職は「プレーヤー業務の移管」「プレーヤーとしての成果」に課題を感じる割合が高く、マネジメント業務寄りの管理職は「部門業務の進捗」の割合が高い(図5)
- マネジメント業務寄りの管理職は、自身の役割と認識している領域が広く、特に「方針を正しく伝達すること」に対して役割意識が高い(図6)
- 考察「管理職がプレーヤー業務から脱却できない理由とは」
管理職の最大の悩みは「部下の育成」、半数以上が回答。「悩みなし」の管理職はいない
まず初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)は、管理職としてどのような悩みを抱えているか質問しました。結果、「特になし」と回答した管理職はおらず、全ての管理職が何かしらの悩みを抱えていることがわかりました。
最大の悩みは「部下の育成」で、51.0%と半数以上が回答。次に「部門の成果」が34.7%、「方針・戦略の浸透」が32.5%と続きました。(図1)

次に、管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか見ていきます。
新任管理職 | 1~3年目の課長クラス |
---|---|
ベテラン管理職 | 4年目以上の課長クラス |
幹部候補 | 部長クラス |
新任管理職は「部下の育成」「マネジメント知識の不足」に悩み、ベテラン管理職は「コミュニケーション」、幹部候補は「方針・戦略の浸透」「方針・戦略の実行」に悩む割合が高い
図1の質問を、前述の3つのステージに分けて比較すると、それぞれ半数以上が「部下の育成」と回答し、ステージに関係なく最大の悩みであることがわかりました。次に、ステージごとに上位の回答を見ていきます。
まず、新任管理職では、「部下の育成」(52.2%)の次に、「自分のマネジメント知識の不足」(42.6%)、「部門の成果」(36.0%)と続きました。「自分のマネジメント知識の不足」は、他ステージより17ポイント以上高い割合になりました。
ベテラン管理職では「部下の育成」(50.4%)の次に、「部下とのコミュニケーション」(35.8%)、「部門の成果」(33.3%)が続きました。「部下とのコミュニケーション」「上司や経営層とのコミュニケーション」は他ステージよりも高くなりました。
幹部候補では「部下の育成」(50.0%)の次に、「方針・戦略の浸透」(44.9%)、「部門の成果」(34.7%)と続きました。「方針・戦略の浸透」は、他ステージより17ポイント以上高い割合になりました。
ステージが低いほど、部下育成や知識不足に悩みを抱えており、ベテラン管理職になると上司・経営層・部下等、周囲とのコミュニケーションに悩み、幹部候補になると方針や戦略の浸透・実行に対して悩む傾向が大幅に高まることがわかりました。(図2)

管理職として認識している役割、新任・ベテランは「方針の伝達」、幹部候補は「事業計画・部門戦略の構築」が高い割合に
管理職が抱える悩みの実態が明らかになりました。では、管理職本人は自身について、どのような役割を発揮すべきと考えているのでしょうか。管理職として認識している自身の役割について、結果をステージ別に比較しました。
新任管理職は「会社や部門方針を、部下に正しく伝達すること」(65.4%)が最大となり、次に「部下の目標を設定し、共有すること」(64.7%)、「部下の業務状況を把握すること」(60.3%)と続きました。「部下の目標を設定し、共有すること」は、他ステージより13ポイント以上高い割合となりました。
ベテラン管理職は「会社や部門方針を、部下に正しく伝達すること」(67.5%)が最大となり、「会社の方針を正しく理解すること」(56.1%)、「部下の業務状況を把握すること」(55.3%)と続きました。
幹部候補は、「会社の事業計画に対し、部門の戦略を構築すること」(74.5%)が最大となり、他ステージより22ポイント以上高い割合になりました。次に、「会社や部門方針を、部下に正しく伝達すること」(69.4%)、「構築した部門の戦略を、計画に落とし込むこと」(65.3%)が続きました。
これより、新任管理職・ベテラン管理職は、会社や部門方針を伝達することを役割として認識している人が多いことがわかりました。その割合は、ステージが上がるほど高まることもわかりました。一方、幹部候補になると、会社や部門方針を伝達すること以上に、事業計画や部門戦略を構築することに対して、役割認識を持つ割合が高いことも明らかとなりました。(図3)
※全体の結果は、「参考資料①」をご参照ください。

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