【新入社員意識調査2025(業界別:製造業編)】製造業の新人「今の会社で働き続けたい」、他業種よりも10ポイント高く、75.9%が回答| ニュースリリース |組織開発・人材育成

【新入社員意識調査2025(業界別:製造業編)】製造業の新人「今の会社で働き続けたい」、他業種よりも10ポイント高く、75.9%が回答

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、3月25日~4月24日の期間で、2025年度入社の新入社員3,933人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本リリースでは、製造業の新入社員の調査結果を公表いたします。

〈背景〉

かつて「モノづくり大国」と呼ばれた日本の製造業は、現在は国内市場が相対的に成熟化・縮小傾向にあります。「2025年の崖」といわれるように老朽化した基幹システムの刷新の対応や、サプライチェーンの多元化・強靭化が重要課題とされています。また、新興国市場への対応強化や、AI・IoT・ロボティクスの導入に伴うデジタル人材の育成など、新たな領域への挑戦が求められ、大きな転換期を迎えています。そのため、若手社員にも、変化に適応できる柔軟性や既存のやり方を打破する革新力が求められています。そこで、日本の製造業の未来の担い手である新入社員の考え方や価値観を調査・分析し、育成の手がかりを探りました。

調査結果の概要

概要
  • ● 入社式を迎え、約3人に1人が「不安」な気持ち。 「仕事についていけるか」が最大の不安
  • ● 内定時代に受けた会社からのフォロー、約2割が「何も受けていない」と回答。他業種の割合の2倍以上高い
  • ● 入社理由、「志望業界だったから」はトップだが、 他業種より15ポイント以上低い割合に
  • ● 「できれば今の会社で働き続けたい」と75.9%が回答。働き続けたい条件トップは「職場の人間関係が良い」
  • ● 仕事を通じて成し遂げたいこと「安定した生活を送りたい」がトップ。「自己成長」は過去最低の割合に
  • ● キャリアについて半数以上が「志向なし」か「今後決めていく」と回答、7年間で過去最高の割合に
  • ● 専門家による考察「受け身からの脱却。自律的にキャリアを形成するためには」

調査結果の詳細

1. 入社式を迎え、約3人に1人が「不安」な気持ち。「仕事についていけるか」が最大の不安

本調査では製造業の新入社員の特徴を探るべく、製造業の新入社員と、製造業を除く全業種(以下、他業種と記載)の新入社員の回答結果を比較します。

初めに、2025年度の新入社員は、どのような気持ちで入社したのか質問しました。入社式を迎え、気持ちを聞いたところ、製造業の新入社員は、「不安」と回答した割合が35.5%と、最も高くなりました。この割合は、他業種の新入社員より5.5ポイント高くなりました(図1)。

図1

「不安」と回答した割合がトップでしたが、どのような点に不安を感じているのでしょうか。

不安な気持ちの内容を質問したところ、6割以上が「仕事についていけるか(仕事の難易度)」と回答しました。次に、「生活リズムや社会人としての考え方の習得」が46.0%、「社会人の基礎的なマナーの習得」が36.0%と続きました(図2)。

図2

2. 内定時代に受けた会社からのフォロー、約2割が「何も受けていない」と回答。他業種の割合の2倍以上高い

製造業の新入社員は他業種より不安な気持ちが強いことがわかりましたが、それは内定時代に受けた会社からの働きかけが影響しているかもしれません。そこで、内定時代に会社からどのようなフォローがあったか質問しました。

結果、「入社予定の会社での懇親会」と回答した割合が30.5%と最も高く、次に「事務連絡だけで何も受けていない」が22.2%と続きました。1位だった「入社予定の会社での懇親会」は、他業種より16.0ポイント低い結果となりました。

一方、2位の「事務連絡だけで何も受けていない」は他業種よりも11.9ポイント高くなりました。製造業は他業種に比べて、内定時代の新入社員へのフォローが手薄であった実態が明らかとなりました(図3)。

図3

3. 入社理由、「志望業界だったから」はトップだが、他業種より15ポイント以上低い割合に

次に、新入社員が今の会社に入社を決めた理由は何だったのでしょうか。

入社理由を質問したところ、「志望業界だったから」「仕事内容が合っていたから」と回答した割合がどちらも23.6%で、1位になりました。特に「志望業界だったから」と回答した割合が、他業種より15.9ポイント低くなったことは特徴的です。

一方、「福利厚生が充実していたから」「勤務地が合っていたから」の項目は他業種より高くなりました(図4)。

図4

4. 「できれば今の会社で働き続けたい」と75.9%が回答。働き続けたい条件トップは「職場の人間関係が良い」

ここからは、製造業の新入社員が今後どのように働いていきたいか、これからの働き方に対する考え方を見ていきます。

まず、現在の会社で働き続けたいかと質問したところ、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した割合は75.9%となりました。その割合は他業種よりも12.3ポイント高く、製造業には勤続意向の高い新入社員が多いことがわかります(図5)。

