「人事の課題」実態調査(社員の育成編)
人事の感じる階層別の育成課題が明らかに!管理職は「部下育成」、新人・若手は「主体性・積極性」が育成のポイントに
2023年1月26日
背景
2020年経済産業省が発表した人材版伊藤レポートを皮切りに、「ヒト」の持つ能力を「資源」ではなく「資本」と捉え、最大限活用するために投資をしていく『人的資本経営』へ注目が高まりました。その背景には、企業が永続的に成長し続けるために求められるESG投資への関心の高まりや、働く人の価値観やキャリア志向の多様化、またコロナ禍の影響から一気に加速した働き方の変化など、企業が変化せざるをえない状況に直面したことが挙げられます。2023年の有価証券報告書からは、人的資本に関する一部の情報を開示することが義務づけられ、「人的資本」は経営課題としてますます重要視されていくことは間違いありません。そこで、当社では、人事が抱える課題に焦点をあて、どのようなことに課題を感じているか、また今後どのような取り組みをしていきたいと考えているかなど、企業の人事責任者・人事担当者277名に実態調査を行いました。調査結果が、今後の人的資本経営に取り組む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、有益な情報となれば幸いです。
調査結果の概要
- ● 人事部が注力して取り組みたい育成対象者「管理職・リーダー」が約6割。新任よりも既任の管理職の育成が課題
- ● 人事が感じる新入社員の課題、トップは「主体性・積極性」。301名以上の企業では300名以下に比べ「メンタルタフネス」が20ポイント高く2位に
- ● 入社2~4年目の若手社員の課題、こちらも「主体性・積極性」が最多となり301名以上では7割超。タスク管理や進捗管理も課題
- ● 管理職の課題、8割以上の人事が「部下育成力」と回答。「ビジョン・方針・戦略の立案・浸透」、「チームビルディング」は5割超

1. 人事部が注力して取り組みたい育成対象者「管理職・リーダー」が約6割。新任よりも既任の管理職の育成が課題
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者277名に、人事部として注力して取り組みたい育成対象や、階層別に抱えている課題について実態調査を行いました。その結果を、従業員数が300名以下の企業(以下、『300名以下』と記載)と、301名以上の企業(以下、『301名以上』と記載)に分けて分析した結果をご紹介します。
まずは、人事部として、今後特に注力して取り組みたい育成対象について質問しました。結果、300名以下では「既任管理職」「リーダー」「中堅社員全般」がほぼ互角で59%前後、次に「新任管理職」57.1%でした。特に、「中堅社員全般」は、301名以上と比べ11.4ポイントも高い結果となりました。
301名以上では「既任管理職」が64.2%と最も高く、300名以下よりも約5ポイント高い結果に。次に「新任管理職」が61.1%となり、こちらも300名以下よりも4ポイント高くなりました。
従業員規模に関わらず、「既任管理職」の育成に最も力を入れたいという実態が明らかとなりました。(図1)

2. 人事が感じる新入社員の課題、トップは「主体性・積極性」。301名以上の企業では300名以下に比べ「メンタルタフネス」が20ポイント高く2位
ここからは、人事部が社員の育成に関してどのような課題を感じているか、階層別に見ていきましょう。
まずは、2022年度に入社した新入社員の知識・スキルや業務への姿勢について、どのようなことに課題を感じているか質問をしました。
結果、最も高い課題は「主体性・積極性」であることがわかりました。300名以下・301名以上、どちらも最高値であったものの、301名以上では53.7%と300名以下よりも16.3ポイントも高くなりました。
300名以下では、「報連相」が28.0%、「目的・目標の理解」が27.5%と続きました。
一方、301名以上では「メンタルタフネス」が43.2%、「目的・目標の理解」が31.6%と続きました。特に「メンタルタフネス」は300名以下より20.1ポイントも高い結果となりました。(図2)

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