【2023年 新入社員意識調査(情報通信業界編)】約7割が仕事についていけるか不安と回答。成長に必要なもの「成功体験」が最多に| ニュースリリース |人材育成・社員研修

【2023年 新入社員意識調査(情報通信業界編)】約7割が仕事についていけるか不安と回答。成長に必要なもの「成功体験」が最多に

株式会社ラーニングエージェンシー(本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔、以下「LA」)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、2023年4月1日~5月25日の期間、2023年入社の新入社員5,623人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。今回は、情報通信業に入社した新入社員の結果を公表します。

(参考)2023年4月19日に公表した速報値版の結果https://www.all-different.co.jp/topics/20230419

背景

2023年入社の新入社員はZ世代と呼ばれ、物心ついたときからすでにデジタル技術が発達している社会で育ってきました。幼少期から高速通信環境が存在し、学生時代には4G・5Gが整備され、YouTubeなど個人発信のエンタメの発展と共に育ってきました。また、学生時代は、新型コロナウイルス感染症の影響によりコミュニケーションの大部分がオンラインへと移行。組織を意識することや、集団行動が求められる機会が減少したことにより友好関係も縮小傾向にありました。さらに、近年はロシア・ウクライナ戦争の長期化による経済の縮小、原材料価格や物流費の高騰や円安など、様々な外部環境の変化に翻弄される企業を、メディアを通じて見てきたことでしょう。

そこで、今回の調査では、このような外部環境の大きな変化と共に育ってきた今年の新入社員が、仕事に対してどのような価値観をもっているのかを明らかにすべく、「新入社員の意識調査」を行いました。

調査結果の概要

  • ・ 入社式後の新人の気持ち、「不安」に感じる割合が他業種より1.6ポイント高く最多の結果に。不安に感じることは、約7割が「仕事の難易度」と回答
  • ・ 仕事で成し遂げたいこと、昨年1位の「自分を成長させたい」を上回り、「安定した生活を送りたい」がトップに
  • ・ 認識や理解のズレにより、「再度同じ説明をする/求められることになり困った」と回答する人が半数以上
  • ・今の会社で働き続けたいと思える状況は、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」状況
  • ・ 約7割の新人が「楽しくてやりがいのある仕事」をしていきたいと回答。「チーム一丸となって取り組む仕事」を望む声も昨年から増加し、他業種より高い結果に
  • ・ 自身の成長に必要なこと、6割以上が「成功体験」と回答。他業種よりも「上司・先輩からの事後フィードバック」や「振り返り習慣」を重視する結果に
  • ・ 社会人としてスキルアップするために取り組みたいこと、7割以上が「仕事を通じたスキルアップ」と回答
調査結果の概要

調査結果の詳細

1.   入社式後の新人の気持ち、「不安」に感じる割合が他業種より1.6ポイント高く最多の結果に。不安に感じることは、約7割が「仕事の難易度」と回答

2023年4月、入社式を終えたばかりの新入社員5,623人に、現在の気持ちを単一選択で質問しました。結果、情報通信業の新入社員は「不安」と回答した割合が35.4%と最多となり、情報通信業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)よりも、1.6ポイント高い結果となりました。次に「緊張」が20.4%、「期待」が15.1%と続き、こちらの項目は他業種より低い結果となりました。情報通信業の新入社員は、他業種よりも特に不安な気持ちが高いことがわかります。(図1)  

図1

では、情報通信業の新入社員は具体的にどのようなことに不安を感じているのでしょうか。現時点で不安に感じることを質問してみたところ、「仕事についていけるか(仕事の難易度)」に不安を感じている割合が69.1%いることがわかりました。また、その割合は他業種よりも5.8ポイント高い結果となりました。(図2)

図2

2.   仕事で成し遂げたいこと、昨年1位の「自分を成長させたい」を上回り、「安定した生活を送りたい」がトップに

次に、仕事を通じてどのようなことを成し遂げたいと考えているか、2019年から5年間の情報通信業と他業種の回答結果を比較してみました。

2023年の新入社員が仕事で成し遂げたいことは「安定した生活を送りたい」が68.4%と最も高い割合となりました。この「安定した生活を送りたい」という回答の割合は過去4年連続増加し続けており、2023年の調査では他の回答をおさえ、はじめて1位となりました。他業種と比較しても5.3ポイント高く、情報通信業の新入社員は安定志向が高まっていることがわかります。