図5

次に、どのような状況であれば、今の会社で働き続けたいか、条件を質問しました。結果、「職場の人間関係が良い」と65.9%が回答し、最大となりました。次に、「高い給与・賞与をもらえる」が55.3%と続きました。また、「業績が安定している」は、他業種より5.7ポイント高い34.1%となりました(図6)。

図6

次に、20代の時間の使い方について、「仕事」「プライベート」「自己投資」3つの理想のバランスを質問したところ、「仕事とプライベート優先」「プライベート優先」の割合が他業種よりも高く、2割以上が回答しました。この結果から、製造業の新入社員はプライベートの時間を大切にしたいと考える割合が高い特徴があることがわかりました(図7)。

図7

5. 仕事を通じて成し遂げたいこと「安定した生活を送りたい」がトップ。「自己成長」は過去最低の割合に

仕事を通して成し遂げたいことはあるか質問したところ、「安定した生活を送りたい」と回答した割合が68.4%と最大になりました。次に、「家族に恩返しをしたい」(49.0%)が続きました(図8)。

図8

製造業の新入社員が仕事を通して成し遂げたいことについて、2019年度から7年間、各年度の新入社員の回答結果を比較しました。結果、「安定した生活を送りたい」と回答する割合は6年前に比べて概ね増加傾向にありました。

一方、「自分を成長させたい」と回答した割合は48.6%と、初めて半数に届かず過去最低となりました。また、「社会に貢献したい」と回答した割合も2020年以降、下降傾向にあることが見て取れます(図9)。

図9

6. キャリアについて半数以上が「志向なし」か「今後決めていく」と回答、7年間で過去最高の割合に

最後に、将来会社でどのような役割を担いたいか質問したところ、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」と回答した割合が28.6%、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が25.5%と続き、どちらも他業種よりも高い結果となりました。半数以上の新入社員が、今後のキャリアについての考えが不明確であることが判明しました。

一方、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」と回答した割合は、他業種より低い結果となりました(図10)。

図10

製造業の新入社員が将来会社でどのような役割を担いたいかについて、2019年度から7年間、各年度の新入社員の回答結果を比較しました。

結果、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」と回答した割合は、どちらも7年間で過去最低の割合となりました。

一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」は2年連続増加し、過去最高の割合となりました(図11)。

図11

まとめ

本調査結果より、製造業の新入社員は、他業種の新入社員より、入社後に「不安」を感じる割合が高く、特に「仕事についていけるか」という点に不安を感じる人が多いことが分かりました。内定時代に受けた会社からのフォローについて「事務連絡だけで何も受けていない」と回答する割合が他業種よりも多いことから、入社後のイメージを具体的に描けるような支援を受けられなかったことが「不安」に影響している可能性があります。

そんな製造業の新入社員は、今後の働き方について、「今の会社で働き続けたい」と7割以上が回答。その割合は他業種よりも高く、勤続意向が高いことが明らかとなりました。20代のうちは「仕事とプライベート」または「プライベート」を重視し、仕事を通じて「自己成長」「社会貢献」よりも「安定した生活」を実現していきたいという、安定的な生活基盤を築くことに主眼を置く人が多いことがわかりました。

キャリア志向では、「管理職」や「専門家」を目指す割合は他業種よりも低く、「キャリア志向なし」「今後決める」が7年間で最高の割合となったことも特徴として挙げられるでしょう。

専門家による考察「受け身からの脱却。自律的にキャリアを形成するためには」

日本の基幹産業として「入れば将来は安泰」とかつて言われるほど、安定性の高い業界として知られてきた製造業は、現在、大きな変革期を迎えています。国内外の競争激化や技術革新、サステナビリティへの対応など、外部環境の変化に伴い「終身雇用」や「年功序列」といった人事制度の見直しが進んでいます。

こうした中で注目されるのが、働き方やキャリア形成に対する従業員の考え方です。従来の「会社に雇用を保障してもらう」「会社にキャリアを形成してもらう」といった受け身の姿勢から脱し、「自律的にキャリアを形成する」考え方への意識転換が求められています。

しかし、今回の調査によると、製造業の新入社員のキャリア志向は「まだはっきりしていない」「楽しく働きたい」といった漠然とした人が多く、「管理職志向」「専門家志向」が7年間で最低水準となりました。また、仕事を通して成し遂げたいことの回答として「安定した生活を送りたい」が最も多く、「自分を成長させたい」は過去最低の割合でした。これらの結果から、新入社員は業界の変化を十分に認識できておらず、「会社に守ってもらう」「会社にキャリアを形成してもらう」という旧時代的な意識を持っている可能性があります。

