第三回 人材育成イノベーションフォーラム アンケート結果報告
2018年7月10日
徐々に進み始めた中堅中小企業の女性活躍推進

「女性の働くを科学する」をテーマに開催された第二回フォーラム (2017年開催)の続編として、女性活躍推進の“実践”にフォーカスした第三回フォーラム。冒頭、当社代表の眞﨑が「(女性活躍推進に)手応えを感じている方はいますか?」と参加者に問いかけたところ、手を挙げた方はまばら...という場面がありました。
では実際に、中堅中小企業の女性活躍推進は、どの程度進んでいるのでしょうか? アンケートの結果をもとに、女性活躍推進の進捗状況を3つのフェーズで表したのが図1です。前回と今回の回答を比較すると、「推進段階(フェーズ3)」と回答した企業は100社に1社程度とごくわずかで、かつほとんど変動していない(前回比-0.3%)ことがわかりました。しかし、「実施初期段階(フェーズ2)」と回答した企業は大幅に増加(前年比+10.9%)し、「実施・検討前段階(フェーズ1)」と回答した企業は大幅に減少(前年差-10.4%)しています。この結果から、女性活躍推進で成果を出している企業はまだまだ少ないものの、1年弱の間に、中堅中小企業の取り組みが一段階上へと進んだことが見て取れます。

質問(「女性活躍推進」に関する貴社での取り組みの【現状】についてお伺いします。貴社での取り組みの状況はいかがでしょうか。)に対する回答の比率。
選択肢は上記グラフの項目を参照。
※ 補足(フェーズの定義)
【推進段階(フェーズ3)】:質問に対して「(自社では)十分に取り組んでおり、望ましい効果がでている」と回答
【実施初期段階(フェーズ2)】:質問に対して「(自社では)取り組んでいるが、さらなる改善や追加施策が必要である」と回答
【実施・検討前段階(フェーズ1)】:質問に対して、「(自社では)取り組みについて社内で検討している」または「取り組みについてまだ社内で検討していない」と回答
女性活躍推進施策、制度の拡充が先行
上述したとおり、女性活躍推進に対して何かしらの取り組みを実践している企業は確実に増えています。では、具体的にどのような施策が行われているのでしょうか? 今回のアンケートでは、「人事制度の拡充(72.8%)」「長時間労働削減の取り組み(46.9%)」が上位にランクインし、制度・ルール面での取り組みが先行していることがわかりました(図2)。今後は、「管理職登用方法の拡充(8.6%)」「女性が働きやすい労働環境の整備(14.4%)」「業務推進での工夫(18.9%)」などにも力を入れ、女性活躍推進を現場に浸透させていく必要があるといえます。

質問(図1の質問に「取り組んでいる」と回答した方にお伺いします。その取り組みはどのようなものですか?(複数回答可))に対する回答の比率。
選択肢は上記グラフの項目を参照。
残業時間は減少するも、情報収集や推進体制構築に課題
参加企業が抱えている課題も調査し、前回と今回でどのような変化があったのかを考察しました。注目していただきたいのが、「残業、長時間労働が常態化している」と回答した企業が38.8%から4.3%と、大幅に減少していることです。国を挙げて推進している「働き方改革」の効果や、長時間労働の削減に力を入れる企業が増えたためか、多くの企業で労働時間面の改善が進んでいることがわかります。
しかしながら、「助け合う職場づくりが不十分(47.8%、前回比-0.9%)」「昇進する女性に対するフォローが不十分(38.2%、前回差比-7.0%)」「『女性活躍推進』の成功ポイント等についての情報不足(37.7%、前回比-0.6%)」といった課題を抱えている企業は依然として多く、情報収集や推進体制の構築の面で苦労している実態が明らかになりました。

質問(「女性活躍推進」に関する貴社での取り組みの課題をお選びください(複数回答可))に回答した比率。
選択肢は上記グラフの項目を参照。
皆さまの会社では、女性活躍は進んでいますか?
中堅中小企業における女性活躍推進は、一歩一歩前進しているものの、多くの企業が課題を抱え、模索しながらチャレンジしているのが実情のようです。皆さまの会社の状況と比べていかがでしょうか? 今回のレポートを、自社の取り組みを振り返り、“実践”につなげるきっかけにしていただければ幸いです。当社はこれからも中堅中小企業の女性活躍推進をサポートしていきます。今後の活動にご期待ください。
【アンケート概要】
アンケート 対象者 |
当社開催の「第二回 人材育成イノベーションフォーラム (2017年)」 「第三回 人材育成イノベーションフォーラム (2018年)」の参加者 |
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アンケート 時期 |
第二回:2017年5月18日(東京会場)・2017年6月14日(大阪会場) 第三回:2018年2月15日(東京会場)・2018年3月19日(大阪会場) |
方法 | 自記式のアンケート調査 |
サンプル数 | 第二回:823名、第三回:894名 |
備考 | 中堅中小企業についてのレポートのため、従業員数301名以上の企業に属する回答者の回答は分析の対象外としています。各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは欠損データとして分析の対象外としています。 |
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