新人・若手社員の成長が二極化!?
意識調査をもとに、新人・若手社員の育成ポイントを分析しました
2020年2月14日
趣味や家族などプライベート時間を大事にしたい新人・若手社員が増加
当社が毎年実施している新入社員を対象としたキャリアに対する意識調査では、取り組みたい仕事や仕事を通じて成し遂げたいことといった「仕事への意欲」、将来会社で担いたい役割といった「キャリアの方向性」のほか、労働時間に対する考え方や時間の使い方など、「時間」に着目した調査も行っています。
図1は、「20代の時間の使い方」に対する考えについての回答結果を年度別に示したものです。このグラフを見ると、2016年度までは「仕事とプライベート*1 と自己投資*2 をバランス良く」使いたい新入社員が最も多く、トップを維持していたことがわかります。しかし2017年度になると、自己投資の抜けた「仕事とプライベート優先」が上回ります。2019年度の調査でも4分の1以上の新入社員が「仕事とプライベート優先」の意向を示していることから、時間の使い方に対する意識がプライベート寄りへと変化していることが読み取れます。
また、「プライベート優先」に注目すると、2014年度の4.5%から、2018年度には10%を突破。2019年度には11.9%まで上昇し、「プライベート優先」が着実に増加している実態も明らかになりました。
*1 プライベート:自分の趣味・友人・恋人・家族と費やす時間 *2 自己投資:仕事に役立つスキル向上に費やす時間
(図1)

「キャリア志向なし、楽しく働きたい」「今後決めていきたい」が増加傾向
次に、「キャリアの方向性」の面から分析していきます。今どきの新人・若手社員が将来、どのような役割を担いたいと考えているのか、その結果をグラフで示したのが図2です。
(図2)

最も多いのが「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」で、毎年30%以上の新入社員がその意向を示しています。一方で注目したいのが、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が年々増加していることです。特に2017年度以降はその割合が40%を超え、「将来のキャリアを定めていない」新人・若手社員が増えていることも判明しました。
プライベート時間の使い方次第で成長格差が広がる⁉
今回のレポートでは、プライベート時間を大事にしたい、そして、今後のキャリアを定めていない新人・若手社員が増えている実態をご紹介しました。一方、もう一度図1、図2を見返していただくと、明確なキャリアビジョンを持ち、自己研鑽に積極的な新人・若手社員が一定数いることもわかります。
この状況から今後起こりうることを考察すると、"放っておいても自ら学習する社員"と、"放っておくと成長につながる時間の使い方をしない社員"の二極化が進む、つまり、社員間の"成長格差"が広がってしまう可能性があるといえるのではないでしょうか。
社会の動きに目を向けると、就業時間外に得られたスキルや経験を社員の成長につなげることなどを目的に、副業や兼業を解禁する動きが広がっています。また、長時間労働の是正が叫ばれ、労働時間が短縮傾向にある中、より速いスピードでの成長を実現するには、新人・若手社員の「自発学習」に頼らざるを得ない部分があるのも事実です。
プライベート時間を有効活用し、自発学習や自己研鑽に取り組んでほしいというのが会社・上司側の本音かと思いますが、就業時間外はあくまでも個人の時間。お薦め本を紹介する、成長してほしい点や期待を伝えるなど、強制ではなく、新人・若手社員が自ら学習する意欲が湧くようなコミュニケーションを日頃から取る必要がありそうです。
【調査概要】2019年度新入社員のキャリアに対する意識調査
調査対象者 | 当社が提供する新入社員研修の受講者(研修は東京・横浜・名古屋・大阪で開催) |
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調査時期 | 2019年4月2日~2019年4月30日 |
調査方法 | 自記式のアンケート調査 |
サンプル数* | 6,009名 |
* 各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
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