管理職意識調査(2024年 部下へのフィードバック編)
半数以上の管理職がフィードバックに躊躇!実態把握・見直しが組織力向上へ
2024年10月1日
2024年5月20日~7月17日の期間、当社の管理職向け研修の受講者415名を対象に管理職意識調査を行いました。今回は管理職の最大の課題である「部下育成」のうち、「部下へのフィードバック」に焦点を当てた結果を公表します。
〈背景〉部下は成長につながるフィードバックを求めている
当社が実施した新入社員意識調査*1によると、自身が成長するために「上司や先輩からの事後のフィードバック」が必要だと回答した新入社員が半数以上いる結果となりました。
フィードバックは部下の成長のため、業務上の問題点を指摘し改善案を共に考えることです。フィードバックにより、部下に自分では気がつかない強みや改善点を認識してもらうことで、成長の促進が期待できます。また、フィードバックは受け手だけでなく送り手の成長にもつながるため、組織全体のパフォーマンス向上においても効果的な手法の一つとされています。
しかし、フィードバックを効果的に行うためには、知識・スキル・行動、その全てにおいて高い総合力が求められるため、多くの管理職が課題を抱えているのではないでしょうか。本レポート内容がフィードバックに悩みを抱える管理職にとって、一助となれば幸いです。

調査結果の概要
フィードバックへのためらい
- ・新任管理職の約6割がフィードバックをためらう。ステージ*初期の管理職ほど割合高まる
- ・ためらう理由、新任・ベテランは「部下の反応」、幹部候補は「自分の正しさ」への不安が上位に
フィードバックの頻度
- ・新任は「週1」「特に決めていない」、ベテランは「即時」、幹部候補は「特に決めていない」と回答
フィードバックの伝達方法
- ・全体の8割以上、幹部候補の9割以上が「対面・口頭伝達」
フィードバック時に心がけている伝達内容
- ・7割以上の管理職が「事実や結果に基づく具体的な内容」を心がける
フィードバック後の部下の行動に対する悩み
- ・「課題を認識しているが、行動につながらない」がトップ
*ステージ:管理職を役職や経験値により「新任管理職」「ベテラン管理職」「幹部候補」の三つのステージに分類したもの
【フィードバックへのためらい】
半数以上の管理職がフィードバックをためらう
まず初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)に、部下へフィードバックする際、ためらったことがあるかを質問しました。
結果、53.2%が「はい」と回答し、半数以上の管理職が部下へフィードバックすることをためらうことが明らかとなりました。(図1)

次に、管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と三つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか見ていきます。
| 新任管理職 | 1~3年目の課長クラス |
|---|---|
| ベテラン管理職 | 4年目以上の課長クラス |
| 幹部候補 | 部長クラス |
新任管理職の約6割がフィードバックをためらう。ステージ初期の管理職ほど割合高まる
部下へフィードバックする際、ためらったことがあるかステージ別に比較しました。「はい」と回答した割合は、新任管理職は63.2%、ベテラン管理職は53.2%、幹部候補は39.3%となりました。ステージが低い管理職ほど、フィードバックをためらう傾向にあることが明らかとなりました。(図2)

ためらう理由、新任・ベテランは「部下の反応」、幹部候補は「自分の正しさ」への不安が上位に
次に、フィードバックをためらった理由をステージ別に比較しました。
結果、新任管理職は「部下の反応に対して不安があるから」と回答した割合が47.8%となりました。次に「自分が本当に正しいかに自信がなかったから」が40.3%、「適切な伝え方がわからなかったから」が38.8%と続きました。
ベテラン管理職は「部下の反応に対して不安があるから」が55.9%、「適切な伝え方がわからなかったから」が45.8%となり、どちらも他ステージよりも突出する結果となりました。
幹部候補は、「自分が本当に正しいかに自信がなかったから」が54.2%、「部下の反応に対して不安があるから」「もう少し様子を見てからでも良いかと思ったから」が同等の割合で41.7%となりました。(図3)

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