管理職意識調査(部下の育成・人事評価編)
新任管理職の約4人に1人が評価で「部下に嫌われたくない」と回答
「マインドセット強化」と「基準の明確化」で透明性・納得感のある人事評価を実現
2025年9月29日 |NEW!
累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り®」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所®は、2025年5月20日~7月17日の期間で、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本レポートでは、回答者のうち課長クラス以上の管理職の「部下育成」に焦点を当てた結果を公表します。
〈背景〉
若手社員の早期離職が社会課題として注目される中、「育ててもすぐ辞めてしまう」という管理職の声が増えています。特に、当社が人事担当者に対して実施した調査*によると、8割以上の人事担当者が管理職の「部下育成力」に課題を感じている結果となりました。
部下育成の中でも特に難しいとされている「評価」において、近年では多くの企業で、勤続年数ではなく、役割や成果に基づいて評価する流れが加速しており、評価の公平性・透明性が不足する企業では、優秀人材の流出のリスクが高まるとされています。
本調査レポートでは、「部下育成」の中でも「評価」「フィードバック」「離職防止への取り組み」の切り口で、管理職の実態に迫ります。本調査結果が、管理職の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場で奮闘する管理職の皆さまにとって有益な情報となれば幸いです。
*「人事の課題」実態調査(社員の育成編)
https://www.all-different.co.jp/lilab/research/research_82_230126.html

調査結果の概要
- 評価者としての最大の課題、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」(図1)
- ステージ別の評価者としての課題、新任管理職は「部下に嫌われたくない」の割合が高く、幹部候補は「極端な評価をつけることへのためらい」が突出(図2)
- 部下について理解していること、新任管理職は「業務領域」、ステージが上がるにつれて「改善すべき課題や短所」「言葉・行動における特徴」が高まる(図3)
- 部下へのフィードバック、半数以上が「躊躇したことがある」と回答(図4)
- 部下へのフィードバックを躊躇した理由、1位は「部下の反応が不安」、半数以上が回答(図5)
- 部下へのフィードバックを躊躇した理由、ステージ関係なく「部下の反応が不安」が上位に。その割合は2023年から2年連続増加し、初の半数超え(図6)(図7)
- 部下の離職防止への取り組み、「業務量の負荷の調整」「感謝やいたわりの言葉がけ」が多い。ステージが上がるにつれて「期待の伝達」も高まる(図8)
- 考察「適切な評価のために、企業ができること」
評価者としての最大の課題、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」
まず初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職」と記載)は、部下を評価する際、評価者としてどのような課題を抱えているか質問しました。
結果、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」と回答した割合が27.9%と、最大の割合になりました。次に、「評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない」が27.0%、「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」が25.2%となりました。(図1)

ステージ別の評価者としての課題、新任管理職は「部下に嫌われたくない」の割合が高く、幹部候補は「極端な評価をつけることへのためらい」が突出
次に、評価者としての課題について、管理職のうち1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか見ていきます。
新任管理職 | 1~3年目の課長クラス |
---|---|
ベテラン管理職 | 4年目以上の課長クラス |
幹部候補 | 部長クラス |
結果、新任管理職では、「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」の割合が28.8%と最も高く、次に「評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない」が25.8%、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」「部下に嫌われたくないために、厳しい評価から逃げている」が同率で23.5%と続きました。「部下に嫌われたくないために、厳しい評価から逃げている」の回答は、他のステージよりも10ポイント以上高く、「会社の評価基準を十分に理解せず、評価している」(12.1%)は、他のステージより2倍以上高い回答割合になりました。
ベテラン管理職では、「評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない」の割合が27.9%と最も高く、次に「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」が26.1%、「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」が22.5%と続きました。
幹部候補では、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」の割合が35.7%と最も高く、他ステージと比べて突出していました。次に、「評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない」(27.6%)、「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」(23.5%)と続きました。(図2)

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