【新入社員意識調査2025(業界別:卸売業・小売業編)】将来担いたい役割、「キャリア志向なし」が初の1位。6年間トップだった「管理職志向」と逆転| ニュースリリース |組織開発・人材育成
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2025.07.07 |NEW!
ニュースリリース お知らせ累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、3月25日~4月24日の期間で、2025年度新入社員を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本リリースでは卸売業・小売業の新入社員の仕事に対する考え方などについて調査・分析した結果を公表いたします。
〈背景〉
卸売業・小売業の企業は人手不足、価格転嫁、2025年の崖、DXやGXへの対応など、様々な経営課題を抱えています。さらに現場では取引先・消費者のニーズが多様化し、仕事の複雑化が進んでいるとされており、従来の人事制度や慣行を見直す大胆な人事改革を推し進める企業も増えています。
多くの企業が様々な変化への対応を求められていますが、特に卸売業・小売業は新人・若手社員の早期離職率が他業種に比べて高く、新入社員の離職防止に頭を悩ませています。新入社員を着実な定着・成長に導くためには、適切な育成体制の構築と育成指導力、そして彼らの考えや価値観に対する正しい理解が必要です。そこで本リリースでは、卸売業・小売業の新入社員の勤続意向やキャリアに対する意識などについて報告します。
調査結果の概要
- ● 「キャリア志向ない」が「管理職志向」を押さえ、7年間調査で初のトップ
- ● 72.5%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答、7年間で過去最高の結果に
- ● 今の会社で働き続けたい条件、トップは「職場の人間関係が良い」で約7割が回答
- ● 今後3年間の会社での労働時間、半数が「定時に帰りたい」。他業種より5.8ポイント高い割合
- ● 20代の時間の使い方、「仕事とプライベート優先」「プライベート優先」が他業種より高い割合
- ● リーダーのイメージ像、「リーダーシップが求められそう」「強い意思が求められそう」が他業種より高い割合
- ● 専門家の考察「将来のリーダー人材育成のために、今からできることとは」
調査結果の詳細
1. 「キャリア志向ない」が「管理職志向」を押さえ、7年間調査で初のトップ
初めに2025年度の卸売業・小売業の新入社員に対し、将来会社で担いたい役割について質問しました。結果、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」(28.2%)がトップでした。次いで、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」(27.9%)、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」(24.4%)、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」(18.3%)が続きました。
卸売業・小売業を除く全業種(以下、他業種と記載)の新入社員の回答と比較したところ、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」と「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」はそれぞれ、他業種より5.2ポイント、2.9ポイント高い結果となりました。また、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」は他業種よりも9.4ポイント低いことが明らかになりました(図1)。この設問について2019年度から7年間、各年度の新入社員の回答結果を比較しました。「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」は2019年度から2022年度まで毎年増加を続けていましたが、2023年度から減少に転換。2025年度は過去最低の割合で、最も高かった2022年度よりも9.1ポイントのマイナスとなりました。
また、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」が管理職志向の割合を超えたのは、7年間で初めてでした(図2)。2. 72.5%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答、7年間で過去最高の結果に
続いて、卸売業・小売業の新人の勤続意向について調べました。今の会社で働き続けたいかを質問したところ、72.5%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答し、他業種よりも7.6ポイント高い割合となりました。
「そのうち転職したい」と答えた卸売業・小売業の新入社員は10.7%で他業種よりも低い割合となりました(図3)。この設問について2019年度から7年間、各年度の新入社員の回答結果を比較した結果、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答する割合は年々割合が高まっており、2025年度は過去最高であることがわかりました(図4)。
3. 今の会社で働き続けたい条件、トップは「職場の人間関係が良い」で約7割が回答
