管理職意識調査(2023年 部下へのフィードバック手法編)
部下の成長を実感している管理職ほど「タイミング」「意図」「目的」に明確な違いがあることが明らかに
2023年10月16日
背景
近年の管理職はプレイヤーとマネジメントの二足の草鞋を履きながら、ビジネス環境や社会情勢の変化に臨機応変に対応をすることが求められ、役割は複雑化・高度化しているといわれています。中でも、人材の定着や、多様化する人材の育成といったマネジメントの取り組みは、難易度が増しており、多くの管理職の悩みとなっています。当社が2023年に実施した調査*1において、人事担当者が最も注力して取り組みたい育成対象として「既任管理職」が最上位になりました。これらの状況からも、いま多くの企業が管理職の強化を必要不可欠と考えていることがわかります。近年の管理職の実態について調査した今回の結果が、管理職の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには悩みを抱える管理職にとって、有益な情報となれば幸いです。
*1 人事部の実態調査(社員の育成編)https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_82_230126.html
調査結果の概要
- ● フィードバック後の部下の行動に対して、約4割の管理職が「行動につながらない」と悩んでいる
- ● 部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践している
- ● 部下の成長を感じていない管理職ほど「ネガティブフィードバックの場所」を気にする傾向あり
- ● 8割以上の管理職が「対面・口頭」でのフィードバックを実施。部下の成長を感じている管理職は、「対面・口頭」に加え、6割が「チャットやメール」も活用
- ● フィードバック時、部下から「意見を傾聴すること」「納得感を醸成すること」を意識している管理職ほど、部下の成長を実感
- ● 部下の成長を感じている管理職は、ポジティブフィードバックが多く、「フィードバックの意図」や「求める人材像」、「日頃の感謝」も伝えている

1. フィードバック後の部下の行動に対して、約4割の管理職が「行動につながらない」と悩んでいる
前回のレポート*2では、7割の管理職が「部下に成長してほしい」と願う気持ちでフィードバックしていることがわかりましたが、実際に部下は管理職の願い通りに成長しているのでしょうか。まずは、フィードバック後の部下の行動について、どのような悩みがあるか質問しました。
結果、43.6%の管理職が、部下に対して「自分の課題を認識してはいるが、すぐに行動につながらない」ことに悩みを抱えていることがわかりました。(図1)
*2 管理職意識調査 第1弾(部下へのフィードバックの実態編)https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_89_231005.html

2. 部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践している
次に、フィードバックの違いにより、管理職の感じる「部下の成長度合い」に差があるのかを明らかにするため、フィードバックの頻度・場所・手法・内容と、管理職が感じる「部下の成長度合い」の関係を調査しました。
まずは、「フィードバックの頻度」と「部下の成長度合い」の関係について見ていきます。結果、部下が「非常に成長している」と回答した管理職は、44.4%が「即時にフィードバックをしている」ことがわかりました。その割合は、「成長していない」と感じるにつれて低くなり、部下が「成長していない」と感じている管理職は14.3%で、「非常に成長している」と感じている管理職より30.1ポイント低い結果となりました。
また、部下の成長度合いについて「成長していない」「わからない」と回答した管理職は、フィードバックの頻度を「特に決めていない」と回答する割合がそれぞれ28.6%、34.5%の結果となり、「非常に成長している」「成長している」と回答した割合に比べて高くなりました。(図2)

3. 部下の成長を感じられない管理職ほど「ネガティブフィードバックの場所」を気にする傾向あり
次に、フィードバックの場所について見ていきます。フィードバックする場所を気にかけているか質問したところ、「常に最適な場所を選ぶようにしている」と回答した割合が全体的に高くなりました。
特徴的だった項目は、部下が成長していないと感じる管理職ほど、「ネガティブフィードバックの環境」を気にする傾向にある点です。部下が「成長していない」と感じている管理職は、「非常に成長している」と感じている管理職より、「ネガティブフィードバックの際は場所を選ぶようにしている」割合が15.1ポイント高くなりました。(図3)

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