次に高い割合となった項目は「自分を成長させたい(62.6%)」でした。この項目は2020年から始まったコロナ禍を機に増加し、その後高止まりを続けていましたが、2023年は減少する結果となりました。(図3) 

図3

3.    今の会社で働き続けたいと思える状況は、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」状況

これまでに比べ安定志向が高い今年の情報通信業の新入社員は、具体的にどのような状況であれば今の会社で働き続けたいと思うのでしょうか。2020年から4年間の情報通信業と他業種の結果を比較しました。

まず、2023年の新入社員の回答の中では「職場の人間関係が良い」が66.2%と最も高く、その割合は4年間で最多となりました。次に、「高い給与・賞与をもらえる」が63.7%と続き、昨年よりも8.7ポイント高くなりました。他業種と比較しても4.2ポイント高くなりました。

さらに2020年から4年間の推移に焦点を当てると、「高い給与・賞与がもらえる」「業績が安定している」は増加する一方、「仕事を通じて成長できる」と回答した新入社員の割合は4年連続減少していることが明らかになりました。(図4)

図4

4.   約7割の新人が「楽しくてやりがいのある仕事」をしていきたいと回答。「チーム一丸となって取り組む仕事」を望む声も昨年から増加し、他業種より高い結果に

今後、どのような仕事をしていきたいか質問したところ、「楽しくてやりがいのある仕事」が69.6%と最も高い結果に。次に「自身の成長につながる仕事」が53.6%と続きました。

他業種と比較して大きな差がついた項目は、「専門的なスキル・知識が求められる仕事」が8.4ポイント、「自身の成長につながる仕事」が5.9ポイント、「自分のペースでやり切れる仕事」が5.7ポイント高くなりました。

また、過去との比較においては「チーム一丸となって取り組む仕事」が昨年より3.5ポイント増加し、他業種よりも3.1ポイント高くなったことも特徴です。(図5)

図5

5.   自身の成長に必要なこと、6割以上が「成功体験」と回答。他業種よりも「上司・先輩からの事後フィードバック」や「振り返り習慣」を重視する結果に

自分が成長するために必要なものは何か質問したところ、「仕事を通じた成功体験」が67.5%と最も高い結果となりました。次に、「仕事を通じた失敗体験」が58.2%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が57.3%と続く結果となりました。「仕事を通じた成功体験」は2020年から4年間増加し続けており、2023年は他業種よりも2.3ポイント高い結果となりました。

他業種と比較して大きな差が出た項目については「上司や先輩からの事後のフィードバック」が他業種の新入社員より4.8ポイント高く、「振り返りの習慣」が2.5ポイント高い結果となりました。

情報通信業では、現場の体験のうち特に成功体験を重視する傾向にあり、事後のフィードバックや振り返りを通じて成長していきたいと考える人が多い特徴があるといえるでしょう。(図6)

図6

6.   社会人としてスキルアップするために取り組みたいこと、7割以上が「仕事を通じたスキルアップ」と回答

社会人としてスキルアップするために、今後、取り組んでみたいことがあるかという質問に対しても、現場体験を重視する今年の情報通信業の新入社員の志向を読み取ることができました。2023年の回答で最も多くの回答が集まったのは「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい(71.5%)」であり、他業種よりも6.1ポイント高い結果になりました。(図7)

図7

まとめ

新年度が始まり、早3か月が経過しようとしています。社会のデジタル化に対し、人材供給が追い付いていないと言われている情報通信業界では、新入社員の現場における活躍が大いに期待されていることでしょう。本調査では、情報通信業に入社した2023年度の新入社員が、働くことに対してどのような意識や価値観を抱いているか、実態調査を行いました。

調査結果より、情報通信業の新入社員は他業種よりも、入社時に「不安」を感じる割合が高く、約7割の新入社員が仕事についていけるか不安を感じていることがわかりました。AIやloTをはじめとするデジタル技術の進化により、情報通信業は今まで以上のスピードや高度化が求められます。IT業界における市場規模の拡大と相まって、IT人材不足も問題視されている昨今、新入社員は今後任される業務や一人一人の裁量の大きさを想像し、不安を抱いていることが推察できるでしょう。

そのような不安を抱く情報通信業の新入社員ですが、昨年同様「成長意欲」は他業種よりも高い傾向にあることがわかりました。仕事を通じて成し遂げたいことを質問したところ、6割以上の新人が「自分を成長させたい」と回答。また、今後やりたい仕事にも「自身の成長に繋がる仕事」と半数以上が回答しました。不安は感じつつも、仕事を通じた自身の成長に対して意欲的な様子が伺える結果となりました。