さらに、どのような状況なら今の会社で働き続けたいと思うか質問しました。結果、「職場の人間関係が良い」が最も高く、69.5%でした。次いで「高い給与・賞与をもらえる」(64.9%)、「業績が安定している」(39.3%)が続きました。
他業種と比較すると、「職場の人間関係が良い」は4.0ポイント高い一方、「仕事を通じて成長できる」(22.9%)は11.4ポイント低い結果となりました(図5)。4. 今後3年間の会社での労働時間、半数が「定時に帰りたい」。他業種より5.8ポイント高い割合
今後3年間の労働時間に関する考え方を質問したところ、「定時に帰りたい」と回答した割合は50.0%と半数でした。次いで、「週に2~3回の残業までなら構わない」は39.3%で約4割でした。
他業種の回答と比べてみると、「定時に帰りたい」は他業種よりも5.8ポイント高く、逆に「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」(7.6%)は4.0ポイント低いことがわかりました(図6)。5. 20代の時間の使い方、「仕事とプライベート優先」「プライベート優先」が他業種より高い割合
半数が「定時に帰りたい」と答えた卸売業・小売業の新入社員ですが、時間の優先順位についてどのように考えているのでしょうか。20代の時間の使い方として自身の考えに近い回答項目を選択してもらったところ、最も割合が高かったのは「仕事とプライベート優先」(30.2%)、次いで「プライベート優先」(24.4%)でこの二つで半数以上を占めました。特に「プライベート優先」は他業種よりも6.3ポイント高いことが明らかになりました。
一方、「仕事とプライベートと自己投資をバランス良く」(11.1%)は他業種より8.5ポイント低くなりました(図7)。6. リーダーのイメージ像、「リーダーシップが求められそう」「強い意思が求められそう」が他業種より高い割合
最後に、卸売業・小売業の新入社員が考えるリーダーのイメージ像について質問しました。結果、「リーダーシップが求められそう」(55.0%)が最も高い割合となり、次いで「強い意志が求められそう」(36.6%)、「成長できそう」(33.6%)でした。
他業種の回答と比較すると、「リーダーシップが求められそう」は3.8ポイント、「強い意志が求められそう」は5.7ポイント高いことがわかりました(図8)。まとめ
本調査では、卸売業・小売業へ入社した2025年度新入社員の特徴を、他業種と比較して考察しました。まず、将来会社で担いたい役割を質問したところ、「キャリア志向なし」が最高の割合となり、この項目を調査開始した2019年度以来、初めて管理職志向を抜きトップとなりました。
また、勤続意向について質問したところ、72.5%が「できれば今の会社で働き続けたい」と答え、こちらも7年間で最も高い割合となりました。今の会社で働き続けたいと思う条件については、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」が6割台で2大トップとなりました。他業種と比較すると、「仕事を通じて成長できる」は11.4ポイント低い、22.9%でした。
ワークライフバランスについての考え方を探るため、今後3年間での会社の労働時間について質問したところ、半数が「定時に帰りたい」と回答しました。20代の時間の使い方として自分の考えに近い項目を選んでもらったところ、「仕事とプライベート優先」が30.2%、「プライベート優先」が24.4%で、ともに他業種より高く、「仕事とプライベートと自己投資をバランス良く」は他業種より低い割合になりました。
管理職を目指す割合が減った2025年度の卸売業・小売業の新入社員ですが、リーダーについてのイメージ像を聞いたところ、半数以上が「リーダーシップが求められそう」と回答。次いで「強い意思が求められそう」の割合が高く、他業種の企業より5.7ポイント上回りました。専門家の考察「将来のリーダー人材育成のために、今からできることとは」
今年の卸売業・小売業の新入社員意識調査では、7年間で初めて「キャリア志向なし」の割合が管理職志向の割合を上回りました。一方で、「今の会社で働き続けたい」と考える新入社員の割合も、同じく過去最高を記録しました。楽しく一つの会社で働き続けたいという新入社員の「安定志向」が浮き彫りになったと言えます。
人手不足の昨今、「今の会社で働き続けたい」割合が高いことは会社にとって喜ばしいことのように見えますが、キャリア志向がないことは、成長意欲や将来的な勤続意向の低下につながりかねません。また、将来的にリーダー人材が不足する可能性もあります。
物流・商流が複雑化し、顧客ニーズや流行の変化が加速する現代の卸売業・小売業においては、迅速かつ柔軟な対応力を備えたリーダーが不可欠です。企業としては、新入社員の持つ管理職のイメージを具体化し、キャリアプラン構築や主体的な成長意欲の喚起につなげていく必要があります。
<卸売業>
卸売業では、商品の流通管理や在庫管理といった専門知識に加え、取引先との信頼関係を築くための高度なコミュニケーションスキルが重視される傾向があります。一方で、読解力や柔軟な発想力といった、すべてのビジネスパーソンに不可欠な「バイタルスキル🄬」(成長、成果に不可欠なビジネスにおける根幹スキル)の教育は後回しになりがちです。
さらに、市場動向、法改正、技術革新など、卸売業を取り巻く外部環境は常に変化しているため、最新情報を積極的に取り入れ、自己成長を図る姿勢が求められます。新入社員の段階で明確なキャリア志向を持つ必要はありませんが、1on1などの機会を活用し、自身の将来像について上司と対話する場を設けることが重要です。
