若手社員の意識調査(社会人1年目)2023年度 学生時代の経験の影響力
学生時代に高い目標に向けて努力した経験の有無が、入社後の「仕事の向き合い方」に影響あり。「ストレッチ経験づくり」が重要に!
2023年12月4日
背景
近年、人材確保や人材の定着が難しいと、多くの企業からお悩みを聞くようになりました。特に、少子高齢化による労働人口の減少や、転職市場の活性化は、優秀な人材の確保競争の激化を促進しています。若手社員の早期離職は採用・教育コストが水泡に帰するだけでなく、既存社員の業務負担の増加や企業のイメージダウンにもつながるため、経営課題のひとつとして問題視されています。当社で実施した若手社員の調査結果*1によると、社会人1年目が入社前後に感じる想定外な出来事の中で、ポジティブに捉えた項目は「安心」「嬉しい」「成長意欲」につながりやすく、ネガティブに捉えた項目は「離職意向」につながりやすいという結果が明らかとなりました。経験値の少ない社会人1年目で捉え方に大きく違いがでたことより、過去の経験と入社前後のギャップの捉え方に相関関係があるのではないかという仮説の元、調査を実施することとなりました。本調査結果が、新入社員の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、有益な情報になれば幸いです。
*1 2022年度 若手社員の意識調査(社会人1年目)https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_73_220819.html
調査結果の概要
- ● 46%の新人が、学生時代に「高い目標達成のために努力した経験(ストレッチ経験)がない」と回答
- ● 学生時代のストレッチ経験、「ある」新人の方が「ない」新人より入社前後のギャップをポジティブに捉える傾向に
- ● 「上司への悩み相談がしにくい」と回答した割合、学生時代のストレッチ経験がない新人は、ある新人の倍以上に
- ● ストレッチ経験の「ある」新人は、上司とのコミュニケーションがあることで『安心した』『成長機会となった』と回答する割合が高い
- ● ストレッチ経験の「ない」新人は、入社前後のギャップ全項目において『会社を辞めたくなった』が最多の結果に
- ● まとめ:ストレッチ経験が新人に与える影響と、企業の向き合い方とは

1. 46%の新人が、学生時代に「高い目標達成のために努力した経験(ストレッチ経験)がない」と回答
本調査では、今年の社会人1年目(以下『新人』と記載)における、学生時代に高い目標に向けて努力・挑戦した経験(以下、『ストレッチ経験』と記載)と、入社前後に感じるギャップとの相関関係を調査しました。
まずは、学生時代にストレッチ経験をしたことがあるか質問したところ、54.0%の新人が「経験したことがある」、46.0%の新人が「経験したことがない」と回答する結果となりました。(図1)

2. 学生時代のストレッチ経験、「ある」新人の方が「ない」新人より入社前後のギャップをポジティブに捉える傾向に
学生時代のストレッチ経験の有無が、新人が入社前後に直面する理想と現実のギャップに与える影響を調べるため、まずは入社前後のギャップをポジティブ*2に感じた新人の割合を、ストレッチ経験のあり・なしで比較しました。
*2 各ギャップ項目に対し、想定よりも簡単、仕事量が少ない、上司と話しやすい、アドバイスが細やか、相談しやすい、サポートがあるといった回答層をポジティブと設定
結果、ストレッチ経験のある新人は、全ての項目において2割以上、半数以上の項目においては3割以上がギャップをポジティブに捉えていることがわかりました。特に高い割合となった項目は「上司とのコミュニケーション」で、ストレッチ経験ありの新人のうち43.8%が「想定よりもとてもフランクで話しやすい・話しやすい」とポジティブに捉える結果となりました。次に、ストレッチ経験のない新人の場合、ギャップをポジティブに捉えている割合は1割前後の結果となりました。特に高い割合となった項目は「上司からの仕事のアドバイス」で、「想定よりもとても細やか・やや細やかにもらえた」と16.7%がポジティブに捉えていました。(図2)

続きはこちらからお読みいただけます
下記フォームに必須事項をご入力ください(30秒)
調査・研究 一覧
-
2025年7月11日 新入社員意識調査2025(業界別:情報通信業編)
情報通信業界の新人の特徴、専門家志向「高」、成長意欲「高」
専門スキルの発揮の土台となるバイタルスキル®の習得が活躍人材への近道 -
2025年7月9日 新入社員意識調査2025(業界別:卸売業・小売業編)
「管理職になりたい」割合、3年前より9.1ポイント低下
将来のリーダー人材を育てるためには組織が「長期的なスキル習得計画」を提示 -
2025年7月7日 新入社員意識調査2025(業界別:製造業編)
製造業の新人「キャリア志向なし」が過去最高
「キャリアを考えるきっかけ」「考え方のヒント」の継続的な提供で
キャリア自律支援を -
2025年6月20日 新入社員意識調査2025(3933人の勤続意向編)
「今の会社で働き続けたい」6割以上が回答、12年間で最大に
新人が直面する「組織適応の壁」には、上司からの4つのアプローチが定着のカギ -
2025年6月17日 新入社員意識調査2025(3933人のキャリア志向編)
新人のキャリア志向「なし」「今後決めたい」が増加傾向
キャリアを考え続ける機会の提供がカギ――1年目だからこそ幅広い業務経験と内省支援を