人材育成で組織の未来を切り開く4社の取り組み オンラインイベント「HR×ラーニングカンファレンス 2023 」開催!|イベントレポート|組織開発・人材育成

2023.12.14

2023年10月24日、25日の2日間にわたり、第3回目となる「HR×LEARNING CONFERENCE 2023」を開催しました。企業の人事・教育担当の方々に人材育成施策の推進・変革におけるヒントをお届けするため、世界で活躍する企業、日本の各業界を代表する企業など4社の人事責任者より、組織の未来を創る人材育成施策を共有いただきました。

 オンラインイベント「HR×ラーニングカンファレンス 2023 」開催!|イベントレポート_3

2023年10月24日、25日の2日間にわたり、第3回目となる「HR×LEARNING CONFERENCE 2023」を開催しました。企業の人事・教育担当の方々に人材育成施策の推進・変革におけるヒントをお届けするため、世界で活躍する企業、日本の各業界を代表する企業など4社の人事責任者より、組織の未来を創る人材育成施策を共有いただきました。

会社を支える人材の育成で未来を切り開く

VUCAの時代、「人的資本」「リスキリング」など、会社を支える人材の育成が急務となっています。

そこで、今回の「HR×LEARNING CONFERENCE 2023」には、人材育成のトレンドを押さえた施策を進める4社がご登壇。個々の施策が一貫性をもって機能する仕組みづくりなど、多くのヒントをいただきました。

各社様の取り組み事例の概要をご紹介します。

社員の自己学習と管理職による対応の重要性に気づく1日目

アクサ生命保険株式会社『グローバル企業の自己学習文化醸成 〜アクサの取り組み事例をご紹介〜』

1社目は、アクサ生命保険株式会社様。HRラーニング&ディベロップメントマネージャーの神野美紀氏に、
自己学習文化醸成に向けた取り組みを共有いただきました。

オープンでフラット、多様性のある職場環境のアクサ・グループでは、「自分のキャリアは自分で切り開いていく」
という企業風土。
これを強化すべく、セルフラーニングカルチャー(自己学習文化)を推進し、多様な学習機会を提供してきました。

主な取り組みは、毎年秋に行われる「アクサ・ウィーク・フォー・グロース」、いつでもどこでも自己学習ができる
「Eラーニングのプラットフォーム」、そして「タッチポイント」の充実です。

これらの施策を通じて、自己学習の大切さや楽しさを知ってもらうとともに、メンバーの主体的な学びを支援しています。

右 神野氏、左 当社のコンサルタント

カシオ計算機株式会社『カシオ計算機における自律人材育成 〜キャリアサポート制度による支援施策〜』

2社目は、日本を代表する「ものづくり」企業、カシオ計算機株式会社様です。人事部長の髙橋英史氏にご登壇いただき、
キャリアサポート制度の仕組みと管理職によるサポートの重要性をお伝えいただきました。

現在、カシオ計算機は、「市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる」ために、各種人事制度改革を進行中。
2019年より「革新的で活気ある組織づくり」「メリハリの効いた処遇と評価」「チャレンジ精神旺盛で活気ある人材」を三本柱に改革を進めてきており、人材育成としては特に自律的な人材育成を行うためのキャリアサポート制度充実と上司の関わり方の強化を重視しています。

キャリアサポート制度として年代別キャリア研修、副業・兼業制度、ジョブチャレンジ制度、セカンドキャリア支援制度、スキルアップ支援制度など、多くの施策を行う中、重要な存在は、現場で社員の自律をサポートする管理職。特に「部下一人ひとりが自らのキャリアを考え
行動することが組織への貢献につながる」という髙橋氏のお話は多くの視聴者から共感の声が寄せられました。

左 髙橋氏、右 当社のコンサルタント

多層施策による自律型人材育成のポイントを知る2日目

スターゼン株式会社『エンゲージメント向上のための社内公募制度 〜働いてよかったと思える会社にしよう〜

3社目は、食肉・加工食品のトータルサプライヤーであるスターゼン株式会社様です。
執行役員 管理本部長兼人事部長の石神幸長氏から、人事改革制度等の取り組みについて共有いただきました。

生産・調達・加工から販売まで多様な職種がある中、縦割り意識が強くトップダウン型の企業風土で、従業員の主体性が課題となっていたスターゼン。同社では従業員の主体性向上に向けてさまざまな施策を展開。本社のフリーアドレス制、各拠点でのタウンホールミーティング、各本部長出席の人事委員会の他、自らのキャリアを考える自律した人材の育成を目的とする、上長に相談不要の手挙げ制による「社内チャレンジ制度」も構築しました。