<小売業>
小売業では「店長と店員」の関係に象徴されるように、管理職が身近な存在であるため、新入社員がその役割を具体的にイメージしやすい環境にあります。ただし、限られた事例に基づく表面的な理解にとどまる可能性も否定できません。また、現場経験だけではバイタルスキル🄬の底上げが難しく、現場任せの場当たり的なOJTに依存すると、個々の成長にばらつきが生じやすくなります。そのため、「意図的・計画的・継続的」なOJTを推進するために育成計画の立案と実行体制の整備に取り組むとよいでしょう。
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部
卸小売・不動産業グループ グループリーダー 兼 シニアマネジャー
楢原 光(ならはら・ひかる)幅広い業界に対して、教育計画の策定、研修の企画立案、組織風土改善などのコンサルティング支援を実施。 研修講師として年間80回~100回以上登壇し、内定者から次期管理職までを対象とした研修を担っている。 現在は卸小売業・不動産業グループの統括リーダーとして、業績管理や戦略立案、コンサルタント育成にも従事。
調査概要
調査対象者 当社が提供する新入社員研修に参加した 2025年入社の新入社員 調査時期 2025年3月25日~2025年4月24日 調査方法 Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査 サンプル数 3,933人 属性 (1)業種
農業,林業 8人(0.2%)
鉱業,採石業,砂利採取業 4人(0.1%)
建設業 245人(6.2%)
製造業 580人(14.7%)
電気・ガス・熱供給・水道業 59人(1.5%)
情報通信業 828人(21.1%)
運輸業,郵便業 85人(2.2%)
卸売業,小売業 262人(6.7%)
金融業,保険業 259人(6.6%)
不動産業,物品賃貸業 162人(4.1%)
学術研究,専門・技術サービス業 217人(5.5%)
宿泊業,飲食サービス業 34人(0.9%)
生活関連サービス業,娯楽業 95人(2.4%)
教育,学習支援業 38人(1.0%)
医療,福祉 61人(1.6%)
複合サービス事業 138人(3.5%)
サービス業(他に分類されないもの) 350人(8.9%)
公務 3人(0.1%)
その他 401人(10.2%)
分からない 101人(2.6%)
BLANK 3人(0.1%)
(2)企業規模
50人以下企業 201人(5.1%)
51人~100人企業 567人(14.4%)
101人~300人企業 1389人(35.3%)
301人~1,000人企業 590人(15.0%)
1,001人~5,000人企業 660人(16.8%)
5,001人以上企業 305人(7.8%)
わからない 217人(5.5%)
BLANK 4人(0.1%)
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員調査(業界別:卸売業・小売業編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所について
当社の研究機関、ラーニングイノベーション総合研究所🄬(以下、LI総研)は、「人と組織の未来創り🄬」に関する様々な調査・研究活動を行っております。
LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしております。ALL DIFFERENT株式会社について
当社は、組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業です。「真の未来創りの伴走者」として、人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用に至るまでの組織開発・人材育成の全領域を一貫してご支援しております。
代表取締役社長 眞﨑 大輔 本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F 支社 関西支社、中部支社 人員数 328人(2025年4月1日時点) 事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施 サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」
人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」
転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほかURL https://www.all-different.co.jp/corporate
▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
中途採用 https://career.all-different.co.jp/本件に関するお問い合わせ先ALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社 企画グループ 加藤、冨田、宇佐美
Mail:ad-press@all-different.co.jp Tel:03-5222-5111(代表) 080-4073-0257(加藤)【新入社員意識調査2025(業界別:卸売業・小売業編)】将来担いたい役割、「キャリア志向なし」が初の1位。6年間トップだった「管理職志向」と逆転
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