管理職意識調査(2023年 目標達成につながる部下へのフィードバック編)
「目標達成している部門」と「目標達成していない部門」とでは管理職のフィードバックが異なる結果に!
2023年10月20日
背景
近年の管理職はプレイヤーとマネジメントの二足の草鞋を履きながら、ビジネス環境や社会情勢の変化に臨機応変に対応をすることが求められ、役割は複雑化・高度化しているといわれています。中でも、人材の定着や、多様化する人材の育成といったマネジメントの取り組みは、難易度が増しており、多くの管理職の悩みとなっています。当社が2023年に実施した調査*1において、人事担当者が最も注力して取り組みたい育成対象として「既任管理職」が最上位になりました。これらの状況からも、いま多くの企業が管理職の強化を必要不可欠と考えていることがわかります。近年の管理職の実態について調査した今回の結果が、管理職の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには悩みを抱える管理職にとって、有益な情報となれば幸いです。
*1人事部の実態調査(社員の育成編)https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_82_230126.html
調査結果の概要
- ● 目標達成したことがない管理職は達成している管理職よりも「部下育成」に悩みを抱え、その割合6割超
- ● フィードバックの「頻度」について、目標達成している管理職は「即時」に行うが最も高く、達成したことがない管理職は「特に頻度は決めていない」が最も高い結果に
- ● フィードバックの「内容」について、目標達成している管理職は「ポジティブフィードバックが多く、ネガティブが少ない」。一方、達成したことがない管理職は、ポジティブとネガティブの割合は「特に決めていない」と回答する割合が最多
- ● 目標達成していない管理職ほどフィードバックを「躊躇」する傾向に。その理由、「適切な伝え方がわからなかったから」「もう少し様子を見てからでも良いかと思った」が最多に
- ● 評価者として感じる課題について、目標達成している管理職は「評価の時間をとれていない」と回答。一方、目標達成したことがない管理職は「部下に嫌われたくない」と回答

1. 目標達成したことがない管理職は達成している管理職よりも「部下育成」に悩みを抱え、その割合6割超
所属している部門やチームが目標達成するためには、管理職はメンバーの業務をサポートしつつ、行動や結果に対して適切なフィードバックをしていくことが求められます。本調査では、部門目標・部門計画が毎年達成しているかどうか(以下、「目標達成度合い」と記載)と、管理職の「フィードバック方法」にどのような相関があるか分析しました。
まずは、管理職の「悩み」を見ていきます。最も多い悩みは「部下の育成」であることがわかりました。次に「目標達成度合い」で比較すると、部門目標や部門計画を達成したことがない管理職(以下、「目標達成したことがない管理職」と記載)は、毎年部門目標や部門計画を達成している管理職(以下、「毎年目標達成している管理職」)に比べ「部下の育成」に悩んでいると答えた割合は15.5ポイント高い結果となりました。「目標達成したことがない管理職」の方が部下の育成に悩みを抱えていることがわかります。(図1)

2. フィードバックの「頻度」について、目標達成している管理職は「即時」に行うが最も高く、達成したことがない管理職は「特に頻度は決めていない」が最も高い結果に
次に、フィードバックの頻度について見ていきます。「毎年目標達成している管理職」は「即時フィードバック」をしている割合が25.9%と最も高く、「目標達成したことがない管理職(12.8%)」に比べ、13.1ポイント高い結果となりました。一方、「目標達成したことがない管理職」は、フィードバックの頻度を「特に決めていない」と回答する割合が25.6%と最大の割合となりました。(図2)

3. フィードバックの「内容」について、目標達成している管理職は「ポジティブフィードバックが多く、ネガティブが少ない」。一方、達成したことがない管理職は、ポジティブとネガティブの割合は「特に決めていない」と回答する割合が最多
次に、フィードバックの内容について見ていきます。「毎年目標達成している管理職」は、「ポジティブが多く、ネガティブが少ない」と回答した割合が42.9%と最も高くなりました。この項目は、目標達成するほど高い結果となりました。一方、「目標達成したことがない管理職」は、「特に決めていない」と回答する割合が28.2%と最も高くなりました。(図3)

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