これまでの制度・方針から大規模かつ抜本的な改革を実施したという石神氏のお話には参加者の皆様からも驚きの声が。
質疑応答でも現場の反応などを伺う質問が相次ぎ、石神氏からは「丁寧な周知を心がけることが大切」というアドバイスをいただきました。

こうした取り組みは、社員が業務を自分事化するようになった、部門横断的な意見交換が発生するようになった、などの効果を生んでいるとのこと。経営理念の一つである「働いてよかったと思える会社にしよう」のさらなる実現に向け、取り組みを進められています。

右 石神氏 左 当社のコンサルタント

三井不動産レジデンシャル株式会社『多面的サーベイによるアクションプラン策定 ~社員が学び会う仕組み創りとその効果~』

今回最後のご登壇となったのは、三井不動産レジデンシャル株式会社様。人事部人事グループ主事の日髙裕喜氏に、
同社がいま取り組んでいる「人事制度に基づく育成計画」や「サーベイ研修」についてお話しいただきました。

サーベイ研修は、評価対象者の周りのメンバーにヒアリングを行い、自己認識と他者認識のギャップから気づきを得て次のアクションへつなげる研修。これまで一部の年次の社員に対して定型的な設問で実施していましたが、社員の自発的成長を促す目的で対象者を拡大し、設問も自社に合ったものに変更しました。

特徴は、事前サーベイとワークスクランブル形式の研修により、「自分ではわかっていなかったが、他人はわかっている」強み・弱みに気づける設計になっていること。定期的なサーベイ研修への参加で、計画的な振り返りと具体的な目標設定も可能になりました。

サーベイを行うだけでなく、その結果を育成にどうつなげていくか、という同社の取り組みがどう進んでいくか、に視聴者の注目が集まる中、日髙氏からは「今後はヒアリング回答者の負担軽減、研修後の取り組みの追跡など、運用体制の改善にも取り組んでいきたい」というお話をいただきました。

右 日髙氏 左 当社のコンサルタント

ハード施策×ソフト施策で周囲を巻き込んだ自律性育成へ!「成長の仕組みづくり」を全力でご支援します

659名もの方に申込みをいただいた今年の「HR×LEARNING CONFERENCE 2023 」では、人材育成に強い関心をお持ちの視聴者の皆様に対し、登壇者の皆様から具体的な施策や解決ポイントをご共有いただきました。

1日目の講演後、当社のシニアマネジャー(コンサルタント)開発室室長である根本は、「社風を活かした人材開発と、
人材開発を活かした社風創りが重要である」と総括。社員とマネジメント層の両面から「開発×仕組み化」しつつ、取り組みに積極的な「イノベーター」「アーリーアダプター」を巻き込むことの重要性も指摘しました。

2日目は、当社取締役の田中から総括を行いました。ポイントは、「単層施策ではなく多層施策を行うこと」「自律性獲得を促すためにはむしろ計画的に他者が関与する仕組みが有効であること」「ハード施策とソフト施策の融合で有効性の継続・拡大につなげること」。経営目的・課題と施策を連動させ、他者の関与によるフィードバック、正しい自己認識の形成につなげることの重要性を強調しました。

当社は、各種サービスの拡充、イベントやセミナーの開催などを通じて、皆様の人材開発・組織開発をお手伝いしてきました。今後も、「人と組織の未来創り」に共に取り組んでまいりますので、ぜひご期待ください。

ご登壇いただいた皆様からのコメント

本イベントでは、ご登壇いただいた皆様へ参加者の皆様から多くのご質問が寄せられました。
質疑応答で語られた重要なヒントや登壇者からのメッセージをピックアップしてご紹介します。

アクサ生命保険株式会社・神野氏

今、社会全体が変わってきていると感じます。子どもの頃から自己学習に取り組んでいる年代が入社してきており、
他の世代にも、主体的に取り組む姿勢が求められています。皆さんと一緒に、自己学習文化を日本に根付かせられればと思います。

カシオ計算機株式会社・髙橋氏

新しい施策では、うまく現場に入っていかないケースも多いと思います。大切なことは、スモールスタートで始めること。
自分の裁量で展開できる範囲の施策から始めて、周囲に味方を作りながら広げていくとよいと思います。

スターゼン株式会社・石神氏

機械化が進んでも機械は機能以上の仕事はしません。
しかし、人は環境次第で2倍、3倍の成果を創出する可能性を持っています。
仕事のやりがいがある会社であるために、そして社員全員が同じ方向を向いて進めるように、取り組みを続けていきます。

三井不動産レジデンシャル株式会社・日髙氏

今の時代、勉強をしようと思えばできる環境があふれていますが、目の前の業務に翻弄され、明確な目標を立てて進める機会が少ないものです。サーベイ研修により、「ありたい姿」を明確に描きつつ成長へつなげてもらいたいと考えています。

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