管理職意識調査(2024年 部下育成編)
部下育成の課題を感じる場面、ステージ別に差異 「部下育成の正しい知識」を習得する機会提供を
2024年9月20日
〈背景〉管理職自身が抱える悩み・人事担当者が抱く管理職への課題、どちらも「部下育成力」が最大に
前回公開したレポート*1より、管理職の最大の悩みは「部下の育成」であることが明らかとなりました。また、当社が人事担当者に対して実施した調査*2によると、8割以上の人事担当者が、管理職の「部下育成力」に課題を感じている結果となりました。人的資本経営が注目される昨今、企業が持つ人材価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値を高めるためには、優秀な人材を育成していくことが必要不可欠です。そのため、多くの企業が管理職の部下育成力を重要視しています。本調査レポートでは、「部下育成」についてどのような場面で管理職が課題を感じているか、またその課題を克服するために、どのような取り組みに注力をしているか実態に迫ります。今回の結果が、管理職の育成に悩む経営層、人事担当者、さらには悩みを抱える管理職にとって、有益な情報となれば幸いです。

調査結果の概要(一部)
部下育成の課題を感じる頻度
- ステージ*初期の管理職ほど「部下育成」への課題を感じることが多い
*ステージ:管理職を役職や経験値により「新任管理職」「ベテラン管理職」「幹部候補」の三つのステージに分類したもの
部下育成の課題を感じる場面
- 新任は「部下を評価するとき」、ベテランは「部下のモチベーションが向上しないとき」、
幹部候補は「方針・戦略を浸透するとき」に部下育成への課題を感じる人が多い
部下育成のための努力
- 新任は「部下と積極的にコミュニケーションをとる」、ベテランは「部下の意見に耳を傾ける」。
幹部候補は「部下の自主性を尊重する」が他ステージより突出する結果に
【部下育成の課題を感じる頻度】
約7割の管理職が「とてもよくある・よくある」と回答、「全くない」はゼロ
まず初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職と記載」)に、「部下育成」への課題を感じることがどれほどあるか質問しました。結果、「とてもよくある」と回答した管理職は18.0%、「よくある」は50.0%、「時々ある」は28.2%、「あまりない」は3.9%となり、「全くない」と回答した人はいませんでした。
「とてもよくある」「よくある」と回答した割合は合計で68.0%となり、約7割の管理職が部下育成に対して頻繁に課題を感じていることがわかりました。(図1)

次に、管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と三つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるかみていきます。
新任管理職 | 1~3年目の課長クラス |
---|---|
ベテラン管理職 | 4年目以上の課長クラス |
幹部候補 | 部長クラス |
ステージ初期の管理職ほど「部下育成」への課題を感じることが多い
「部下育成」への課題を感じることが「とてもよくある」「よくある」と回答した割合を比較すると、新任管理職は76.4%、ベテラン管理職は66.6%、幹部候補は54.1%という結果となりました。ステージ初期の管理職ほど「部下育成」に課題を感じる割合が高くなる傾向にあることがわかりました。(図2)

【部下育成の課題を感じる場面】
3割以上の管理職が部下の「成果や知識・スキル」「モチベーション」が向上しないときに課題を実感
次に、どのような場面で部下育成への課題を感じるか質問しました。
結果、「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」と回答した管理職が35.2%となりました。次に、「部下のモチベーションが向上しないとき」が32.0%、「部下を評価するとき」が28.2%と続きました。
一方、「部下にポジティブフィードバックを行うとき」は2.1%、「部下のキャリア支援を行うとき」は5.3%と低い結果となりました。(図3)

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