このような結果になった背景の1つに、内定期間中の企業からのフォロー不足があると考えられます。「事務連絡のみだった」と回答した割合は、他業種の2倍以上で、仕事やキャリアの具体的なイメージを入社前に描けていない可能性があります。内定期間中のフォロー不足は、他業種の新入社員よりも不安を抱えたまま社会人生活を始めている割合が高いことへも影響しているかもしれません。

そこで、新入社員が働くことへの不安を軽減し、主体的にキャリアを描き成長するために、以下のような取り組みが有効です。

① 新入社員への支援(入社前の不安軽減とキャリア形成の環境づくり)
入社前:単なる事務連絡にとどまらず、仕事内容やキャリアパスの情報を丁寧に伝えたり、先輩社員との座談会や職場見学など、リアルな職場体験の機会を設けたりしてみましょう。入社後の働き方や成長イメージを共有し、安心感と期待感を育むことにつながるでしょう。また、入社後に必要な「社会人としての心構え」「知識・スキル」を内定期間中に学べる環境を提供することも不安軽減に効果的です。少しでも早いタイミングで社会人生活をイメージしてもらうことが、入社後の自律的なキャリア形成に向けた手助けになります。

入社後:入社間もない新入社員が自らキャリアを切り拓くには情報や経験が不足していることが多く、自発的なキャリア形成は容易ではありません。そのため、企業側がキャリア形成のための適切な支援や環境づくりを継続的に行うことが重要です。たとえば、上司との1on1やOJT担当者との面談を通じて、キャリアに関する対話の機会を設けることで、自身の将来像を描く手助けになります。

② 支援者への支援(支援の質の均一化とスキル向上)
キャリア支援の質にばらつきが出ないよう、支援者(管理職・OJT担当者・先輩社員など)に対する支援も重要です。そのために、新入社員の育成が始まる前に、事前に役割と期待を明確に伝えることや、傾聴の姿勢や深い内省を導く質問力を身につけるためのトレーニングを実施することなどが効果的でしょう。



ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部
製造業グループ グループリーダー 兼 シニアマネジャー
青木 洋平(あおき・ようへい)

幅広い業界の中堅・大企業に対して、教育計画の策定、研修の企画立案、経営理念策定・浸透施策、選抜型教育施策の設計などのコンサルティング実績を持つ。講師としては、新入社員から経営層まで幅広い階層に対する研修で年間100回以上、登壇。中小企業診断士、国際認証ExecutiveMBA (NUCB Business School)を保有。

調査概要

調査対象者 当社が提供する新入社員研修に参加した 2025年入社の新入社員
調査時期 2025年3月25日~2025年4月24日
調査方法 Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数 3,933人
属性 (1)業種
農業,林業 8人(0.2%)
鉱業,採石業,砂利採取業 4人(0.1%)
建設業 245人(6.2%)
製造業 580人(14.7%)
電気・ガス・熱供給・水道業 59人(1.5%)
情報通信業 828人(21.1%)
運輸業,郵便業 85人(2.2%)
卸売業,小売業 262人(6.7%)
金融業,保険業 259人(6.6%)
不動産業,物品賃貸業 162人(4.1%)
学術研究,専門・技術サービス業 217人(5.5%)
宿泊業,飲食サービス業  34人(0.9%)
生活関連サービス業,娯楽業 95人(2.4%)
教育,学習支援業 38人(1.0%)
医療,福祉 61人(1.6%)
複合サービス事業 138人(3.5%)
サービス業(他に分類されないもの) 350人(8.9%)
公務 3人(0.1%)
その他 401人(10.2%)
分からない 101人(2.6%)
BLANK 3人(0.1%)

(2)企業規模
50人以下企業 201人(5.1%)
51人~100人企業 567人(14.4%)
101人~300人企業 1389人(35.3%)
301人~1,000人企業 590人(15.0%)
1,001人~5,000人企業 660人(16.8%)
5,001人以上企業 305人(7.8%)
わからない  217人(5.5%)
BLANK 4人(0.1%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(業界別:製造業編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所について

当社の研究機関、ラーニングイノベーション総合研究所🄬(以下、LI総研)は、「人と組織の未来創り🄬」に関する様々な調査・研究活動を行っております。
LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしております。

ALL DIFFERENT株式会社について

当社は、組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業です。「真の未来創りの伴走者」として、人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用に至るまでの組織開発・人材育成の全領域を一貫してご支援しております。

代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 関西支社、中部支社
人員数 328人(2025年4月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」
人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」
転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL https://www.all-different.co.jp/corporate

▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
中途採用 https://career.all-different.co.jp/
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。
本件に関するお問い合わせ先
ALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社 企画グループ 加藤、冨田、宇佐美
Mail:ad-press@all-different.co.jp Tel:03-5222-5111(代表) 080-4073-0257(加藤)

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