早期にリーダーに抜擢される人は、部下や後輩からも成長のヒントを得ている!―2,648人に聞いた、直近3か月で部下や後輩から学んだこと―
2017年1月10日
- レポートのサマリ
-
- 1. 約7割の回答者は部下や後輩から学びを得ている
- 2. 早期に管理職に就いている人ほど部下や後輩から学んでいる比率が高い
- 3. 早期に管理職に就いている人は、管理職に必要とされるスキルを幅広く部下や後輩から学んでおり、特に物事の考え方について学んでいる比率が高い
1. 約7割の回答者は部下や後輩から学びを得ている
回答を集計した結果、「物事の考え方・捉え方」(26.7%)、「仕事と向き合う姿勢」(23.8%)、「ビジネスに関する知識」(20.1%)など、内容はそれぞれですが、合計すると約7割の方は何らか"部下や後輩から学び"を得ていることが分かりました(fig.1)。
2. 早期に管理職に就いている人ほど部下や後輩から学んでいる比率が高い
回答者のうち、管理職の中で比較的若い層(社会人歴11~15年の管理職)の94%が学んでおり、他の年代・役職の層と比べて最も高いという結果が得られました(fig.2)。
3. 早期に管理職に就いている人は、管理職に必要とされるスキルを幅広く部下や後輩から学んでおり、特に物事の考え方について学んでいる比率が高い
社会人歴11~15年の管理職と一般、係長・主任で学んだ内容を比較すると、以下のことが分かりました(fig.3)。
- ・管理職の方が、「物事の考え方・捉え方」「コミュニケーションのとり方」「業界職種特有の専門スキル」を学んだ割合は一般、係長・主任よりも5ポイント以上高い
- ・一般、係長・主任の方が「仕事のやり方・進め方」を学んだ割合は管理職よりも5ポイント以上高い
- ・「仕事と向き合う姿勢」、「一般的なテクニカルスキル」、「ビジネスに関する知識」を学んだ割合の差は一般、係長・主任と管理職では3ポイント程度である
このことから、早期に管理職に就いている人は「物事の考え方・捉え方」「コミュニケーションのとり方」「業界職種特有の専門スキル」を学んでいる比率が高いことが分かります。
この結果を、ロバート・カッツのスキルモデルと照らし合わせて考察すると、管理職には大きくテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つが求められ、また上位職になるにつれコンセプチュアルスキルが必要になるとされています(fig.4)。
松尾睦(2013),『成長する管理職: 優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』, p71-72より作成
各スキルを今回の調査で扱った項目にあてはめると以下のようになります。
- ・コンセプチュアルスキル ... 「物事の考え方・捉え方」「仕事と向き合う姿勢」
- ・ヒューマンスキル ... 「コミュニケーションのとり方」
- ・テクニカルスキル ... 「仕事のやり方・進め方」「一般的なテクニカルスキル」「業界職種特有の専門スキル」、「ビジネスに関する知識」
カッツのスキルモデルを踏まえ、調査結果を整理すると以下のようになります。
- ・早期に管理職に就いている人は、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルを幅広く部下や後輩から学んでいる。特に、上位職に求められるコンセプチュアルスキルを学んでいる比率が高い
- ・一般、係長・主任は部下や後輩から学んでいる比率が低く、学ぶ内容もテクニカルスキル中心になっている
【アンケート実施概要】
| アンケート名 | 人材育成クイックリサーチ |
|---|---|
| 対象 | Biz CAMPUS Basicの研修受講者 (東京会場で開催の研修) |
| 時期 | 2016年10月31日 ~ 11月1日 |
| 回答数 | 2,648名 |
- 参考文献
- 松尾睦(2013),『成長する管理職: 優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』, 東洋経済新報社
調査・研究 一覧
-
2025年12月2日 ファーストキャリア調査(主体性と職場文化編)
安心して発言できる若手の約8割が「組織への貢献、自ら考え実行」
組織全体のコミュニケーションスキル育成で発言を歓迎し、失敗を許容する文化醸成を -
2025年11月28日 ファーストキャリア調査(成長実感・キャリア志向編)
キャリア形成支援「感じられない」若手社員は勤続意向が低下
「この会社で得られる成長・キャリア」の明確な伝達が若手定着のカギ -
2025年11月26日 ファーストキャリア調査(勤続意向編)
若手社員の勤続意向は年数上がると低下傾向
ビジョン浸透と業務の目的・意義伝達が定着・離職防止のヒント -
2025年11月26日 ファーストキャリア調査(従業員エンゲージメント編)
企業への誇り「感じる」若手ほど主体性を発揮
「貢献意識の醸成」と「期待の伝達」が若手の誇りを育むカギ -
2025年9月30日 管理職意識調査(役割・悩み編)
ベテラン管理職でも、約6割が「プレーヤー業務が7割以上」と回答
支援が不足しがちなベテラン管理職こそ、マネジメントへの重心シフトをサポート