一方、2023年の回答結果からは「安定志向」が大きく高まっていることも明らかとなりました。仕事を通じて成し遂げたいことに「安定した生活を送りたい」と回答した割合が4年連続で増加し、今年はついに「自身の成長」を上回り、最多の回答を集める結果になりました。自己成長への意欲の高さはこれまで通りでしたが、「安定した生活を送るために仕事をする」と考える新入社員が多いことは、今年の新入社員全体の特徴でもあり*1、それは情報通信業でも顕著に表れる結果となりました。IT業界の企業・製品・サービス、そしてそこで働くデジタル人材は、2020年の新型コロナウィルスの流行に伴う需要急増と、その反動ともいえる昨今の景気減速の影響の真っただ中にあると言っても過言はありません。2022年冬にはアメリカの大手テック企業の日本法人が大量解雇を発表するなど、IT業界の不安定な雇用の話題を身近に感じる機会が増えていることも、少なからず影響しているかもしれません。

安定した雇用を確保しつつ、成長意欲を保ち続けるためには、どのような環境が必要になるでしょうか。今の会社で働き続けるために必要な条件を質問したところ、「職場の人間関係が良いこと」や「高い給与・賞与をもらえること」に回答が集まりました。特に人間関係の側面では、今後取り組みたい仕事への質問でも「チーム一丸となって取り組みたい」との回答が過去5年間で最多に。また、成長するために必要なこと、という質問には「仕事を通じた成功体験」や「上司や先輩からの事後フィードバック」を求める声が他業種よりも高い結果となりました。これらのことから、コロナ禍により大学時代のほとんどを、集団によるコミュニティの活動をしてこなかった新入社員は、不安を感じつつもチームで働くことや現場で経験を積むことに期待している様子も伺えます。

最後に、2023年の情報通信業の新入社員は上司や先輩とのコミュニケーションを成長の機会と捉えています。他業種に比べ、リモートワークやテレワークが浸透していると言われる情報通信業ですが、そんな中でも企業や上司は積極的に新人とコミュニケーションを図り、チームの仕事に受け入れていくこと、また、成功体験を見据えた適切なアサインメントやフィードバックをしていくことが新入社員を早期に立ち上げ、現場で活躍してもらうためには重要だといえるでしょう。

*1 新入社員意識調査(速報値版)https://www.all-different.co.jp/topics/20230419

調査概要

調査対象者 当社が提供する研修の受講者
調査時期 2023年4月1日~5月25日
調査方法 自記式またはWEBでのアンケート調査
サンプル数 5,623人<情報通信業>1,870人、<他業種(情報通信業以外の全業種)>3,746人
属性 <情報通信業>
所属企業の従業員数規模
① 1人~50人:6.3%(117人)
② 51人~100人:13.5%(251人)
③ 101人~300人:29.8%(556人)
④ 301人~1,000人:13.6%(254人)
⑤ 1,001人~5,000人:27.1%(505人)
⑥ 5,000人以上:7.5%(139人)
⑦ 不明:2.4%(44人)
⑧ 無回答:0.2%(4人)
<他業種(情報通信業以外の全業種)>
所属企業の従業員数規模
① 1人~50人:5.3%(196人)
② 51人~100人:11.3%(421人)
③ 101人~300人:29.3%(1,093人)
④ 301人~1,000人:16.5%(617人)
⑤ 1,001人~5,000人:20.1%(752人)
⑥ 5,000人以上:11.2%(417人)
⑦ 不明:6.4%(239人)
⑧ 無回答:0.3%(11人)

*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー 「新入社員意識調査」(情報通信業界編)】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

株式会社ラーニングエージェンシー

当社は、設立以来、定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」、ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」、 ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」、10万人以上が受検するビジネススキル診断テスト 「Biz SCORE Basic」など、人と組織の成長を支援する業界初*、特許取得のサービスを多数開発・提供しています。 「LEARNING」の可能性を探求し続け、「人と組織の未来創り」を真にリードできる伴走者、ラーニングコアパートナー® として、お客様に長く貢献してまいります。
*Biz CAMPUS Basic、Mobile Knowledge(For Freshers)は東京商工リサーチ調べ、 Biz SCORE Basicはシタシオンジャパン調べ

ラーニングイノベーション総合研究所

ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所(以下、LI総研)は、人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っています。LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしています。

代表取締役社長 眞﨑 大輔
事業内容 人材育成・教育研修
本社所在地 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F
URL www.all-different.co.jp

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