内定者の7割超が「自分の能力」に不安
2022年度入社の内定者743人の意識調査を実施しました
2022年3月4日
入社前の心情:昨年に引き続き「不安、心配」がトップ
今回の調査は、2021年10月19日~11月30日にかけて、2022年度入社予定の内定者743人を対象に実施しました。
まず、これから社会人になるにあたって「どのような気持ちが強いか」を尋ねたところ、トップは昨年の調査と同様「不安、心配な気持ち」で75.4%が選択(図1)。2位以降は、「嬉しさ、楽しみな気持ち(57.0%)」「期待感(41.7%)」となりましたが、昨年と同じように「不安・心配」と回答した内定者が群を抜いて多い結果となりました。

「能力・成果」への不安と「人間関係」への不安がより顕著に?
次に、この「不安」の中身を確認していきます。入社に向けて何に不安を感じているかを尋ねたところ、多くの内定者が「自分の能力で仕事についていけるか(71.5%)」「しっかりと成果を出せるか(61.7%)」と回答(図2)。また、「職場のメンバーとうまくやっていけるか(52.8%)」も半数以上の内定者が選択しました。いずれの項目も昨年と比べて割合が高まっていますが、仕事での能力・成果と人間関係の双方に不安を抱えていることに変わりはないようです。

知識・スキルの習得機会を求める内定者が増加
ここまで、多くの内定者が自身の能力や人間関係に不安を抱えている実態を見てきました。その解消には会社のサポートが不可欠ですが、実際に内定者は会社に対してどのようなサポートを求めているのでしょうか。
内定期間中に受けたいサポートを尋ねたところ、昨年同様「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい(63.2%)」がトップとなりました(図3)。一方、2位以降の項目では変化が見られ、昨年2位だった「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」は3.9ポイント減の51.8%で4位に。逆に、「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい(54.3%)」「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい(53.3%)」がそれぞれ3.8ポイント、2.1ポイント増加し、2位、3位となりました。昨年と比べ、より多くの内定者が仕事面でのスキルアップにつながるサポートを望んでいるようです。

まとめ
今回の調査から、昨年同様、2022年度入社の内定者も入社を前に「期待」よりも「不安・心配」を抱えていることが明らかになりました。これには、学生から社会人になるという生活の変化、そしてコロナ禍で多くの企業が事業のあり方や働き方の変化を迫られていることも影響しているでしょう。
一方で、会社から受けたいサポートについては、昨年の調査から順位の変動が見られ、社会人としての基礎や専門知識・スキルに対するニーズが、同期との人間関係構築の機会に対するニーズを上回る結果に。これは、自分自身の行動や知識・スキルが「実際に仕事の現場で通用するのか」という不安がより強まっていることの表れではないでしょうか。
こうした内定者の不安は、入社後のサポートをどう進めるのか、その計画を定めるうえで重要な指針となります。例えば、仕事で求められる知識・スキルを明確に提示する、新入社員自身の能力を可視化する、またそれに対するフィードバックを適切に行う仕組みをつくる必要があるということです。今回のレポートを、新社会人が安心して成長できる環境づくりに活かしていただければ幸いです。
調査概要
調査対象者 | 当社が提供する内定者向け研修の受講者(2022 年卒業予定) |
---|---|
調査時期 | 2021 年 10 月 19 日~2021 年 11 月 30日 |
調査方法 | Web・マークシート記入式でのアンケート調査 |
サンプル数 | 743人 |
属性 |
(1)業種 ①IT・インターネット:52.2%(387人) ②流通・小売・サービス:6.7%(50人) ③製造:3.1%(23人) ④金融:1.6%(12人) ⑤商社:9.3%(69人) ⑥メーカー:5.3%(39人) ⑦マスコミ・広告:3.4%(25人) ⑧建設・不動産:5.8%(43人) ⑨医療・福祉:0.5%(4人) ⑩その他:12.3%(91人) |
(2)企業規模 ①100人以下:27.9%(207人) ②101〜300人:54.8%(406人) ③301人以上:16.3%(121人) |
*本調査を引用される際は【ALL DIFFERENT株式会社「内定者意識調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
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